花結いのきらめき・二人の勇者の章   作:水甲

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海SIDE

 

海水浴の話から次の日のこと、何故か僕と桔梗さんの二人は先輩に言われて、水着売り場に来ていた。

 

試着室の前には僕らの他に、先輩、千景さん、友奈、友奈さん、東郷の五人が来ていた。

 

「なぁ、海」

 

「なんですか?桔梗さん」

 

「何で僕らも付き合わされてるんだ?僕らの場合、水着はもう準備終わってるし……」

 

「知りませんよ。僕らを連れ出した先輩に言ってください」

 

「ほら~そこの男子二人。何を話してるかわからないけど、千景の水着見て上げなさい」

 

先輩に言われるまま、僕と桔梗さんの二人は水着の試着をした千景さんの方を見た。

 

「………あんまりジロジロ見てほしくないのだけど……」

 

「あっ、ごめん」

 

「すみません」

 

桔梗さんと僕は顔を背けた。流石にこういった場面で気の利いた言葉を言うべきなのだろうけど……全然思いつかない。というか僕としては温泉での出来事を思い出してしまい、余計顔を見れない

 

「その水着だったら、傷も見えないだろうし、おまけに男子なんてそんなことよりも千景の魅力で目を背けるしね」

 

「そ、そんな事は……」

 

「グンちゃん、可愛いもんね」

 

千景さんと友奈さんが楽しげに話す中、先輩、友奈、東郷は僕ら二人に小声で話してきた。

 

「悪かったわね。付き合わせて」

 

「郡さんの件もだけど、二人共、昨日突然いなくなったから、友奈ちゃんが心配してたのよ」

 

「もしかして海くんと桔梗くん、海水浴とか嫌いなのかなって?」

 

「いや、嫌いではないし……桔梗さんが水着の話とかになると僕らの肩身が狭くなるからって……」

 

「仕方ないだろう。でも、友奈や美森に気を使わせて悪かったな。それに先輩もお疲れ」

 

何だか色々と気遣ってくれる辺り、世界が変わっても友奈は変わらないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水着も無事買い、僕らは一旦学校に戻ろうとしたときのことだった。突然僕らの横を何かがものすごいスピードで通り過ぎた。

 

「何だ?」

 

「今のはバーテックス!?」

 

「待って、ぐんちゃんの水着が!?」

 

「「はい?」」

 

どういうわけかバーテックスが水着泥棒を!?というか通り過ぎた時に引っかかったのか?

 

「とりあえず追うわよ!!」

 

僕らは勇者に変身し、バーテックスを追いかけるのであった。

 

 

 

樹海に入り、水着泥棒のバーテックスを追うが、物凄い速さで追いつけない。

 

「こういう時樹がいれば捕まえられるのに!?」

 

「そうだ!海くんなら……」

 

「任せろ!!」

 

僕は友奈さんの指示通り、ワイヤーを取り出し水着泥棒を捕縛しようとした瞬間、空から突然何かが降ってきて僕の攻撃を遮った。

突如現れたのは僕に似たバーテックスだった。あれって………

 

「桔梗さんと千景さんみたいな………」

 

「こういった場面で出てこないでほしいものね」

 

先輩が呟くと、そいつ……ウミは僕の方をじっと見つめた。

 

『お前は……僕?僕なのか?』

 

「似たような感じですね。とりあえずこいつの相手は僕がするんで皆は先に行ってください」

 

「でも、海くん一人で……」

 

「友奈。安心しろ。負けるつもりはない」

 

「友奈ちゃん。行こう」

 

「うん」

 

皆が先に行くのを僕とウミはただ見届けていた。てっきりこいつ邪魔をするんじゃないかって思ったけど……

 

「邪魔はしないのか?」

 

『邪魔?するつもりはない。ただお前と俺の戦いを邪魔をするやつがいなくなるのは都合がいい』

 

「都合がいいか…それだったら!!」

 

僕は白月を取り出すと、ウミも白月に似た刀を取り出した。まさかと思うけど、こいつも僕と同じ能力を持ってるのか?

 

「行くぞ!!」

 

僕は斬りかかろうとした瞬間、咄嗟に友奈の鉄甲に変え殴ろうとしたが、奴は大剣を取り出して防いだ。やっぱりこいつの能力……

 

「武器の切り替えの速さも同じか……」

 

『同じ能力……それが俺たちの力だ』

 

桔梗さんから奴らのことをある程度聞いていたけど、本当に同じ力を持ってるんだな。

 

「お前らは造反神に作られた存在なんだろう?何が目的だ?」

 

『………数多くある世界の中で僕らは生まれた。キキョウやチカゲ、他の奴らも同じだ』

 

他の奴ら……まさかと思うけどこの世界にいる勇者に似た奴らがいるって言うことか

 

『キキョウや俺は数多くある世界で勇者になり、そして散った存在。造反神は俺達に肉体を与え、新たな人生をくれた。だけどお前たちは邪魔なんだ』

 

奴は樹の武器を取り出し、生太刀、大剣、夏凛の刀、銀の斧にワイヤーを縛り付けて自由自在に操っていた。僕は攻撃を避け続けるけど……

 

「能力の使い方が僕よりも上だと!?」

 

『同じ能力が使えるだけじゃない。経験的には俺のほうが上だ!!』

 

4つの武器の攻撃を僕は大剣で防ぐが、中々重い一撃だった。本当に厄介な存在だな。

 

『数多くある可能性の中でお前は異質。女神の加護を受けて、勇者の力を使えるみたいだが……それでも俺はお前よりも上だ』

 

奴はそう告げて、姿を消すのであった。本当に厄介な存在だな。

 

とりあえず周辺に敵がいないか確認し、僕は皆と合流しに行くのであった。それにしても僕にも奴らみたいなものが現れた。どうにかしないとな

 




ウミ・バーテックスの登場でした。次回もまだまだ海水浴回は続きます

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