IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
始まり始まり~
昼食を食べ終わった箒Bとカンナは、授業がある鈴と一旦別れ、校舎の屋上に足を踏み入れた。空は良く晴れ、心地よい風が屋上に吹く。
箒B「気持ちいいな……ここは良い世界だな、あんな怪物が出てこなければ」
カンナ「聞いたところによると、あの怪物はこの世界の一夏様が飛ばされた世界の怪物なのだとか。あのような怪物が沢山……怖いですね」
箒B「料理には興味があるが、その為に毎回怪物を相手するのはな……普通って良いな」クスッ
カンナ「そうですね」
カンナはそう返事して箒Bの顔をじっと覗き込む。
箒B「……なんだ?私の顔に何か付いているのか?」
カンナ「いえ……笑っておられますね、箒様」
箒B「……?」
カンナ「牙也様が倒れられてから、箒様はあまり笑わなくなりました。それほどに牙也様の容態を心配なされていた箒様が、今は笑っておられます。私は、それが嬉しく感じます」
箒B「そうか……笑っていたか、私は。心に余裕でも出来たのか、それとも……牙也を信じているからこそか」
カンナ「私は両方だと思います。箒様の牙也様への熱き思いは、私も良く存じておりますから」ニコッ
箒B「それを言うな、恥ずかしい////」カアァ
カンナ「ふふ……からかいが過ぎましたね、申し訳ありません」クスクス
箒B「と、とにかく牙也が目覚めるまでは、私達が頑張らねばな。カンナ、よろしく頼むぞ」
カンナ「お任せ下さい!」エヘン
箒A「異世界の私の様子が?」
鈴「ええ。あいつの話が出てくると決まって変な反応をするのよ。何か怪しいと思わない?」
授業の合間の休み時間、春十達いつものメンバーは春十の机の周りに集まって話をしていた。話の内容は箒Bの事であった。
ラウラ「変な反応?」
鈴「何かね、あいつの名前が出てくるとなんかアセアセしてるのよ。さっき昼食の時も話したけど、そんな感じだったわ」
春十「ふ~ん……」
鈴「いやふ~んって……春十は興味ないの?」
春十「いや……なんとなくなんだけど、その事には触れちゃいけないような気がしてな」
シャルロット「なんで?」
春十「分からない。でも、なんとなくそんな感じがして」
セシリア「私、なんとなくですが分かりますわ。それは恐らく、『恋』かと」
箒A「こ、恋だと!?まさかあの化物に、異世界の私が恋を……!?」
鈴「あ、そう言われれば……あいつの名前が出た時、少し顔を赤らめてたわね」
ラウラ「益々怪しいな。本人に聞いてみるか?」
箒A「聞くどころか、止めた方が良いのではないか!?」
鈴「ま、まあまあ落ち着きなさいよ。まだそうと決まった訳じゃ……」
箒B「何の話だ?」
そこへ箒Bとカンナがやって来た。二人目の箒の登場に途端に教室は騒がしくなる。
鈴「あ、いや……ちょっとね」
セシリア「何かご用でしょうか?」
箒B「いやな、さっき山田先生に『この後の実技授業にオブザーバーで参加してみませんか?』と言われてな。私も最近ISを動かしてないし、ちょうど良い機会だと思ってな」
ラウラ「オブザーバー参加か」
春十「紅椿が二つか、楽しみだな~」
鈴「腕が鳴るわ!」
箒B「あ、いや、あの……実は私、専用機は持っていなくて……」
箒A「え?お、お前紅椿を持っていないのか?」
箒B「ああ、専用機以上の物を今私は持っているからな……これ以上は過剰な力になる」
鈴「どんな力よ?見てみたいわ」
箒B「それは勘弁してくれ、これはあまり見せびらかす物じゃないんだ。それに……場合によっては、あれは最新型ーー第三世代ISを凌駕する……いや、凌駕するだけではすまんな」
