あっ、ドロップだけで7枚になりました 今回緩いな ジョイント落ちなかったのに
メダルは渋いし礼装無いからドロップ目当てに回すか 目標の32箱開けたら
最初にライザー様から話を聞いた時、酔っぱらった貴族がする与太話に更に尾鰭が付いて大きくなっただけ、そう思っていました。
「……ちっ。俺としては女王の登場を期待してたんだけどな。最低でも魔王クラスだぞ、あの骨」
ライザー様に肩をお貸ししながら私はジェイル・モリアーティと隣に立つ全新鎧の眷属を見詰める。私が聞いた噂、それは彼らが純血の若手悪魔どころか中堅のプレイヤーさえ超えた実力者だという事。確かにベルゼブブ様の眷属であるジェームズ・モリアーティは異例の速度で昇進しましたが、流石にそれは何かの間違いだと私だけでなく他の眷属も笑ったものです。
ですが、実際に彼らが戦う際の映像を観たライザー様の態度で其れが間違いだと思いました。多少女性にだらしがない主ですが、この方は己の目で見て確かめたならば相手を過小評価も過剰評価もなさいません。そう。少なくても噂に値する力はある、そういう事なのでしょう。
「おい、ジェイル。何時もの頼む。ついでに周りの雑魚がうっせぇから始末しろ」
「はいはい。……TPO位は弁えてよね」
「へいへい、善処してやるよ。んじゃ、行くぜぇええええええっ!!」
モードレッドが輝く剣の切っ先をコカビエルに向けると水色の蝶が足の先に止まり、宙に氷の道を作り出す。猛烈な勢いで氷の道を駆ける傍から前方にコカビエルへ向かって氷の道は出来続けました。
「……成程。飛ぶ事が出来たとしても、踏み込みが出来ねば剣士の力は発揮できん」
コカビエルはそれを見て待ち構え、手を前方に突き出す。眩い光が手の平から放たれたかと思うと瞬時に収縮し、先程までの物よりも強い力を感じる光の剣が現れました。
「三合……いや、二合か」
「でやっ!」
大上段に振り下ろされた剣を受け止めたコカビエルの翼がモードレッドを切り裂こうと迫るもバックステップで僅か前方の空を切るに留まり、今度は下からの切上げを光の剣で防ぐと音を立てて砕け散る。ですが、コカビエルの口が僅かに笑みを浮かべました。
「ちっ!」
瞬時に赤い雷の魔力を全身から発するモードレッド目掛け、光の破片が襲い掛かる。殆どは雷で弾き飛ばされましたが、鎧を貫いて右肩と左の脇腹に僅かに突き刺さり消えました。鎧のお陰で深くは突き刺さってはいないようですが、それでも悪魔の弱点である光を受けたのですからダメージは無視出来ない筈。
始まってから十秒にも満たない攻防を見て私が其処まで思った時、不意に生臭さを感じ振り返ると背後に立つケルベロスが目に入る。戦闘では目を閉じた者から死んでいくと教わった私が咄嗟に爆炎の魔力を放とうとした瞬間、宙から無数の黒い柱が伸びてきて全ての魔獣を押し潰しました。
「いえ、アレは魔法?」
「正解。僕の重力魔法さ」
黒い柱の正体は光さえ通さないほどの強力な重力。魔獣だけを効果範囲に収め動きを抑え込む。体が頑丈でない種族は増大した自重で内臓や骨が潰れて息絶え、頑丈な個体は何とか立ち上がろうとするも、起き上がりかける度に再び地面に抑え込まれる。
「はい、お終い」
彼の手の平から放たれた赤い蝶の姿をした魔力。一匹一匹に使われている量は私が通常攻撃に使う半分程。私の一撃はそこそこの痛手にしかなりませんでしたが、動けない魔獣の近距離で蝶に内包された炎の魔力が解放され他瞬間、火柱が巨体を飲み込み骨まで焼き尽くしました。
「……見たかよ、ユーベルーナ。ありゃ徹底的に低燃費を突き詰めてやがるんだ。所有魔力の総量は俺達純血の半分程度な癖に、同じだけ使っても威力は段違いだ。三倍四倍ってレベルじぇねぇぞ」
あれだけ居た魔獣は彼らが現れた一分も経たずに全滅し、残るはコカビエルだけ。ですが彼は己の眷属の戦いを見ているだけで動こうともしません。唯氷の道を作り続けるだけです。
「助太刀はしないのですか?」
「必要無いからね。助っ人ならもう向かったしさ」
彼が指差した先、其処には氷の道がもう一つ出現し、それを駆け上がるアーサーの姿が私の視界に入って来た。
ああ、成程。確かにこれ以上の戦力は必要ないか。
「おりゃおりゃおりゃおりゃっ!!」
赤雷を放ちながら一気に攻める。さっきみてぇに光の剣の破片やら翼で鎧ごと切り裂いてきやがるが知った事か。この程度、父上の剣に比べれば児戯に等しいと無視し俺は更に剣速を上げていく。後方に跳んで深く膝を落とし、バネを使って一気に接近するとクラレントを投げ付けた。
「ぬっ!」
顔面に迫る剣を咄嗟に剣の腹で防ごうとするが、それに激突する前に俺の手がクラレントの柄を掴み、再び膝を曲げた姿勢で着地して起き上がると同時に切り上げる。鮮血が舞い、コカビエルの左手が飛んだ。
「…くは、くはははははははっ! これだ! この血沸き肉躍る戦いこそ俺の望んだ事! もっとだっ! もっと俺を楽しませろっ!!」
