成り上がりの息子と赤龍帝     作:ケツアゴ

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ネロ祭りボックス未だ7 一回目なんて最後の五個に混じってた

ガチャは・・・・・・もう引かない イベント礼装は来なかった


今の彼女と聖剣の名

 どうして危ない場所で苦しい生活をしてまで人を助けるの? そう尋ねた私の頭を撫でながらパパは言った。

 

「パパとママはお医者さんだから、必要としている人達の助けになりたいんだ。ヴァイオレットは優しい子だから分かるね?」

 

 善意を食い物にされていると、他人に為に私が犠牲になっていると思ったけど、口にしたら二人が悲しむので分かったと嘘を付いた。

 

「昨日が苦しくて今日がもっと苦しくても、何時か幸せは訪れる。神様はきっと救いの手を差し伸べてくれるよ。明日はヴァイオレットの誕生日だから三人で祝おう」

 

 神様が救ってくれるというのなら、長年続く戦争も、その後の貧困からの悲劇もどうして救ってくれないのかと、神様なんて居ないのだと思った。そして、三人一緒で私の誕生日を祝うはずの明日なんて来なかった・・・・・・。

 

 

「・・・・・・トイレ」

 

 神を信じていない私にとってカビ臭いボロボロの教会は嫌いな場所で、この日私はパパ達に嘘を付いてお祈りが始まる直前に抜け出した。町の中は孤児や戦争で家を失った人で溢れていて二人が居る教会から離れるのは怖かったけど、この日は偶々野良犬に追い掛けられて教会から離れた。そして、教会に爆弾が落とされて・・・・・・。

 

 

 

 

「どうしたっすか? お腹が減っているなら食べ物が・・・・・・少しなら有るっすよ。本当に少ないっすけど」

 

「期待しないでついて来て。この人、馬鹿だけど悪い人じゃないから」

 

「馬鹿とはなんっすか、エーデル!?」

 

 パパとママは私財を擲ってまで内戦が続く国の貧民街で人を助け続け、その両親が死んだら幼い私は家を奪われて一人さまよっていた。人を助け、神を信じた結果がこの始末。空腹と寒さで歩く気力を無くしていた時、私を救ってくれたのは同じ孤児だった。

 

 他の孤児の様なこの世の全てを恨んだような憎悪ではなくて、太陽のような笑顔を浮かべたあの人に私は救われたんだ。

 

 

 

 

「皆、私の家族で、家族は多い方が楽しいっすよ」

 

 自分一人の面倒も見れない子が多い中、あの人は・・・・・・ゼスティ姉さんは次々に孤児を拾い、家族は増えたり減ったりを繰り返しながら力を合わせて生きた。酔っ払いの店主に殴られながら働き、動物の腐りかけの死骸を皆で分け、折角育てた作物を全部横取りされる事もあったけど、私を含む子供達は何時しか笑えるようになっていた。

 

 

 神様は助けてくれないけど、私達は助け合って生きていける。そんな希望を抱いていたある日、私達は化け物に襲われた。

 

「こんな場所にまで教会の奴らは来ない。餓鬼が食い放題だ」

 

「私の家族に何かしたら許さないっす! あぐっ!?」

 

 顔には巨大な目玉が一個有ってお腹に牙の生えた大口が有るデッカい化け物。必死に逃げて追い込まれた時、ゼスティ姉さんが立ち向かい、鋭利な爪で切り裂かれて倒れた姉さんを庇って最初に拾われたエーデル姉さんが殺された。

 

 

「ヒッヒッヒッ! 直ぐに全部食べてあの世で会わせて・・・・・・」

 

 目の前でエーデル姉さんが死んだ事で固まってしまった私達を舌なめずりしながら化け物が見回し、転がったゼスティ姉さんにトドメを刺そうと鋭利な爪が生えた腕を振り上げる。その化け物の肩に水色の蝶が止まり、一瞬で氷漬けにした。

 

 

「もう大丈夫・・・・・・だなんて厚顔無恥な事は言わない。此奴のようなのが居るのは僕達の責任だから」

 

 氷漬けになった化け物の背後から現れたのはこんな地獄のような街に似合わない小綺麗な男の子。多分ゼスティ姉さんよりも少しだけ年上のその子はゼスティ姉さんに近付いて屈み込んで傷口を見る。もう手遅れだと、パパ達の仕事を見ていた私には分かった。

