インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第181話

 

「…………」

 

 一夏は一也をグレネドーランチャーで倒したが彼は完全に死んだ訳ではなかった。

 

「……っ!」

 

 一方で一也は身体中に激痛を走っている中、彼、一夏を睨む。刹那、一也はある武器を展開した。それは砲身だけの大砲だった。一夏はそれを見て目を見開くが砲身の砲口は彼に向けながら、一発の砲弾が大きな音を出しながら放たれる。

 一夏はそれを見て驚かず、風のように消えた。砲弾は空振りのように失敗するがそのまま奥へと消えて行った。が、奥から爆音が一也のとこまで響き渡る。

 煙や炎が一瞬で発生するが地震を起こす程だった。一也はその地震で微かに怯むが彼は蹌踉けながら立ち上がると、辺りを見渡す。ジェイソン、ブギーマン、一美、チャッキーとティファニーの人形達が倒れているが皆、気を失っていた。

 一也はそれを見て舌打ちするが彼等は、ブギーマンを除いた者達は皆、自分とブギーマンの敵である。一美は兎も角、自分の目的は一夏と一彦だけである。

 彼等は自分と同じようにISを持っている。今の自分と対等に渡り合えるのは彼等だけである。今は一夏を倒してからであるが彼は辺りを警戒していた。

 気配はない。彼はそれに気づくとセンサーで彼が近くにいないかを探る。刹那、一彦の横の壁が破壊される。

 

「なっ!?」

 

 一也は突然の事で驚くが破壊された壁の向こうから一人の青年がいた。一夏である。彼は彼の直ぐ近くの壁、否、壁の向こう側である室内に移動していたが壁を破壊しながら彼に迫ったのだ。

 一也は突然の事で対処しきれないが彼、一夏は一也に体当たりした。一也は彼に体当たりされるが壁に激突した。が、壁は一也が直撃した事で破壊される。

 長年放置された事で老朽化したのも原因であるが一也は壁の向こう側で横向けに倒れる。

 

「っ……!」

 

 一也は身体中に激痛を感じるが微かに目を開けながら、破壊された壁の向こう側を見る。そこには、微かな音ともに一人の青年がいた。ISを纏っているが彼、一夏である。

 右腕が無いにも関わらず、彼は冷ややかな目で一也を見ている。憎悪としか言えないが一也はそれに気づいていた。彼は自分を殺そうとしている。

 ゲームでの事でもあるが彼はそう気付いていた。が、自分は死ぬわけにはいかない、大切な人を生き返らせる為にも勝たなければならないのだ。

 一也は自分にそう言い聴かせながら立ち上がろうとした。

 

「…………」

 

 しかし、一夏は彼を見て眉を顰めるが彼に近づく。一歩、一歩と足を進めるが彼に近づているのだ。一也は何とか立ち上がるが蹌踉けている。

 一夏は一也の直ぐ近くまで来たが舌打ちした。

 

「……屑が」

 

 一夏は彼に対してそう吐き捨てる。直後、彼は一也に対して足蹴りした。

 

「ッぐ……!」

 

 一也は仰向けに倒れる。彼は呻き声を上げるが一夏は彼の腹を踏み付ける。

 

「グッ……っつ!?」

 

 一也は腹を踏まれて、声を上げる。腹に激痛を感じているからだ。自分の腹を踏んでいるのは一夏であるが彼は冷ややかな目かつ、冷たい視線を彼に向けている。

 一也はそれに気づくが歯を食い縛る。屈辱かつ、再び敗北した事に気づいたのだ。彼は彼を睨むが一夏はそれを気にもしていない。が、彼の腹を踏み付けている足に全体中を乗せていた。

 これには一也も激痛を感じるが一夏は無言で見下ろし続けていた。しかし、彼等の実力は違うがそれは一夏が一枚上手だからだ。彼はISを持っている以前に洞察力や即断に長けている。

 戦闘面は彼、一也の方が上だが彼は知識を用いて闘っているのだ。黒い霧も敵の視界を遮らせ、冷静に対処している。が、それ以上に彼の執念が彼に勝っているからだ。

 彼はISを憎んでいる。姉を、女尊男卑主義者達を、ISその物を憎んでいる。同時に相手に気遣いを見せる気はないのだ。そのせいで一度は死にかけたがそれを潜り抜けた。

 楯無を助けた際は彼女達を利用する為でもあるが演技にも近い行動だからだ。彼はゲームのプレイヤーの中では一番強いだろうが彼は周りを敵と認識しているのだ。その所為でもあるが彼は迂闊に行動しないのはゲームをリタイアしない為にも知識を高めていた。

 しかし、一也は違う。彼は思念に囚われており、それが彼を危険に追い込んでいるのだ。ゲームを制したいが為に冷静さを欠いている。何時もは冷静だがゲームになると勝ちたいと言う彼の迷いが生まれてしまったからだ。