ラウラ「な……そんな力を所持しているのか!?」
箒B「ああ、だからこそ『はい、分かりました』と簡単に見せびらかす物ではないんだ。分かってくれ」
セシリア「た、確かに……そんなものが出てきたら大混乱は避けられませんわ」
鈴「ごめんね、変な事聞いちゃって」
箒B「知らなかった事だ、別に良いさ。あ、忘れるところだった。私と鈴に頼みたい事があってな……」
そう言われた箒Aと鈴が首を傾げると、
箒B「その……スーツを貸してくれないか?流石に制服でやるのはな」
箒A「なんだ、そんな事か。構わんぞ」
鈴「箒はともかくとして、なんで私なの?」
箒B「カンナも参加するからだ。背格好が大体鈴とラウラが同じくらいなんだが、カンナの色の好みで鈴のスーツを借りる事に決めた」
ラウラ「なあ……私嫌われているのか?」
箒B「いや、ただ単純にカンナが黒系が嫌いなだけだ」
シャルロット「皆、そろそろ行かなきゃ。織斑先生に怒られるよ」
シャルロットのその言葉に、皆は慌てて準備をしてアリーナに向かった。
牙也は驚いていた。突如目の前に現れたのが、ゼロに敗れて消滅自身に吸収された筈のオーバーロード・シュラだったからである。
牙也「な、なんでシュラが……!?あの時ゼロに負けて、消滅した筈じゃ……」
狗道「確かに消滅したさ。今お前の目の前に立っているのは、お前の記憶の中に残ったシュラの記憶を具現化したものだ」
シュラ「……」
牙也(くっ、相変わらずの圧だな……ハハッ、そんだけ俺の記憶の中のシュラはデカイ存在だったんだな)
シュラの記憶の塊を目の前にして、牙也は笑みを浮かべながらも冷や汗をかいていた。久し振りにシュラと相対し、この圧を全身で受け止めているのだから尚更だ。しかし同時に、牙也は違和感を覚えていた。
牙也(しっかし妙だな……体がいつもより重く感じる。なんだろ、重いけど何かが俺の中から抜けてる感覚だな)
狗道「ほら、さっさと始めるぞ。時間がない」
そう言うと、狗道はゲネシスコアを付けた戦極ドライバーを腰に装着し、二つのロックシードを解錠した。
狗道「変身」
《ブラッドオレンジ》
《ザクロ》
《ロック・オン》
《ハッ!ブラッドザクロアームズ!狂い咲き・Sacrifice!ハッ!ブラッドオレンジアームズ!邪ノ道・on・Stage!》
仮面ライダーセイヴァーに変身した狗道を見て、記憶のシュラもゲネシスドライバーを腰に装着して、エナジーロックシードを解錠した。
《イーヴィルエナジー》
《ロック・オン》
《血眼!イーヴィルエナジーアームズ!Blood Eyes!Blood Eyes!D-D-D-Deadly Souls!》
シュラは仮面ライダー赤零に変身して、ソニックアローを牙也に向ける。
牙也「久々だな、シュラとの殺り合いは……気を抜いたら死。いつもそうだった」
狗道「そのお陰で今はそれほどに強くなっているのだろう」
牙也「まだまだだ。まだ俺は弱い。それに……俺は、一度もシュラに殺り合いで勝った試しがない」
狗道「ほう?あの世界の命運を握らせる程だから、相当の実力かと思っていたが」
牙也「周りに弱いって思われるくらいがちょうど良いんだよ。そうしたら、もっと強くなれるからな」
狗道「ふっ……やはりお前は面白いな。それでこそシュラが残した力だ」
牙也「そりゃどうも。さてと……始めるか」
《ブルーベリー》
《ロック・オン》
牙也「変身」
《ソイヤッ!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!》
牙也も仮面ライダー零に変身し、紫炎を構えた。
牙也「たとえ幻であっても、絶対に気は抜かない。今の俺の全力で……あんたらを倒しに行く!」
次回もお楽しみに。