IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 気づいたらいつの間にか100話まで行ってましたよ。この小説、よくここまで続いたな……ひとえに読んで下さる皆さんのお陰です、ありがとうございます。

 さて、今回からZUNEZUNEさんの作品『トリコ 一夏がトリコの世界に行って料理人になって帰ってきたお話』とのコラボが始まります。
 今回のコラボは、多分ひたすらトリコネタを前面に出す形になると思いますので、牙也達は余程の事が無い限りは変身しません。ご了承の上お読み下さい。


 では第100話、お楽しみ下さい!




異世界旅行 Gourmet World
コラボ6 飯テロ!(1)


 

 誰かが言ったーー

 

 

 

 地面がコーヒー豆で埋め尽くされ、その地面を踏み締める毎に常に焙煎されたような素晴らしい香りを醸し出す山『ブルーマウンテン』があるとーー。

 

 

 

 

 

 体の毛がブロッコリースプラウトで出来ており、毛が太陽によく当たって光合成した物ほど肉も美味しくなるという狐『フォックスプラウト』がいるとーー。

 

 

 

 

 複数の個体が扇子のように尻尾や胴体がくっついた状態で常に行動し、焼けばえびせんのようなカリッとした歯応え、生で食べても押し返すような歯応えの海老『海老扇子』がいるとーー。

 

 

 

 

 

 

 世はグルメ時代ーー未知なる味を求めて、探求する時代ーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『美味しーー!!』

 

 ISが世界を席巻する、牙也達の世界とは別の平行世界。その世界にあるIS学園の食堂。お昼時の食堂は学園の生徒教員で満席状態であり、定員オーバーで食堂に入りきらずに外で行列を作っている。それほど学園の食堂は人気があるのだ。

 

 「はい、バドミン豚の東坡肉定食とカツオーガの叩き定食お待たせしました!」

 「わ~、美味しそう!ありがとうございます!」

 「ねね、早く食べよっ!」

 「注文入りました!豚腐のキノコブラ餡掛け定食と砲丸ポテトサラダのサンドイッチが二つ、それに槍人参とヒモヤシの塩味炒め定食です!」

 「はい、すぐにお作りしまーす!」

 「注文でーす、キューブロッコリーとキャベツルの温製サラダ定食と吹き矢烏賊のイカスミパスタをお願いします!」

 「承りました!」

 

 こんな感じに立て続けに注文が入り、厨房は休む暇もない。そんな状態の厨房と所狭しと駆け巡り、次々と料理を作っている人物がいた。

 

 一夏「はい、砲丸ポテトサラダのサンドイッチ、キューブロッコリーとキャベツルの温製サラダ定食出来たよ!」

 

 この世界の織斑一夏だ。純白のエプロンを着て、厨房内を踊るように駆け巡り、包丁で食材を捌き、鍋やフライパン、グリル等をフルに動かして料理を次々と完成させていく。その姿は常人には視認さえ出来ず、瞬間移動をしているようにも見える。

 

 鈴「相変わらず凄いわね~、一夏」

 箒「そうだな。到底真似など出来ん」

 シャルロット「真似出来たら凄いと誰もが思うよ」

 

 その様子を昼食を食べながら見ているのは、最早お馴染みとなった面々ーー箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラの五人とこの世界における一夏の兄、春十だ。

 

 春十「や~、一夏の料理はやっぱ旨いな~。いつ食べても飽きないぜ」モグモグ

 ラウラ「嫁よ」

 春十「なんだ、ラウラ?」

 ラウラ「なんなら、食べさせてやろうか?」

 『んな!?』ガタッ

 春十「え?いや良いよ、自分で食べられるからさ……」

 ラウラ「まあまあ、そんな事言わずに……」

 鈴「ちょっと、抜け駆けはずるいわよ!その役目あたしにやらせなさい!」

 箒「こら!それは私の役目だ、お前達には勿体ない!」

 セシリア「いえいえ、箒さんこそ勿体ないのではなくて?ここは淑女たるこの私が……」

 シャルロット「ここは譲れないよ。春十に『あーん』するのは僕さ……!」

 ラウラ「何を言うか。言い出した私がすべきだろう!」

 

 春十への『あーん』権を巡ってギャアギャア騒ぐ中、春十は不思議そうにそれを見守りながら昼食を食べ終え、

 

 春十「ご馳走さま。皆、次の授業に遅れないように早く食べなよ」

 『あ……』

 

 そう言って春十はさっさと食堂を出ていった。折角のチャンスを不意にしてしまい、五人は意気消沈していたが、その後千冬の一喝ですぐに復活したという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼のピークも過ぎ、時刻は午後二時。一夏は遅めの昼食として、十黄卵とニンニク鶏の親子丼を食べていた。

 

