海SIDE
分担での作業が終わり、無事支配された土地を奪還できたのは良かったのだけど、僕のちょっとした発言で、部室に勇者全員が集まることになった。
「それで海が言っていたことは本当なのか?」
「郡ちゃんときょうくんがご先祖様と子孫の関係かもしれないってこと?」
「いや、ただもしかしたらって話だったんだけど、勇者全員集めて話すことなのか?」
これで違っていたらこの集まりは台無しになる。今回の件については本当にもしかしたらの話なのに……
「いえ、案外可能性はあるかもしれません」
ひなたお姉ちゃんは一枚の紙に図を書き始めた。
「まず私達の世界、海くんがいる世界、桔梗くんがいる世界。現状ではこの3つの世界の住人が一つに集まっています。この3つの世界は本当に似たような世界になっているのは皆さんは分かっていますね」
「あー、うん、何となくな」
「えっと、私達の世界では普通にバーテックスを倒して、今の状況になってるんだよね」
「各時代から勇者が集まっている状況ってことだよな」
友奈と珠子さんの二人も話についていけてる。すると東郷がお姉ちゃんの代わりに更に説明を始めた。
「海くんがいた世界は……異世界に自由に行けるってことになっているのよね」
「異世界に自由に行けるっていうのは、勇者部のみんなだけだけどね。まぁ僕の世界はこの世界とちょっと似たような状況になっている世界って思ってくれればいいよ」
「えっと、桔梗さんの世界は天の神様と和解した世界ということでいいんですよね」
「あぁ、だけどひなた。何で改めて僕らの世界について確認する必要があるんだ?」
桔梗さんの言うとおり、別に確認する必要はないのだけど……
「今から話す仮説に必要なことですから、改めてお互いの世界について確認したけど、この3つの世界は似ているだけで、同じとはいえない世界です」
「ん?同じじゃないのか?」
「珠子さん。同じじゃないんです。わかりやすく言うと300年後の未来の結果が違います。勇者部には海さんや桔梗さんがいないじゃないですか」
「そういえば………」
確かこういうのって平行世界ってやつだよな。前にアクアさんが説明してくれた。似ているようでぜんぜん違う世界……それが平行世界だって
「過去でのちょっとした出来事が未来に大きく影響するんです。もしかしたら桔梗くんのいた世界での千景さんは神宮家と何かしら関わりがあって、私と海くんみたいな関係になっているのかもしれません」
郡家と神宮家の関係か。僕がいた世界ではそういった話は聞いたことがない。元の世界に戻ったら、そのっちに調べて貰う必要があるかもしれないな。
ひなたお姉ちゃんは千景さんと桔梗さんの二人に勇者に変身してもらい、武器を見せてもらった。
「二人の武器は同じ大鎌。色や形は違いますがそれもまた千景さんの影響を受けて……」
「……ちょっとまってもらえる」
遮ってきたの千景さんだった。千景さんは少し険しい表情をしながら僕らのことを見つめて、
「さっきから聞いてたけど、今までの説明はただの仮説。想像の域にしかないわよね。それに私と神宮が繋がりあったからと言って、ここにいる私と神宮には繋がりがあるわけないじゃない。悪いけど帰らせてもらうわ」
千景さんはそう言い残して、部室から出ていった。何だか僕の知っている千景さんとこっちの千景さんってぜんぜん違うな。角があるというか……
「えっと……私、郡ちゃんの所行ってくるね」
友奈さんは心配してか千景さんの後を追いかけていくのであった。
短めですみませんでした。次回に続きます