インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第1話

 

 インフィニット・ストラトス――通称、IS。その兵器は数年前、ある天災の手により創られ、全世界に衝撃を与えた。

 それは天災が宇宙進出を夢見、それを第一歩と言う意味でも創った物でもあった。それは全世界に普及された物の、コアの数は四百六十数あまりしかなく、持つ者は限られていた。

 量産機はある物の、天才の夢は儚かった。全世界の者達は私利私欲の為に兵器としか扱わなかった。それは哀しみを生み、尚且つ悲劇や憎しみを生み出してしまう。

 それ以上に酷かったのがその兵器は女性にしか扱えず、女尊男卑と言う愚かな風潮を生み出してしまった――同時に、男達は哀しみ、女性への憎しみを大きくしていた。

 そして、ある出来事が一人の青年に悲劇と憎しみを生まらせる。

 

 

 

 

 ここはドイツの首都、ベルリン。今の時間帯は夜の七時であるが国民達は今、賑やかかつ多くの期待を寄せ、願いを込めていた。それは、ドイツで行われているISの大イベント、モンド・グロッソ大会。

 それはISをスポーツとした大会であり、女性達にとって娯楽的な大会であるが二回目であり、ドイツは今回の開催国として指定された為に盛り上がっていた。

 昔は大国と言うよりも帝国と言うイメージがありながらも、今は大会の為に盛り上がっていた。反面、ISを憎む者達から見れば気にもしなく、嫌な気分になるだろう……。

 

 

 此所は町外れにある二階建ての廃屋敷――そこは数年前から人の手を離れ、誰も買い取られずそのまま放棄されていた。外から見れば幽霊屋敷とも言われ、肝試しとかにも使われていた。

 住人がいない訳――ではなかった。二階に人が居た。四人の黒ずくめの男達に一人の十代前半の青年の計五人。

 青年は身体を縄で縛られ、尚且つ身体がボロボロであった。黒いシャツに黒いズボン、爽やかな顔立ちであるが顔には痣があり、目は黒く――否、希望を失ったかの様に黒く濁っており、右目は抉られたのか微かに出血している。

 そんな彼を黒ずくめの男達は軽蔑と憎悪の視線を送っている。彼等は、ある目的の為に青年を誘拐した者達であった。が、その目的は果たされなかった。

 身代金目的ではない――彼等は、ある者が大会に出ているのを知り、それを阻む意味で身内を誘拐したのであった。しかし、それが失敗し、それを八つ当たりと言う意味で青年に暴行したのだ。

 青年が悪い訳でもないのに、青年が止めてくれと懇願しても手を止めなかった。青年が身体がボロボロなのもそれが原因であるが青年は身体だけでなく、心にも大きな傷を負った。

 身内の裏切り――それは青年にとって大きなダメージを負わせていた。同時に大きな憎しみを生み出す。が、今は青年にはこの状況を打開する術は無い。

 

「それにしても仲間からの連絡は大会に出ただけか?」

「ああ、それ以外は知らないみたいだけどよ?」

 

 男達は何かを会話しているが目的が失敗した事で不機嫌さは変わらない。男達の目的は最終段階にまで言った物の最後の最後までで失敗したからだ。

 どうなるかは判らないが男達は何かを話し続けている。青年から見ればどうって事ないだろうが彼は身内への怒りを抑えきれないでいた。

 が、同時に復讐したいと願っていた。もう身内でも何でも無い。此方から縁を切ってやる――そう思っていた。

 

「取り敢えず殺すか? 顔を見られているからよ?」

「そうするか? でもよ、そんな事をしたら何かされないか?」

「大丈夫だよ――このガキは、世間からは付属品としか見られていないみたいだぜ?」

 

 刹那、青年は瞠目するがそれは出来なかった。彼は絶望に包まれ、憎悪の炎を滾らせている。今はもう無駄であるが青年は死ぬのではないかと思っていた。

 しかし、それで良かった――あの女の泣く顔が思い浮かべられる。同時にもう逢えないと思う者達を思い出す。その所為か涙を浮かべるが後悔もした。

 逢いたい――そう願っていた。刹那、男の一人が青年に近づくと懐からある物を取り出す。ずっしりと重い黒い塊――それは、拳銃であった。

 青年を殺す――そう物語っていた。青年は拳銃を見て、驚きはしなかったが何処か不安を隠しきれない。ああ死ぬんだ――青年はそう思った。

 出来る事なら一瞬で終わらせて欲しい――そう願っていた。男は青年に銃を向けた――刹那、ある音が聴こえた。

 

「何だ今の音?」

 

 男達は音に反応するが誰一人、何の音かまでは判らなかった。

 

