Fate/SnowScene Einzbern   作:アテン

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近いうちに出すと言ったな?


アレは嘘だ。


…本当にすいませんでした。



第十一夜 同盟

イリヤと会った俺こと衛宮士郎は、ひょんな出来事とその場の流れで彼女と話をするために商店街近くの公園へと足を運んだ。

公園内は人気はなく、街頭にうっすら照らされた遊具達が今日の仕事を終えたように存在しているだけだ。

その光景がどこか寂し気に感じるが、日が昇れば再び子ども達で溢れかえるだろう。

そんな光景を思い浮かべたら、静止している遊具は子ども達をやって来る明日を楽しみにしているようにも見えた。

 

 

「お兄ちゃん!ここに座りましょ!」

 

 

ここに来るまで、俺の手を引いていたイリヤはパッと離れて近くのベンチを指さした。

俺は「はいはい。」と微笑しながらベンチへと近づき、掛かっていた木の葉を払って綺麗にする。

…うん。これでいいか。木の葉を十分に払い落とし、イリヤへと視線を向ける。

彼女は嬉しそうに笑顔を見せ、すとんとベンチへと座り。俺もその横へ座った。

 

 

(ああ、そういえば――――…)

 

 

イリヤが腹を空かせていたことを思い出した。

俺はさっき買った、たい焼きの袋を取り出して手が油で汚れないように紙で包んだものを一つイリヤに手渡した。

 

 

「お腹減ってただろう?ほら、暖かいうちに食べな。」

 

 

 

手渡されたイリヤはきょとんと不思議そうな顔をして言葉を発した。

 

 

 

「貰ってもいいの?」

 

「もちろん。そのために買ったんだから。」

 

 

一つはイリヤ、もう二つは俺と家にいるセイバーにだ。

セイバーの分は家に帰るころには冷めていると思うけど……まぁ、暖かくすればいいか。

 

 

「ありがとう。いただくわ!」

 

 

 

受け取ったイリヤは包み紙の方をもって、行儀良く小さな口を開けて食べ始めた。

 

 

 

「どうだ?」

 

「美味しいわ。どこかで食べたことがある味だと思ったら、あの屋台だったのね。」

 

「なんだ。知っていたのか…結構、おすすめなんだよあの店。」

 

「うん。確かに“あの子”もそんなこと言ってたわ。」

 

 

あの子…?

誰のことを言っているんだ?イリヤの知り合いだろうか?

 

 

「バーサーカーよ。あの子、ここのたい焼きを買いに行ったみたいなの。」

 

「えっ!?ば、バーサーカーが!?」

 

 

思い出すのは、あの謎に包まれた黒いサーヴァント。

目の前の物を全て破壊しそうな威圧感を持ち、あのセイバーを圧倒した上に気落ちさせた存在。

それが、あの屋台に赴いて、たい焼きを買っているなんて――――…

 

 

 

(駄目だ。全く想像がつかない。)

 

 

 

わざわざ、屋台まで行って注文している姿を思い浮かべてみたが…あまりにもシュール過ぎて逆に実感が沸かない。

バーサーカーは甘党なのだろうか――――…?

 

 

「なんでも、“親切な少年がいて教えてもらった”とか言ってたわ。あと付け足し口に“日本の未来は明るい”とか意味わからないことを言ってたわね。」

 

「そ、そうなのか……というか、バーサーカーって喋るのか!?」

 

 

 

稽古時にセイバーから聞いた話だと、『狂戦士』のクラスは能力値を上げる代わりに理性を失うとか言っていたが…?