 千冬「一夏」

 一夏「ん?あ、千冬姉。授業は?」

 千冬「この時間は受け持つ授業がないからな、何か小腹に入れておこうかと思ってここに」

 一夏「ちょうど良かった、さっきお茶菓子として海老扇子を焼いてたんだよ、食べる?」

 千冬「勿論だ」

 

 そう言って一夏は丼を片付けた後、厨房から海老扇子を切り分けたものを持ってきた。千冬はそれを一つつまむと口に放り込む。

 

 千冬「ほう、カリカリとした食感が心地良いな。それに口に広がるこの海老の風味……酒に良く合いそうだ」

 一夏「焼くとえびせんみたいになるからお茶菓子として食べても良いし、勿論生で食べても美味しいんだ。また焼こうか?」

 千冬「いや、これくらいで良い。また夜にでも頼むぞ」

 

 ラウラ「教官!」バタン

 

 そこへラウラが飛び込んできた。

 

 千冬「ボーデヴィッヒか、今は授業中だろう?」

 ラウラ「そ、それが……緊急事態が起きまして……と、とにかくすぐにグラウンドに!」

 千冬「分かった、すぐに行こう」

 一夏「念のため俺も行くよ」

 

 二人はラウラに連れられてグラウンドに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「なんでこうなったんだよ……いてて」

 箒「私に聞くな。というより大丈夫なのか?」

 牙也「大丈夫な訳あるか……!エネルギー弾直撃だぞ、しかも生身に……」

 カンナ「ある程度治療は施しましたが……ど、どうしましょう、この状況……?」

 

 グラウンドでは、先程までIS実技授業をしていた一組の面々が三人を見て唖然としていた。それはそうだろうーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何せ、箒が二人いるのだから。

 

 

 箒A「わ、私……だと……?」

 セシリア「こちらは箒さん、ではそちらは一体……?」

 鈴「な、何がどうなってんのよ!?」

 ラウラ「教官を連れてきたぞ!」

 

 全員が今の状況を理解出来ず大混乱している時、ラウラ達が合流した。そして開口一番、

 

 

 

 

 

 

 一・千『……箒が二人!?』

 

 

 もう一人箒がいる事に驚いていた。

 

 千冬「山田先生、何があったのか説明してくれるか?」

 真耶「は、はい。いつものように授業を進めていたらーー」

 

 

 

 

 ~回想~

 

 真耶「はい、では今日はグループに分かれて、グループ対抗戦を行います!各グループに専用機持ちを一人いれてグループを作って下さい!」

 『はーい!』

 

 春十「クラスは大体三十人くらいだから、各グループ一人ずつだな」

 鈴「負けないわよ!」

 シャルロット「僕だって!」

 セシリア「圧倒して見せましょう……!」

 箒A「ところでだが……一つ提案が……」

 ラウラ「なんだ?」

 箒A「まあ取り敢えず四人とも耳を貸せ」ゴニョゴニョ

 

 

 『……乗った!!』

 

 

 春十「?」

 

 

 

 

 

 真耶「分かれましたか?ではまずは、どのグループからやりましょうか?」

 春・箒A『はい』

 真耶「はい、では織斑君と篠ノ之さんのグループですね。準備して下さい」

 箒A「春十、絶対に負けんからな!」

 春十「こっちこそ!」

 

 ~春十と箒、ISを展開して空中浮遊~

 

 真耶「それでは……3……2……1……スタート!!」

 春十「行くぜ!」ドドドンッ

 箒A「食らえっ!」ドドドンッ

 

 

 牙也「さ~てと、お次の世界はーーんぎゃあああああ!?」

 

 

 春十「へ?」

 箒A「え?」

 

 

 ~牙也、黒焦げになって墜落~

 

 

 箒B「む、何かあっtーー牙也ぁぁぁぁ!?」

 カンナ「どうかなさいmーー牙也様ぁぁぁぁ!?」

 

 

 

 

 ~回想終了~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真耶「という事がありまして……」

 千冬「そうか……おい、お前達は一体何者だ?」

 牙也「話せば長くなるぞ」

 千冬「短くしろ」

 牙也「んな理不尽な……」

 

 

 

 『ブオオオオオ!!』

 

 『っ!?』

 

 

 

 突如、グラウンドに巨大な牛が現れた。しかしその牛は誰がどう見ても普通ではなかった。何故ならーー

 

 

 『ブモオオオオ!』

 

 

 二足歩行していたからである。

 

 ラウラ「あの牛……見てくれが悪魔に見えなくもないな」

 一夏「あれは……牛ール!」

 鈴「牛ール?何それ?」

 一夏「下級悪魔の力を得た牛だ!こいつは捕獲レベルが高いぞ……!危ないから皆は避難してくれ!」

 『ブモォォォォ……』

 

 牛ールが辺りを見回すと、生徒達が次々と逃げていく中、牙也がこちらに近付いてくるのが見えた。

 

 一夏「お、おい!危ないぞ、戻ってこい!」

 

 一夏が止めるのも聞かず、牙也は牛ールに近寄って行く。それを見た牛ールは、チャンスとばかりに豪腕を振り翳して叩き付け攻撃を仕掛けた。

 

 箒B「牙也!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「……頭が高ぇ」

 

 

 ズドオオオンッ!!

