インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第81話

「喰らえ!」

 

 数分後、ここはIS学園にある森林地帯。そこには一夏と、青年とレザーフェイスの三人が死闘を繰り広げていた。一夏はランスで二人を攻撃し、レザーフェイスはチェンソーで一夏のランスと対抗し、青年はショットガンでレザーフェイスの手助けをしていた。

 青年はショットガンを一夏に向けると引き金を引く。辺りに破裂音が木霊する。が、一夏は風のように消えてしまい、無駄に終わった。青年は舌打ちするが、何かに気づきショットガンの弾を装填する。

 

「くそっ! 四発だけじゃ足りないじゃねぇか!?」

 

 青年はそう言いながらショットガンに新しい弾を装填する。カチャ、カチャと弾を込めていくが無防備な時間を作らせてしまう。

 

「……今だ」

 

 一夏はその隙に青年をランスで刺し殺そうとして、駆け寄る。

 

「ウガ〜〜!」

 

 が、それを妨害したのはレザーフェイスである。レザーフェイスは青年を背中に隠し、一夏に立ちはだかる意味で割り込む。レザーフェイスはチェンソーを持って一夏に襲いかかる意味で一夏目掛けて振り下ろす。

 

「……!」

 

 一夏はランスで応戦するが軋む音が微かに響き渡る。しかし、一夏は危惧していた。その隙に青年はショットガンの装填を終えると、レザーフェイスの後ろから出てくると、一夏の横に移動する。

 一夏は驚く前にレザーフェイスを何とかしなければならなかった。

 

「喰らえ!」

 

 青年は一夏に対し、ショットガンの引き金を引く。が、同時に一夏は風のように消える。同時にショットガンの銃口から散弾が放たれる。

 散弾は辺りに飛び散るが、少なからずレザーフェイスにも直撃した。

 

「ウガっ!?」

 

 レザーフェイスは激痛で悲鳴を上げる。それを見た青年は驚く。刹那、青年の前に、一夏が現れた。彼はバットを振るような体勢をしていた。

 青年は驚くが反撃する暇はなかった。一夏はランスで彼を薙ぎ払う。ランスは青年の脇腹を直撃していた。

 

「あがっ!?」

 

 青年は横へと吹っ飛ばされるが木に直撃した。

 

「っぐっ!?」

 

 青年は木に直撃した後、木から落ちるが激痛を感じていた。一夏のランスで薙ぎ払われたのと、木に直撃したことで更に激痛が走っていたのだ。

 

「オエッ……!」

 

 青年は吐いた。脇腹を撲られたことが原因でもあった。青年の嘔吐物は青年の周りに広がる。が、青年は激痛で悶える。そして、ショットガンは少し先に落としてしまっている。

 本来ならば拾って応戦すればいいが青年は身を悶えている。拾うことでもできないでいたのだ。

 

「…………」

 

 そんな青年を一夏は冷ややかな目で見据えると、ランスを軽く振り回しながら歩み寄る。

 

「ウガ〜〜!!」

 

 そんな一夏をレザーフェイスは激痛を堪えつつ怒りながらチェンソーを持って迫る。近くにまで来ると、チェンソーで一夏に襲いかかる。が、一夏は無言で身を翻しながらランスで受け止める。チェンソーの痛々しい音が混じりながらもチェンソーとランスの軋む音が微かに響き渡る。

 同時に、火花が飛び散る。が、二人には影響はない。彼等は互いの相手に集中している。目を逸らせば、命を奪われかねないからだ。

 

「ウガァ〜〜!!」

 

 しかし、力ではレザーフェイスの方が上だ。彼はチェンソーを持ってる両手に力を入れる。このまま競り合いに勝とうとしていた。ランスを弾き返し、一夏の脳天をカチ割ろうとしていた。

 

「…………」

 

 一方、一夏はレザーフェイスに対して、無言で競り合いを続けていた。が、一夏から見れば、レザーフェイスの力での押しつぶしは無駄に等しい。

 なぜなら、彼にはISがあるのだ。彼のランスはISの物であり、一般人には扱うことはできない。彼はIS操縦者であるが、それが功をそうしていた。

 

「ウグッ……!」

 

 一夏はレザーフェイスと競り合いを続けている中、ランスで薙ぎ払われたせいで吹っ飛ばされ、そのまま木に激突した青年は激痛を堪えながら、なんとか起き上がると、ショットガンで一夏を攻撃しょうとしていた。

 

「うぐっ……!」

 

 しかし、身体が言うことを聞いてくれなかった。それだけではない、刺された方の脹ら脛のこともあり、激痛は増し続けている。青年はなんとか堪えようとしているが彼も一夏と同い年ぐらいのこともであり、子供であるから見れば今まで味わったことのない激痛である。

 耐えることは愚か、無理に等しい。青年は目に涙を浮かべる。激痛に耐えきれない青年自身の本音をも意味していた。

 

「ウガっ!?」

 

 レザーフェイスは青年に気づくが一夏から目を逸らしてしまう。が、それが一夏に対し、一瞬の油断を見せてしまった。一夏はその隙にランスでチェンソーを弾き返す。

 レザーフェイスは驚くが一夏はレザーフェイスの腹目掛けて横蹴りした。

 

「ウガアァァっ!?」

 

