Fate/SnowScene Einzbern   作:アテン

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投稿がだいぶ遅れてしまってすみません。
いろいろな都合が舞い込んでしまって大幅に遅れてしまいました。
なにぶん、不定期投稿なものですがどうかお付き合いいただけると助かります。


それではどうぞ!


第五夜 計画実行

トラックでの一件で、物語の主人公である衛宮士郎に出会った俺ことバーサーカー。

子どもを救った時に、不幸にも士郎にサーヴァントとしての人間離れした力を目撃されてしまった。

目の前の摩訶不思議な光景を目の当たりにした士郎は当然、俺に何があったのかと問いただしてきたが…。

ちょうど空腹を覚えていた俺の腹が音を鳴らしてエネルギー摂取を要求してきた。間が悪いにも程がある…助かったけどっ!

それに対して士郎は緊張が解れたのか、腹ごしらえの出来る場所を提供してくれると言い、俺たち二人はそこを目指した。

 

 

 

 

 

 

そして今、たい焼き屋の目の前で何にしようかと選んでいるわけだが…。

 

 

 

 

 

「うーん、これいいなぁ。でも、イリヤがこれ好きとは限らんしなぁ…。」

 

「なぁ、そろそろ決まったか?メニュー見てから結構時間経っているぞ?」

 

 

着いてから数十分。たくさんのたい焼きの写真が並ぶ目の前で唸っていた。

そんな俺に横で、少しだけうんざりしたように士郎が問いかけてくる。

だって仕方がないじゃない!このたい焼き屋、レパートリーが多いんだもの!

 

小豆餡、白餡だけでなく、チョコレートやストロベリー、抹茶やカスタード。

中にはチーズとベーコンと…――――リゾット?なんかやたらと変なのがたくさんあるけど…美味いのかそれ…?

うーん、悩むなぁ…こうもたくさんのたい焼きが並んでいると、その中で厳選されたものを買わなきゃならんという悔しさ!

 

 

「くそ…俺に店ごと買える財力があれば…!!」

 

「店ごと買っても、たいやき作れなきゃ意味ないだろ……」

 

 

 

ぐぬぬ…拳を握り締めて悔しがりながら言う。それに対して、はぁ…とため息を吐きながら呆れる士郎。

 

 

 

「うーん、選べそうにないな…若いの、君のおすすめはあるかいな?」

 

「若いのって……あんたも俺とそう歳が変わんないと思うけど…」

 

「そないなことどうでもええねん。早くおすすめ教えてくれハーリーハーリー。」

 

「なんで急に中途半端な関西弁になったんだよ…」

 

 

ぶつぶつと喋る彼を俺は急かすように促す。

やれやれ、と手を広げながらメニュー欄を眺める彼に少しだけ“アイツ”の姿と被ってしまったが。

頭を横に振って意識を戻す……いかんいかん、これから本格的に聖杯戦争が始まるっつーのに。

 

 

英雄時代で鋼の精神力を培ってきたと思ってきたんだが…。

 

 

まだまだ未熟だな…ジェラルに今の姿を見られたら笑われるだろうな。

気を引き締めていこう。

 

 

「そうだなぁ…たくさんあるけど、俺はやっぱり小豆餡のほうが良いかな。

 定番かもしれないけど、餡の甘さが程よくて飽きない美味さがあるからさ。」

 

「へぇ…じゃあ、それにするわ。おやじさん、小豆餡5つ頼む!」

 

 

 

たい焼き屋の主人に頼むと、すぐに「あいよ!」という気前の良い声を発すると奥に引っ込んでいった。

 

 

 

「いいのか?俺の勝手な主観だぞ?」

 

「いいんだよいいんだよ。お前が決めたやつが美味そうに聞こえたからな。」

 

 

そんなやり取りをしているうちに、奥のほうから店の主人が戻ってきた。

たい焼きが入っているだろう紙袋を手に持っていた。どうやら、焼きあがったらしい。

俺は、イリヤから貰った金を主人に手渡して、釣銭と共に紙袋を受け取った。

うぅーん、たい焼きの温度が温かいな。それと香ばしい匂いが鼻孔を刺激して、より一層食べたい気持ちを促進させてくるなぁ。

 

 

「そんなに買って、全部食べるつもりなのか?」

 

「まさか。んなわけあるか、これは世話になっている奴への土産なんだよ。」

 

 

 

ま、一つくらいは俺が食うけどな。

 

 

 

「そういえば、あっちに公園があったな…そこで食うかな。」

 

 

原作でも、よく士郎が行っていた遊具のある公園があったのを思い出した。

聖地巡りの一環と魔力補給の為にそこで食うことにしよう!

