インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第187話

「取り敢えず、これからどうするんだよ?」

 

 楯無は一夏に対して、彼を喪う事に恐怖し、哀しみの涙を流す中、彼女に抱き起こされている一夏に一也が呆れながら訊ねる。彼の言葉に一夏は反応するが彼は眉を顰める。

 

「……奴、一彦のいる場所を捜すしか方法はない」

「捜すだと? どうやってだ?」

 

 一也はそう言いながら辺りを見渡す。辺りは暗く、自分達がいる場所は何処か、今はどの部屋にいるのかも判らないのだ。廃工場だけであって不気味だが明りは望まれず、それが出来る事も皆無に等しい。

 ここを、此の広くも不気味な場所を捜すのには骨が折れる。一彦に闇討ちする危険もあるが移動しているのかもしれないのだ。一也はそれを危惧しているが一夏は何故か黙る。

 思考を走らせていた。一彦の行動だった。自分達が此処に居るのも一彦の催しかつ、呼ばれた為だ。此処は彼が選んだ場所でもあるが彼は何故か自分達のいる場所を把握している。

 防犯カメラはなく、それが流れる電気も使えない。同時に自分達のいる場所を押せる為のスピーカーもない。では、何故奴は自分達のいる場所を知っているのか? 何故声を流す事が出来たのか? 一夏は思考を走らせる。刹那、一夏は何かに気付く。

 

「(まさか……否、有り得ない事ではない)」

 

 一夏は察知した。恐らく、一彦が自分達の居場所を把握したのも、声を流す事が出来たのもあれのお陰だろう。一夏は辺りを見渡す。

 何処かにある筈だ、あれが、と。そうなれば自分達の居場所は否でも奴に把握され、掌を踊らされている意味にも近い。

 

「……どうした?」

 

 一夏の行動に一也は不信感を抱く。彼だけでない、一美は怯えながら見ており、楯無は泣きながら困惑していた。しかし、一夏は彼の言葉に反応すると険しい表情を浮かべる。

 一也を睨んでいる訳ではない、彼は気付いたからだ。同時に喋ると危険かつ、場所を教えるような物だった。否、既に何時までも此処に居る為、彼は自分達がいる場所を知っている。

 それでも一夏は一也を見て口を開こうとした。刹那、何所からは爆発音が聴こえた。

 

「な、何っ!?」

「えっ!?」

 

 これには一美と楯無は驚くが一也は微かに驚いていた。一夏は眉を顰めているが彼は爆発したであろう場所を見る。

 

「…………」

 

 一夏は無言であったがさっきの爆発音を気にしていた。が、何か遭った、彼、一彦のみに何かが起きたのではないのかと。直感であるが彼はどうしてもそうとしか思えないでいた。

 彼は何かを思うように一也の方を見る。一也は爆発音に気付き辺りを見渡しているが一夏に気付く。

 

「どうした?」

 

 一也は彼に訊ねると一夏は口を開いた。

 

「……もう、いいだろ?」

 

 

 

「おわっと!」

 

 その頃、一彦とフレディは今、四体の異形な者達と死闘を繰り広げていた。彼はISの武器であろうショットガンでナースと兎の仮面を着けた女性を相手にしていた。

 フレディはと言うと、包帯姿の大男と木のようなヒョロヒョロ女を相手にしていた。近くには爆発された後のように破壊された壁があった。

 さっきの爆発が原因でもあるがどうやって爆発したのかは彼等が知っているだろう。しかし、今はそれどころでは無い。彼等は死闘を繰り広げているが殺されるまで、終わらない。

 

「フン!」

 

 兎の仮面を着けた女性は手に持ってる斧を一彦目掛けて振り下ろす。狙いは脳天だった。が、一彦はショットガンで受け止めるが彼女は斧を持ってる手に力を入れていた。

 

「ギアァァァ……!!」

 

 そんな一彦を、ナースらしき化物が武器を持って、彼の背後に迫る。一彦はそれに気付くが風のように消えた。これには兎の仮面を付けた女性は驚かないが斧を振り下ろす素振りをしてしまう。

 ナースは一也が消えた事に驚くが止まってしまう。彼は逃げた、訳ではない。彼は現れたのだ。

 

「お二人さん?」

 

 刹那、横から声が聴こえ、二体の化物は声がした方を見るが大きな破裂音と共に兎の面をつけた女性が吹っ飛ばされる。ナースは彼女を見えるが直後にまた破裂音が響いたがナースも吹っ飛ばされてしまった。

 しかし、そこにはショットガンを構えている一彦がいた。彼は笑っていた。同時にショットガンの銃口には煙が立ちこめられていた。そう、さっきの破裂音はショットガンを撃った音である。

 彼はそれで二体の化物を撃ったのだった。彼は笑っているが不意に近くを見る。そこにはフレディが鉤爪で木のようなヒョロヒョロ姿の化物と闘っていた。

 何方も互角であるがフレディの鉤爪は兎も角、相手の化物はある物で闘っていた。それは手だった。あの化物は手でフレディの鉤爪を相手にしていた。

 何方も一進一退の攻防を繰り広げているがフレディが口を開く。

 

