海SIDE
みんなが水鉄砲の準備を整えている間、僕はゴムナイフを手にとっていた。
「あれ?海くんは水鉄砲使わないの?」
「いや、使うよ。ほら」
僕は友奈に拳銃型の水鉄砲を見せた。すると銀が不思議そうな顔をしていた。
「サバゲーなのに銃がそんなんで大丈夫なのか?」
「銀、ナイフとかでも当たったらアウトに出来るんだぞ。そこら辺のルール確認も終わらせてあるし」
「ということはカイくんはナイフで戦うの~」
「あはは、どんだけだよ海」
珠子さんが笑う中、僕は笑みを浮かべた。
「こういうサバイバル的なことはある程度学んでるから大丈夫ですよ。とりあえずあっちがどう攻めてくるか考えましょうか」
「そうですね。お……東郷さんたちのことですからまずは迫撃砲で牽制+撃破を狙ってくると思います」
「だとしたらバラバラに動いたほうがいいか?」
「いいえ、それを狙った上の行動だと思うので……ここは」
牡丹は迫撃砲を取り出し、構えた。
「撃ち落とします」
さすがは親子だな。母親の行動をうまく読めている。さて牡丹が頑張るって言うなら僕も頑張らないとな
「な、何というか……」
「みんなでワイワイやる感じかと思ったのですが……」
「夏凛ちゃん、水都ちゃん、多分だけど相手チームもガチでやるつもりだよ」
何だか灯華さんが呆れた感じでそんな事を言っていたのであった。
桔梗SIDE
美森と須美の二人が迫撃砲を放ち、牽制を試みるが。こっちが撃った瞬間に相手の方からも水の塊が飛んできて相殺してきた。
「今のは……」
「牡丹さんですね」
「行動を読まれているということね」
千景が冷静に分析する中、美森はもう一度迫撃砲を放つが、また相殺された。
「ふむ」
「牽制はこれ以上無理ですね。四葉さんは戻ってきていますか?」
「はいはい、戻ってるよ。須美ちゃん」
「設置箇所は覚えていますか?」
「もちろん、みんなに連絡済み」
「わかりました。東郷さん」
「えぇ、全員、進軍!!罠に注意しながら撃破お願いします」
美森が指示を出す中、風先輩が呆れていた。
「何だかちょっとしたお遊びになると思ったのに……」
「お姉ちゃん……」
「まぁ東郷さんたちがいるからこうなることは読めましたが」
とりあえず僕、友海、四葉の三人で進んでいくが、特に遭遇したりとかない感じだった。
「友海ちゃん、気をつけてね。仕掛けてある罠に引っかかったら申し訳ないから」
「大丈夫です。罠感知スキルを覚えてるので」
「海たちのいる世界での特殊能力か……便利だな」
「便利だけど、自分にあったスキルを見つけるのが大変かな?まぁでも私には爆裂魔法があるからいいんだけど」
「一撃必殺だっけ?本当にすごいわね」
「えっへん、師匠直伝の最強魔法ですから」
何というか二人の話を聞いてるとちょっと気が緩んできた。美森の熱気に当てられて気を引き締めていたからかな?
「こっちには相手が来る様子もないし、一旦戻るか」
僕がそう言って、引き返そうとした瞬間、上から葉っぱがひらひらと落ちてきた。風もないのに落ちてくるのは何だかおかしい。そう思った瞬間、上から何かが降ってきた。
「あれは!?」
「パパ!?」
「ちっ!?」
四葉が僕らを突き飛ばそうとするが、僕と友海の腕に何かしらの感触が感じられ、気がつくと四葉に水がかかっていた。
「四葉さんアウト、桔梗さんと友海はゴムナイフ一回当てたからな」
「木を渡ってきたっていうの……やるわね」
「しかもナイフで……だからあの時ルールの確認をしていたのか」
「流石だね。パパ。でも二対一だよ。どう逃げる?」
「こうやってだ」
海はどこから取り出したのか水風船をこっちに目掛けて投げつけてきた。僕と友海はそれを避けた瞬間、海の姿がなかった。
「あいつ、逃げるの早くないか?」
「やっぱりあの話は本当だったんだ……」
「何がだ?」
「パパが昔訓練と称して、勇者候補たちの人たちとサバゲーやって一人勝ちしたって」
どんだけだよ。海のやつ……というかあいつもガチすぎないか?
「やれやれ、早速アウトか……まぁいいや、トラップ設置に貢献したし」
「四葉……」
「二人とも後は頼んだわ」
僕と友海は一旦陣地に戻るのであった。何というか楽しいイベントがガチバトルになってきそうで不安でいっぱいだ。