 同時に願いも大切な人を生き返らせたいと言う彼の執念でもあるが一夏の執念は違うのだ。一夏は憎悪、一也は思想、何方も違うが一夏が強いのは、彼が冷静でもあるからだ。

 その所為でもあるが一夏と一也とは違い、一夏優勢となっていた。一夏は一也の腹を踏み続けているが一也は呻き声を上げている。一夏は彼に慈悲を与える様子はないが、ランスを展開する。

 

「…………」

 

 彼はランスを展開しているが穂先を彼に向けていた。彼はあの時と同じように彼を青年同様、頭を刺そうとした。これでゲームの脱落者は増える。彼はそう気付いているからだ。

 ブギーマンが目覚める前に彼を始末しょうとしていた。

 

「っぐ!」

 

 一也は一夏を見て歯を食い縛る。彼は自分を殺す気だ。彼が言わなくてもそう気付いたのだ。しかし、自分が脱落する事を意味している。そうなれば彼の勝利となり、自分は敗死する。

 一也はそれに気づく中、一夏はランスを軽く上げる。

 

『一也!』

 

 刹那、一也の脳裏に一人の少女が彼を見ながら笑顔を浮かべていた。その少女の言葉に一也は目を見開くが歯を食い縛る。

 

「……っ!」

 

 更に刹那、一夏の横から一基の砲身が現れる。彼、一也が展開した物だった。一夏はそれに気づくが砲口から一発の砲弾が放たれ、一夏の身体に直撃し、爆発、四散した。

 

「ぐはっ!」

 

 一夏は砲弾を受けて吹っ飛ばされるがランスを落としてしまう。彼は吹っ飛ばされたが壁に直撃し、壁は破壊されるが壁の向こう側、つまり、別の室内に移動するように吹っ飛ばされていた。

 その後に仰向けに倒れるが身体中に激痛が走っている事に気づいていた。が、そんな彼の横からある人物が風のように現れた。一也だ。彼は一夏の横腹をサッカーボールのように蹴った。

 一夏は蹴られるが吹っ飛ばされてしまう。その直後、一也は砲身を彼に向けると砲口から砲弾が放たれ、砲弾は一夏の横腹に直撃する。

 

「がはっ!」

 

 一夏は横腹に激痛を感じるが更に吹っ飛ばされてしまう。しかし、その所為で彼はISを解除してしまった。否、強制的に解除されてしまったのだ。

 ジャック・ザ・リッパーが悲鳴を上げてしまったからだ。その所為でISは強制解除されてしまったが一夏は地面に叩き付けられる。

 

「ウグッ……!」

 

 一夏は悶える。さっきまではISのお陰で多少のダメージはなかった。が、生身の身体になった事でダメージが大きくなっていた。が、砲弾を間近に受けた事が原因でもあるが一夏は激痛のあまり、立ち上がる気配はない。

 そんな一夏を一也は険しい表情で歯を食い縛るが彼は不意に蹌踉けてしまう。同時にISを解除してしまった。さっきのダメージが蓄積された所為でもあるがゾディアックが悲鳴を上げていたからだ。

 それでも一也は蹌踉けそうになりながらも片膝を突いてしまう。同時に走った後のように肩で息をしていた。相当疲れているが彼はそれでも立ち上がる。が、不意に大きな壁の破片を拾う。

 これで彼、一夏の頭を叩き割ろうとした。同時に彼を倒せるチャンスでもあるからだ。一也は壁の破片を拾った後、彼に近づく。

 

「っ……!」

 

 一方で一夏は何とか起き上がろうとしているが身体が言う事を聞かないでいた。風のように逃げれば良いが体力がない為にそれが出来ない。一也がジリジリと近づいてくるが彼は覚束無い足取りで彼に迫っている。

 これで、ゲームの脱落者は増える。一也はそう思っていた。険しい表情を浮かべているがそう思っていた。刹那、一也の前に一人の青年が現れた。

 一也はその人物を見て驚くが彼は一也の胸倉を掴むと、彼を後ろへと投げ捨てた。一也は一回転するように宙を舞うが壁の破片を放してしまう。そして、一也は一夏の直ぐ近くに俯せに倒れてしまった。

 

「ぐあっ!」

 

 一也は俯せに倒れたが身体中に激痛を感じている。そんな彼に一夏は驚いてはいなかった。彼は別の人物に驚いていたのだ。その人物は一也を投げたのだが腰の両側には銃を携えていたのだ。

 彼は銃を抜くと、それ等を一夏と一也に向ける。

 

「っ……!?」

「き、貴様は……!?」

 

 一夏は目を見開いているが一也は歯を食い縛っている。彼等はある人物を見ているのだった。その人物は軽く笑っているが軽く口を開く。

 

「あらら? ボロボロだね〜?」

 

 彼、一彦は彼等を見て笑っているが彼等が潰し合うのをある方法で知ったのだが、彼等を殺そうとしていた。


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