成り上がりの息子と赤龍帝     作:ケツアゴ

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ドフラミンゴ曰わく平和な国で育った餓鬼と・・・


夕食と価値観の違い

 今日はメイドさん達に服を選んで貰っている。

 

「やっぱりフラン様は派手なのよりも大人しめの方が似合うわよ。清楚で純粋無垢さをアピールね」

 

「甘いわね! 普段が大人しいからこそ大胆に攻めて若様のハートを打ち抜くの!  あの方、ギャップ萌えよ、絶対」

 

「私は可愛さをアピールするのが良いと思うなぁ」

 

 メイド長に指示されて服選びに参加している三人だけど、凄く楽しそうに服を選んでくれて、さっきから着せ替え人形になったみたい。ジェイルはどの私が一番好きって言ってくれるんだろう?

 

 新しい服を見て喜んでくれたら嬉しいな。

 

「次のコンセプトは文系女子! 眼鏡に少し地味目の服で知性をアピールよ!」

 

「だから貴女は三流なのよ。スリットが深いチャイナドレスしかないわ! 勿論丈は長めよ! チラッと見える足に若様は夢中なんだから!」

 

「猫耳付きフードのパーカーなんてどうかな?」

 

 三人とも私とジェイルの為に頑張ってくれて嬉しい。沢山友達が出来て嬉しいな。でも、この部屋一杯の服は誰が買ったんだろう? ジェイルは私のお洒落を写真に撮るのが好きだし、試着したら一枚はメイドさんの指定したポーズで撮っているけど、ジェイルが服を買ってくれる時は私に選ばせてくれるのに。

 

 

 

 

 

「所で旦那様もだいぶ買い足したわね。っと言うより、若様が小さい時以上に買っていない?」

 

 あっ、パパだ! 私はジェイルのお嫁さんになるからお義父さんだけど、パパって呼ぶと喜ぶから呼んでるの。でも、ジェイルが余所様の前では違う呼び方しろって言った。どうしてだろう?

 

 

 

 

「フラン様、若様はお帰りですか? 変た......ディオドラ様から極秘のメッセージが届いていまして。至急お願いしたいことがあるとか......」

 

 変態からのお願い? 対応したメイド長も大変だね。

 

 

 

「さて、貴女達は夕食の準備に取り掛かりなさい。此処からは私の番です」

 

「「「はい!」」」

 

 此処で文句が出ないのが凄いと思う。流石メイド長なだけあるね!

 

 

「人間界に行くとなると帽子が必須。良い香りの日焼け止めも用意しないと。腕を組むほどに密着すれば谷間が見えるノースリーブの水色ワンピースにサンダル。これですね! 最後に最も重要な......」

 

「ウー?」

 

 どうやら買ってある物の中には無いらしく、電話で注文するメイド長。何が必要なんだろう?

 

 

 

 

「勝負下着です! ヘタレもとい純情な若様ではフラン様に強引に迫ったりは出来ませんが、万が一そんな空気になった際に子供っぽい下着ではムードが台無し。此処は黒の大人向けを! いや、虎柄の紐でも......所で若様はスク水と体操服ブルマのどちらが好みなのでしょうか......」

 

大人って大変なんだって思った。所であの変態はジェイルにどんな無茶を頼んで来たんだろう?

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ、若様。モードレッド様もようこそおいで下さいました。......其処の世間知らずそうな小娘は?」

 

 マンションに帰るなり今日の当番であるメイドが出迎える。美人なんだけど初対面の相手でも見下した言葉を投げかける悪癖が有るんだ。本人曰く、暴言吐いても構わない相手と状況を見定める努力は欠かさないとか。出来れば暴言を抑える努力をして欲しいよ。

 

「今日はカレーかぁ。俺も食っていくから屋敷の方に連絡頼むわ。あっ、付け合わせはチーズ入りの半熟オムレツな。此奴はアーシア。ジェイルを襲った奴の仲間......」

 

「......その襲ったという蛆虫は今どちらに? いえ、先ずは其処の竈馬から潰しましょう」

 

「ひぇ!?」

 

 言われるがままに着いてきたアーシアは向けられた濃厚な殺気に腰を抜かしてガタガタ震えている。まあ大切に扱われてきた聖女にはキッツイよね。忠誠度が振り切れて暴走しがちなメイドは今にも殺しにかかりそうだし、モードレッドに視線を向けると意図を察したのか間に入ってくれた。

 

「落ち着けって。襲った奴は俺がぶっ倒して捕まえているし、此奴には利用価値が有るっぽいからな」

 

「その米搗き飛蝗に?」

 

 モードレッドの言葉だからか疑わしそうな視線がアーシアに向けられる。それに反応するかのように彼女の腹の音が響いた。

 

「あ、あう~」

 

 確か聞いた話じゃ半日以上迷って居たんだっけ? 言葉も通じないしお金も無い。お腹が減るわけだ。

 

「この子に話が有るし、取り敢えず夕食の用意を頼むよ」

 

「畏まりました、若様」

 

 先程まで虫呼ばわりしていたけど、僕の命令ならと迷いのない動作で恭しく一礼するとキッチンの方へと向かっていく。仕事は完璧にこなすんだけど、どうしてウチのメイドは揃いも揃って一癖二癖あるのやら......。

 

 

 

 

「モードレッド様にはご注文のチーズ入り半熟オムレツ、若様にはエビフライ......貴女にはチキンソテーを乗せておいたわ」

 

