刑部姫、能力と絵は良いんだが、声とセリフがモヤっと 礼装狙いでまわそうか
まあ凸のカーミラに宝具が元から今一のエリちゃん、持ってるし戦力外の新アサは出なくていいからスキルでクイック上げられる不夜城アサシンの時にガチャるけど
「彼女達はどうすべきだったかと? 少なくても特別な力のない者の為の学校を作りたいというのなら、普遍的な力で戦って格上に通じる様な作戦を取るべきでした。武術や魔法などなら兎も角、
ゲーム終了後、出場選手達の本来の主である僕もインタビューを受けたんだけど、その中にソーナさん達に関する質問があった。知り合いだからフォローしたいけど、僕が此処にベルゼブブ派の貴族の子息として居ることを思い出す。悪いけど上層部が喜びそうなコメントをさせて貰うよ。
このゲームにおいてゼスティの戦いは注目されただろうし、匙のあの戦い方も目立っただろう。あれを覚悟と思っているらしいけど、僕から言わせてもらえば覚悟じゃない。覚悟を決めて夢の為なら何でも出来る、無茶だって平気だって自分を誤魔化しているだけ。……ヒーローの仮装で無敵のヒーローになった気でいるのと変わらないんだ。
「ゲームに出る以上、次を考えなければなりません。必要以上の手の内を隠し、次に…将来に響くような真似は控える。悪魔の長い生涯を見据えた行動、それが彼には出来ていなかった。戦い続ける為に今一時期の誇りを犠牲にする覚悟が無かったのでしょう」
生涯において命を懸けるべき戦いなど数えるほどしかないし、そもそも存在しない者も居る。僕は父さんからそう聞かされて育った。戦い命を懸ける、確かに劇なら心躍るワンシーンだ。でもさ、ゲームは『本番』じゃなくてその為のチャンスの場なんだ。必要なときに体がボロボロで戦えませんじゃ意味がないんだよ。
本番に強者を倒す鍵となるルールなんて存在しないし、安全装置も無い。ボロボロの血塗れになってまで叶える価値が本当に夢に有るの? 憧れているだけの方が幸せなんじゃないのかな?
「皆お疲れ様。じゃあ、僕から少し」
取材も終わり、アウラや皆を集めた部屋に戻ってきた僕は労いの言葉を掛ける。今回、上層部の願ったとおりになったし、結果も完封勝利。でも、言うべき事もある。
「まずはゼスティ。圧倒的勝利は良いけどもう少し手加減を覚えよう。床を破壊したのは評価に響くよ」
「あちゃー。ヴァイオレットからもさっきダメ出しのメールが来たっすよ。足場の悪い場所に備えて力加減の練習っすね」
「モ-ドレッドは何も言うことがないよ。流石だね」
「当たり前だ。へへっ、凄いだろ」
「ハムスケはもう少し周囲に気を配ろうか。圧倒的な勝利は良いけど、あそこはゼスティの見せ場だったよ? チームワークがなっていないって思われるからね」
「……申し訳ないでござる」
しょんぼりと見るからに萎れたハムスケの額を撫でて慰めてやる。まあ、次は頑張れば良いよ。
「じゃあ、祝勝会に焼き肉でも食べに行こうか。母さんが経営する会員制の店を予約してるからさ」
親子でもそれはそれ、これはこれ、とばかりにお金はしっかり要求されているけれど、まあ良いや。オッズは低かったけど大金賭けたから儲けはそこそこだし……。
急に携帯の着信音が鳴り響き、皆の瞳に同情の色が宿る。この音は父さんからの課題を知らせる時の音楽。メールを開けば確かに今回の課題だった。
『今後に必要な書類について教授しよう。君だけ帰ってきたまえ』
「モモンガさん、引率お願い」
「ま、まあ頑張れ……こんな時にまで課題を出さなくてもな。いや、書類仕事がピンチなのか?」
多分十中八九モモンガさんの予想通りだと思いながら一足先に屋敷に帰る。待っていたのは予想通りの書類の山の中、多忙で参っている父さんの姿だった。
「おや、帰ったかね。では始めよう、まずはこの事案についてだが、関係する企業を直接潰すと……」
焼肉食べたかったなぁ……。
「朝か……うっ!」
今日はメイドが起こしに来る時間より早く目を覚ます。少し頭が痛いのは二日酔いだろうね。父さんに頼まれた仕事が何とか早めに終わった後、これも経験だ、と父さんにワインを飲まされた。お抱えの音楽団の演奏を聴きながらの酒宴にはワインの香りと音楽を目的でやって来たモモンガさんも居たんだけど酒の匂いで気が高揚したのか父さんと共に何杯も飲まそうとして困ったよ。
……場の空気で酔ったんだろうけど、モモンガさんて一定以上の感情の高揚は抑えられるんじゃなかったっけ? それがクラッカーを浴びたのか紙吹雪や紙のリボンが服にくっついていたしさ。レライがモモンガさんの話を参考に何か発明したとか言ってたけど関係してるのかな?