「もしかして、この屋敷の奴か?」

「はあ? こんな不気味な屋敷に住人が居るのか?」

「でもよ、こんな状況の中で屋敷に来るのは可笑しいぜ? どうする?」

 

 男達は話をするが青年は音の正体を気にしていた。まさか助けが来たのか? そう思っていたが何人かまでは解らないのと、扉の音かまでは判らない。

 青年はそう考えている中、男の一人が「俺が確かめてくる」と名乗り出ると、音がした方へと向かう為に部屋を出た。

 

「……なんだ今のは?」

 

 男の一人がそう呟くが三人は扉を見る。扉からは何の反応もない。が、男達は音の正体を気にしていた。刹那、扉が勢いよく開くとある者が部屋に転がってきた。

 さっき確認してくると言った男だった――が、彼は何かの刃物で頭をかち割られていた。脳みそが顔を覗かせる様に見えるが男達は。

 

「う、うわああああ――――っ!!」

 

 男達は悲鳴を上げる。仲間の死が彼等には強すぎたのだろう。が、青年はそれ以上に怯えていたが扉の方を見る。扉はないが出入り出来る場所は出来た。

 これなら逃げられると思ったが出入り出来る所から、ある者が身を出す様に姿を現す。

 屈強な体格の大柄な男であった。着ている服やズボンもよれよれであるがかなり古い――が、右手には血の着いた斧を手にしている。あれで男の頭を勝ち割ったのだろうか? が、それ以上に驚いていたのは男は白いホッケーマスクを着けていた事であった。

 

「な、何だお前!?」

「か、構わねえ! 殺せ!!」

 

 拳銃を持っていた男が言うと、二人の男は拳銃を取り出すと男目掛けて撃つ。室内に銃声が何度も木霊するが彼等は大男目掛けて撃ち続ける。

 青年はその光景を目に焼き付けていたが大男は撃ち続けられたのかそのまま後ろに倒れる。ドン――大きな音がしたが男が倒れた事を意味していた。

 同時に男達は撃つのを止める。死んだかどうかを確かめる為でもあった。男の一人が彼に近づく。

 

「……」

 

 男は大男が死んだかどうかを確かめたかった。大男からは何の反応もない――。

 

「おい、死んだのか?」

「否――死んだだろうな?」

 

 男達は話すが、大男が死んだのを確認していた男は大男を見続けていたが、死んだと思い離れると

 

「……!!」

 

 刹那、大男は目を覚まし、起き上がる。男達は突然の事に驚くが大男は立ち上がる。男達は大男が起き上がった事に驚く中、大男は手に持っていた斧で自分が死んだかどうかを確認していた男の首を斬る。

 斬った――と言うよりも食い込んでいた。男の首からは鮮血が飛び散るが男は首に斧が食い込んでいる事に驚きを隠せないがそのまま膝を突いて、前に倒れる。

 斧は首から離れたが鮮血は止まらず、血の海が出来始める。残りの二人は大男を見て震えるが拳銃を向ける。しかし、最悪な事に銃弾は出なかった。

 さっきの奴で使い切ってしまったのだ。男達は驚く中、大男は男達に近づく。男達はどうにかしようとしたが大男は直ぐ近くに来るや否や二人の男の首を掴む。

 

「「うぐっ!?」」

 

 男達は首を掴まれるが大男は二人を両手で掴みながら持ち上げる――二人を軽々と持ち上げているとは言え、大男は気にもせずに男達の首を絞める。

 男達は首を掴まれ絞められている事に驚くが拳銃を落とす。拳銃の落ちた音がしたが彼等は逃げようと何とかしょうとした。が、彼の握力は人間とは思えない物であるようにびくともしない。

 締め付けられると同時に息も出来なくなっていくのを感じた。このままでは……が、それも直ぐに終わる意味で男達は声を上げる力がなくなって行き、最期は白目を剥いていた。窒息死であった。

 大男は二人が死んだのを確認すると今度は、ある者を見る。青年だ。

 

「…………」

 

 青年は大男を見て驚きと恐怖した。彼は自分よりも一回りも大きく、体格も良い。逆に彼の顔に着いているホッケーマスクが不気味にも思えるが次の標的は自分だと、青年は気付いた。

 青年は目を閉じた。殺してくれ――そう伝えていた。大男は青年に近づくが青年の死が近づいてくる事を意味している様にも思える。

 もう駄目だ――青年はそう思い、諦めていた。刹那、大男は何故か青年を肩口に乗せる様に抱える。

 ――なっ!? ――青年は彼の、大男の行動に驚くが大男は青年を連れて、部屋を出るや否や、彼等は風の様に消えた。そして、其処には男達の死体が転がっていた――同時に、青年はドイツから姿を消した……。

 


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