成り上がりの息子と赤龍帝     作:ケツアゴ

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キャラ設定 6

アーシア  僧侶

色々あって開き直った結果、アグレッシブになった。最近では武術を取得中  レライの作品である癒やしの力を威力に変えるナックル 鉄拳聖裁 が主武器

イッセーとは順調に進展中

ゼスティの家に居候している


静かな怒りと激しい怒り

 骨の竜(スケリトル・ドラゴン)の背中に取り付けた駕籠に乗り、周囲を死者の大魔法使い(エルダー・リッチ)の護衛が取り囲む。異様な光景だけど、私達の立場からこれ位は必要だってパパが言ってた。

 

「ウ……」

 

 顔を出して地上を見下ろせば豆粒位の大きさになった街並みが見える。少し先に見える広場では既に私達の着陸の用意がされていて、多分様子見に来た他の派閥の人達が顔を蒼褪めているんだろうな。

 

「不安?」

 

 フルフルと顔を横に振り、私を心配してくれたジェイルの手を握る。大丈夫。貴方が居るなら私に怖いものはないよ。もうすぐ地上に降りて、其処から目当ての首都ルシファードに向かうんだけど、到着するまでの時間までなら別に良いよね?

 

「アー?」

 

「え? 別に良いけど」

 

 許可が出たのでジェイルの腕に抱き着いて肩に頭を預ける。本当は正面から抱き締めて欲しいけど、眷属の皆も居るから少し恥ずかしいし我慢しよう、でも、屋敷に帰ったら我慢した分甘えても良いと思う。レライに作って貰った包帯水着なら今より楽に話せるし、アレを着て添い寝しながら沢山好きって伝えよう。

 

 キスしながら抱き締めてくれたら嬉しいな……。

 

 

「おい、お前ら。そろそろ気ぃ引き締めろ。……着くぞ」

 

 モードレッドの声に慌てて姿勢を正す。そう、今から私達はまだ悪魔の駒を貰って居ないアスタロ家次期当主のお付きと言う立場で同行するんだ。大丈夫かな? 

 

「大丈夫大丈夫。二人の変わらない姿見たらあたしの緊張なんか吹き飛んじゃったよ。ブイ!」

 

 歯を見せ、両手でピースサインをする姿からはこれから派閥争いをする年上達の中に入る重圧は消え去っている。この子とは長い付き合いだけど、本当に強い子だと思う。

 

 

「さて、到着だ。出迎えご苦労。私達が降り次第こいつ等は消しておこう」

 

 あっ、一番先に駕籠から飛び出したモモンガさんが魔王ロールになってる。それだけで様子を見に来た悪魔達は怯えて腰を抜かしてるのも居るし、味方じゃないモモンガさんって怖いんだね。初対面の時は私が女で驚いていたけど、予め話を聞いていたから素だったから私は敵対した怖さを知らない。これから先も知らないだろうし、そっちの方が良いな。

 

 

「……ふがっ!? もう到着でござるか?」

 

 さっきまで鼻提灯を膨らませていたハムスケが目を擦る。……うん。予め外からは声が聞こえ辛くしておいて良かった。威圧が台無しだから。

 

 

「……ねぇ、後でハムスケの皮剝いで良い?」

 

「少しだけなら考えておくよ」

 

 冷たい目をハムスケに向けるジェイル達。ハムスケは完全に怯えてる。涙目で身を震わせ、多分このまま腹も見せる。

 

「しょぇええええええっ!? 勘弁でござる。勘弁でござるよぉおおおおおっ!」

 

 後で庇うけど、少しは反省しなきゃ駄目だよ、ハムスケ? その内本当に剝されるかもしれないから。

 

 

 

 

 

「ふぇ~。あたし達が一番乗りだね」

 

 次期当主が集う会場の待機室に入って周囲を見回す姿は好奇心を刺激された子供その物で、見ていて微笑ましい。

 

「間者の類や隠しカメラは無いようだが気を引き締めた方が良いぞ。見落としも有り得る。もしくは堕天使の未知の技術等もな」

 

「うん、そだね。危ない危ない」

 

