部室に戻り、私はみんなに自分のことを語ろうとしていたのだけど……
「なんでまだ海くん固まったままなの?」
「いきなり過ぎて思考停止してるんじゃないのか?」
「むぅ~あの人嫌い」
友海ちゃんは赤嶺友奈がやったことに対して怒っていた。まぁ仕方ないことなんだろうけど……
「とりあえず海くんには後で私の方で伝えておきます。姫野さん、お話の方を」
「うん、ハッキリ言うとね。私は人ではなく神様なの」
そう告げると何故か全員、意味がよくわかっていないみたいだった。ちゃんと説明したほうが良いかな?
「神様っていうのは……神樹様みたいに土着神が人の姿に変わったのが姫野さんって言うことでしょうか?」
「ひなたちゃん、私は神樹様とは別系統で、何というか……」
『女神。それと同じですね』
別の方向からひなたちゃんの声が聞こえ、振り向くとそこには小さなひなたちゃんがいた。彼女が海くんの世界のひなたちゃん……本当に同じ姿なんだ。
「そうだね。元々私の家はヒメノって言う女神。言うなれば守り神を祀っていたの。そして私はその守り神の力を扱うことが出来る」
「神の力を……」
「それはすごいな。それじゃバーテックスなんて楽勝だったんじゃないのか?」
珠子ちゃんはそう言うけど、私は首を横に振った。
「人の身で神の力を扱うということは、身体に大きな負担がかかる」
私はそれを知った上でも人類を、みんなを守るために戦った。そして私の身体はもう戦うことが出来ないくらいボロボロになった。
それでもみんなを守るために私は……
「人の身を捨て、守り神となった。それが今の私」
すべてを話し終えると部室内は沈黙に包まれていた。
「………四葉。お前は寂しくないのか?」
「寂しいよ。守り神になって一緒に戦ったみんなと会うことが出来なくって……でも今はこうしてみんなと居られる分、寂しさはないよ」
「そうか……」
「ねぇ、四葉ちゃん。これから先、みんなと別れるまでの間、四葉ちゃんが寂しいって思いを感じなくくらい楽しい思い出を作ろうよ」
結城ちゃんがそう言った瞬間、その場にいた全員が同じ思いだった。寂しい思いをしないくらいの楽しい思い出か。それも良いかもしれないな
「とりあえずこれからは四葉のことはこれまで通りに接するように。変に神様扱いしないように」
風ちゃんの言葉を聞いて、みんなが頷いた。本当にみんなはいい子だな……
「あとは例の……」
「パパを誘惑する人のこと?」
何というか友海ちゃんはどれだけ彼女のこと嫌いなんだろうか?彼女の名字を聞く限り勇者であるのは間違いないはずなのに……
そんな事を考えていると、突然突風が吹き込んできた。
「あはは、みんな集まってるね」
気がつくと赤嶺友奈が現れていた。今のは彼女の能力ということか?
赤嶺友奈は笑顔で海の方に近づくと……
「もしかして嬉しすぎて固まってるのかな?それだったらもっと嬉しくなることを……」
「だから!!ダメだって!!」
友海ちゃんが赤嶺友奈を殴ろうとするが、赤嶺友奈はいとも簡単に避け、笑みを浮かべていた。
「邪魔しないでほしいかな?いい年なのに親離れできないのかな?」
「むぅ~」
短めですみません。
次回は赤奈ちゃんvs友海になります