「……うーん、もう朝?」
未だ覚醒しきれない中、耳に幼い子供の声が入ってくる。腹部に違和感を感じ、掛け布団を跳ね除けるとシーツに包まってミノムシみたいになったのが僕に抱き着いていた。光が入って来て観念したのかモゾモゾと起き上がるとシーツを外す。
「おはよう、おにいちゃん!」
「えっと……」
白い髪で顔に傷のある女の子だけど……誰だっけ? 僕が混乱する中、女の子は心配そうな顔で僕の額に自分の額を当てる。
「熱はないね! わたしたち、心配しちゃった」
キャッキャと喜ぶ姿を見ているとこの子が誰か思い出した。名をジャック。正式名はジャック・ザ・リッパー。僕の『
「ジャック、また僕に情報抹消使ったでしょ」
「あっ、ばれた? ごめんね」
少しも反省した様子のないジャックを見て溜息を吐く。後で母さんに叱って貰わないとな。
そもそもジャックはどんな存在かと問われれば、元悪霊と僕は答える。多くの娼婦に堕胎の末にテムズ川に捨てられた胎児の怨念が集合して自我を持った存在こそがジャックであり、かの有名なジャック・ザ・リッパー……らしい。伝わっている話の中に覚えが無いのが有るらしいから全部が全部この子の犯行じゃないそうだけどね。
ただ母親を求め、拒絶されたことが切っ掛けで殺しを続けていたジャックは一度退治され、残った思念とジャック・ザ・リッパーに人々が抱く創造や感情、そして相変わらず存在する愛されずに死んでいった子供達の怨念が集まって復活したんだけど……偶々出会った母さんに懐いちゃった。その後、色々あって僕の眷属になったんだ。
意外と強いんだよ? 数多くの創作物の媒体となった事や未解決だって事で出来上がった多くの思念が影響して面白い固有の力に目覚めたしさ。
「ねぇ、おなか減った」
「そう。なら早くご飯を食べに行こうか」
ジャックと手を繋ぎ、メイドが起こしに来るよりも前に部屋を出る。窓の外を見ればジャックの使い魔のハムスケがまだ寝ている。、それも野生を感じさせない格好でだ。
「ねぇ、おにいちゃん。……
「駄ー目! 解体しようとする子にはデザートあげないよ?」
「じゃあ我慢するー! じゃあ食堂まできょうそうだよー!」
無邪気な笑顔で廊下を駆けていくジャック。少し走った先でモードレッドに抱き上げられて肩車をして貰って喜んでいる。うん、本当にあの子は無邪気で……残酷だ。虫を殺して楽しむ幼子を見れば分かるけど、無邪気って残酷でもあるんだよね。
「おにいちゃーん! はやくはやくー!」
「ボサっとしてっとお前の分まで食っちまうぞ!」
おっと考え事をして立ち止まっていたよ。じゃあ、二人が待っているし少し急ごうかな? 廊下の先ではフランもやって来て僕を待っているしね。
「今日も良い日になりそうだ」
なにせ家族が元気なんだから、絶対に良い日になるって確信しながら僕は歩き出す。さて、今日の朝食は何かな?
「……あれ?」
何時の間にか寝ていたらしい。テーブルの上にはワイングラスが置かれ、向かい合わせに座っている父さんや僕の体には毛布が掛けられている。どうやら酒の席で眠ってしまったらしい。……何か夢を見ていた気がするけれど覚えていないや。
「そういえば母さんが二人目が欲しいとか言っていたけど、妹が良いかな?」
何となくだけどそう思った……。
感想待っています