花結いのきらめき・二人の勇者の章   作:水甲

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千景さんの水着は後からやってきた若葉さん、夏凛、樹の三人と協力して取り戻すことに成功したが、僕はウミに出会ったことをWひなたお姉ちゃんと水都さんに話した。

 

「なるほど、桔梗くん、千景さんの他にも海くんのバーテックスが……」

 

『それに彼はこうも言っていたのね。数ある世界の中で勇者になり、散った存在だと……そしてそれは海くんも……』

 

「平行世界の自分ということだよね。おまけに僕の場合は異質だって言うし……」

 

「もしかしたら、世界の数だけああいうバーテックスがいるってことかな?」

 

水都さんの言葉を聞いて、嫌な想像をしてしまった。自分と似たような姿をしたやつが大量にいて、襲い掛かってきたら……

 

『海くん、もしもまたやつと遭遇した時は一人で戦わず、皆と協力して下さいね。下手すれば命だって……』

 

「一人で戦う気はないよ。桔梗さんの話じゃ、満開も使ってきたっていう話だし……」

 

桔梗さんがそいつと戦った時は、満開同士の戦いになったらしい。もしかすると奴らも満開や切り札を使ってくるかもしれない。

僕も自分の切り札と満開は使えるけど、あっちみたいにすぐに後遺症が治ったりするとは思えないからな……

 

「とりあえず今は防衛戦に集中しましょう」

 

「そうだね。海さんも防衛戦について考えてください」

 

「分かりました。それと小さいお姉ちゃん」

 

『なんですか?』

 

「ちょっとあることを頼みたいんだけど……」

 

『?』

 

今後の事を考えて、対策を練る必要がある。そういう事を考えられる人は一人だけ思い当たる。まぁ、考えてくれるかどうかはわからないけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、僕らは海へとやってきた。みんな、海だからかいつもとテンション高めで、珠子さんと銀は思いっきりはしゃいでるし、棗さんなんて服を着たまま海に入っていくし……

 

「なんでこう、皆団体行動が出来ないのかしらね?」

 

先輩はため息をついた。何だかんだ勇者部の部長だな……色々と苦労がたえないみたいだ

 

「先輩、テントとかの設営はやってきますから、遊んできていいですよ」

 

「こういう時は男の僕達を頼ってください」

 

「海、桔梗………ありがとうね。でも、あんた達は遊ばないの?」

 

「僕は泳いで遊ぶよりのんびりしてる方がいいので……」

 

「僕はそもそも泳げないです」

 

桔梗さんって泳げないんだ。もしかして義手のせいとか?

 

「ありゃ、義手で泳げないとか?」

 

「いや、元々泳げないです。海は?」

 

「僕はまぁ泳げますけど……今日のところは準備とかに集中しますんで……」

 

「そう、それじゃ頼むわね」

 

先輩は僕らにテントとかの準備をお願いし、着替えに向かった。僕と桔梗さんは準備を直ぐ様終わらせ、テントなかでのんびりと過ごしていた。

 

「海、別に僕に付き合うことはないんだぞ」

 

桔梗さんはスケッチをしながら、そんなことを言ってきた。

 

「あの、邪魔でした?」

 

「いや、そういう訳じゃないんだが………もしかして気を遣ってるのかと思ってな」

 

「う~ん、気を遣っていると言うわけじゃないんですけど……ちょっと色々と恥ずかしくって……」

 

「恥ずかしい?」

 

「なんでこうみんな、水着って言うと露出が高めになるのかなって……」

 

変な所に目線がいってしまい、遊ぶに遊べない。何だか僕ってまだまだ子供なのかな?

 

「………お前、友奈と混浴してる割にはそういうの気にするのはどうかと思うぞ」

 

「いや、あの時は緊張していて……」

 

よくよく考えれば、水着よりもアレは恥ずかしいよな……だとしたら……

 

「あれ?桔梗くん、海くん、遊ばないの?」

 

すると水着にパーカーを羽織った友奈と水着の東郷の二人がかき氷を持ってやってきた。

 

「僕は元々泳げないから、荷物番とスケッチを楽しんでるよ。海は……」

 

「ぼ、僕は準備とかで疲れたから……少し休んでる」

 

ごめん、無理だ。温泉のときよりも余計緊張してしまう。というか何なんだよ友奈の水着は……可愛すぎだろ

 

「そっか……じゃあ戦いが終わったら遊ぼうね」

 

「桔梗くん、絵ができたら見せてね」

 

「あぁ…」

 

二人が去っていくのを見届けると、桔梗さんは僕の肩を叩き、

 

「海、ヘタレだな」

 

「うるさい!!」

 


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