 

「・・・・・・遅れた身で何をと顔に唾を吐きかけても構わない。ただ、これは約束する。人を辞めて僕の為に生きるのなら君の命とあの子達の今後を引き受けるって」

 

 今でも覚えている。直ぐに手を取ったゼスティ姉さんの姿と、手を差し伸べた時のジェイルさんの今にも泣き出しそうな顔は、きっと何時までも忘れないだろう・・・・・・。

 

 

 

 

 

「ほら、起きなよゼスティ姉さん! 今日は球技大会の朝練が有るんでしょ!!」

 

「わわっ!? 寝坊っす!!」

 

 慌てて飛び起きた姉さんに着替えを投げ渡し、顔を洗っている間に全員の朝ご飯の準備をする。今では年長の子が手伝ってくれるし、アーシアさんも料理の基礎は覚えたがら楽になった。

 

「・・・・・・ちょっと姉さん。鞄から出てきたこれは何かしら?」

 

「げっ!? そ、それは・・・・・・」

 

 鞄の中身が散らかっていたので整理していたらテスト用紙を発見。数学で点数は35点。思わず頭が痛くなる。悪魔の力を抜きにしてもスポーツ万能な姉さんだけど勉強の方はからっきし。しかも隠し方も下手。教科書に折り畳んで挟むってバレバレじゃない。

 

 

「隠すなんて他の子の教育に悪いでしょ! 来月のお小遣い減額!!」

 

「そんなー! あんまりっすよぉ!」

 

 養われの身ではあるけれど、家計簿を任された身としてはキッチリさせて貰うわよ、姉さん。だって、ちゃんと生きないと生きられなかった家族に悪いじゃないの。

 

 明るく正しく人生を謳歌する。それが私、ヴァイオレットの目標よ!

 

 

 

「・・・・・・もしかして『聖女』アーシアか?」

 

「まさか日本に居るなんて驚きね」

 

 それは球技大会の後日、最近になって漸く最低限の文字を覚えて学校に通い出したアーシアさんと一緒に帰る途中、妙な格好の二人組と出会った。フード付きのローブの下から覗くのは水着の様な服。

 

 それが記憶にある教会の悪魔祓いの姿だと聞いてはいたけど、まさか本当とは思わなかった。いや、教会の人間よね? アーシアさんの事を知っている様だし。

 

 私は横目でアーシアさんを見る。不安とかショックを感じているかと思ったんだけど、どうも杞憂だったみたい。毅然とした態度で二人を真っ直ぐ見ていたわ 

 

 

「いえ、私は『只の』アーシア・アルジェントです。聖女でも魔女でもなく、何処にでも居る普通の学生です」

 

「・・・・・・ふん、まあ良いさ。追放された君などに興味もない。悪魔になった訳でも無いしな。ただ、私達の敵に回るのなら斬る、それだけだ」

 

 栗毛と青髪の内、青髪の方が剣を見せながらそう言ったので私は鞄に付けていた防犯ブザーの紐を引っ張った。最近、斬殺死体が発見されたからって配られたブザーはけたたましく鳴り響く。

 

 

「なんだ!?」

 

「いいから逃げるわよ!」

 

 いい気味だと慌てて去っていく二人を見ながら笑ってしまう。もうアーシアさんは私の身内だ。なら、傷付けようとする奴は私の敵だ。

 

 

「・・・・・・大丈夫だった?」

 

「はい、大丈夫です。・・・・・・あの方々は少し前の私と同じで、綺麗な物と自分が綺麗だと思える物しか見ていないだけですから」

 

 一応訊いたけど、やっぱり杞憂だったみたい。アーシアさんは何時もの笑顔を浮かべていた・・・・・・。

 

 

 

「それでブザーの音を聴いて誰か来るけど・・・・・・」

 

「逃げましょう! 悪戯と思われたら怒られちゃいます!」

 

 

 

 

 

 

 最近、幸せが毎日訪れる。今までもおはようのキスをしにフランが朝早くから来ていたんだけど、此処数日は同じベッドで朝を迎えているんだ。まぁ、エッチな事はまだなんだけどね。朝起きると何時の間にかフランが潜り込んで居るんだ。僕の手を握って幸せそうに眠る彼女を見たら欲望のために起こす気なんか消え去ったよ。

 

「朝だよ、起きて」

 

「ウー?」

 

 フランは少し寝起きが悪い。耳元で優しく声を掛け、揺り動かし続けて漸く目を開けてもしばらくは頭が働かずに寝ぼけ眼でボーっとしている。目を擦り、漸く覚醒するまで待っていると僕を認識し途端に笑顔になる。ついつい見惚れてしまうその笑顔に僕は動きを止め……。

 

 

「ウ……」

 

 二人の唇が重なる。これが此処最近の朝の日課だ。最高だよね!