 

 

 

「喋れるわよ。昨夜は何故か黙ってたけど、普段は割とお喋りよ。」

 

 

衝撃の事実だった。

これを遠坂が知ったら、どんな顔をするだろうか――――…きっと、クラス枠を超えた規格外の事実に驚くだろうな。

 

 

(それにしても……なんだろう、この違和感。)

 

 

バーサーカーの成り行きを聞いてから、俺はどこか引っ掛かりを感じていた。

…おかしい。これは、最初会った時から感じていた違和感だった――――…どうも、バーサーカーと初めて会った気がしないんだよな。

 

 

 

どこかで会ったよな気がするんだよなぁ…それが思い出せなくて困ってるんだけど。

 

 

 

「ねぇ、お兄ちゃん。」

 

「そのお兄ちゃんっていうのやめてくれるか?」

 

「どうして。」

 

 

俺の言葉にイリヤは悲しそうな表情をした。

それを見てまずいと思い、すぐさま言葉を紡ぐ。

 

 

「いや!なんていうか…名前で呼んでほしいんだ!俺には衛宮士郎って名前があるからさ!」

 

「じゃあ、シロウって呼べばいいの?」

 

 

そうそう!と強く頷く。

すると、イリヤは少しだけ考える素振りを見せたのち、いつものような無邪気な顔で言う。

 

 

「わかったわシロウ!じゃあ、私のこともイリヤって呼んでね!」

 

「ああ、わかったよ。イリヤ。」

 

 

良かった。どうやら、分かってくれたみたいだ。

あのまま、機嫌を損ねて悲しい思いとかさせたくないしな。

 

 

 

二人とも、たい焼きを全て食べ終わるとイリヤは一間を空けてから話しかけてきた。

 

 

 

「ねぇ、シロウに聞きたいことがあるんだけどいい?」

 

「おお、なんだ?」

 

 

イリヤの聞きたいことって何かな?

俺と話がしたかったって言ってたし…一体、何を――――…

 

 

 

「シロウはさ、どうして聖杯戦争に参加しようと思ったの?」

 

 

 

イリヤの口から飛び出た問いに、俺は少しだけ驚いた――――…まさか、そんなことを聞かれるとは思わなかった。

 

 

 

 

「もしかして、聖杯を使って叶えたい願いとかあるの?」

 

「んー…いや、聖杯を使ってまで叶えたい夢はないよ、ただ――――…」

 

「ただ?」

 

 

 

 

そこで、俺は言葉に詰まった。

さて、なんと答えようか――――…イリヤに話してもいいものか。

 

 

(まぁ、大丈夫だよな…。)

 

 

隠すようなことでもないし。

ここで、黙り込んでイリヤに不審がられるのも嫌だし。

 

 

「イリヤは……前の聖杯戦争のせいでここが大火災になったの知っているか?」

 

「…ええ。前回の優勝者が聖杯に触れたことで原因不明の災害が起きたって聞いてるわ。」

 

「俺は…その火災の生き残りなんだ。俺はあの地獄をもう見たくない…もう、あんなものを起こしちゃいけないんだ。」

 

 

 

だから――――…と俺は言葉を続ける。

 

 

 

「俺は聖杯戦争を参加する。あの悲劇をもう起こさないようにするために…誰も悲しまないようにするために。」

 

「ふーん。そうなんだ…」

 

 

俺の話を聞いていたイリヤは再び沈黙して考えるような仕草をし始めた。

…なんだろう、この“まぁ、知っていたけど”みたいな表情は――――…どこかこちらを見透かしたような目だ。

そういえば、あの男もここでたい焼き食いながらこんな顔をしていたっけ。

うーん、モヤモヤするなぁ……あまり気持ちが良くない。

 

 

「…そっか。じゃあ、シロウはみんなの為に戦っているんだ。」

 

「そんな大それたことをするつもりはないよ。俺は自分がしたいことをしているだけさ。」

 

「なんか、あれだね。正義の味方ってやつみたいだね。」

 

「まぁ、そうなれたらいいなっては思うよ。正義の味方は俺の夢っていうか…目標みたいなものだからさ。」

 

 

気が付けば、俺はそんなことまでイリヤに話していた。

何故だか分からない……だけど、なんだか口が勝手に話していたというか…。

イリヤには、本心を話しておきたいみたいな気持ちに突然なってさ。

 

