今回のメインは……
園子ちゃんの企画で、チョコを二人あげないといけないのか……何というか普通だったら好きな人に上げなきゃいけないのだろうけど、私なんて思春期真っ最中に神様になったから恋愛やら何やできずに終わったんだよな~
「その点、千景ちゃんが羨ましい!!」
悲しい結末にさせないために、神宮さんも千景ちゃんも犠牲にならないように、私が力を貸した。でも後々話を聞くと場所を選ばずにいちゃついていたとかって……
正直桔梗がそこら辺気をつけてほしいな。
「あ、あの、姫野さん、どうかしたんですか?さっきから考え込んでは大声で叫んで……」
「ふっ、少しね……灯華ちゃんは誰にチョコを渡すか決めたの?もしかして好きな人にとか?」
「いえ、好きな人はいないですよ。ただ……」
灯華ちゃんは私にチョコを渡してきた。これはどういうことだ?そんなに会って間もないのに、なんでこの子は私に渡すのかしら?
「相手間違えてるわよ」
「いえ、こっちに来てから姫野さんには沢山お世話になってるんで、それにあの時私の役目を改めて教えてくれたじゃないですか。その御礼です」
あの時のことか……あれはただ本当に思ったことを言っただけなのに……何というかいい子だな……
「ありがとう。灯華ちゃん。私も渡さないとな~」
二人で裏庭でそんなことを話しているとこっちに美森ちゃんが駆け寄ってきた。
「姫野さん、灯華ちゃん」
「どうかしたの?東郷さん」
「慌ててるけど」
「えっと、色々と事情があって……できれば部室に戻って欲しいんですけど」
何かしらあったのだろうな……多分だけど園子ちゃんあたりやらかしたのだろうな。
「部室に戻るって、風先輩たちも戻ってますか?」
「え、えぇ」
もしかして灯華ちゃんがチョコを渡すもう一人って風ちゃんかな?それだったら私も丁度いいかもしれない。
部室に戻ると何故かW園子ちゃんが正座をさせられていた。うん、やっぱり何かしらやらかしたのだろうな。まぁ助けるべきなのだろうけど今はやめておこう
「若葉ちゃん」
「ん?どうしたんだ?姫野」
私は目的の人物である若葉ちゃんにチョコを渡した。若葉ちゃんは私からもらうのが意外だったのか驚いた顔をしていた。
「ひ、姫野……お前からもらえるとは……」
「別世界だけど色々とお世話になってるからね。まぁ若葉ちゃんだけお世話になってるわけじゃないから、みんなで食べられるようにね」
私が買ってきたのは沢山のチョコが入っているものだった。みんなで分けるようにって言えば園子ちゃんが決めたルールを破ったことにはならない
「姫野さんは優しいですね」
「ねぇ、うたのん。一瞬だけどひなたさんから何か感じ取ったんだけど」
「奇遇だねみーちゃん。私もだよ」
「ねぇ姫野。そのみんなって私達も入ってるのかしら?」
風ちゃんがちょっと不満そうにしているけど、でも特に問題はない。だって……
「はい、風ちゃん。これもみんなで分けてね」
「あ、あんた……よくやるわね」
「こっちに来てからみんなには救けられてるからね。それに……もしかしたら」
私はあることを言おうとしたけど、やめるのであった。きっと彼女たちなら私が思いを託したあの子のことを支えてくれるはずだから……
「もしかしたら……どうしたのよ」
「う~ん、秘密かな」
「秘密ね~まぁ話したくなったら話しなさい」
「あ、あの、風さん。これ……お世話になっているお礼です」
灯華ちゃんも私と同じように風ちゃんにチョコを渡した。まぁチョコを渡したみんなってほとんどの場合感謝の気持ちだったりするわよね。
「そういえばあの子達は誰に渡すのかしら?ちょっと気になるな~」
「あの子達って、姫ちゃん先輩、あの人たちのことですよね~」
「うんうん、気になるよね~一緒に覗きに行こうよ~」
「お前たちは……いい加減懲りたらどうなんだ」
覗きに行く気はないけど、気になるのは本当だな……