友奈SIDE
少し時を遡って、勇者部。
「ひなちゃん、何かあったの?」
部室には神樹様によって召喚されたみんなが集まっていた。こうやって皆が集められたということは何か緊急事態でも起きたのかな?
「はい、今日皆さんを集めたのは神樹様の力が戻った影響で、新たな勇者が二人ほどこちらに召喚されたのですが……」
「ちょっと複雑な召喚方法でね。直接こっちに来れなかったみたいなの」
「複雑って……どういうことだ?」
若葉ちゃんが不思議そうな顔をしていた。今までだったら勇者部にみんな来たりか、樹海の中にいたりしたけど、今度はどういう理由なのかな?
「まず召喚されたお二人の事をお話をする前に、皆さんに平行世界についてお話をしましょう」
ひなちゃんが何だか難しい話を始めたけど、あんまり理解できない。えっと……
「樹ちゃん分かった?」
「えっと、あんまり……」
「友奈ちゃん、樹ちゃん、わかりやすく言うとね。私達が生きているこの世界の他に色んな可能性が集まった世界があるの。例えば、バーテックスが現れなくって平和な世界とか、私達の性別が逆になっている世界とか……」
「似たようような世界ってこと?」
「そうね」
うん、東郷さんの説明のお陰で何となく分かった。あれ?でも……
「ねぇ、ひなた。その平行世界とやらと二人の勇者が何か関係あるの?」
夏凛ちゃんも同じことを思ってたみたい。本当に何か関係あるのかな?
「その二人は平行世界の勇者ってなりますね。それもかなり特殊で確率としては物凄く低い世界の勇者です」
「どんな子達よ!?」
「一人は天の神との戦いを終わらせ、天の神と神樹様との道標となった境界の勇者で、もうひとりは女神様の加護を受けた勇者なの」
みとちゃんの言う二人の勇者のことを聞いて、何だかすごい人達だということはわかった。
「まぁどんな子達なのかは会ってからですね。あともしかしたら色々と戸惑うかもしれないんで、ちゃんと説明してくださいね。特に友奈さんと友奈さんのこととか」
「確かにこの二人を見たら双子って勘違いしそうね」
先輩がため息を付いた瞬間、突然アラームが鳴り響いた。これって敵が攻めてきたっていうこと!!
海SIDE
「これで十匹目!!」
三十体いたバーテックスは、僕が倒したので最後みたいだ。それにしても桔梗さんは凄すぎる。気がついたら物凄い速さでバーテックスを切り裂いていってるし……
「お互い怪我はないな。それにしてもお前……樹海の事を知らないのに、どうしてあの姿が変わったバーテックスのことを知っているんだ?」
「えっと、詳しく話すと長くなるんですけど……」
どう説明したものか……僕がここに来るまでの冒険の話をした方がいいかもしれないけど……
「まぁ、詳しい話をしている場合じゃないな……敵の第二陣が来るぞ!!」
次の敵が来たみたいだ。今度は鳥型と魚型、あとは棘が生えたやつ……やっぱりこいつらは造反神の……
「気をつけろ!あの棘付きから何かが来るぞ!」
桔梗さんがそう言った瞬間、数体の棘付きからビームが放たれた。避けるのは間に合わなそうだし、こっちで使えるかどうかわからないけど……
「借りますよ!先輩」
先輩の大剣でビームを防いだ。こっちでもスキルは使えるみたいだな。桔梗さんは避けられたみたいだけど、何でか驚いていた。
「何でお前、先輩の武器を使えるんだ?」
「えっと、これは………」
説明しようとした時、空から何かが降ってくるのが見えた。あの姿は!?
「「勇者キィィィィィク!!」」
桔梗SIDE
本当にこれはどういう事だ?海は先輩の武器を使えるし、空から降ってきた二人組が星屑を一気に殲滅できたのはいいことだけど……何で友奈が二人いるんだ?
「大丈夫?」
「あれ?男の子?」
「何で友奈が二人いるんだよ!?いや、変身した姿はちょっと違うけど……」
「友奈と友奈さんか。やっぱりこっちも似たような……」
海は何故か驚いた様子もなく、平然と受け入れてるし……
「あれ?」
「何だかいつもと違う反応……」
二人の友奈も海の反応を見て戸惑ってるし……
「ちょっと二人共先行し過ぎ!!」
「少しは皆に合わせることを……」
今度は先輩に刀を持った女の子がやってきた。というより勇者部メンバーに見知らぬ五人、銀に、小学生時代の園子と美森もいるし……訳がわからない
「桔梗さん、今は考えないほうがいいですよ」
「いや、何でお前はそんな普通に受け入れられるんだ?」
「慣れてますから」
どんな慣れだよ
「あれ?どっちも男だっていうのには驚いたけど……」
「私と東郷さんを見て戸惑ってるのは鎌をもった人だけですね」
「何だか思ってたのと違う反応だね~」
「友奈を見ても驚いてないし、てっきり友奈がもう一人!?って反応するんじゃないかって思ってたのに……」
「たまっち先輩、今はそんなことを話してる場合じゃないよ。見て、バーテックスが集まって……」
星屑が集まって、巨大な棘付きに姿を変えている。面倒な姿に………仕方ない、使うか
「聞きたいことがたくさんあるから、すぐに終わらせる!!天神刀!!」
天の炎を纏った刀を抜き、巨大棘付きに向かって振った瞬間、炎に包まれながら切り裂いた。
「天の炎に燃え尽きてろ!!」
これで敵を全部殲滅し、樹海化が解けていくのであった。
海SIDE
樹海から戻ると懐かしい勇者部部室に来ていた。なるほど、何処にいてもここに戻ってこれるのか
「おかえりなさい。皆さん、どうやらお二人と合流できたみたいですね」
「うたのん、大丈夫だった?」
「全然ノープロブレム!!それにしてもこの二人凄かったよ」
「それでさ、召喚された勇者が男だっていうのには驚いたけど、何でそっちの子は戸惑ったりとかしないわけ?」
先輩が僕の方を見てそんなことを言っていた。いやだって、慣れてるし……
「それは僕も聞きたい。お前はそこの友奈二人を見ても驚かず、変身を解けた二人のことを見ても驚いてないし……あの変異種みたいな星屑を知ってるし……どういう事だ?」
「えっと、信じられるかどうか………」
本当に長い話になるんだよな……でも説明しないと駄目みたいだし……
説明しようと思った瞬間、突然僕の端末が震えだし、取り出すと中から……
『説明は私の方からしますね』
二頭身のひなたお姉ちゃんが出てくるのであった。
次回は主人公二人のお話のあらすじ紹介的なものになります