 

 

 

…何言ってるんだろ俺。昨夜、殺されそうになった上にイリヤとは敵同士だというのに。

 

 

 

 

不可解な回答に思わず頭を悩める。今日の自分はなんだかおかしい…。

そんなことをしていると、ふとイリヤの表情に変化があったことに気が付いた。

先ほどの見た目相応な天真爛漫な女の子の顔をではなく、どこか遠くを見ているかのような……。

ここにはいない“誰か”を思い出しているような――――…。

 

 

 

 

それが、儚げでどこか悲しそうに見えた俺は慌てて話題を切り替えた。

 

 

 

 

「そ、そういえば…イリヤこそどうして聖杯戦争なんか参加しようと思ったんだ?叶えたい夢でもあったりするのか?」

 

「私に叶えたい夢なんかないわ。私にはそんなこと思うこと自体不要だもの。」

 

「じゃあ、どうして――――…?」

 

 

 

 

“聖杯戦争に参加しようと思ったんだ?”

 

 

 

 

叶えたい夢はない。だったら、何故…?

 

 

 

 

俺の問いに対して、イリヤは考える素振りを長めにしてから、やっと口を開いた。

 

 

 

「…最初は、アインツベルンの目的の為と私自身の目的の為に聖杯戦争に参加したわ――――…。

私には、どうしてもやらなければいけないことがあった。そのために、この聖杯戦争のマスターとなって、日本の冬木へやってきた。」

 

 

 

イリヤの目的…。

とても気になることだが、今は彼女の話の続きを聞くことが先だな…。

 

 

 

「――――…でも、最近になって“分からなくなったの”。」

 

「分からなくなった?」

 

「うん…私のしたいこと…それは本当にしても良いことなのかなって、本当にそれをやって――――…“私は幸せになれるのかな”って。」

 

 

 

分かんなくなっちゃった。とイリヤは少しだけバツが悪そうに苦笑する。

 

 

 

「でもね。今シロウに言ったことをバーサーカーにも前に言ったの。私は在り方は本当に今のままでいいのか、正しいのかって…。」

 

「…それで、バーサーカーは何て言ったんだ?」

 

 

すると、イリヤはどこか楽し気で嬉しそうに明るい笑みを浮かべて口を開いた。

こんな顔もするんだな…バーサーカーは一体なんて言ったんだろう。

 

 

「そしたらね。バーサーカーはこう言ったの――――…“自分のやりたいことを他人なんかに聞くな”って!」

 

「…えぇ……。」

 

 

それはまた、随分と辛辣な返答である。

あまりの厳しいバーサーカーの対応に思わず言葉を失ってしまった。

だが、俺のそんな思いとは裏腹にイリヤは嬉しそうに眩しい笑顔をしながら言う。

 

 

「その後にね、こうも言ったの――――…“自分の目で見て、心で感じたモノだけが『真実』だ。

それを見て、自分がどうしたいのか…何をしなければならないのか。それが分かった時、『答え』が見つかる。”って…。」

 

 

 

 

自分の目で見て、心で感じたモノだけが――――…『真実』。

 

 

 

 

 

「それまで…私が答えを見つけるまで側にいてずっと守ってくれるって約束してくれた。

だから、その答えが見つかるまで私は戦い続けるの…聖杯戦争を、バーサーカーと共にね。」

 

 

 

 

「それが、私の聖杯戦争に参加する理由かな。」と最後にイリヤは付け足した。

答えを探すためにサーヴァントと一緒に戦う……か、何だか凄い話だな。

 

 

 

 

 

「だから――――…次、戦うときも本気でいくからねシロウ。」

 

 

 

 

 

 

「っ。」

 

 

先ほどまでの笑顔とは打って変わって、イリヤは真剣な表情に変えて俺に告げた。

赤い瞳が突き刺すように俺に向けられてくる……その瞳はまるでこう言っているようにも思えた。

 