そこまで思いついたら、目的地へ向けて足を進ませていた。

 

 

「あっ、ちょ――――…どこへいくんだよ。」

 

「たい焼き食いに。お前もこいよ!」

 

 

なんか話したいこともあるみたいだし。

士郎と話してみるのも悪い気もしないし、というかしてみたかったし!

計画の範疇にはなかったけど、まぁ大丈夫だろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず。俺は、士郎と共に公園を目指すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

俺の名前は衛宮士郎。

冬木市の穂村原学園に通う、ごく普通の高校二年生だ。

今日は学校の授業が終わってから、夜の食材を買いに行っていたんだが…。

その帰り道で、道路に飛び出た子どもとトラックの衝突事故が起きる寸前の光景を目の当たりにする。

俺は、その子どもを助けようと駆け出すが、どう見ても間に合わない。

 

 

 

このまま、何も出来ずに目の前で子どもがトラックに跳ね飛ばされる姿を思い浮かべることしかできなかった。

 

 

 

その時、俺はもう一つの衝撃と出会う。

 

 

 

今にもトラックに轢かれそうになっていた子どもが、その場から姿を消した。

忽然と、痕跡も残さずに煙のように消え失せた。

俺は、驚きのあまり呆然と立ち尽くした…それは、周りの人間も同じようだった。

トラックが視界を通り過ぎると、そこにいたのは――――――――…

 

 

 

 

 

 

消えた子どもを地面に降ろしている、この黒いパーカーの男だった。

 

 

 

 

 

 

瞬時に、この男が子どもを救ったのだと理解した。

同時にどうやったのかと疑問も生まれた。誰もが動けなかった間に合わなかった状況で何故あいつだけが…?

そして、誰もが彼の動きを黙視することができなかったことも…それら全て含めておかしい。

だから、俺はあいつのこと知りたいと思った。

 

 

 

突然だが、俺は正義の味方を志している。

 

 

 

じいさん……10年前に起きた冬木の大火災で孤児となった俺を養子にしてくれた男がいてな。

名前は「衛宮切嗣」。ボサボサな髪に不健康そうにやつれた顔、曇った瞳をした…おおよそ常人とは思えない外見をしてた男だった。

だけど、純粋で優しくて―――…きれいな心を持っていた人だった。

いっつも家にいなくて留守にしがちだったけど、俺は誰よりも親父の事を慕っていた。

 

 

 

俺は親父のようになりたかった。

 

だから、魔術も無理言って何度も頼み込んで少しだけ教えてもらった。

 

 

 

けど、その五年後に親父は病気で死んじまった。

 

 

 

もともと、不健康そうだったけど…死ぬような人には思えなかった。

でも、日に日に衰弱していっているようには感じてはいた。

親父が死ぬ寸前の間際、俺たち二人は家の縁側で夜の闇を明るく照らす綺麗な月の下で最後の話をした。

 

 

 

 

その時、俺は親父から「正義の味方になりたかったんだ」と告げられた。

 

 

 

 

初めて、親父が告げたなりたかったもの…願い。

 

その時の親父の眼はいつものように曇ってはおらず、まるで少年のような…それでいて遠い、遠い、澄んだ眼をしていたように思った。

 

今まで、見たこともなかった姿…その親父の姿が、願いが…俺は、なによりも綺麗だと思った。

 

 

 

だから―――…じいさんの代わりに正義の味方になると言った。

 

 

 

気付けば、子どもの頃の俺はそんな事を言っていた。

…なんでそんなことを言ったのかは分からない。でも、俺が代わりに叶えなきゃと思ったんだ。

あんな風に願っていた、じいさんの夢を終わらせたくなかったのかもしれないな。

俺がそういうと、じいさんは驚いたような表情をした後…。

 

 

 

 

 

“ああ……安心した。”

 

 

 

 

 

それが親父の……衛宮切嗣の最後の言葉だった。

 

それだけ言うと、親父は力尽きたように、それでいて安らかに死んでいった。

 

眠るように。もう一度だけ、淡い夢を見るように…。

 

 

 

 

この黒い男と出会った時…俺は、不意にじいさんの姿を思い浮かべた。

 

顔も性格も、なに一つ似てはいない。全くの別人。

 

でも、トラックから子どもを救った、あの背中が……ひどく、親父の姿を思わせた。

 

 

 

 

だから、知りたいと思った。

どうやって子どもを助けたのかも含めて――…この男のことを。

 

 

 

 

「――――…い。おーい。聞いてんのかぁ?少年。」

 

「っ!?あ、ああ、悪い…少しぼーっとしてた。」

 

 

視界に男の顔が入ってきて驚いた。

少しだけ怪訝そうに、そして何かを見透かしているように俺の顔を覗き込んでいた。

…なんだろうこの、考えている事を分かっているかのような表情は。

全部、理解した上でそれ以上の追及はしないといった感じ…何か釈然としないな。

男は公園のベンチに座って、さっき買ってきた紙袋から一つ取り出し―――…

 

