桔梗SIDE
さてこれはどういう事だろうか?さっきまで海岸で絵を描いていたはずなのに、気がついたら街中にいた。
「一体何が起きてるんだ?」
讃州の街なのにどこか歪だ。一体ここは何処なんだろうか?そして一番気になるのは僕の目の前で眠っている彼は誰なのだろうか?
「ん……ここは……」
彼は目を覚まし、すぐにあたりを見渡した。そして僕と目があった。
「えっと………ここはどこですか?」
「讃州市みたいだけど、何か変な感じがする」
彼はすぐに自分が置かれている状況を把握していた。だからこそ近くにいた僕にそんなことを聞いたのだろうな
「確かに貴方が言うように変な感じという……というよりかは歪な感じですね」
どうやら彼も感じ取っているみたいだな。とりあえず今すべき事は……
「僕は神宮桔梗」
「上里海です………神宮?」
「上里?」
上里って乃木に並ぶ大赦のトップの家系のはずだ。僕も何度か会ったことがあるけど、確か上里海って………女の子じゃ……
海SIDE
目の前の男の人の名前には物凄く聞き覚えがある。確か上里家と乃木家よりかは下だけど大赦ではかなりの発言力がある家の人だけど、神宮桔梗って、須美と同じくらいの歳の子じゃなかったっけ?
「というかもしかしてバニルさんが言っていたのってこのことだったのか?」
「バニル?」
「ごめんなさい。こっちの話です。あの桔梗さん、ここに来る前に何か聞いたりしました?例えば言葉じゃない声とか……」
僕がこっちに来る前に聞いた言葉の後に、ここに来ていた。もしかしてそいつが原因ということになる
「聞きなれない言語だったけど、まさかそれが原因というわけじゃないだろう?」
「もしかしたらですが……とりあえずゆっくり話せる場所に行きましょう。お互い何かに対して気になっているみたいですし」
さっき僕の名前を聞いて、何か不思議そうにしていた桔梗さん。ここは互いのことを知るべきだと思い、提案してみた。桔梗さんもそれに賛成し、僕らはゆっくり落ち着ける場所に向かおうとしたときだった。
突然端末からアラームが鳴り響いた。
桔梗SIDE
このアラームは……樹海化警報!?どういうことだ?もうバーテックスは襲ってこないはずなのに……この歪な世界に関係してるのか?
街中の景色から色とりどりの木のが集まった世界、樹海に訪れた僕ら……
「お前、樹海に来れるのか?」
「樹海?ここがそうなの?」
海は樹海の事を知らないのか?さっきもアラームを聞いてすごく驚いていたのも気になる。まぁ今はそんなことを考えている場合じゃないな
僕らの前には30体ほどの星屑がいた。中には見たことのない星屑もいるみたいだけど……
「あのバーテックスは……まさか……でも、僕がこっちに来ることはないって……」
「何か知ってるみたいだな。詳しいことを聞きたいけど、今はこいつらを片付ける。戦えないなら下がってろ」
僕は勇者の姿に変わり、大鎌を構えた。久しぶりの戦いで体が鈍ってなければいいけど……
「桔梗さん、勇者だったんですね。それなら僕も……」
海もまた眩い光に包まれると白い衣装に着替え、手には白い刀を持っていた
「お前も勇者だったのか?でも、何で樹海のことを知らない?」
「詳しい話は後で、今はこいつらを片付けましょう!!」
「そうだな」
僕と海の二人は互いに武器を構え、迫り来る星屑を切り裂いていくのであった。
プロローグなのでかなり短めです。
次回は勇者たちと合流です