桔梗SIDE
この世界に来てからそれなりの月日がたった。まぁこっちでは年はとらないらしいから月日は特に気にしない方が良いけど……
ただ、勇者部の中である話が出ていた。
「先輩、今日はどういった集まりなんですか?」
勇者部に何人か集められていた。まぁいないとしたら若葉と夏凛くらいだな。それにしても今日は一体何の集まりなんだ?
「何人かは知らないけど、先月みんなに誕生日祝ってもらったから、今月も誰かの誕生日会を開こうと思ってね。6月生まれの人って誰かいる?」
6月生まれか……それだったら僕だな。僕は挙手するが、僕以外誰もいないみたいだな
「桔梗だけなの?」
「はいはい、夏凛ちゃんも6月生まれだよ」
「若葉ちゃんもです」
6月生まれが3人もいるのか。まぁ勇者部みんなで誕生日会を開いてくれるのは嬉しいからいいな。
「そっか、サプライズ的なことをしたかったけど、今回はいいわね」
「悪い。空気読まないで……」
「気にしないでいいわよ。桔梗くん。サプライズ的なことって大抵バレてしまうわ」
いや、それはそうだけど……
「あの桔梗さんは何か欲しいものってあるんですか?」
樹にそんなことを聞かれ、しばらく考えるけど特に欲しいものってないな。まぁ誕生会を開いてもらうだけでも嬉しいけど……
「特にないな」
「あんた、あんまり欲がないのね」
「欲がないというより、パーティーしてもらうだけでも十分なんだよ」
僕がそんなことを言うと、夏凛と若葉の二人が戻ってきた。友奈とひなたの二人は同じようにプレゼント何がいいのか聞くと……
「そうだな……しいていうなら練習相手がほしいな」
「それいいわね」
何だかとんでもないことをいい始めたぞ。この二人!?
「練習相手って……トレーニングの相手ってこと?」
「二人共脳筋なのか?」
海がそう言った瞬間、若葉と夏凛の二人に頭を小突かれるのであった。思っても言わない方が良いな
とりあえず僕らは早速そのプレゼントのために道場へと行くのであった。でもあれ?何だか嫌な予感がしてきたのは気のせいだろうか?
みんなで道場に来ると早速勇者の姿に変わった。まぁちょっとした訓練をするのはいいかもしれないけど……なんで僕は若葉と夏凛側にいるのだろうか?
「あの、先輩、何で僕がこっちなんですか?」
「あんた、特に欲しいものがないって言ったじゃない。だから二人と一緒でいいかって思ってね」
「いや、それもどうかと思いますけど……」
「桔梗、私はお前とも戦ってみたいから、特に気にせず参加してくれ」
「とはいえ、この完成形勇者である私に勝てるかしら?」
「悪いな。向こうでは僕が勝ってる」
挑まれては全力で相手してやったからな。おまけにちょっとした脅しもしたりも……
「向こうでは勝てたとは言え、こっちでも同じように行くとは思わないほうがいいわよ」
「慢心はしないほうがいいな。それだったら私と一番最初にどうだ?」
どうやら若葉の最初の相手は僕になるのか……仕方ない。やるしかないな。僕は大鎌を取り出し、構えた。
「大鎌……千景と同じか」
「それじゃ行きますよ」
僕は開始と同時に若葉さんの後ろに回り込み、大鎌を大きく振り降ろした。だけど若葉さんは刀を抜き、僕の攻撃を弾いた。
「凄い速さだな。普通だったら背後に回り込まれたら一撃だが……攻撃の瞬間の殺気くらい消したらどうだ?」
殺気を感じ取ったのか……まぁ仕方ないか。今までの相手がバーテックスだから殺気を隠す必要はなかったからな。さてどうしたものか……
「狭い場所だと操作が難しいけど……」
大鎌を思いっきり振った瞬間、刃が若葉目掛け放たれた。若葉は同じように刀で弾くが、気がつくと若葉の体に鎖が巻き付いていた。
「その鎌、そんなことが出来るのか」
「攻撃と捕縛が同時に出来ますからね」
「いい武器だな」
「とはいえ……」
僕は拘束を解くと同時に今度は槍に持ち替えた。
「拘束して動けなくなって、はい終わりじゃつまらないよな」
「あぁ、そうだな」
僕と若葉は笑い合い、同時に動き出すのであった。
誕生会編は何話かやる予定です