 

「ほれ。お前も食え。」

 

「わわっ!?」

 

 

ポイッとこっちへ投げてきた。

うわ危なっ!?食べ物を投げたりすんなよ…。

 

 

「いいのか?俺が貰ってさ。お土産で勝ったんだろ?」

 

「ああ、渡す人数分買ったから気にするな。それはお前にやるつもりで買ったんだ。」

 

 

いいから気にしないで貰っとけ。と男は自分の分も紙袋から取り出し始めた。

そうか、じゃあ有り難く貰っておくかな。

 

 

「じゃあ、貰っとくよ。ありがとう。」

 

 

おう。と軽い返事が返ってくる。

俺はそれを耳に入れつつ、たい焼きを頭から一口頬張る。

…うん、いつもと変わらない予想通りの美味しさだ。

 

 

「うめー!これ、すげぇ美味いな。」

 

「だろ。結構、おすすめだぞ。あそこのたい焼き屋。俺もちょくちょく行ってるからな。」

 

 

ほぉふ。と食いながら返事を返してくる。

食べながら話すなよ…口にあんこ付いてるし。

 

 

「っんく。へぇ、若いのはグルメだねぇ。」

 

「そんなんじゃないけどな。というか、お前も若いだろ…って、これさっき言ったな。」

 

 

 

ほおはっへ?と、また口にたい焼きを詰め込んで返答してきた。

 

 

 

「それで…早速、本題に入るけどさっきのやつどうやったんだ?

 誰にも気付かれないで、それもトラックに轢かれる寸前の子どもを―――」

 

 

俺が質問すると、たい焼きを口に運んでいた手を止めて黙り込んだ。

…やはり重大な秘密でもあるのか?あの人間離れした動きには何かが――――…

 

 

「お…お…」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

「俺に質問するなぁッ!!」

 

 

 

 

 

……。

 

いや……なんて言うか。

 

 

 

「なんでさ…」

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

キターッ!!伝家の宝刀の「なんでさ」!!

いやぁ、やっぱ士郎はコレだよね!Fate の世界へ来たって実感やっとしたわ。

英雄時代じゃ、“あいつ”言ってくれなかったからなぁ。ずっと期待してたのに…。

問いかけの返事を咄嗟に仮面ライダーにしたのは悪かったと思ってる。反省はしてないけどなッ!!

…すいません。言いたかっただけですハイ。

 

 

まぁ、話を戻して。

 

 

俺の予期せぬ返答に士郎は怪訝そう……いや、腫れモノでも見るかのような目をしていた。

やめろ…そんな目で俺を見るなぁ…!!まぁ、俺のせいなんですけどね。

さて、どうする?本当の事なんざ当たり前に言えないし。

 

 

「あー、アレだ。火事場の馬鹿力っつー?体が勝手に動いたんだよ。」

 

「勝手に動いたって…」

 

 

 

納得のいかないと言った顔の士郎。

 

 

 

「ホントだって。咄嗟に動いただけだから詳しくとか言えないんだよ。」

 

「……うーん。」

 

 

納得しろよこいつ…。

原作の士郎って疑い深い性格だったっけ?

 

 

「まぁ…いいか。」

 

 

あれ?

納得してくれた…?、いや。というより諦めたと言うべきか。

顔を見たらわかる。あれは諦めたな…助かったけどさ!

まぁ、いいか。これ以上触れないでおこう…自分で墓穴掘る前にやめておきましょう。

 

 

「…てか、なんでそんな事を聞くんだよ?お前に何か関係でもあるのか?」

 

「…関係って言うか。なんていうか――――…」

 

 

 

おや…士郎の顔が曇ったぞ。なんかマズイ事でも言ったかな。

 

 

 

「どーした?、なんか触れちゃいけない事だったか?」

 

「いや、そうじゃないんだ…ただ…」

 

 

 

ただ?

 

 

 

「あんたの姿を見て、なんか、その――――…俺のなりたいものに近い気がしたんだよ。」

 

 

…士郎のなりたいもの?

それって、あれだよな……“正義の味方”だよな。

養父である衛宮切嗣の夢であり、息を引き取る寸前に切嗣から継いだ夢で――――――…。

 

 

「それと…なんだか、あんたを見てたら懐かしい人思い出しちゃってさ。

 その人も、黒いコートとか着ててさ…なんか被っちゃって。」

 

「……」

 

「いや……悪い、そんなこといっても困るよな…忘れてくれ!」

 

 

ああ、困るよ。

まさか、お前の養父に似ているなんて言われてもな。

しかも共通点が黒色って事しかねぇし!!

