皆で海水浴もとい防衛戦に来てから次の日、ひなたお姉ちゃん、水都さんの指示で敵の動きが微妙のため待機を命じられた。
「それにしても場所が場所だから樹海に海があるのかな?」
「どうだろうな?私達もこういった場所での戦闘はやったことはないからな」
若葉さんにもわからないみたいだけど、もしも樹海に海があったら水中戦とかやる羽目になるのかな?
「何でこういう時に水関係が得意なあの人がいないんだか……」
水の女神だったら殆どの場合、無双できるんじゃないのかな?いや、あの人の場合怯えたりしてそうだな……
そんなことを思っていると突然樹海化警報が鳴り響いた。僕らは勇者に変身して樹海へと行くのであった。
敵の数は多いが、何故かいつも以上に棗さんが張り切っていたおかげで、そこまで苦戦はしなかった。
「何だか鬼気迫るって感じですね」
「いつにもなく張り切ってるしね」
「多分、棗さん。海を守りたいって気持ちでいっぱいだからじゃないかな?」
「だとしてもあの調子じゃ持たなそうだな」
僕、樹、雪花さん、友奈の四人でそんなことを言っていると、更に増援が現れた。
「ハアアアアアアアア!!」
「待て!!」
敵に突っ込もうとした棗さんを若葉さんが止めに入るが、棗さんは若葉さんを突き飛ばした。ちょっとこれはまずいかもしれないな
「あっ!?すまない」
「いや、大丈夫だ。棗さん、少し落ち着いたほうがいいんじゃないのか?海を守りたいという気持ちはわかるが、貴方一人で戦ってるんじゃない。ここはチームプレイで……」
「そうだな……すまなかった」
棗さんは素直に謝る中、海の中から巨大なバーテックスが出現した。というかこの大きさは反則だろ
「敵は海の中から攻撃してくるし、おまけに厄介なことにアイツが動く度に波が……」
「海、お前は異世界で水中戦とかやったことないのか?」
「ありませんよ。水が得意な人がいましたけど……でも、こういう時は……」
僕は樹のワイヤーを取り出し、海の中に入れた。
「海くん、何を?」
「なるほどね。それだったら樹!手伝いなさい」
「えっ?夏凛さん、どういうことですか?」
「いいから、早く」
「は、はい」
夏凛は僕のやろうとしていることに気が付き、樹にそんな指示を出した。流石は夏凛だな。
しばらくしてから僕と樹の二人のワイヤーが何かに引っかかった。
「樹!!」
「はい!!」
「「せーーーーーのっ!!」」
僕と樹の二人が同時にワイヤーを引き上げると、海の中にいたバーテックスが一本釣りされた。こういう海の中にいる奴らは一本釣りが一番だな。
「後は任せろ!!」
「行くわよ!!」
空に上ったバーテックス目掛けて、若葉さんと先輩の二人が同時に切りつけ、更には追撃に夏凛と千景さんが斬撃を喰らわした。
「棗!!とどめ!!」
「あぁ、行くぞ!!」
棗さんがバーテックスに接近し、凄い一撃を喰らわし、巨大バーテックスを消し去った。
「残りは星屑だけだな」
桔梗さんは大鎌を構える中、僕は何かの視線を感じ、辺りを見渡すと遠くの方に3つの影があった。3つの影は僕が気がついたことが分かると直ぐ様姿を消した。
(様子見って事か?本当に厄介だな……)
僕はとりあえず迫りくる敵を撃退するのであった。現状奴らを倒すにはあの人の作戦が必要だからな……
無事バーテックスを倒し、防衛戦は僕らの勝利で終わり、みんなが海水浴を楽しむ中、僕はと言うと……
「連絡はないか……」
あっちのお姉ちゃんから連絡を待っていたけど、未だに来ない。何だかあの時の奴らをみてから、だんだん焦ってきた。まさか時間が経つにつれて、強くなっていく存在だったら厄介だな。
「どうしたものか?」
「何が?」
突然声が聞こえ、振り向くとそこには水着姿の友奈がいた。僕は咄嗟に胸の方に目をやってしまい、顔を背けた。
「い、いや、ちょっとな……」
「もしかして桔梗くんや千景ちゃんみたいに、海くんのバーテックスが現れたこと気にしてるの?」
「ま、まぁそんなところだよ」
「大丈夫だよ。もしも戦うことになったら皆で力を合わせよう。ね」
友奈は笑顔でそう言うのであった。確かに皆で力を合わせれば……
「所で何で顔を背けてるの?」
「いや………」
言えない。水着姿を見て、緊張しているって……
「も、もしかして水着ズレてる?」
「そういうことじゃない。ただ……皆とこういう風に海水浴とかあまり経験がなくって、水着姿とか見慣れなくって……」
「あっ、そっか……海くん、男の子だもんね」
友奈は顔を赤らめながらそう言うのであった。いや、正直には言えないよな。好きな女の子の水着がまぶしいって……
「でも折角だから一緒に遊ぼう。遊べば気にならなくなるから」
友奈は僕の手を引きながら浜辺まで連れて行くのであった。やれやれ、これは本当になれるしかないな。
今回で海水浴イベントは終了です。次回はちょっとした日常編をやります