 レザーフェイスは一夏に横蹴りされるがそのまま吹っ飛ばされる。チェンソーを落としてしまうが彼は少し先に仰向けに叩き付けられる。

 彼から見れば、二度目の叩き付けられだろう。が、一夏はレザーフェイスを見た後、不意に青年の方を見る。青年は自分の嘔吐物まみれになっていた。 

 悶えたせいでもあるが耐えきれないのも原因であった。そんな青年を一夏は冷ややかな目で見ていた。そして、青年に止めを刺そうとランスを軽く振り回す。二歩、三歩、と青年に近づいていく。

 青年の死の宣告とも思えた。一夏は青年を殺そうとしていた。無慈悲でもあるがゲームを制するためであった。一方、青年は未だ激痛で悶え続けていた。逃げることもできないでいた。

 

「ウガ……ウガァ!?」

 

 そんな中、レザーフェイスはなんとか起き上がる。同時に一夏が青年に迫っていることにも気づいた。青年が殺される、そう気付いたのだ。

 これにはレザーフェイスも驚くが彼は激痛を堪えつつ立ち上がると、一夏目掛けて駆け寄る。しかし、激痛のせいで上手く走れないでいた。

 同時に、彼の前に、とある人物が風のように現れる。レザーフェイスは驚くが、その人物はレザーフェイスの右頬を力一杯殴った。一発だけではない、二発、三発も殴った。それでだけではない、腹も殴った。

 

「ウガっ!? ウガっ!」

 

 レザーフェイスは悲鳴を上げる。が、その人物はジェイソンであった。彼は復活したのだ。それも一夏を守るためにレザーフェイスを足止めしているが殴る手を休めない。

 レザーフェイスは何度も殴られているが声を上げることもできないでいた。

 

「っ……レザー……」

 

 そんなレザーフェイスに青年は激痛を堪えながら彼を見ようとした。刹那、そんな青年に一夏は彼の頭を踏みつける。これには青年も悲痛の声を上げた。

 

「アガアァァ……!」

 

 青年は悲痛の声を上げるが、一夏は汚らわしい目つきで青年を見下ろしていた。が、勝ったのは一夏である。なぜなら、青年の敗因原因は、場所が悪かったからである、

 ここはIS学園の森林地帯。それは、一夏とジェイソンにとっては庭に近い場所でもあった。ジェイソンはクリスタル・レイク湖で育った。

 森の中でサバイバルしたのと、森の中で殺しを沢山したからだ。森の中では彼は強く、戦いを有利に進めることができる。一夏の方は森の中でも強いがIS、ジャック・ザ・リッパーもある。

 彼はISを使って、青年とレザーフェイスを相手に戦っていた。卑怯とも思われるがデスゲームに卑怯なことはしてはいけないと言う規則はない。

 何を使っても勝てばいいのだ。彼はその規則を破った訳ではない、ゲームを制するために卑怯なことをしたに過ぎないのだ。一夏は青年の頭を踏み続ける中、青年は悲痛の声を上げる。

 

「キ、キ、キ、マ、マ、マ……」

 

 一方でジェイソンはレザーフェイスを殴り続けていた。レザーフェイスは口から血を吐くがチェンソーを拾うこともできなかった。

 なんとか反撃しょうにも関わらず、彼は顔ばかり殴り続けていた。これには激痛も感じるがジェイソンの殴る力は一般人よりも凄まじく、脳振動を起こしかねない。

 それはレザーフェイスから見ればだが、一般人なら頭が吹っ飛ばされるくらいに千切れるだろう。レザーフェイスは苦戦する中、青年の助けにも入れないでいる。

 

「れ,レザー……!」

 

 青年はレザーフェイスを見て驚くが、一夏は青年の頭を踏み続ける。これには青年も悲痛の声を上げそうになるが一夏は無表情でランスを逆手に持ち替えると……。

 

 刹那。何かの突き刺さる音が微かに響く。それは……青年の後頭部にランスが突き刺さっていた。そして、ランスは青年の後頭部を深く突き刺さしていた。

 そう、一夏はランスで青年の後頭部を突き刺したのだ。それは青年にとって致命傷であるが即死でもあった。その証拠に青年は泣きながら瞳孔を開かせたままであった。即死を意味していた。

 

「ウガァァぁ〜〜!!」

 

 同時にレザーフェイスは悲痛の叫び声を上げる。一夏は反応し肩越しで見る。ジェイソンは殴る手を止める。レザーフェイスは悲鳴を上げ続けていた。

 空を仰ぐが彼の身体が砂へと変わっていく。そう、彼は青年が死んだことで、プレイヤーの半霊の意味が無くなったからだ。同時に彼は悲鳴を上げたまま砂になった。

 同時に悲鳴は聞こえなくなったが砂は一斉に地面へと落ちていった。

 

「…………」

 

 そんなレザーフェイスを一夏は無言で見ていた。すると、彼は不意に青年を見る。彼は死んでいるが泣いている。しかし、彼が負けたことには変わりはない。

 一夏は彼を冷ややかな目で見ている。が、彼の後頭部に突き刺さっているランスを引き抜いた。彼は微かに動くが抜かれた反動であった……。

 

 

 

 

 レザーフェイスを引き連れた青年、一夏との戦いで敗死……残り五人。

 

 

 


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