つか、士郎がそう言うって事は…“あいつ”も同じ事思ってたんかな?

…さすがにそれは無いか、何かわかんねーけどそう思う。

 

 

「お前、名前は?」

 

「えっ?…衛宮士郎だ。」

 

 

最初から知ってたけど、「ああ、士郎ね。」と、あたかも初めて知ったかのように振舞う。

俺の特別あたりさわりのない返事に士郎も特に気した様子はない。

 

 

「士郎。お前が一体、俺を誰の姿と重ねてんのかわかんねーし、余計な御世話だと思うがこれだけは言わせてもらう。」

 

 

きっと…俺と士郎は、まだ話すべきではなかった。

聖杯戦争が始まってない、運命の夜をまだ迎えていない士郎に―――…

 

 

話す事など何一つ無い。

 

 

ただ、一つだけ言えるとすれば――――…

 

 

 

 

 

 

「過去に浸るのは夢の中だけにしな。他人に誰かの姿を重ねても何の意味もない…いなくなった人間が返ってくるわけでもねぇ。」

 

 

 

 

 

そう言い放つと、士郎は目を見開いて驚いていた。

表情から察するに…「どうして、知っている」と言いたいのだろうな。

 

 

「大事なのは今の自分。自分だけを大事にしていきな。」

 

 

きっと、今俺が告げた言葉は士郎には理解できないだろう。

多くの命の犠牲の上で生き残った彼が、いつしか自分を捨ててまで他人を助けようとしてるんだから。

俺の言葉一つで止まったりはしない。自分の願いを曲げることはないだろう。

衛宮士郎とはそう言う男だという事はとっくの昔から知っていた…それでも、俺はどうしても言わなきゃと思ったんだ。

 

 

「そんなこと…できるかよ。そんな自己中心的な考え方なんて。」

 

「ま。“お前”ならそうだろうよ。お前の人生は、まだまだこれからなんだから悩んで悩みぬいて生きな。若いの。」

 

 

 

 

願わくば、お前は“あいつ”のようにならないでくれ。

 

 

 

 

 

「さぁて…俺、今日はもう帰るわ。またな士郎。」

 

 

 

それだけ言って、俺はベンチから立ち上がって士郎から背を向けて歩く。

 

聖杯戦争が始まれば、嫌でも一度は士郎と戦う事になる。

 

そのときは、本気で戦おう。

 

 

 

 

彼が、本当の意味で答えを得るために。

 

 

 

 

結局、俺が立ち去るまで、士郎は最後まで言葉を発する事は無かった。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

物語の主人公である衛宮士郎との遭逢から、はや数日が経ち。

日付は2月2日。物語で言うなら士郎が運命の夜を迎える日となっている。

夕刻はとっくに越している為に辺りは既に暗く、空には満月がうっすらと周りを照らしている。

 

 

 

そんな中、俺ことバーサーカーは何をしているかというと―――――…

 

 

 

「おっ、予定通りだ。遠坂凛が学校の屋上へいるな!」

 

 

 

密かに穂村原学園に設置した監視カメラで学園内を偵察していたのさ!

 

 

 

原作知識を持っている俺としては、これから先どんな出来事が起こるか、ある程度知っている。

2月2日の今日は、士郎が学校で弓道部の道場を清掃をワカメ……もとい、間桐慎二に押しつけられて夜まで学校へ残り。

後片付けをしていた時、サーヴァントの戦いを目撃して物語はさらに加速する。

…と、まで完璧に覚えている俺が、何もせずに黙って戦うまで待つなんて事はしない。

逐一、主要人物の動きを把握するために、まず学園にカメラを仕掛けた。

 

設置場所は分からないように絶妙な位置で、なおかつ広く見渡せるような場所を選んでいる。

サーヴァントにも気付かれないように、探知妨害の魔術を施しているので問題はない。

今見ているモニターには、設置した全てのカメラの映像が映し出されている。

その中でも、屋上部に設置したカメラからは物語のヒロインの一人である「遠坂凛」が移っている。

 

 

「ふむふむ。やっぱりここへ来たか…まぁ、分かってたけどドキドキするもんだな。」

 

 

原作知識を持っているといっても、俺というイレギュラーのせいで物語の進行にどんな影響をもたらすかは分からない。

ほんの些細の出来事でも、本来の歴史と異なる行動のせいで大きく歪むことがある。

処遇、『バタフライ・エフェクト』ってヤツだ。例え小さな蝶の羽ばたきでも嵐が起こる原因となりうるのさ。

そんな事もあってか、今いるこの世界が本当に原作知識通りに動くか心配になってな…それがカメラ設置の理由さ。

 

 

 

あらかじめ言っておくが、これは盗撮ではない。あくまでも“偵察”である。

 

 

 