「あ、あの、有り難う御座います」

 

「お礼は要らないわ、虫唾が走るから。若様の命令でやっているだけよ」

 

 丁寧に給仕をしながらも毒を吐く。アーシアもどう反応して良いか困っている様だ。

 

「さて、本題に入ろうか。君、このまま教会に行ったら殺されるよ。堕天使が君の神器を狙っているからね」

 

「え? どういう事ですか......」

 

 容易には信じられないって顔だね。本人からしてみれば追放されて困っている所を拾ってくれた恩人なんだろうけど、自分の背後で忌々しそうな顔を向けているメイドに気付いたらどうなる事やら。

 

 

 

 

 

「......そんな」

 

 今見せているのはディオドラの言葉の裏を取る為、廃教会から買い出しに出てきたはぐれ悪魔祓いをハムスケの魔法で魅了して全部話させた映像。しっかし種族問わず相手に自分を何でも話せるレベルの無二の親友だと思わせるとかえげつないよね、可愛いのに。

 

 

 

 

 

「......あんな叡智に溢れた瞳を持つ強大な魔獣さんが聞き出したなら間違い無いのですよね」

 

「......はい? 今、ハムスケがなんだって? 叡智に溢れている?」

 

 あんな普段から鼻提灯膨らませて呑気に寝ている奴が? どういう感覚しているんだ、彼女は!?

 

「いやいやいや! どーなってんだよ、お前!? ハムスターが偉大な見た目とか言うのか!?」

 

「え? ハムスターは可愛いですよね? 飼ったことは有りませんが大好きです!」

 

 キョヨンとした様子のアーシアにモードレッドは釈然としない顔をする。気持ちは分かる。嘘を言っている様子がないのも拍車を掛けた。

 

 

「......まあ、良いや。それで僕からすれば堕天使に君の神器が渡るのは避けたいし、貴族として襲ってきた相手に落とし前は付けさせたい。......契約をしよう。君の安全と生活を保証する。序でに叶えられる願いなら叶えよう。君の力を貸してくれないか?」

 

 僕は友好を求めるように手を伸ばす。すると......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「若様ー! ディオドラの奴から頼み事でござるよ。折角陥れたアーシアが殺されるのは癪だから堕天使は始末してくれ。お礼はする、だそうで。全く、わざわざ助けを求める振りをして追放に追い込んでまで......おや、お客でござるか?」

 

 空気を読まずに入ってきたハムスケが言うかどうか迷っていた事を暴露した。アーシアは顔面蒼白でスプーンを取り落とし、床に落ちる前にメイドの手がそれを掴む。面倒な事になったなぁ......。

 

 

 

 

 

 

 

「......そう。堕天使は何処の所有でもない廃教会に居る上に命令で居座っている訳じゃ無いのね? ......舐められたものだわ。今すぐ吹き飛ばしに行ってあげる」

 

 一応魔王様から町の管理を任されているリアスさんに報告を入れる。最近では何故か広まった婚約者との不仲の噂のせいで実家からアレコレ言われて苛立っている様だ。流石に何も言わないのは後々政治的に響くからね。

 

 尚、アーシアについては曖昧に伝えてある。今はショックを受けた様子の彼女をゼスティと家族が暮らす家に預けているけれど、神器を知られたら引き抜こうとするかもしれないからね。いや、それにしても噂が広まるの早かったな。

 

「言っておくけど僕達も行かせて貰うよ? 次期当主の僕が襲われたし、眷属と因縁の相手も居るからね」

 

「ええ、構わないわ」

 

 これで大した手柄にならない小競り合いの面倒な後処理は任せられる上に、不始末の処理を手伝ったという事実は手に入る。迷惑を受けた事への慰謝料と手伝いの謝礼の交渉は父さんに任せるけど、リアスさんと眷属の力も見せて貰おう。当然、こっちは出来るだけ力を抑える方向だけど......。

 

 

 その頃、ゼスティの家では軽い諍いが起きていた。

 

 

 

 

「ふざけないで! 祈りが足りなかったのが悪い? なら、お祈りに行った教会が爆破されて死んだパパやママも二人が悪かったって言うの!?」

 

「あ、あの、私はそんなつもりじゃ......」

 

事の始まりは落ち込んだアーシアが漏らした言葉。全部祈りが足りない自分が悪かったという言葉に対し、ゼスティの家族の一人が泣きながら反応した。

 

 神に与えられた力によって多くの人から守られ綺麗な物しか見せられなかった聖女と、この世の地獄を見て育った少女。二人の価値観は余りに違い過ぎ、聖女の言葉は少女の逆鱗に触れるのに十分だった。

 

 

 

 

「いやー! 大変だったっすね。あの子も悪気がある訳じゃないから勘弁してやって欲しいっす。......当たり前に側にいた誰かを失うのは辛いものなんっすよ」

 

「いえ、私が悪いんです。......あの、興味本位と不快に思うでしょうが教えて下さいませんか? 私が知らないだけで存在する悲劇について。あの子に謝るためにも私は知らないといけないと思うんです......」

 




さて、女王が誰かは活動報告でお察しでしょうが設定はどうすべきか モードレッドはこの世界のモードレッドの来世で前世の記憶が混じっていますが、彼をどうすべきかなぁ

天然物か、デマの最終日の願いが叶った場合の悲劇ルートか


感想お待ちします 最近増えてモチベーションアップ 2巻で残りの僧侶と女王出ます アニメと同じくタイミングを早めるので

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