 何時もの男っぽい服装じゃないから慣れていないのか、彼女は少し乱れた礼服の襟を正し、ゼっちゃんが慣れた手つきで髪の乱れを整えてあげている。取り敢えず直ぐに動けるようにってモードレッドとハムスケだけが立ったままで残りが座った時、他の家の人達も到着した。

 

 ドアの向こうから聞こえてくるのは言い争うような声。乱暴そうな男の人が絡み、女の人が冷徹な口調で言い返してるっぽい。

 

「......既に派閥間の場外戦が始まってるみたいだね。皆、何があっても怒っちゃ駄目だよ」

 

 此処に来る前に何度も言い含められた事だけども、改めて注意するジェイル。下手すれば家同士の政争が激化したり、上層部に対して敬意を払っていないと思われるかららしい。圧迫面接の一種だと思えと言われた時、乱暴にドアが開いた。

 

 

「うおっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

 ドアの向こうで喧嘩してたらしい二人だけど、入って直ぐ目に入る場所に座っているモモンガさんの姿に思わず悲鳴をあげる。絶望のオーラを使っているのかな? あっちが勝手に怯えただけで、こっちは何もしていないから問題は無いよね。

 

 

「......むっ。静かだと思ったら......」

 

 少しして三人目が入ってくると、やっぱりモモンガさんに威圧されて一瞬身を竦ませる。でも、顔見知りだからか悲鳴を上げる程ではなかった。

 

 

 

「久し振りだな、ジェイル。おっと、今日は付き添いで来ているのであって主役は別か。初めましてだな。俺はサイラオーグ・バアルだ」

 

「うん、初めまして。あたしはアウラ・べ......アスタロト。アウラ・アスタロトだよ、サイラオーグさん。確か若手ナンバーワンだっけ?」

 

「じゃあ僕も挨拶を返すよ。久し振り」

 

 一瞬だけ言葉に詰まりそうになりながらもアウラちゃんは名乗る。そっか。もう家を出たんだっけ。元々は配下の軍団の将軍に娘を下賜した事で発生した分家らしいけど、今は本家の者だから......。

 

「いやいや、若手ナンバーワン等と呼んでくれるな。ジェイルにリベンジ出来ていないのだからな」

 

「余興で戦ったのは四年前の話でしょ。頭角を現したのはそれからだし、夢の為にも甘んじて受けておかないと支援者が離れるよ?」

 

 好戦的に笑うサイラオーグさんにジェイルは愛想笑いで誤魔化す。面倒臭いって思った時の反応だ。二人が戦うとしたら成り上がりだから貴族で一番地位が高い大王家に勝利を譲るのがレーティング・ゲームの基本だけど、モードレッドとか負けず嫌いでゼっちゃんはお馬鹿だし、演出が厄介そうだもんね。

 

 チェスに見立てて戦うのが基本ルールのレーティング・ゲームは昇級試験の資格を得るのに最適なアピールの場だけど、貴族同士の戦いだから政治的利害が絡んでくる。ジェイルはプロカパンダの為に存在する公開軍事演習兼プロレスだって言ってた。魅せる戦いをするにも実力が要るし、合理的でない戦い方が力の評価に繋がるのは当然らしい。

 

「まあ非公式で良いからもう一度手合わせして貰いたいところだ」

 

「貴族同士で何かをするのに非公式なんか存在しないよ? 結局、何か政治的影響は出るんだからさ」

 

 サイラオーグさんの願いを適当に受け流しながらジェイルは時計に目を向ける。そろそろ時間みたいで、モモンガさんに怯えて静かだけど他の次期当主も揃っていた。

 

 

 

 実はジェイルはサイラオーグさんは少し嫌いっぽい。四年前も当主から負かしてくれと言われたらしいし、親からも嫌われているって聞く。少し可哀想だけど、私はジェイルの恋人だし将来のお嫁さんだから、ジェイルが敵に回すと決めたら容赦はしない。

 

 ……でも、何で嫌いなんだろう? 純血悪魔だからってだけじゃ無いよね? 他の人とは上手く行ってるし。

 

 