冬木の聖杯戦争では、神秘の秘匿として夜か人目の付かないところで戦闘を行うことを義務付けられているが…。

全員が絶対に従うとは思えない。中には好き勝手にやって乱す奴は必ず一人は存在するはずだ。

例えばワカメとか―――――…考えられるならワカメとか……まぁ、ワカメとかな。

そういう事もあってか、どんなイレギュラーにも迅速に対応できるように学園内にカメラを仕掛けた。

少なくとも俺が知りうる限り、穂村原学園には聖杯戦争参加者が二人に関係者が一人……後に参加者が一人増えるけど。

 

そんな状況下で学園で何も起きないなんて事は無いだろう……少しだけ罪悪感みたいなのは感じるけど。

プライバシーの侵害になるような場所には設置していないし。必要最小限のカメラだけしか用意していないぞ!

…まぁ、監視カメラを設置している時点でプライバシーもへったくれもないんだけどな。

 

 

「さてさて、予定ならもうすぐでランサーが来るんだが…どうなるかな…」

 

「どう?学園内の様子は。」

 

 

 

まじまじとモニターを眺めていると、イリヤが部屋の中へ入ってきた。

 

 

 

「今、遠坂凛が屋上へやってきたところだ。ここへ来たってことは学園に魔術の痕跡があることを察知したな。」

 

 

確か、ライダーのマスターである間桐慎二が仕掛けた結界のマーキングだったハズだ。

それをいち早く気付くとは、流石に冬木の管理者を名乗るだけある。

今回の聖杯戦争では少なくとも、アインツベルンの次に有力者として数えられるほどの実力者だろう。

下手な行動をとっているといつ足元をすくわれるか分からない。十分に注意すべき対象だろう。

 

 

 

…といったものの、それは遠坂家の呪いである“うっかり”さえなければの話だがな。

 

 

 

「まぁ、リンならこれくらいすぐに気付くでしょうね。古臭くなっても一応、それなりに名のある家柄だもの。」

 

「我が主様にしては割と正直な賞賛だな。遠坂は脅威だと思うか?」

 

 

 

俺の問いかけにイリヤは鼻で笑うように答える。

 

 

 

「まさか。誰が出てこようと勝つのは私たちよ。どんなサーヴァントが相手だろうが私の最強のバーサーカーが負けるわけないでしょ。」

 

 

お、おおう…。

こうも真っ直ぐに面と向かって言われると何だか照れるな…。

うちのマスターは時折、こんな風に不意打ちしてくるから卑怯だ…。

背中に少々のむず痒さを覚えていると、イリヤは急に表情を変えてため息交じりに口を開く。

 

 

「…でも、偵察というにはかなり犯罪めいた手法を取っているけどね…自分の使い魔の趣味の悪さは少しだけ否めないわ。」

 

 

 

 

 

あんさんもそう言いつつ、隣でモニタリングしとるやんけ!!

 

 

 

 

 

と、ツッコみたくなるものの、話がめんどくさくなりそうだから自重した。

くそう…見てろよ。そのうちとんでもないこと仕出かしてやる。

具体的にどういうことをするのかと聞かれたら、それはそれで困るんだが。

 

 

そんなことを考えていたら、映像に動きが見られた。

 

 

突如、遠坂の後方にどこからともなく青い衣装に身を包んだ男が現れた。

手には血のように赤い槍を携えて、不敵な笑みを見せながら遠坂の方を見ている。

間違いない…聖杯戦争のサーヴァントの一体。槍兵のクラスのランサーだ。

原作通り、屋上に現れたようだな…ここまでは予定通りだ。

 

 

 

しかし、実際にランサーを映像越しに見てみると威圧感がすさまじい。

 

 

 

ランサーの真名は既に知っている。

『クー・フーリン』、ケルト神話における半神半人の英雄。

アイルランドの光の御身、「クランの猛犬」と謳われた赤枝の騎士にして……。

彼の師匠から譲渡された魔槍『刺し穿つ死棘の槍』(ゲイボルグ)はあまりにも有名だ。

 

因果逆転、呪いの朱槍――――――…言い方はたくさんある。

その中でも言われているのが、必殺必中の魔槍という名前。

放たれたら最後、必ず相手の心臓に命中し。例えランサーが死んでも槍が勝手に動いて飛んでくるとか…なにそれこわい。

しかも、槍には回復不可の呪いも付いてて、仮に通常の攻撃でも当たったら相手にかなりの痛手となる。

 

クー・フーリン自体もかなりの強力な英霊で、あの神速の槍捌きは誰にも真似できないだろう。

『刺し穿つ死棘の槍』を自在に操れるに見合った実力を兼ね備えている。

彼の動きを完全にコピーしたいのなら、写○眼でも持ってきなさいって感じだな。

 

 

 