「おいてめえ! 気持ち悪くも不細工だな!?」

「ギアァァ!!」

 

 彼の言葉に木の化物は威嚇する。声を上げているが怒りでもあった。そんな木の化物にフレディは笑う。

 

「へへっ! そんな威嚇を上げても俺は怖くもねえよ!」

 

 フレディはそう言った後、木の化物の手を鉤爪で弾く。化物の腹は無防備となった。刹那、フレディは化物に対し、足蹴りした。化物は吹っ飛ばされるが壁の方へと激突した。

 しかし、壁は破壊され、化物は破壊された壁の向こう側へと背中から突き進んでいった。フレディの勝利だった。

 

「よ……あれ?」

 

 一彦は何かに気付く。さっきから奴がいないのだった。それは、全身包帯姿の大男である。彼は辺りを見渡すがフレディが気付く。

 

「そう言えば奴は……!」

 

 フレディは彼が居ない事に気づくが自分は木の化物と闘っていた為に存在に気付かなかった。否、その化物を相手にしていた為に忘れていたのだ。

 二人は包帯姿の大男を捜す為に辺りを見渡す。

 

「ギァァァァ〜〜!」

 

 刹那、近くから悲鳴のような叫び声が聴こえ、一彦とフレディは声がした方を見やる。

 

「ガハッ……!」

 

 が、一彦は目を見開くと同時に彼は首を掴まれる。そして目の前にはナースの化物がいた。声を上げたのはその化物であるが一彦の首を掴んでいるのも彼女だった。

 一彦は驚きがショットガンを落としてしまった。

 

「一彦!?」

 

 フレディは彼を見て驚くが助けようとした。しかし、ある人物が風のように現れる。包帯姿の大男だった。彼は持っていた武器でフレディの腹を殴った。

 

「ぐおっ!?」

 

 フレディは腹を殴られるが包帯姿の大男は霧のように姿を消した。同時に、一本の斧がフレディの胸に突き刺さる。刹那、フレディが声を上げる前に、斧は爆発し、四散した。

 同時にフレディは爆発に巻き込まれるが吹っ飛ばされてしまう。

 

「ああっ!」

 

 彼だけではない、一彦もナースの化物と一緒に巻き込まれるが吹っ飛ばされてしまう。

 

「よっと!」

 

 しかし、彼は即座にISを展開した。同時に地面に叩き付けられるがダメージはなかった。それは、身体の負担を最小限に抑える為であった。

 そして、彼は砲身を展開すると、斧を投げたであろう兎の仮面を着けた女に向け、砲弾を放った。刹那、大きな爆発音が彼がいる室内に響き渡った……。

 

 

 

 

「行かないで……! 行かないで織斑君!」

 

 その頃、一夏は立っていた。しかし、彼は楯無に抱き着かれていた。彼女は震えながら一夏の胸に顔を埋めながら懇願していた。そんな彼女を一夏は冷めた目で見ており、彼女の近くには一美が心配そうに見ていた。

 そして、彼等の近くには一也が腕を組みながら舌打ちしていた。彼も立っているが一夏と一也は激痛が大分和らいだ為だった。彼等は一彦を倒すた為、そして行動しょうとしていたのだ。

 楯無は一夏がゲームに参加している事に反対しているのと、彼が死ぬのではないのかと怯えていた。その所為で彼に甘えているが喪いたくなからでもあった。

 

「おい……何時まで恋愛ごっこをしている?」

 

 一也は一夏と楯無を見て呆れていた。彼は一彦を倒したいが為に無駄な時間を過ごしている事に苦痛を感じていた。一方の一夏も彼女の行動に呆れているが反論する。

 

「そう言うな……それに俺だってこんな事を……!」

 

 刹那、一夏は何かに反応した。彼だけでない、一也や一美、楯無も反応する。彼等はある場所を見ていた。が、何者かが風の様子に姿を現す。

 

「ひっ!?」

 

 その者を見た一美は怯えながら一夏の後ろに隠れる。楯無はそれ見て目を見開くが一也も驚く。一夏は眉を顰めているがその者はお男だった。

 ネクタイをしているが白い服を来ている。しかし、両腕は皮膚が剥がれ落ちたように肉が剥き出しかつ、頭部も剥き出しになっているが両目や歯釘も剥き出しだった。

 彼等は彼を見て驚いている。が、更に彼等の周りを取り囲むように三体の化物が姿を現す。一体は案山子の化物であり、一体は子供であるが顔は化物かつ、巨大な鋏を手にしていた。

 そしてもう一体は全裸であるが顔は異形その物の男だった。一夏達は周りを見るが彼等は一夏達を取り囲んでいた。そして、それは彼等を殺す意味にも近かった。


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