成り上がりの息子と赤龍帝     作:ケツアゴ

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キャラ設定 3

ハムスケ  騎士

オーバーロードより

此処ではレライによって作り出されたキメラ 何故か教会に関わった人や天使堕天使から偉大な神獣あつかいされる。空気読めないマスコットで、レライによって改造されることがある。モモンガの魔法を解析したレライの改造でユグドラシルの魔法が使える

当然メスである 雄の名前の理由は不明

魔法  全種族魅了 盲目化 獅子ごとき心  透明化する魔法?


過去と思い出

 白い砂浜、照り付ける太陽、寄せては返す波の音、まさに絶好の海水浴日和。母さんの従妹に招待された孤島の別荘にやって来た僕と眷属達は夏季休暇をエンジョイしていた。テロリストやらイッセーの神器に関わる面倒事やらは忘れて、今は夏を楽しもう!

 

 

 

「まぁ、僕は任された領地の仕事が有るんだけどね」

 

「若様、どうかなさいましたか?」

 

「いや、只の現実逃避」

 

 貴族たる者私事で政務を疎かにして良い筈が無く、性急に終わらせるべき仕事を終えるまで僕のサマーバケーションはお預け状態。父さんの眷属で僕の政務を補助してくれるセバスチャンの怪訝そうな声に返事をしながら窓の外を見る。

 

「そーれっ!」

 

「きゃっ!?」

 

「もー! 負けないわよ」

 

 当然貴族の僕や眷属の身の回りの仕事をすべくメイド達も付いて来ている。別荘の主の使用人だと気を使うからという配慮らしい。元々の管理人には夏季休暇を出し、こうして使わして貰って居るんだけど……僕が室内で政務に取り組んでいる間、ローテーションで休憩時間を取った彼女達は遊んでいた。

 

 ビーチバレーを楽しむ彼女達の格好は当然水着で、凄く揺れたり揺れる程無かったり様々だ。幼い頃から知っているし、特に何とも思わないけれどさ。……うん、思わないよ?

 

 約一名夜食やら甘い物を控えた方がとも思ってないし、寒気を感じたけど気のせいだよね!

 

 

「よしっ! 終わったっ!!」

 

 僕も遊ぶ為に少しスケジュールを詰めて仕事に取り組んだから忙しかったけれど、何とか最後の書類にハンコを押して終わらせる。農地拡大の為の土木工事の予算は適切みたいだし、最後の最後で何も無くて良かったよ。

 

「お疲れ様です、若様。では、続いてお勉強と参りましょう。少し急げば本日の午後からは遊べますね」

 

「……うん、頑張る」

 

 セバスチャンは容赦がない。其れを改めて確認しながら見上げた空は何所までも澄み切っていた……。

 

 

 

 

 

 

「いぃぃぃやっふぅううううううっ!!」

 

 聞こえて来た声に視線を向ければ遠くでモードレッドちゃんがサーフィンをしている。魚が逃げないか心配だけど、既に大物の魚拓は取ったし、所詮は趣味だから別に良いかと思い直す。

 

「俺もサーフィン始めてみるかな。でも、バランス感覚と身体能力は別だし難しそうだよな」

 

 前の世界では劣悪な環境下で生きるのに精一杯で、スポーツなんか環境が整えられた都市に住む金持ち用の娯楽だったし、趣味といえばゲームしか無かった。でも、こっちで始めてみた趣味はどれもこれも楽しくて、行う事自体に意味が有る。

 

「ジェットバイクとか面白そうだよな」

 

 今は時間も金も遊ぶのに適した環境もあるし、青春を取り戻すって目的でも色々挑戦しないとな。青春といえばナザリックの事を思い出す。だけど、もう共にナザリックを作り上げた仲間の声がロクに思い出せないんだ。人に関する記憶は声から失うって聞いた事が有るけど本当なんだな。

 

 

 

「やあ、モモンガさん。隣良い?」

 

「あっ、レライちゃん。どうぞどうぞ」

 

 思わずしんみりしていると釣竿を担いだレライちゃんが隣に座る。彼女も最近釣りに嵌ったらしいけど、色々研究して竿や餌にも工夫を凝らしているんだから負けないぞ。

 

 

 

 

 

「爆釣爆釣! やっぱり新開発の餌が良かったようね」

 

 はい、負けました。俺の完敗です。分かってたけどね! でも、こうやってのんびりするのって最高だよな。もうあの頃には戻れないけど、帰って来ない仲間の帰りを待ち続けるのに少し疲れていたと、今になって思い返せば思う。そもそも俺がナザリックを大切に思ってたのは黄金時代というべき仲間との日々の思い出が詰まっていたからなんだ。

 

 だから今は沢山の事に挑戦して、幸せな思い出、楽しい思い出を沢山作っておこう。殺されない限り生き続ける(既に死体だけど)アンデッドになった俺が何時か必ず体験する、大切な人達との永遠の別れという運命に心が押し潰されないように……。

 

 

「あれ? レライちゃんが居ない?」

 

 ふと横を見れば釣竿と魚を入れるクーラーボックスを残してレライちゃんの姿が見えなくなっている。キョロキョロと周囲を見渡す俺の背筋に冷たい物が走ったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 聞こえて来る足音、荒い鼻息、そして飢えた獣の執念が籠った声。まさかこれを察知して逃げたのかっ!? 一言言ってくれたって......。

 

 

「モモンガさまぁぁぁぁん!!」

 

 この体は骨だけの見た目と違って力もそれなりに有る。だが、今俺を組み伏せている彼女の細腕は俺を押さえつけて抵抗を許さない。

 

「くんかくんか。えへへ~、これがモモンガ様の香り。何と香しいのでしょうか」

 

 残念だよ! この人、残念美人過ぎるよ! そもそも俺は老廃物出さないから体臭もないし、アロマキャンドル作りも最近はしてないから臭いが付くはず無いんですけど!?

