姫野SIDE
私達がこの世界に来てからどれくらい経ったかわからないけど、私たちは今、愛媛奪還作戦を指導していた。
巫女の力を使っての移動手段『カガミブネ』と呼ばれる力で移動もかなり楽になった。というかカガミブネってもしかして私が四国から諏訪に移動したときに……いやまさかね
「どうかなさいました?四葉さん」
「ひなたちゃん。ううん、別に何も、ただいっぱい頑張らないとな~って」
「そうですね。所でこの間温泉に行った時に貴方、自分のことを話すと言っていましたが……いつになったら話すんですか?」
ひなたちゃんが物凄くいい笑顔でそう言うけど、ごめん、色々とありすぎて忘れてた。
「と、とりあえず落ち着いてからかな?なんて……」
「そうですか。ちゃんと話すまで待っていますからね」
これは急いで話さないとな~というかひなたちゃんは私が何者か気がついてそうだけど……
「四葉さん、買い出し行かないんですか?」
ひなたちゃんに睨まれる中、救いの女神である灯華ちゃんが部室にやってきた。そうだった、そうだった。次の戦いまで時間があるから今のうちに食材を買いに行かないかって誘われてたんだっけ。
「うん、今すぐ行くね。それじゃひなたちゃん」
「はい、行ってらっしゃい」
私と灯華ちゃんは一緒に街に買い出しに行くのであった。
「全く……本当に話してくれるのでしょうか……」
ため息を付いた瞬間、ある神託が下され、その内容を聞いて驚きを隠せないでいた。
「まさか……倒されたからって補充を……」
「一体何の話をしていたんですか?」
ある程度の買い出しを終え、学校に戻る帰り道、灯華ちゃんに私とひなたちゃんが何の話をしていたのか聞かれた。正直話して良いものか……いや話すと言ったんだから話さなきゃいけないけど、信じてもらえるかどうか……
「灯華ちゃんには先に話しておくかな。信じられるかどうか……」
私が言いかけた瞬間、世界が樹海に変わった。何というか空気を読めないわね。どんな時代でも……
「よ、四葉さん……」
「安心して、守るから」
勇者に変身して辺りを見渡すけど敵の姿がない。まだ攻めてこないっていうのかな?だけど気がついた瞬間、私達の後ろに一人の少女がいるのに気がついた。
「えっ……」
「ウミが倒されて、補充したみたいだけどまさか……」
「………」
そこには勇者の……いや彼女的には魔王の姿というべきか。変身した灯華ちゃんのバーテックスが立っていた。だけど特に武器を構えている様子もない。どういうことだ?
「あ、貴方は……私なの?」
「……そうだよ。辛く悲しい思い……後悔し続けてきた貴方が私……」
「その姿……魔王システムだよね。もしかしてみんなを殺しちゃった未来から来たの?」
「ううん、みんなに救ってもらったよ。だけど親友のあの子は……私が」
トモカの言葉を遮るように私は勾玉で彼女を縛り上げた。今度は精神的に追い詰めようとしてるっていうのかな?だとしたら……
「四葉さん、大丈夫です。心配しなくても……」
「そうそう、あんたは邪魔なんだよね~」
突然赤い影が現れ、首を捕まれたまま何処かへ連れてかれてしまうのであった。
灯華SIDE
突然何かに連れ攫われた四葉さん、今の声ってまさか……
「行かないと……」
「貴方が言っても無駄。戦う力がないのに」
トモカにそう言われ、私はうつむいた。確かに今の私には戦う力はない。だけど……
「確かに戦う力はないよ。どうして私がここに呼ばれたかわからない。でもそれでも私には出来ることがあるから……みんなの帰りを待つことだって、みんなの無事を祈ることだって……そしていまは!!」
私がそう叫んだ瞬間、私の前に黒い影現れ、トモカに何かを向けていた。そう今、出来ることは……
「助けを呼びに行くことだって出来るから……」
「ウミの次はトモカか……目的は同じなのか?」
助けに来てくれた桔梗くんは大鎌をトモカに向けると、トモカは満足そうな顔をしていた。
「流石は私だね。正直必要なかったかな。ねぇ私、貴方はもう魔王システムには支配されない。きっといつか……貴方が祈り続ければ……みんなを……」
トモカは光の粒になって消えていった。もしかして私の試練はこれで終わりって言うことなのかな?
「……灯華」
「何?桔梗くん」
「お前は強いよ。僕達よりもずっとな」
「えへへ、ありがとう」
灯華の試練的なものは終わりましたが、次回、姫野vs彼女の戦いになります