成り上がりの息子と赤龍帝     作:ケツアゴ

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モモンガさんはNPCが居ないので魔王ロールは身内以外の前の時だけです、ご了承ください。

ナザリックあってこそのオーバーロードですし私もナザリックの面々が好きですが・・。


閑話 悪のカリスマの優雅な休日

 魔王眷属である私は基本忙しく、ほとんど屋敷に帰れない。だから領地経営に関する仕事は優秀な補佐官達に手伝って貰いながら仕事先でやっているのだが、流石に心身共に堪えるね、まったく。

 

 大体、悪魔の評価の基準が戦闘力中心なのが良くないのだヨ! 流石に上級への昇格には領地を任せるに値する能力も必須だけど、戦闘能力に比重を置いた眷属の編成をしている者が多いせいで書類仕事が出来る者の負担が大きくなる。

 

 私のようにね!

 

 

「ふむ。所で新人の顔合わせがあったようだが……どうだったかね?」

 

「新人悪魔というよりは生徒会の新メンバーとして来ている感覚に思えたよ。じゃなきゃ貴族の部下として集まっているのに喧嘩を売るような真似はしない」

 

 今日は珍しく息子と二人で食事をしながら会話を楽しむ。フラン君が居ないのは至極残念だが、貴族としての彼を見なくてはならないから仕方ないネ。

 

 普段はお茶らけているメイド達もこんな時は壁際に立って微動だにせず表情も動かさない。締める時は締めて気を抜いて良い時は抜く。仕事を楽しむコツだよ。何事も娯楽が必要だからね。

 

「確かその少年は数年前から目を付けて生活の支援まで行っていたはずだが、将来に備えての教育はしていないようだな。まあ、今は注目するに値せずといった所か。一誠君には挑発に乗って喧嘩を買わないように言い含めておきたまえ」

 

 社交界の場でも相手を挑発して都合良く動かそうとする者が居るからね。……自らの欲望のまま動く者と同じく悪としては二流三流だ。欲を満たすにしても、誰かを動かすにしても、自らが関与している事を悟られないのが一流の悪だというのに。

 

(その点、まだまだ甘いね、息子よ)

 

 其れなりに教育は施し、能力だけなら及第点を付けても良いのだが、我が息子は甘い所がある。見捨てるべき相手を救える方法と救うメリットが有るのなら、それを口実に救おうとしたりと甘さがブレーキとなってしまうようでは悪として落第だ。

 

 アーシア君だったか? 首輪が付いたとは言えディオドラ君が狙っている事だし、神器のメリットを加味しても教会関係者とのトラブルも起きそうな彼女を救ったのはいただけないが……痛手を負うのも勉強だ。頑張り給え、未熟者。君の成長を私は楽しみにしているヨ。

 

 

 

「所で先日の本の事でフラン君に怒られたそうだネ。ははははは!」

 

「ええ、お陰様で。あれが切っ掛けで更に距離が縮まったから良いけど……」

 

「其れは結構。時に不満を口にするのも人間関係に必須だ。溜めるばかりでは心が保たない」

 

 其の事については私も聞き及んでいる。普段は手を繋いで歩くかカルガモの親の子の様に後ろをピッタリついて歩く彼女だが、その時の距離が狭まったとか。留学なので日本で暮らしている彼が勉強の為に屋敷で寝泊まりする休日はお早うのキスをするようになったとも聞く。

 

 

 二人は気付かれていないと思っているようなのが実に愉快だ! まだまだ甘いよ。

 

 

「所で母さんだけど……また帰宅が遅れるってさ」

 

「……またか」

 

 我が妻は商人の家の出だ。それも冥界でもトップクラスの大商人な上に上の兄弟が死んだからと全権を掌握し日夜忙しく走り回っている。だから屋敷に帰ってくる事は滅多に無いし、私と休みが重なる機会はもっとない。少し寂しいとは思うな。

 

 

 

 

 

 

「おや、久しぶりだね、友よ。息子が何時も世話になっている」

 

