謎の影に引っ張られ、そのまま投げ飛ばされた私。私は謎の影の姿を見た瞬間、驚きを隠せないでいた。
「あ、貴方は……」
赤い装束、褐色の肌、そして見覚えのある姿……どうして彼女たちに似ているの。
「友奈ちゃん?」
「あはっ、半分正解だよ。でも貴方が思っているのは私が彼女たちのバーテックスだと思ってるよね」
彼女は一瞬で私との距離を詰め、殴りかかってきた。私は勾玉で彼女の腕を縛り上げ、攻撃を止めるけど、なんで彼女はこんなにうり二つなの?
「私は赤嶺友奈。初めましてでいいよね。守り神ヒメノ様」
赤嶺……もしかして彼女は神世紀始めに起きたあの事件を解決に導いた彼女だって言うの。それに私のことを知っている。もしかして私がいた世界から……
「戦いの最中に考え事したら危ないよ!!」
彼女の声が聞こえた瞬間、右腕に強い衝撃を受け、そのまま倒れ込んでしまった。
油断していた。さっきのは蹴りみたいだけど、全然見えなかったし……厄介だな……
「ふぅ、神様相手に加減はしてくれないんだね」
「神様ね……未熟な神様に加減はしないよ」
私は鏡を取り出すと彼女は拳と蹴りの連撃を繰り出してきた。鏡で防いでるのに反射した攻撃を弾いていってる。ここまでなんて……
「やっぱり神様でも人間同士の戦いには慣れてないんだね」
「私は守り神だからね。人を襲うつもりはないわ」
「そう……じゃあ」
彼女から何かしらの気配を感じた。これはまずい。下手をすれば……
私は距離を取ろうとした瞬間、どこからともなく現れた鎖に縛られた。そして私を縛った鎖に見覚えがある。まさか……
「ナイスだよ」
彼女の拳が私の顔面寸前で止まった。よく見ると彼女の身体に何かが巻き付き止められている。
「急いできたけど、ギリギリだったな」
「大丈夫ですか?姫野さん」
「あっ、あれって……」
「3人目!?」
ギリギリの所で桔梗以外の勇者全員が駆けつけてきた。もしかして桔梗は灯華ちゃんの所に向かっているのなら安心だけど……
「何だ。もう来ちゃったんだ。でも良かった。会いたかった四人が来てくれて」
彼女は二人の友奈と棗ちゃん、そして何故か海くんのことを見つめていた。会いたかったって彼女たちに?何の目的で……
「気をつけなさい。こいつの笑顔、悪いこと企んでる顔だからね」
「雪花さん、よくわかりますね」
「色々とね」
「ひどいなー悪いことなんて企んでないよ。ただ……」
彼女はワイヤーの拘束をいつの間にか抜け出し、海くんにゆっくりと近づき…………
「えい」
何故かキスをしていた。
その場にいた全員が固まりつつ、彼女は人を誂うような笑顔をしていた。
「キスしちゃった。どんな感じだった?海くん」
「な、ななな……」
突然のキスで戸惑う海くん。彼女はそんな彼を見て、笑みを浮かべながら彼の肩を掴み……
「短すぎてわからなかったかな?それじゃもう一回……」
「だ、だめぇぇぇぇぇぇーーーーー!!」
彼女がもう一度キスをしようとした瞬間、友海が飛び出し、彼女と海くんの間に割って入った。
「ダメ、ダメ、パパとキスして良いのはママだけなの!!」
「えー、何?邪魔するのー誰だか知らないけど、邪魔しないでほしいかな」
「邪魔するもん!!」
友海の鉄甲にまばゆい光が集まってきていた。あれってあの爆発する拳を出すつもりなの?こんなに人がいる場所で撃ったらまずいんじゃ……
「面倒だな~まぁ今日のところは彼女と神様の顔合わせの付き添いだったから目的は達成したから、帰るね。じゃあね、先輩、後輩、お姉さま、それに海くん」
彼女はそう言い残して姿を消すのであった。顔合わせって一体何のことなの?
「姫野、無事みたいだな」
「えぇ、何とかね。所で海くんは?」
「海は……固まってるな」
「男の子だからね……」
「なぁ、姫野、さっき言ってた神様って……」
どうやら聴き逃してくれなかったか。仕方ない。戻ったら説明しないとな。私のことについて……
「付添なのに随分と派手にやったみたいだな」
「えへ、ついね。それでどうだった?貴方に憑いている神様に会った感想は?」
「あの人が守り神様……」
「……どうして彼女はこちら側に呼ばれたのかしら」
「それは簡単な話だよ。神様と彼女を鍛えるためにこういう形を取ったんだと思うよ」
「そう……」
「それにしてもまた会いたいな。海くんに……何せ異世界に来て初めて好きになった人だもん」
小悪魔系ってこんな感じなのかどうかよくわかりませんが、こんな展開になってすみません