 

 

 

…とまぁ、ここまで聞いたらFateを知らない人でもランサーさんマジすげぇ!!と思うだろうが。

 

 

 

 

 

 

必中の槍と呼ばれている割には、劇中であの手この手と回避されているのだ。

そう言う事もあってか、「全く命中しない必中(笑)の槍」とも言われ不名誉な称号を持つ。

必殺でしかも必中なので、物語の都合上致し方ないのだが……。

この事もあってか、ランサーはマスターでもある外道麻婆神父からも「何故こうも、お前の槍は当たらんのだ(笑)」とバカにされていた。

サーヴァントとしても宝具としても、かなり強い部類なんだけどなぁ…。

 

 

「あ、リンが屋上から飛び降りたわよ?」

 

 

原作知識と生前の記憶から理不尽なランサーに同情してると、モニターしていたイリヤが声を上げる。

視線を向けてみると、遠坂がランサーを学園の屋上に残して鉄柵から飛び降りていた。

遠坂が空中に身を投げ出した途端…彼女の間横からどこからともなく赤い男が姿を現した。

 

 

 

赤い外套―――――――…

 

褐色の肌――――――…

 

逆立った白髪――――――…

 

鷹の様な鋭い瞳―――――――…

 

 

 

どくりと心臓が動く。冷や汗が一つ、頬から滴り落ちる。

この世界にサーヴァントとして召喚しているということは最初から知っていたが、実際に目の前にすると…こう、何か複雑だよなあ。

 

 

 

もう既に理解していたと思うが…俺が前から言っていた“アイツ”とは、この男の事である。

 

 

 

弓兵のサーヴァント、『アーチャー』。

赤き守護者…煉鉄の英雄…それが奴が人々に謳われた名前。

英雄時代に俺とヤツは何度も戦い、そして最後には殺し合った。

あの時―――…最期の光景が脳裏に浮かび上がる…。

 

 

 

俺が断った点―――――――――…

 

ヤツの体から溢れ出る血―――――…

 

全身から走る激痛―――――――…

 

 

 

 

そして――――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

俺の心臓に突き刺さる夫婦剣の片割れと溢れ出る血。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…カー!バーサーカー!聞いてるの!?」

 

「っ!?イリヤ?どうした?」

 

 

突然、名を呼ばれてハッと意識が戻ってくる。

声が飛んできた隣に視線を向けると、イリヤが怪訝そうな視線を俺に向けていた。

 

 

「どうしたの?リンのサーヴァントを見た途端に一言も話さなくなったし…何か険しい顔してたし。」

 

 

ああ、どうやら呆けていたようだ…。

アーチャーを見たら何だか走馬灯のように英雄時代の事を思い出しちまったぜ。

あいつとは英雄時代に何度も戦いあったからな…つい考え耽っちまうぜ。

 

 

「悪い。なんか考え込んじまった。」

 

「…もしかして、リンのサーヴァントを知っているの?生前に共に戦ったとか…」

 

 

 

うお…かなり確信的なところまで突いてきやがった!

 

 

 

我が主様ながらにかなり良いセンをついてくるなぁ。

びっくりして思わず飛び上がりそうになったが、なんとか堪えたわ。

どちらかっていうと、ドンパチすることが多かったんで半分不正解っていったところでもある。

どこか確信に近いところまで来たイリヤに少しだけ苦笑する。こわいこわい、まだ聖杯戦争始まってねーぞ…。

怪訝そうな視線を緩めない我が主様に向けて口を開く。

 

 

「悪いがマスター。まだ正確に思い出せんから何とも言えないわ。」

 

 

下手に否定せずに自然の流れでかわそう。

あの眼は言い訳の通じない目だ。俺には分かるぞ、うん。

 

 

「あ、そういえばそうだったわね……何だか、普段ふざけている感じだから忘れてたわ。」

 

 

やかましいわ!!

思わず、物議を醸し出そうとしているとモニターに動きがあった。

ランサーとアーチャーが戦い始めたのだった。

 

 

 

ランサーが凄まじい速さで朱槍を繰り出す。

 

アーチャーは、それを紙一重のところでかわし、呼び出した黒い剣でいなしていく。

 

攻撃をしてはいなしての攻防戦はまさに言葉が失うものだ。

 

 

 

赤と青の交差(※パーフェクトなノックアウトじゃないよ?)を眺めていると、アーチャーの黒剣が砕けて折れた。

 

 

 

完全に生じた隙をランサーが見逃すハズがない。

ニヤリと不敵な笑みを溢して、朱槍を叩き込む――――ッ!!

