花結いのきらめき・二人の勇者の章   作:水甲

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突然現れた三人の少女と共に僕らは樹海から戻ってきた。するとひなた、水都、園子と一緒に見覚えのある少女がいた。

 

「灯華?何でお前が……」

 

「えっ!?桔梗くん、どうしてここに……」

 

「桔梗くんの知り合いでしたか」

 

「それにそっちも何人かと合流したみたいだね」

 

「そうなのみーちゃん、特にこの子なんて殴った瞬間、敵がバーンってなってね」

 

「バーン?」

 

歌野の説明を聞いても、よく分かっていない園子たち三人。というか僕らも何で殴っただけであんな風に爆発したのかわからないし、それにそっちの弓をもった子も風や電気とか自由自在に操ってたし……あとはもうひとり、勾玉を持った子はどことなく誰かに似てる気がするし……

 

「これで全員揃ったのかな?」

 

「あぁ、勇者、巫女含めてな。それでお前たちは一体誰なんだ?海は何だか知ってるみたいだけど……」

 

若葉は海の方を見ながら言うと、海は何かを悩んでいた。

 

「そうね。自己紹介すべきね。私は姫野四葉。若葉ちゃんたちと勇者をやっていたわ」

 

「姫野!?」

 

勾玉を使っていた子の名前を聞いた瞬間、僕は大声を出してしまった。姫野ってまさか……

 

「きょうくんの知り合いなの~」

 

「いや、何というか……その……」

 

正直に言うべきなのだろうけど、言っていいものか……それに彼女は300年前の人間だしな……

 

「ちょっとした知り合いだけど……いやまさか……そんなわけは」

 

「私と知り合いみたいだけど、私は知らないわね」

 

「桔梗、話しにくいなら無理に話さなくていいわよ。言いたくなさそうなのはあんただけじゃないみたいだし」

 

先輩の言うことは分かる。僕もそれに海も多分言いにくそうだしな……

 

「えっと、私は鈴藤灯華です。桔梗くんと同じ世界から来たんですけど……」

 

「灯華もこっちに来るなんてな……」

 

「でも灯華さんは勇者でも巫女の力はないみたいですね。ただ、別の力が……」

 

「えっとそれは……」

 

灯華の場合は、勇者になれなく悪しき心を持った人に利用されて、簡易の勇者システムを使ってたりしてたからな…‥…多分だけどそれの力をひなたと水都の二人は感じ取ってるのだろうけど……

 

「次は私だね。私は………」

 

「ちょっと待った。友海、牡丹、ちょっと来い」

 

海は突然二人の少女の自己紹介を止めると、何か三人で話し始めた。

 

「ここでは僕と東郷の子供って言うことは話さない方が良い」

 

「どうして?パパは私のパパだよ。パパじゃないって言えないよ」

 

「友海、こちらの世界は私達がいた世界とは別の世界だからよ。ここにいる友奈おば様をママなんて言ったら何が起きるか……」

 

「牡丹、わかってるじゃないか。それよりも僕が知ってるお前たちよりも成長してる理由は何だ?」

 

「それは後で説明します」

 

「パパ……やっぱりパパじゃないって言えないよ。パパやママの事、パパとママ以外の呼び方なんて……牡丹だってそうでしょ」

 

「私は………」

 

「くっ、どうすれば……」

 

「海おじ様……負けないでください」

 

何だか小声で何か話してるみたいだけど、何を話してるんだ?すると海はひなたの事を呼んで、四人で話し合いを始めた

 

「どうかしたんですか?」

 

「簡潔に言うとこの二人は僕と友奈の子供で、東郷の子供なんだけど……」

 

「……正直に言うべきではないでしょうね。こちらの友奈さんにそんなことを言ったら意識し始めますから……」

 

「でもひなたおばあちゃん。私、パパのこと……」

 

「おばっ!?これは本当にどうしたものでしょうか……」

 

「もう諦めたほうがいいのでは、友海も頑固ですから説得するのは難しいでしょうし……」

 

「牡丹、諦めないでくれ」

 

しばらく話し合いが続き、海とひなたの二人は何だか疲れた顔をしていた。一体何があったんだ?

 

「私は上里友海です」

 

「上里って……まさかと思うけど、海の子供って事!?」

 

「でも何だか誰かに似てる気がするんですけど……」

 

樹が友海の事を見つめた。すると海はというと……

 

「ま、まぁ、仕方ないだろ。僕の子供なんだから……はは、樹は全く何を」

 

何だか棒読みだぞ海。何かしら隠してるのだろうけど、無理に聞く必要はないだろうな。

 

「なるほどね~」

 

「まぁお二人にぴったりの子供ですね」

 

何故か雪花とひなたの二人は何か納得していた。そしてひなたは最後の一人の方を見ながら、そう言った。この子もまさか誰かの子供って言うわけじゃないだろうな

 

「えっと東郷牡丹です。よろしくお願いします」

 

「あら、もしかして私の?」

 

「はい、子供って言うことになります」

 

「なぁなぁ、それってつまり須美の子供ってことになるよな」

 

「銀、やめなさい」

 

「わっしーのお相手は誰かな~」

 

銀と園子(小)が須美の事を誂う中、僕は別の事で頭がいっぱいだった。

 

(待て、三森の子供……海のいた世界から来たみたいだけど、そっちだと相手は誰なんだ?いや、別に気にするようなことじゃないのだけど、何で苛ついてくるんだ?いやいや待てよ。この牡丹って子、最初に会った時お父様って言ってたよな。それってつまり………)

 

僕はゆっくりと海の方を向き、大鎌を取り出した。

 

「お前、まさかと思うけど……」

 

「桔梗さん、ちょっと待った。何で斬りかかろうとしてるんですか!?」

 

「えっと、何だか勘違いしてますけど、海おじ様は私のお父様じゃないですよ」

 

牡丹がそう言って止めに来た。海じゃないとしたら誰なんだろうか?

 

「まぁお二人については細かいことは聞かないことにしましょう。知ったら知ったで多分ですが、色々と大変ですからね」

 

ひなたがそう言い、彼女たちの自己紹介は終わったのだった。それと同時に海は直ぐ様友海と牡丹の二人を連れて裏の方へと行くのであった。

 

「何だか積もる話があるみたいだし、海は放っておきましょ。私たちは私達で準備を続けましょう」

 

先輩の掛け声とともに僕らは祭りの準備を続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海SIDE

 

僕は友海と牡丹の二人を連れ出し、ある事を聞いた。

 

「ずっと気になってたんだけど、お前ら二人、成長してないか?」

 

僕がここに来る前の二人は確か12歳位だったはずなのに、今ここにいる二人14歳位だ。これってつまり……

 

「やはりおじ様はあの時のおじさまなんですね」

 

「じゃあ今はパパと同じ年なんだね」

 

「私たちがここに来たのは神樹様に導かれて何ですが……」

 

牡丹は何故か作業をしている桔梗さんのことが気になっていた。そういえば合流した時にお父様って言ってたけど……まさか……

 

「パパ、あの人、牡丹のパパだよ」

 

「………はっ!?」

 

いや待て、牡丹が桔梗さんの子供?と言うことはあっちでも東郷と桔梗さんは結婚するって言うことなのか?でもそんな確率……ありえるのか?

 

「あのあんまり悩まないでください。私としてはここでお父様って呼ぶわけには……皆さんに迷惑がかかりますから」

 

牡丹は少しさみしそうな笑顔でそう告げるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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