 食事後、屋敷の中庭でモモンガと出会う。庭師に何やら相談していたが、私の姿を見るなり話を切り上げた。

 

「いやいや、ジェイル君はしっかりしているし、俺は世話なんか焼いてないですよ」

 

「いや、君のような強者が眷属というだけであの子の評価も上がるし、向上心に繋がるからネ」

 

 見た目とは裏腹に小市民的な性格の()()との会話も忘れない。彼には色々と世話になっているからね。

 

 思えば彼との付き合いも長い。まだ未熟で愚かな頃の私は僅かな時間で彼がどんな人物かは理解したが、一般人のような彼の中身では身の丈に合わない驚異的な力には今でも驚かされる。

 

「お金には困っていないかネ? 眷属への給金で足りていれば良いのだが」

 

「服もこのローブや他の装備があるし、食事も要りませんからね。あとは趣味程度だから十分ですよ」

 

 我が()()であるモモンガ君は多趣味だ。眠る事が出来ないから時間が余りに余るので本を大量に買い込んだり釣りに行ったり、匂いは感じられるのでアロマキャンドルを自作したり、最近では自ら創造した下僕に手伝わせながらの園芸や菜園も楽しんでいるとか。庭師にはその事で相談でもしていたか?

 

 

 

 

「所で最近君にアタックしている子が居るそうじゃないか。かなりの美人なんだって?」

 

「いや、確かに美人だけど……俺、骨ですよ?」

 

 モモンガ君は困った様子で自分の骨だけの下半身を指し示す。性欲は僅かながら有ると聞くが、その体では解消できないと思っているのだろうね。

 

「なぁに、大丈夫だとも。最近は色々と道具も揃っているし、痴態を見るというのも楽しみの一つだよ? ってな訳で幾つか送っておこう、っというか既に君名義で送っておいた」

 

「ちょっとモリアーティさんっ!?」

 

 いやはや、この友人は揶揄うと反応が良くて本当に面白い。……彼の根源に在るのは孤独への恐怖だ。だからこそかつての仲間が残したという場所を守り続けたし、此方の世界で初めて出来た()()である私に色々と力を貸してくれるし、ジェイルを甥っ子の様に扱うのも其処から来ている。社畜的な部分も有るのかな?

 

 

 兎に角、君は私にとって大切な()()だよ、モモンガ君。

 

 

 

 

 

 

「おっ! 大分上手くなったな、アーシア」

 

 図書室の前を通り掛かると中から一誠君の声が聞こえてくる。ドアの陰から覗くとアーシア君と文字の勉強をしているのが見えた。悪魔の自動翻訳の力を模したアイテムを渡しているから言葉は通じるが文字はそうはいかない。だから簡単な文字だけでも読み書きできる様になってから学校に通うとか。

 

 教師は同じ年頃の方が気兼ねしないだろうと一誠君や、共に住んでいるゼスティ君……の家族の中で一番しっかりしている妹が教えていると報告を受けている。

 

 今まで与えられた知識しか学ばず、見せられた物しか見て来なかったから、色々学んで将来はNPO団体に参加して、聖女だった時には救えなかった人を救いたいとか。

 

 ……あれだね。私が性悪説の体現者なら、彼女は性善説の体現者だ。救える者を誰でも彼でも救おうとするせいで考え無しに見える時も有るのが欠点だがネ。取捨選択が出来る様になれば一皮剥けるんだが。自己犠牲だけでは救える数に限りがあるからね。

 

 特に人を治すなら目の前で泣き叫んでいる子供よりも平気そうな大人を治さなければならない場合もある。いや、何方か一方しか救えないという状況も有るだろう。精神も消耗するし、神器を使う際に何も消費しない訳ではないからね。

 

 

「……その辺を教える教師でも探してみるか」

 

 恩は人を強く縛り付ける。仇で返すような相手なら必要ないしね。さて、君は私達からどれだけの恩を受け、それをどのように感じるのか楽しみにしているよ。

 

 

 

 

 

 