 

 

 牛ールの攻撃で、辺りに砂煙が舞う。

 

 一夏「馬鹿野郎……!だから止めろって言ったんだ……!」

 

 一夏がそう洩らし、他の面々もショックに近い表情を見せるが、唯一箒Bとカンナだけはその顔に余裕が見えていた。

 

 箒B「大丈夫だ、皆。牙也はあれくらいでは死にはしない」

 千冬「何故そうだと言い切れる?」

 箒「……あれを」

 

 箒が指差した方向を面々が見ると、

 

 

 

 

 

 

 牙也「……聞いてなかったか?俺は『頭が高ぇ』と言ったんだ」

 

 

 

 

 

 

 その声に牛ールが上空を見上げた時には、既に遅し。クラックを開いて上空に回避した牙也が急降下してきて、牛ールの眉間の辺りに踵落としを食らわせた。牛ールは『ブゴッ!?』と変な鳴き声を上げながら、地響きを起こすかのように地面に叩き付けられた。またも砂煙が舞い、辺り一面を覆い尽くす。そして砂煙が晴れるとそこには、昏倒した牛ールと、自分の鳩尾辺りを抑えながら立っている牙也の姿が。

 

 カンナ「牙也様!」

 箒B「牙也!」

 

 皆が唖然とする中箒Bとカンナが牙也に駆け寄り、今にも倒れそうなその体を支える。

 

 牙也「ああ、悪い……クロノエグゼイドから受けたダメージがまだ残ってるみたいだ……」

 箒B「馬鹿者、無理をするなと……!」

 カンナ「だ、誰か手をお貸し下さい!何処か寝かせられる場所を……!」

 一夏「千冬姉……!」

 千冬「ああ、取り敢えず奴の治療を優先だ。手の空いた生徒は彼を医務室に運ぶのを手伝え!ボーデヴィッヒ、医務室に向かって養護教諭に事情を説明してベッドを一つ空けてもらえ」

 ラウラ「分かりました!」

 

 一先ず牙也のお陰で危険を回避した一夏達は、箒Bとカンナと共に牙也を医務室に運んでいった。

 

 

 

 

 

 





 今回登場した食材の簡潔説明

 バドミン豚 捕獲レベル28

 バドミントンのシャトルのような形の豚。小型なので見つけにくく、その豚を使ってバドミントンをし、ラリーを長く続ければ続ける程熟成されて旨くなる。

 カツオーガ

 ZUNEZUNEさんの作品に登場してますので、そちらを。

 豚腐(とんふ) 捕獲レベル19

 体の肉が豆腐のように繊細で柔らかな豚。扱いが難しく、少し力を入れて触るだけで肉が崩れてしまう程。

 キノコブラ 捕獲レベル35

 頭部が様々な茸でできたコブラ。毒は無く、生で食べられる個体も。ごく稀に松茸のキノコブラが現れるが、こちらは捕獲レベル85。

 砲丸ポテト 捕獲レベル14

 見た目が砲丸そのもの。捕獲レベルは低いが特殊調理食材の一つで、正しい調理法をしなければ固くて食べられない。競技に使われたりする事も。勿論使い終わったらちゃんと加工して美味しくいただきます。

 槍人参 捕獲レベル17

 ヒモヤシ 捕獲レベル13

 キューブロッコリー 捕獲レベル16

 キャベツル 捕獲レベル16

 いずれもベジタブルスカイに生えている野菜。槍人参は収穫したときの形状が槍に見える事からその名がついた。ヒモヤシは大量のモヤシが紐のように束ねられたもの。キューブロッコリーはその名の通り、キューブ形のブロッコリー。キャベツルは『キャベツの木』という木の幹から伸びる蔦から生えるキャベツ。

 吹き矢烏賊 捕獲レベル48

 墨を飛ばす際、吹き矢のように墨を固く尖らせて発射する烏賊。肉も旨いが、硬化する前の墨は絶品。

 十黄卵 ニンニク鶏

 いずれも『トリコ』本編に登場する食材。

 牛ール(ギュール) 捕獲レベル74

 前述の通り、下級悪魔の力を得た牛。肉は食べられないが、角や爪、歯は武器に加工可能で、これらで作った武器は数千万円で取引される。



 長文失礼しました。ではまた次回!


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