 

 

 

 

「それで侵入した堕天使はどうなさるのですか?」

 

 朝のコーヒーを煎れながらメイドに投げ掛けられた質問に嫌な事を思い出しながら答える。

 

「あれね。上の方々の協議の結果待ちかな? ……何時まで掛かるのやら」

 

 モモンガさんの能力で創造したアンデッドを使って街に異変がないか見張っているけれど、此処最近街外れの森の中の廃屋に堕天使が入り込んでいる、それも前回のような三下じゃなくって最上級クラス。

 

 ベルゼブブ様には報告してるけれどリアスさんにはしていない。他派閥の縄張りを見張るとか越権行為とか領地侵犯とか問題になるんだ、これが。だから黙秘。

 

 ベルゼブブ派のお偉いさんの意見は『暫し洗う』だそうだ。何か起きて任命責任でも追及する材料を期待しているんだよ。その際に出る犠牲も政争の道具って訳って事。

 

 侵入した堕天使の名はコカビエル。教会からエクスカリバーを強奪しこの街に入り込んだって情報は既に掴んでいるし、奪還任務を受けた二人がアーシアとヴァイオレットと昨日会っているしね。片方は情報によると聖剣を使ってライザーさんの騎士の一人と戦った事が有るとか。

 

「……教会は馬鹿なのですね。その様な雑魚、死ぬでしょうに」

 

「政治の難しさだよ。ほら、此処は魔王の身内の縄張りなんだよ?」

 

 吐き捨てるように呟いたメイドはよく分かっていないのか首を傾げている。仕方ないから説明してあげようか。

 

「何が目的か断定は出来ないけれど、戦争反対派のアザゼルの指示の可能性は薄いから仮にこれがコカビエルの独断だとしよう。まず、天界側は悪魔側への刺激が有るからと最初から最大戦力クラスを送れない。死ぬか任務失敗で帰還した後、それを口実に確実に倒せるのを送る。悪魔も双方を刺激しない為に戦力を置いておけないし、堕天使も援軍の誤解を招くから追手は無理」

 

 実際、リアスさんは教会側の要求通りに今回の件の不干渉を約束した。彼女一人が勝手にとかの言い訳は通用しないからシトリー家もモリアーティ家も手が出せない。せめて少しは相談して欲しかったよな。別に配下じゃないんだし。

 

「成る程。お手間をおかけして申し訳ございません、若様」

 

 納得したらしく深々と頭を下げられるけれど、状況とか情報次第で幾らでも穴が空くから少しむず痒いよね。

 

 

 

「しかしエクスカリバーですか。・・・・・・モードレッド様が暴走しませんか?」

 

「・・・・・・え? 何で? ・・・・・・ああ、君は知らないのか」

 

「知らない、とは? エクスカリバーはかの騎士王アーサー・ペンドラゴンの剣であり、モードレッド様はかのモードレッド卿の生まれ変わりですし・・・・・・」

 

 そう、その認識は間違っていない。でも、其処まで知っているなら結末との矛盾に気付くはずだと指摘すると思い当たったみたいだ。

 

 

「エクスカリバーは最後には湖の乙女に返却された筈。ならば何故現存して・・・・・・偽物?」

 

「いや、偽物ではないし、確かにブリテンに存在した聖剣だ。ただしアーサー王の使った聖剣じゃないってだけさ」

 

 だからこそモードレッドは今回の事を嘲笑って静観するつもりだそうだけど・・・・・・その理由が別の厄介事を招きそうなんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、アーシアの武器が完成したわ。名付けて『鉄拳聖裁』ね。届ける序でに街でも散策しましょう」




ネロブラ2枚目がきたし10連で止めておこう

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ホームズ何度も倒してたら礼装三枚ゲットしていた 交換しなくて良いや 今回メダル渋いし

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