「はんっ! 良い度胸……だっ?」
前方から迫った翼を迎撃しようとした俺の足が僅かに縺れる。ちっ! 光を受け過ぎたか。流石は最上級だけあって近くで浴びるだけでも光のダメージが蓄積するのかよ。眼前に迫る翼に対し、俺はダメージ覚悟で突っ込む。だが横合いから放たれた聖なるオーラが翼を消し飛ばし、クラレントはコカビエルの腹を貫いた。
「おい、こら、アーサァアアアアアッ! 俺の獲物に手を出すんじゃねぇえええっ!!」
クラレントを引き抜き、氷の道に立つアーサーに切っ先を向ける。横目でジェイルを睨めば吹けない口笛を吹く真似をしながら顔を逸らしやがった。
「いえ、そう言われても。……貴女はモードレッドですね?」
「ああ、俺様がモードレッドだ」
「……そうですか」
俺の返答に落ち込んだ様子のアーサー。あれは諦めた顔だ。ちっ! 此奴は昔から分かったような顔しやがって。今も変わっちゃいねぇ。
「モードレッド、コカビエルがっ!」
ハッとしてコカビエルの方を向けばすげぇ勢いで結界へと向かっていく。腹の傷から内臓がはみ出しそうで血がトバトバ流れてやがるのに半分ほどの長さになった翼で飛ぶ彼奴は笑っていた。
「愉快愉快! 戦争を楽しめないのは残念だが、外でセラフォルーの妹を殺せば俺が死んでも起こるだろうよっ!!」
ガラスが割れるような音と共に結界は呆気なく砕け散る。糞っ! いい加減な仕事しやがって、全然効果ないじぇねぇか!
「……だがまぁ、もう終わりだな」
俺はクレラントを鞘に納めると地上に降り、取り合えずジェイルに拳骨を落とした。来た時とかに落とすって決めていたからな。
「痛っ!」
「余計な事しやがって。俺だけでも勝てたんだよ」
「ちょっとっ! 早く止めないとソーナが……」
リアス・グレモリーの叫びは途中で止まり、その顔は恐怖に固まる。結界を突破したコカビエル、その眼前にはモモンガのオッサンが居たからだ。
「避難を済ませて様子を見に来たが……悪いな、美味しい所は貰うぞ。『
その異様な姿にコカビエルが固まる中、骨だけの手の平に出現した心臓がグシャリと握り潰されると同時に、奴の体は糸の切れた人形の様に力無く落下した。
ドンッ! と土煙を上げながら地面に激突したコカビエル。ピクリとも動かないその姿に確かめるまでもなく既に死んでいると誰もが察する。あの力を知っている俺達でさえ背中に冷たい物が走った。
誰しも言葉を失う中、モモンガのオッサンは何事も無かったかのように俺達の傍に降り立った。
「……奴の死体だが貰っても構わんと思うか?」
「いや、流石に拙いだろ。一応幹部だし、堕天使って上層部は戦友の集まりだろ、確か」
「そうか、レア物だと思ったんだがな……おや?」
ガクリと肩を落としたモモンガのオッサンが顔を上げると白い鎧に身を包んだ奴が降りて来てコカビエルの死体の傍に降り立った。
「おっと、そう構えなくても良い。俺はヴァーリ。アザゼルの頼みで此奴を止めに来たんだが遅かったようだ」
「援軍だったが形勢が悪いと見て虚言を吐いていないという保証は無いのではないかね? だがまぁ、此処は私達の縄張りではない。……どうするね?」
「わ、私? ……そうね。ここで戦えば町に被害が出るかもしれないし、大人しく帰るのなら見逃すわ」
急に話を振られたからか動揺しているが、ヴァーリはモモンガのオッサンを中心に俺とジェイル、そしてアーサーにしか興味が無さそうな様子だ。
「どうせなら俺のライバルとも会ってみたかったけど日を改めるか。……面白そうなのも見付けたしね」
ヴァーリはそのままコカビエルとフリードを担ぎ上げて飛び去って行く。どうせなら戦ってみたかったよな。
「じゃあ、リアスさん。僕達はあくまで助っ人だから後始末は宜しくね」
あっ、そうか。今回手柄は貰ったけど、事後処理は全部此奴らの仕事なんだよな。プライドが無駄に高いから手柄奪うとか出来ねぇし、モモンガのオッサンなら証拠は撮ってるだろうから大丈夫だろうしさ。
「おっしっ! 焼肉でも食おうぜ。腹減っちまったよ」
「モードレッドっ!」
帰ろうとした時、背後から声が掛けられるけど俺は無視して歩いていく。
「私もルフェイも貴女を家族だと思っています。それだけは知っていて下さい」
再び掛けられた声を聴いて少しだけ足を速める。……ちっ。暫く兜脱げねぇな。今の顔、情けなくて見せられねぇよ。
それから二日後の事、屋敷で寛いでいた俺の耳に騒がしい声が入る。何だと思って顔を向けてみれば勉強部屋から出て来たジェイルが慌てて何処かに行こうとしていたので捕まえた。なんか逃がさない方が面白そうだからな。
「どうしたよ?」
「母さんが帰って来た……」
感想待っています
婦長が黒のバーサーカーだったらどうなるだろう? 活動報告でも書いたけどさ
セミ様の天敵ではあるよね 攻撃性と毒性の排除空間って こっちも攻撃できないけど