 

 

“自分と自分の従者は絶対に負けない”…と。

 

 

 

 

そこには昨夜のような、殺意などなく――――…決して負けないという強い意志だけだった。

その声無き言葉に俺は何一つ返すことができず、圧倒された。

 

 

 

「たい焼きごちそうさま。じゃ、そろそろ帰るわ。」

 

 

 

 

スッ…とベンチから立ち上がり、銀色の髪を揺らしながら彼女は数歩前に進み――――…

 

 

 

 

「またね。“お兄ちゃん”。」

 

 

 

こちらを振り返り、いつものように笑うのであった。

 

 

 

 

俺は終始、何も言えないまま去っていく彼女の姿を眺めることしかできなかった。

 

 

 

 

一人残された俺は自らの手の甲に視線を落とす。

 

 

 

そこにあるのは、聖杯戦争の参加者の証である刻印。

 

 

それを眺め、俺は――――…

 

 

 

 

「でも……俺は…ここで止まるわけにはいかない。」

 

 

 

 

セイバーと共に戦う。そう、彼女に誓ったのだ。

一緒に強くなって聖杯戦争を勝ち抜くと、心に決めたのだ。

…イリヤと戦うのは嫌だけど――――…それ以上に…あの決意を、約束を、なかったことにはしたくない。

 

 

「俺も負けない…本気で“止めてやる”…。」

 

 

誰もいない公園で独り言葉を漏らす。

しかし、その一言は俺の生涯の中でも一番力強く感じた。

 

 

 

間もなくして、重い腰を上げた俺は帰路に着くことにした。

 

 

 

 

 

 

余談だが、セイバーを家に待たせてことを思い出した俺は現在に時刻を確認し顔を青ざめ、死ぬ気で家まで疾走するハメとなった。

そこで待っていたのは、腹を空かせて悲し気に俯いていた彼女と何故かいた冬木の虎。

今晩の夜食が衛宮家の食費に大ダメージを与えることになんてことは言うまでもないだろう…。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

目が覚めたキャスターを迎えた俺に待っていたのは、想像をしていたモノとは違って手痛い未来であった。

目覚めた彼女は俺を見るなり、突然悲鳴を上げたのだ…それを聞いて駆け付けた丁稚坊主たちは何を思ったのか殺意剥き出しの眼を俺へと向けたのだ。

 

 

まてまて、俺は何もしていない!

 

 

…と、言いたかったが今にも襲い掛かってきそうな彼らを見た俺は「あっ、これ無理だ。」と瞬時に悟った。

そこにいたのは、少し前までにいた陽気な性格をした坊主達ではなく、血走った目をした猛獣だった。

これはまずい……ここは、何とかして坊主たちを止めねば――――…!!

 

 

 

「みなさん、誤解です。彼は私に何もしていません。ここはどうか治めてください。」

 

 

 

俺VS丁稚坊主軍団が始まろうとしていたその時…なんと、事の発端でもあるキャスターが諫めたのであった。

彼女の行動には、その場にいた誰もが驚いた。無論、それは俺も同じだ。

キャスターのことを敬愛しているのか、はたまた女という存在に甘いだけなのかは分からないが、彼女の言葉を聞いた坊主たちは一斉に引っ込んだ。

野獣のような眼光をしていたのに、美女の声で簡単にいとも簡単に主張を変えやがったよあいつら…。

 

 

 

 

軽い掌返しを食らった気分だ…。

 

 

 

だがまぁ、キャスターのおかげで余計な時間を割くことも無くなった訳だし、良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

で、だ――――…今、俺ことバーサーカーは何をしているかというと…

 

 

 

 

 

 

「ずずッ……美味いな。このお茶。」

 

「そう。」

 

「…聖杯戦争始まっちゃったけどさ。どうよ。良いスタートできた?」

 

「開始直後は最悪だったけど、今は問題ないわ。」

 

「そっか…。(つーことは…やっぱり、本来のマスター脱落しちゃったんだな…。)」

 

 

 

 

先ほど、一成が持ってきた緑茶を飲みながらキャスターと世間話していた!!