 

 

 俺に密着して臭いを嗅ぎ続ける彼女をどう説得しようか迷うけど、多分聞く耳を持たない。初対面でこんな感じだったけど、一目惚れってもっとこうさぁ!

 

 

 

 

「はいはーい! 落ち着こうねー」

 

「きゃん!?」

 

「ったく、トイレからに急に転移したと思えば。ほら、まだ仕事は山積みですよー」

 

「そんな!? 久し振りにモモンガ様にお会いしたのだし、後十分......モ、モモンガさまぁぁあああああっ!!」

 

 どうやら救いの手は差し伸べられる物のようだ。俺を組み伏せていた彼女の秘書がスッと来てドスって感じに後頭部に膝蹴りを食らわせて引き剥がすと襟首を掴んで連れて行き、俺は手を振って見送る。お仕事ご苦労様でしたぁ!!

 

 

「さてと......」

 

 再び釣りをしようと針に餌を付けながら、ふと浜辺に目を向ける。砂山の両側からトンネルを作っていたアーシアちゃんと一誠君が真ん中あたりで手が触れ合ったらしく見つめ合って固まっている。......爆発しろ! アーシアちゃんは一応俺の養女だし、付き合いには節度を持つように言わせて貰うからね!?

 

 

 

 

 

 

「此処で待ち合わせって言ってたけど......」

 

 昼食後、()()()()()()思いっきり遊べると楽しみにしていたんだけど、もっと楽しみだったのは海で戯れるフランの写真を撮ること。休憩時間中のメイドに頼んでいたけど、自分で拘ったアングルとか撮りたいし、僕にだけ見せてくれる表情も有るしね!

 

 だけどフランが僕を呼びだしたのは別荘の裏手。こっちにも砂浜はあるし十分遊べるんだけど、向こうの方が用意していた道具類とか近いし、わざわざ皆が居ない場所に呼び出すとか......ちょっと期待しちゃうよね。

 

 当然、聞きつけたメイド達が尾行しようとしたので”ボーナス査定”と呟いたら大人しくなったけどどうしてだろう?

 

(来た......)

 

 背後から忍び寄る足音に耳を澄ませ、目隠しと舵機付きのどっちにも対応出来るように身構える。あの喋りにくそうな話し方で悪戯が成功したと喜ぶ姿も可愛いんだよね。やっぱりフランは最高だよ。

 

 

 

 

「だーれだ?」

 

「......え? フラン?」

 

「せいかーい! すごいすごい

 

 背後から抱きつきながら目隠しをした犯人の声に一瞬戸惑いながらも、彼女の声を聞き間違えるはずがないので直ぐに言い当てる。手が外されたので振り向くと確かに其処にいたのはフランだ。悪戯が成功したと思って喜んでいる姿は即座に抱きしめたいほど愛くるしい。でも、今重要なのは別の所だ。

 

 

 

 

「その水着?、似合ってるね」

 

「あついから、これでいいかなーっておもったの」

 

 殆ど包帯を巻いただけ、其れも巻き方が少し雑だから所々肌が見えている。凄く眩しくって素敵な姿だった。似合うと誉められて嬉しそうに微笑む姿なんか芸術と言って差し支えない。ちゃんと喋れている事? レライが何かしたんでしょ。グッジョブ! ボーナスは期待して良いよ!!

 

 

 

 

 

 

「そっか、やっぱりレライのお陰なんだね」

 

「うん! このみずぎが私のかんがえをよみとって、剣がじゅしんしてじどうてきに声をだしてくれるの。でも、かわりに少しだるーい! でも、ジェイルとたくさんはなせて嬉しーい」

 

 砂浜に座り、暑いから涼しくして欲しいと頼まれたので魔力で冷気を作り出す。これで僕に抱きついていられると嬉しそうに笑うフランの姿は当然写真に収め、今はギュッと抱きついているフランの頭を撫でてあげている。幸せってこんなのを言うんだろうね。

 

 

 

「......ねぇ、ジェイル。きす、して?」

 

「......うん」

 

 胸の高鳴りを感じつつ言われるがままキスをする。ただ、今日だけは少し勇気を出してフランを引き寄せて寝転がりながらのキスだ。一瞬驚いた目をした彼女も直ぐに僕の首に手を回して体を密着させる。暫くの間、僕達は砂浜で抱き合いながら寝転がってキスを続けていた。

 

 

 

 

 

「すき、あいしてる」

 

「僕も君が好きで、愛しているよ、フラン」

 

 最近大変だったけど、今日は最高の思い出が出来た。好きな人と一緒に居られるって本当に幸せだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暑いでござるー。暑いでごーざーるよー」

 

 毛皮のハムスケは少し大変みたいだったけどね! 冷房の効いた部屋で居ればいいのに皆と遊びたいからって無理に外に出て大変だったみたい。モードレッドがサーフィンを教えるとか言っていたけどどうなったんだろう?

 

 




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