 

 

 

 

「さて、本日はよく集まってくれた。此処に居るのは悪魔の将来を背負う者達だ。今日は君達の話を聞かせて貰おう」

 

 アウラちゃんの背後、未だ居ない眷属の為の席に私達は座り上層部の人達や魔王様達の話を聞く。難しい政治の話だし、モードレッドやジェイル、レライさんやモモンガさんは理解してるっぽいけど残りの私達はチンプンカンプンだ。でも、私は頑張って理解しなきゃ駄目だよね。

 

 話は進み、テロリスト対策に移った時サイラオーグさんの発言が入る。自分達も投入されるのかって。確かに次期当主が戦線に出るのは盛り上がる展開だってパパは言ったけど、同時に不利益の方が大きいとも言ってた。替えが効かないかららしい。

 

 事実、それは否定された。まぁちゃんと実戦経験を積んだ人達の方が良いよね。負けは現政権の支持の低下に繋がるし、そうしたら反乱とか暴動でパニックになっちゃう。

 

 

「しかし彼らは既に裏切り者の捕縛を任されたと聞いております」

 

 あっ、こっちに話題が移った。まぁ私達はパパの課題で色々と任務を熟してるから評価は高いらしい。それに転生悪魔だしね。それは仕方ない。

 

「彼らは前々から実力を示してきた。特に女王はジェームズ・モリアーティ殿の友として力を貸していたが、最低でも魔王クラスを超えると我々は判断している。ならば投入しても問題無いのだ」

 

「......そうですか」

 

 まだ納得行かないって様子のサイラオーグさん。他にも同じ意見の人が居るみたい。

 

 

 

 

 

 

「あたしは少し前までアスタロト家本家とは殆ど関係なかった身ですし、次期当主としての目標なんて軽々しく口にして良いものじゃないと思うんです。だからこれから学んで、領地の事を色々知って決めたいと思います」

 

「うむ。その歳でよく考えている。今後も励みなさい」

 

 話は進み、最後に将来の展望について聞かれたから順番に答えていったけどアウラちゃんの答えはまずまずの反応。ただ、少し気になったんだけど、サイラオーグさんが魔王になりたいって言った時、私達みたいに付き合いが長いから分かる程度にジェイルの表情が動いた。嫌っている理由に関わるのかなぁ?

 

 多分私に話したくない理由が有るんだから話さないのだろうし、無理には聞かないけど、後で思いっ切り甘えてあげようと思った。出来ればこれ以上ジェイルが不愉快な思いをしなかったら良いのに。

 

 

 

 

 

 

「成る程、夢見る少女という訳ですな」

 

「現実をみて行動しなくては駄目ですぞ。次期当主なのですから」

 

 会場に笑い声が......嘲笑が響く。最後に夢を語ったのはソーナさん。貴族だけじゃなくて下級悪魔や転生悪魔も通えるレーティング・ゲームの学校を作りたいらしい。でも、上層部の人達は無理だって否定した。無理だから、変えちゃ駄目な物も有るからって。

 

 本気だと訴えても彼らの反応は変わらない。だからか、我慢出来なかったんだろうね。

 

 

 

「何で笑うんっすか! 夢を語れっていう言われたから会長は語ったのにっ! やってみなきゃ分からないじゃないっすか!」

 

 確か匙だったっけ? 彼は上層部の人達に怒鳴る。あっ、ジェイルの表情がまた動いた。やだなぁ......。




感想お待ちしています


ふと思ったが踏み台転生者って調子に乗ったのび太と同じだよね

うつつ枕でやっていない夏休みの宿題を終わった状態にして、解答が正しいと心配されたら不愉快みになって家に戻る

踏み台転生者  俺は主人公なのにどうしてうまく行かないんだ! 努力してないけどチート持ってるんだぞ!

コンピューターペンシルの力を使い、自分は皆より努力してるって自慢したり

貰ったチートで大暴れ 未熟な主人公を馬鹿にする


まぁ神のミスで特典貰った踏み台と違って、のび太のミスを帳消しにする為にドラえもんという特典を子孫から貰ったんだけど

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