 

 

 

 

 

…もう一度言おう、世間話しているのである。白昼――――…いや、この場合は夜中と表記するべきか…?

どちらでもいいが、敵対関係であるハズの二騎のサーヴァントが堂々と顔を合わせて茶を啜っているなど普通ならあり得ないだろう。

今の俺らの姿を他の参加者が見たら、確実に驚くだろうな。遠坂辺りは「なに仲良くお茶飲んでんのよッ!?」と面白いリアクションを見せてくれそうだ。

なぜ、このような非常にシュールな形になってしまったかをまず説明させてほしい。

 

それこそ最初はね、丁稚坊主を下がらせた後、俺らはしばし睨み合いになりましたよ?

サーヴァントとしての闘争本能を抑えつつ、二人とも相手の出方を伺ってましたよ。

途中でお茶を持ってきた一成がやって来て、目覚めたキャスターの分も作りに行った間も腹の探り合いをしてた訳よ?

でね?目の前のテーブルに置かれた茶を見ているうちに「せっかく持ってきた茶が冷えちゃうな。」と思ったわけですよ。

 

 

 

せっかく、一成が持ってきたのにも関わらず飲まずに冷ましてしまうのは流石に失礼だと俺は考えたんだ。

 

 

 

だから、俺は現在進行形で警戒しているキャスターに申し出たわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「茶を飲んでいいか?」と――――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もが思っただろうこれから起こる戦闘――――…。

固唾を飲まずには居られない一触即発な雰囲気だというのにも関わらず、まったくの見当外れの申し出をした俺にキャスターは遂に呆れ果ててしまったのだ。

それもそうだろう…狂戦士のクラスのくせに流暢に会話する上、自慢の結界をぶち破り、得体の知れない魔術を行使した正体不明のサーヴァントが「茶を飲ませてくれ」と言ったんだ。

キャスターでなくても、誰でも呆れてしまうだろうな…自分でも何であんなことを言ってしまったのか今になって思い返しても理解できない。

一番呆れているのは、他の誰でもない俺自身なんだ……。

 

 

 

 

まぁ、つまり…こうなったのは誰のせいかと言うと――――…

 

 

 

 

 

キャスターを気絶する原因となったのは“俺”が不意打ちで飛び蹴りを食らわせた為であり。

 

 

 

睨み合いになったのにも関わらず、一成が持ってきた緑茶に“俺”が気をとられてしまった為に。

 

 

 

まったくの見当違いで期待を裏切る発言をした“俺”にキャスターが呆れ果ててしまったということで――――…

 

 

 

 

 

 

うん。確かにすべて俺が原因だな。

 

 

 

 

 

 

 

だが、私は謝らないッ!!

 

 

 

 

 

 

 

「…そろそろ本題に入ったらどうなの?いつまで、この茶番を続ける気よ。」

 

 

ショッチョーの真似をしていたら、いつまでも本題に入らない俺に業を煮やしたのか。

はたまた、この生ぬるい風にあたっているかのような雰囲気に耐えられなくなったのかキャスターの方から口を開いた。

まさか、彼女のほうから話しかけてくれるとは思いもしなかったため、びっくりして飛び上がりそうになったが何とか堪えた。

 

 

「同盟の話でしょ?」

 

「お、おぉ…そうそう!同盟…を結びたいんだが…」

 

「ふーん…」

 

 

い、いかん…なんだか話の主導権を握られているような気がする。

なんとか、こちらの方に持ってこれるようにしなくてはッ。

 

 

「どうして、私と同盟を結びたいのかしら?、アインツベルンという最強のマスターを持ち。

あなた自身、あのセイバーとアーチャー二騎を相手に引けを取らないほどの実力があるのにも関わらず、最弱のキャスタークラスの私と同盟を結びたいなんてどういうつもり?」

 

