花結いのきらめき・二人の勇者の章   作:水甲

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桔梗SIDE

 

「そこまで!」

 

ひなたの声とともに僕と若葉さんは武器を降ろした。流石は初代勇者だ。かなりの強さだった。

 

「やるな。桔梗」

 

「若葉こそ、こっちの攻撃を読まれて全然攻撃が通らなかったよ」

 

「そういうお前こそ、本気に見せかけてまだ余裕がありそうだったな」

 

余裕がありそうだって言うけど、結構ギリギリだったんだけどな。それにしてもこういった模擬戦は久しぶりだったせいか、少し休みたい。

 

「久々だったから僕は一回休むよ。若葉さんは?」

 

「私はまだまだ行ける……と言いたいところだったが、おとなしく休ませてもらう」

 

今回の主賓の二人が一回休憩するという事は、もうひとりの主賓である夏凛が誰かと模擬戦するということだな。

 

「私としては桔梗。あんたと一番に戦いたかったけど、休憩するんじゃ仕方ないわね」

 

夏凛はそう言いながら、ある人物に向けて刀を向けた。

 

「私の一番最初の相手はあんたよ!海!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海SIDE

 

何で夏凛の最初の相手が僕なんだよ。他にも初代組で強い人とかいるのに……

 

「あんた、みんなの武器が使えるじゃない。でも武器が多いとそれを全部使いこなすのは難しいわよ。それだったら私があんたを鍛えてあげるわ」

 

「鍛えてもらうのはありがたいけど……」

 

あっちで結構鍛錬はこなしてる。とはいえ殆どは一人でやるかもしくはゆんゆんとの模擬戦だったからな。ちゃんと見て貰えるのはちょっといいかもしれない。それだったら……

 

「それじゃ一戦お願いするよ。夏凛」

 

僕は生太刀を取り出し、構えた。普段だったら白月を使うところだけど、今回は今の自分がどれ程みんなの武器を使いこなしているか知るための戦いでもあるからな

 

「それじゃひなた。開始の合図お願いね」

 

「はい、それでは始めっ!!」

 

ひなたお姉ちゃんの掛け声とともに夏凛がすぐに接近してきた。僕はすぐに生太刀を抜いて夏凛の攻撃に備えるべきだけど、ここはギリギリまで抜かないようにした。

 

夏凛の二つの斬撃が届きそうになった瞬間、僕は直ぐ様生太刀を抜き、攻撃を弾いた。

 

「若葉と同じ居合ね。でも、若葉みたいな鋭さがないわよ」

 

「居合はまだ完璧じゃないからな。さて次はこれだ」

 

樹の武器を取り出し、ワイヤーで夏凛の動きを止めようとするが夏凛はそれらを上手く回避していく

 

「樹の武器は確かに捕縛に向いているかもしれないけど、攻撃として使って私の動きを制限することだって出来るわよ」

 

「なるほどな。勉強になる」

 

夏凛の言葉を聞いて、まだみんなの武器を使いこなしていないことが分かった。あとはやるべきことは……

 

「こっちだと他のみんなの切り札と満開は使えないみたいだけど、僕自身のは使える。だけど今はそれを試す必要はないな」

 

僕は2本の刀を取り出した。

 

「私の武器を使うってことね。それだったら」

 

夏凛が接近してきた。僕は二本の刀を構えた。夏凛はまだ僕が使っているのが自分の武器だと思っているみたいだけど、それは違う。僕が今使っているのは……

 

「ハァ!!」

 

僕は攻撃を弾き、夏凛の武器を弾き落とした。突然の事で夏凛は驚いていたけど、僕が手にしているのを見てすぐに笑みを浮かべていた。

 

「……勘違いしていたみたいね。てっきり私の武器を使うんだと思っていたけど、まさか勇者の武器を二つ同時に使えるなんてね」

 

僕の手には白月と生太刀の二本を握っている。勇者の武器を同時に使うことは前々から出来たけど、いざ実践となると使いこなすのは難しいかった。

だから今までは一つの武器を使い続けるようにしていた。こういう機会だ。存分に鍛錬させてもらうぜ。夏凛

 

「それじゃやろうか。夏凛」

 

「えぇ、いいわよ」

 

 

 




今回の誕生会イベントでは海の成長会になりました。次回で6月分の誕生会イベントは終わりです

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