桔梗SIDE
気がつくと奇妙な空間に来ていた。真っ白な世界……ここに来る前に赤嶺友奈が精神攻撃がどうのとか言っていたけど、これがそうなのか?
「……精神攻撃ってどんな事してくるんだ?」
「……やぁ、僕」
突然僕の目の前に僕そっくりなやつが現れた。最初はキキョウかと思ったけど、感じ的にどうにも違う。見る限り僕自身みたいだ。
「赤嶺友奈から話は聞いてるけど、僕は彼女が作り出した精霊だよ」
「精神攻撃のために作られた精霊ってことか……面倒なものを作るなアイツは……」
「赤嶺友奈自身、君たちを試しているからね」
試す?どういうことだ?何を試すっていうんだ?
「まぁ色んな事情は彼女を倒して聞くんだね。それじゃ始めようか。対話というやつを……」
「精神攻撃か。悪いけど僕自身そこら辺強いと思って……」
「君の右腕……乃木園子を庇った時にバーテックスに食われたんだよな」
「あぁ……」
僕は右腕の義手に触れた。あの時咄嗟に園子を助けて、腕を食われ、バーテックスがキキョウに姿を変えた。今更それがどうしたっていうんだ?
「お前は乃木園子を心の奥底で恨んでいる」
「!?」
友海SIDE
「ここって……」
「まぁ限定的な空間だと思ってくれればいいかな。それじゃ早速……」
限定的な空間ということは、なんでも出来るって言うことなのかな?それだったら……
私は拳に力を込め、思いっきりなにもないところへ向かって拳を振った瞬間、ものすごい爆発が起きた。
「ね、ねぇ何してるの?」
「何って……必殺技の特訓だけど……」
「いや、今から精神攻撃を……」
「えぇ~こういう空間だったらいっぱい特訓できると思ったのに」
不満そうに言うと精霊の私はため息を付いていた。
「精神攻撃とか本当に効かなそうだね。でもとりあえず……ねぇ私、特訓を続けていけばいずれ師匠を越えられるって思ってるんだよね」
「そうだよ」
「血が滲むような努力をして師匠を超えるんだよね」
「うん」
「それじゃ師匠を超えたあとはどうするの?次は何を目標にするの?もしかして魔王にでもなるの?」
師匠を越えた後……考えたことなかったな。師匠は何時だってカッコよくって綺麗で……私に色んなことを教えてくれた。その師匠を越えたあとなんて……
「考えたことなかったな……でも私が師匠を超えたら……」
「どうするの?」
「そんな私を師匠がまた越えてくれるはず。そう信じてるもん」
きっと私が思いもしなかった感じで更に師匠は強くかっこよくなってくれるから……師匠なんて通り越してきっとライバルになるはずだから
「……やれやれ、本当にすごいことを言う子だね。そこまで師匠のことが大好きなんて……私って本当にすごいね」
精霊の私はそう言って消えていき、気がつくと元の世界に戻っていた。
「友海ちゃん、大丈夫だった?」
「うん、大丈夫だよ。友奈さん」
「ありゃ、まぁ足止めのために攻撃したから十分だからいいか」
赤嶺ママがそんな事を言う中、他のみんなも次々に復活していった。残ってるのは牡丹のパパとパパだけ……
桔梗SIDE
「僕が園子を恨んでる……」
「彼女が星屑の接近に気がついていれば、君は腕を食われなくってすんだんだ。そしてその後起きたキキョウとの戦いで君はつらい思いをしなくてすんだ。そうだろ」
こいつの言うとおりそうかもしれない。僕は心の奥で園子のことを恨んでいたかもしれないけど……
「確かにそうかもしれないな。だけどあいつは……園子はずっと僕に謝りたくって悲しい思いをしていた」
あの時、園子が真実を話してくれた。真実を話し終えた後、あいつは泣きながら謝り続けていた。僕は彼女を許した。だって……
「ずっと後悔し続けてきて、泣きながら心の底から謝ってきた女の子を許さない男じゃないんだよ。僕は……」
「ふぅ、やれやれ。君には精神攻撃は効かないみたいだね。まぁ本来君の相手は僕じゃない」
精霊の僕はそう言い残して消えていき、僕は元の世界に戻った。
「きょうくんも戻ってきたね~」
園子(中)が嬉しそうに言う中、僕は園子の頭をなでた。
「ふぇ!?ど、どうしたの?」
「いや、何となく……」
「そのっち顔真っ赤~」
園子(小)が誂う中、僕はまだ戻ってきていない海を見つめた。こいつも精神攻撃を受けているのか?
「海くんには精神攻撃はしてないよ。今回の戦いのご褒美として彼にいいものを見せてあげているんだ」