「いや、どういうつもりと聞かれてもな…」

 

「組むべき陣営なら他にもいるでしょう?、それこそ、確実な勝利をもぎ取るのであればセイバーやアーチャーの陣営と手を組むべきだと思うけど。」

 

「その選択は無いね。あいつらは確かに強いけど、組む気は無いぞ。」

 

 

 

正確には“今のところは”だけどな。

 

 

 

確かに優勝したいのであれば、キャスター以外の陣営を組むべきなのだろうな。

セイバーとアーチャーに合流すれば、確実な勝利は得ることができるのは誰が見てもわかる。

士郎がへっぽこな為に、今のセイバーは満足な力を発揮できないけど俺とあいつが居れば、まず負けることは無いだろう。

脅威として考えられるのはランサーとギルガメッシュかな?、あいつらは今期のサーヴァントで群を抜いているレアサーヴァントだ。

 

 

 

 

特にギルガメッシュ。こいつは、レアどころかチートレベルだ。

 

 

 

 

全ての英雄たちの頂点に立ち、あらゆる宝具の原点を持つアイツはかなりの強敵だ。

他のサーヴァントなら俺は確実に負けることは無いと自負できるが、相手が英雄王となると、さしもの俺でも微妙である。

今後の出方にもよるが、真正面から戦えば勝てる可能性はかなり低いだろうな…。

引き出しの多さなら俺も負け劣らずだけど、英雄王の宝物庫には流石に敵わんしな。

 

 

 

常々ヤバい奴だとは思っていたけど、思い返してみると改めてチートっぷりが分かるな。

 

 

 

あの金メッキを倒すには生半可な方法では絶対に不可能だ。

というか、俺一人では確実に無理だ。やっぱり、協力者が必要だろう。

最大の難関であるギルガメッシュの脅威性を改めて認識し直した俺の心情など露知らず、キャスターは怪訝そうに沈黙している。

きっと、あのフードの下の顔の美貌は納得していない表情をしているに違いない。

 

 

「解せないわね。では、貴方は目的は一体何?なにをしたいのかしら。」

 

「さっきも言っただろ。俺は“この聖杯戦争をぶっ壊すこと”これが俺の目的だ。」

 

「だったら尚のこと理解できないわ。聖杯を手に入れることが、それを手にするために殺し合うことが私たちの存在理由ではなくて?」

 

「だろうな。でも――――…」

 

「?」

 

 

 

キャスターの言っていることは“通常のサーヴァントとマスター”にとっては至極当然な意見だろう。

 

 

 

たぶん、この場合、使い魔であるはずの俺の方がどうかしているだろう。

 

 

 

しかし、それでも――――…

 

 

 

 

 

(あの“聖杯”は駄目だ。アレは誰も使っちゃいけない…絶対に。)

 

 

 

 

 

脳裏に思い浮かぶのは、真っ赤に染まった冬木。燃え広がる業火とそれに包まれて、悶え苦しむ人たち。

 

辺り一面から呪詛のように助けを乞う声が場を支配するその光景はまさに“地獄”としか言いようがないだろう。

 

 

 

その地獄の中から、“あいつ”だけが生き残ったんだ。

 

 

 

命だったものが、ただの炭と化している間でもあいつは歩き続けてたんだ。

 

 

 

憎しみ、逆恨み、悲しみ……そういったモノを全て飲み込んで、泣きながら歩いてきたんだ。

 

 

 

多くの憎悪が一斉に降りかかってくる、なんてとてもじゃないが正気を保っていられる自信がない。

 

 

 

あいつはそんな想像を絶する体験をしてきたんだ。

 

 

 

あんな想いをする人を二度と増やしてはいけないのだ。

 

 

 

 

「ふぅん。事情はよく分からないけど、貴方がただのサーヴァントじゃないということは理解したわ。」

 