 

 

 

 

しかし、朱槍はアーチャーを切り裂くことはなかった。

 

 

 

なぜなら、アーチャーの両手に黒と白の夫婦剣が握られていたのだから。

 

 

 

 

(『干将・莫耶』…か。)

 

 

俺は心の中でアーチャーの握る剣の名を呟く。

中国の夫婦が作ったといわれる双剣。刀工である“干将”とその妻“莫耶”に由来しており。

互いを呼び合うと言われており、例えどれだけ遠くに離れても必ず片割れの処へ戻ってくる。

Fateを知る人なら当たり前の知識だろう、アーチャーの代名詞でもある黒と白の夫婦剣。

俺は、それを再び目の当たりにした。英雄時代で何度も見たアレをもう一度見ることになるとは…。

 

 

「なんなの、あのサーヴァント…?アーチャーのくせに剣を使うなんて…。」

 

「ん?マスター。よくあのサーヴァントがアーチャーだと気付いたな?」

 

 

もしかしたらセイバーかもしれないのに。

アーチャーが弓兵らしくない戦い方をしているのにも関わらず、イリヤは一発で見抜いたことに驚く。

 

 

「それぐらい分かるわよ。セイバーは“最優のクラス”と言われているのよ?あんなお粗末な剣捌きでセイバーだと思うわけないでしょ。」

 

 

鼻で笑うように言うイリヤ。

おいおい…随分な言われようだなアーチャー…。あれほど剣に関連した宝具を持った英霊は、この聖杯戦争にいないと思うが…。

まぁ、アーチャーの戦い方はもっと違うのがあるんだけど、ランサー相手に一対一のタイマンじゃ意味を成さないからな。無理もない。

 

 

『誰だッ!!』

 

 

そんなことを思っていると、ランサーが急に槍を止めて叫んだ。

遠坂が思わずランサーの視線の先に顔を向け、アーチャーも剣の柄を持つ手を止める。

ランサーの叫ぶ方向には、原作通り弓道場の清掃終わりの士郎がいた。

士郎は驚愕した表情を浮かべた後、身の危険を感じたのか…本能のままに背を向けて校内へと走りだした。

 

 

 

 

生前から思ってたんだけどよ…校内に戻ったら、それこそ詰みじゃね?

 

 

 

 

逃げ道がない上に夜のため、人気がない。

暗いから視界も悪いし、不意を突かれて奇襲かけられたらひとたまりもないだろう。

俺から言わせてみれば、わざわざ死にに行くようなものだ。

目の前で非現実的な光景を見たんだから、気が動転してんだろうな……。

 

 

 

横にいるイリヤに視線を向けると、何とも言えない表情を浮かべていた。

 

 

 

父親である切嗣の事を考えているのか…それとも、義理の弟であり、憎しみの対象でもある士郎の事なのか。

どちらにしても複雑な心境だろうな。俺には計り知れない気持ちでいっぱいなんだきっと。

校内へ入っていった士郎をモニターするために、俺は監視カメラの映像を切り替えた。

士郎は血相を変えて学園内を爆走していた…なるべく遠くに逃げようとしているのがわかる。

しかし、一般市民の人間がどれだけ頑張ってもサーヴァントから逃げ切れるわけがない。

 

 

 

 

それが、最速のクラスでもあるランサーなら尚のことだ。

 

 

 

 

立ち止まって、追手の存在を確認しようと後ろを見た士郎…

 

 

彼の後ろからランサーは、ゆらりと現れて次の瞬間……その槍で士郎の心臓を突き刺した。

 

 

士郎は血を吐いて、何が起きたのか分からないと言った様子で地面に倒れ伏せた。

 

 

 

「ッ!!」

 

 

ぎりりッと自分の拳を思わず握りしめる。隣にいるイリヤからは息を飲むような声が聞こえた。

分かっていた…分かっていたんだ…士郎がこうなる運命だと。

物語開始時…士郎は一度、ランサーの手によって命を絶たれる事になる。その後、遠坂凛の手によって蘇生される。

その後、生き返った士郎をもう一度殺すために衛宮邸にランサーが奇襲をかけに来る。

そこで士郎は、最後のサーヴァントであるセイバーを召還してランサーを退けて物語がスタートする。

 

 

だから、仕方がない…俺の計画を実行させるには一度、士郎には死んでもらう必要があった。

 

 

聖杯戦争に引き込むために、セイバーを召還してもらうために必要だった。

 

 

 

(いや…これは全て俺の勝手な独りよがりな言い訳だ。)

 

 

 

俺は自分の計画の為に士郎の死を体よく利用しただけに過ぎない。

口ではどれだけ大義名分や言い訳を吐けるかもしれない。

でも、俺は…士郎が遠坂によって生き返ることを知ってたこともあって、無意識に命に対して軽視していたんだ。

 

 

(最悪だな。)

 

 

はぁ、と自分自身に対して暴言を吐きたくなる衝動に駆られる。

あの時、アテナに助けられて…英雄時代にたくさんの仲間たちに出会ったことで命の重みや大切さを知ったハズなんだけどな。

 

 

(よし…俺は命に対して、もう目を逸らさないぞ。)

 

 

士郎の死体から目を向けたまま、俺は心の中で深く誓う。

この聖杯戦争に勝ってイリヤを救い、士郎たちも死なせない!!