「ウゥゥゥゥゥッ!!」

 

「いや、悪かったって」

 

「ついつい本気になっちゃったっす・・・・・・」

 

 修練場の方が騒がしいからと見に行けばフラン君が穴と焦げ後だらけになった惨状を指差しながら怒っている。正座させられているモードレッド君とゼスティ君の姿からして、また組み手が白熱して周囲を巻き込んだな。

 

 

「あっ! オッサン、久しぶりだな!」

 

「お久しぶりっす!」

 

「ふむ。君達は相変わらず元気で何よりだ。もっと頑張り給え」

 

 

 修繕費はジェイルに請求するとしよう。補佐官付きで任せている領地が上手く行っているから暫くは金欠が続く程度だろうし、構わないな。

 

 

「これは当主様!」

 

 私が去ろうとすると向こうからガゼフ君が現れ、その場に跪いた。

 

「楽にしたまえ、ガゼフ君。通りかかっただけだ」

 

 この愚直で忠誠心厚い男とも付き合いが長くなったと思う。私が眷属になって分け与えられた領地で受け入れた貧民の一人だが、実に優秀で、よく働いてくれる。人材を育てる才能もあるし、良い拾い物だったよ。

 

 強い者には自分の力や行った努力に誇りを持つ者が多いし、持たない者なら強くても価値は低い。だからこそ手の者は集めるよりも育てる方が手間は掛かるが良いのだ。力で押さえつけぬとも、恩を感じて従う場合が多いし、裏切り者を処罰した際に大義名分を得れる。これが有ると無いでは他の者の士気が段違いだ。

 

 

 

(さて、良さそうな人材が数人見つかったし、ウチの領を頼るように仕向けるか。丁度敵対派閥の領民だ)

 

 

 因みに私の領地は善政だと評判で移住希望者も多い。他の貴族との兼ね合いで全ては受け入れられないが、何故か不満はそっちに向いているから不思議だよネ! いやー、忙しい忙しい。悪魔の貴族社会で善人でいるのは人望は集まるけど本当に大変だよ、まったく。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ! 当主様、帰ってたんですね」

 

「おや、レライ君か」

 

 背中に掛けられた声に反応して振り返れば其処には首から十字架のペンダントを下げた少女が立っていた。白衣の下に黒いパーカーを着て、空色の髪は肩に掛かる長さは癖毛なので大きめの実験用眼鏡で押さえ付けている。身長はアーシア君と同程度か。

 

 ジェイルの眷属の中で滅多に招集に応じなく、応じなくて良いとされている『僧侶』の彼女。名をレライ・エイプラル。ぶっちゃけ私は彼女が苦手だ。だってマッドサイエンティストの心理は流石に読めないんだもん!

 

 

 

 

「ねぇ、当主様。赤龍帝君に使わせたい武器が十個ほど完成したから実験に協力させるようにジェイル君に言って欲しいんだけど。ゼっちゃんは持たない方が強いし、弱くなるのに武器を持たせるのはポリシーに反するから彼に頼みたいの」

 

「……使用者に命の危険がないのなら」

 

「じゃあ、三つほど武器を作ったから実験に協力するようにって忘れずに伝えておいてね」

 

 

 さて、どうやって了承させるべきか困ったネ……。

 

 

 

 

 

 

 

「はー落ち着く。アニマルセラピーって効果が有るんだね、ハムスケ君」

 

「大殿、アニマルセラピーって何でござるか? まあ好きなだけ乗っていれば良いでござるよ」

 

 




ええ、新茶にとってモモンガは大切な友達ですよ? 本当にネ!

甥っ子姪っ子に甘い親戚のおじさん的なポジになる予定です


感想まっています


呼札今月分使って水着重ねたい、あわよくばネロが来いと思って引きました 欠片が来てくれました 三枚目だけど嬉しいが、今回本当に☆5礼装が多いなぁ二百八十回くらいで計22枚(うち、イベは一部が十一枚 一回だけ引いた二部が一枚)とか ☆4鯖は8体なのに

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