花結いのきらめき・二人の勇者の章   作:水甲

18 / 62
17

桔梗SIDE

 

先輩が持ってきた夏祭りの準備の手伝いという依頼。先輩が皆の役割を振り分けてる中、

 

「どれも力仕事ばかりですね」

 

「非力な私達では無理そうですね」

 

ひなたと水都の二人がそんなことを呟いていた。まぁ確かにこの二人だと力仕事は無理そうだな。

 

「あぁ、巫女二人にはある仕事を頼まれてるわ。神社の神事の手伝いをしてほしいって」

 

「神事の手伝いですか。それだったら」

 

「私達にも出来ますね」

 

「それと東郷、あんたって巫女の素質があるって言われてたわよね。あんたもやってみない?」

 

「私もですか?」

 

「わぁ、東郷さんの巫女姿見てみたい」

 

うん、友奈の意見には賛成だ。僕も美森の巫女装束は見てみたい。

美森は何故か僕の方を見ていた。やってみたいならやればいいのに……

 

「まぁ何事も経験って言うし、やってみたらどうだ?」

 

「そ、そうね。友奈ちゃんと桔梗くんが言うなら……」

 

「何だか~わっしー」

 

「きょうくんは対わっしーキラーだね~」

 

「乃木、あんたらが言おうとしていること分かるけど、東郷の事を怒らせないようにね。でも、巫女服、東郷の分まであるかしら?」

 

「いや、神社なんだから余分にあったりするんじゃないか?」

 

「桔梗、言い方を変えるわ。東郷サイズがあるかしら」

 

あぁ、うん、一部大きいからな……きつかったりしたら大変だからな……

 

「桔梗くん、変なことを思ってるでしょ」

 

「桔梗、あんたは……」

 

美森は胸を抑えながら、夏凛は殺気のこもった目で僕のことを見ていた。すると雪花はというと……

 

「まぁ、桔梗も男だからね。それにね」

 

「雪花、何を言いたいかわからないけど、黙っててくれないか?」

 

「ありゃ、ごめんなさいね」

 

雪花の奴、分かってて言ってるから、正直疲れる。すると海がいつの間にかいなくなってることに気がついた。

 

「なぁ、海は?」

 

「あれ?そういえばいつの間に?」

 

「何だ?薬の影響がなくなってて、また女になったのか?」

 

「それなら着替えにでも……」

 

「いや、女になってないし、着替えもしてないからな」

 

海は何かを持って、部室に入ってきた。一体何処に行ってたんだ?

すると海は持っていたものを東郷に渡しあることを告げた。

 

「一応試着してみてくれないか?」

 

「試着?」

 

「巫女装束の」

 

『んん!?』

 

その場にいた全員が驚きの声を上げていた。海、一体どういうことだ?東郷は部室から出ていき、少しした後に……

 

「あの、海くん。この巫女服……サイズぴったりなんだけど……」

 

「急いで作ったからどうかと思ったけど、ぴったりなら大丈夫だな」

 

「なぁ、海、作ったっていうのはどういうことだ?」

 

「まさかと思うけど、あの巫女服……」

 

若葉と千景の二人が海にそんなことを聞くと海は……

 

「僕が作ったんだけど、サイズとかもだいたい見れば分かるし……」

 

海の発言を聞いた瞬間、若葉、夏凛の二人に頭を叩かれるのであった。というか見ただけでサイズが分かるって、色々と凄いな海のやつ……

 

「ま、まぁ、衣装に関しては何とかなったからいいんじゃないの?それと海、そう言うことはあんまり人に言わない方が良いわよ」

 

「わ、分かりました………」

 

海は頭を抑えながら、そう呟くのであった。それにしても夏祭りか……ちょっと懐かしいな……

 

「あれ?」

 

「あら?」

 

ひなたと水都の二人が急に何かを感じ取っていた。何かあったのか?

 

「気のせいかな?」

 

「どうでしょう?気配は感じましたが……どうにも感じ取りきれないですね」

 

まさかと思うけど、二人が感じ取っているのって、また新しい勇者がこっちに来た関係なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうにもここは歪ね……」

 

街中を歩く灯華と四葉の二人は、この世界のことを調べていた。

 

「歪……ですか?」

 

「えぇ、何となくだけどね……それで貴方は何か分かった?」

 

「はい、この街並み……私がいた時代ですね」

 

「やっぱりね……さてどうしたものかしら?この世界の一部だけど、どうにも行けそうだけど行っちゃ駄目なところもあるし……」

 

「どういうことですか?」

 

「ある区域の前に行くとやばいかなって……」

 

本当に何となくだが、四葉はこの世界の何かを感じ取っていた。これが自身に宿した精霊の力の影響なのかもしれないと四葉は思うのであった。

 

「とりあえず今は何かしら事情がわかってる人を探しましょう」

 

「そうですね……」

 

二人は先へと行こうとすると、曲がり角で誰かとぶつかったのだった。ぶつかった相手は四葉と灯華と同じくらいの少女二人だった。

 

「あいたた、大丈夫?」

 

「あ、ごめんなさい」

 

「もう友海は……本当にすみません」

 

「大丈夫だよ。でも、曲がり角は走ったりしたらぶつかって危ないから気をつけてね」

 

「はい」

 

「ん?ねぇ貴方、友海ちゃんだっけ?誰かに似てる気が……」

 

「はい?」

 

「あれ?そういえばそっちの子も……誰かに……」

 

「ねぇ、牡丹、この人達……もしかして……」

 

「うん、私達と同じ状況の……」

 

 




短めですみません。

更に追加参戦として友海と牡丹の二人登場です。この二人は海の時間軸的にはちょっと未来から来たことになります

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。