自分の胸中で、そう目標を立てつつイリヤの方へ視線を向ける―――…すごいショック受けてた。

イリヤは目を見開いて手を口に当てて、モニターに釘付けになっていた。

まぁ、そりゃショック受けるだろうよ…仮にも自分の弟だ。憎んでたとしても自分の目の前で殺されたんだぜ?

 

 

 

俺はイリヤの小さな肩に手を乗せて呼んだ。

 

 

 

「イリヤ。」

 

「バーサーカー…シロウが…シロウが……!!」

 

「大丈夫だ。まだあいつは“終わって”ない。」

 

 

なるべく安心させるような声色でイリヤを落ち着かせる。

予定では、もう間もなく遠坂凛とアーチャーがやってきて――――――…ほうら来た。

遠坂は士郎の死体を確認すると、驚いたように息を飲んだ。

 

 

『嘘――――――…どうして、貴方が…!?』

 

 

あぁ、そういえば凛はここで目撃者が士郎だって気付いたんだっけ?

目撃者がいて、やばい見られたと思ったら…それは同級生だった!!なんて酷い話だよな…。

遠坂は少し悩んだように黙り込んだ後、吹っ切れたように赤いペンダントを出して士郎に魔術を施し始めた。

白い幻想的な光が、士郎の体を包み込んでいる。

 

 

「何ッ!?凛は何をしているのッ!?」

 

「大丈夫大丈夫。ありゃあ、蘇生魔術だ。士郎を生き返らせようとしてんだよあいつは。」

 

 

思わず、立ち上がって食い入るように見ているイリヤを諭すように説明する。

士郎に対しての気持ちは分かるが、我が主様よ…落ち着きなはれ、どうどうどう。

動揺し過ぎで何をしているのか理解できなかったようだ。蘇生と聞いたら急に静かになった。

 

 

 

間もなくして光が消えると、士郎の心臓に空いていた傷口が消えていた。

 

血痕は残っているものの、士郎自体は息を吹き返した模様で呼吸もしていた。

 

今は穏やかに眠っているように目を閉じている。

 

 

 

どうやら、魔術は成功したようだ。

失敗されていたら困るんだけどな…いやー、それにしても良かった。

心臓に悪い(いろんな意味で)光景を見て冷や汗が溢れ出る。それと同時に士郎が生きてて良かったと安心した。

本当に俺というイレギュラーのせいで何が起こるかわかんねーからな。

このまま、魔術が何らかの原因で失敗して士郎が生き返んなかったなんてなったら洒落にならん。

ホッと胸を撫で下ろす。それと同時に、イリヤも安心したように息を吐いていた。

 

 

「まったく…心臓に悪いものだったわ。」

 

 

同じこと思ってたみたい。

よく見たら、額に冷や汗をかいていた。これは、イリヤには見せるべきじゃ無かったな。

俺自身が冷や冷やしてたからな…原作知識持ってても不安になるもんだよこれは。

まぁ…何はともあれ、士郎が生きててよかったわ。

 

 

「さあて、そろそろ行くか我が主様。」

 

「ええ、そうね。そろそろ準備しましょうか。」

 

 

 

 

アーチャーとランサーの初陣。

 

 

衛宮士郎の死と遠坂凛による蘇生。

 

 

この後、起きる士郎のセイバー召還。

 

 

 

条件は揃った。

そろそろ計画実行へと移行しようじゃないか。

 

 

(まずは…次も原作通りに士郎と遠坂に奇襲をかける。)

 

 

このまま調子でいけば、士郎はセイバーを召還してランサーを退けた後。

遠坂とアーチャーと合流して聖杯戦争について聞くために言峰教会へ行くはずだ。

そこで俺たちは待ち伏せをし、戦闘をしかける……簡単なことだ。

よぉぉしッ!!やぁぁぁってやるぜ!!気合は十分、まずセイバーとアーチャーと戦うことだな!!

アーチャーと対峙すんのは少しだけ気が引けるけど、まぁこれも一つの過程として楽しむことが大事だな!

 

 

 

 

 

 

言わずもがな、今回も派手にやるぜ!ド派手にな!

 

 

 

 

 

 

「今は逃しておくけどあのランサーは、いつか殺すわ!」

 

 

 

 

ランサーェ……これ、語呂が悪いな。

 

 

 

 

 




次回、バーサーカーVSセイバー&アーチャー

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