 

思案顔をしていた俺を見ていたキャスターは、やれやれといったように言葉を漏らした。

…なんか、だいたい分かったような感じで言っているが、今ので何が分かったんだよキャスター。

ほぼ、YESかNOに近い会話だったぞ。アレで何が理解できるというのだろうか。

見た目は子ども、頭脳は大人なバーローでも何も分からないと思う。

 

 

 

心中でそんな風に思いながら見ていると、少しだけ間をあけて彼女はゆっくりと口を開いた。

 

 

 

「いいわ。貴方と手を組みましょうバーサーカー。」

 

 

 

!?

 

マジで!?

 

 

 

「マジで!?」

 

 

突然のキャスターの同盟受諾に心の声が思わず二度出てしまった。

全然大事でも何でもないけど、二度言いました。意味は全くないです。

しかし、いったいどういう心境の変わりようだ?さっきまで、拒否していたのに。

 

 

「別に大した意味はないわ。ただ、貴方と組んだほうが聖杯を勝ち取れそうと思っただけよ。」

 

 

 

 

フン。と鼻を鳴らしてつんけんとした態度で彼女は言い続ける。

 

 

 

 

「ただし条件があるわ。」

 

「条件?」

 

「ええ。私が出す条件は三つ。一つは戦闘は極力そちらでしてもらうこと、あくまでもこちらが行うのは後方支援だけよ。」

 

「ああ、それなら承知している。戦闘は俺が担当するよ。」

 

 

という以前に、前衛をキャスタークラスに任せようとするアホな奴はいるのか?

魔術師のサーヴァントは根っからの後方支援担当だ。よっぽどのことがない限り、まず前衛に立たせることはないだろう。

魔術(物理)の脳筋キャスターなんて見たことがない。というか、誰得なんだよそんなキャスター…。

 

 

「次に二つ目だけど、聖杯を手に入れた際の所有権は私に回すこと。」

 

「んー…俺的には色々な事情があるから誰にも使ってほしくないんだけど…まぁ、そこのところは我が主様に話してみるわ。」

 

 

俺が懸念しているのは、あくまでも穢れた状態での聖杯の使用である。

たぶん、イリヤも聖杯なんて欲しくないと思うけど。

そもそも、イリヤ自身が聖杯そのものみたいなもんだからな。器にするのを阻止するという面においては協力的な解釈をしてくれると思う。

二つ目の条件は帰ってから同盟を持ち込んだことも含めて報告するとしよう。

 

 

さて、次が最後の条件だな。

 

 

一体今度は何を提示してくるんだ?まぁ、この調子だと全部問題ないと思うが――――…

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後の条件は貴方の“真名”を教えることよ。並びにどんな宝具を持っているか、全て嘘偽り無く答えてもらうこと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とんでもない爆弾を投下してきた。

気のせいか、キャスターの顔がどこか得意げに微笑んでいる…それにしても貴女、よく笑いますね。

いや、まぁ、フードの中は美人だから笑ってた方が華やかで良いとは思いますけどな。

話を戻すとしよう…“真名を教えろ”だったな――――…んー。そうきたかぁ。

 

 

 

 

前にも少し話したと思うけど。サーヴァントにとって、真名の露見はかなりの死活問題だ。

 

 

 

 

サーヴァントの真名とは、いわばそいつの正体だ。

基本的にそれは秘匿されるものだ、なぜなら相手に正体を知られるということは同時に英霊の残した伝説や伝承が知られるということである。

それが何を意味するかは、言わずとも分かると思うがあえて言わせてもらうなら――――“弱点もバレる”。

 

 

 

例えば、かのギリシャ神話屈指の大英雄「アキレウス」の場合はアキレス腱が弱点である。

 

 

 

…といったように、サーヴァントの真名を知ることは同時に弱みを知ることにも繋がる。

故に俺たちは、露見を防ぐために互いをクラス名で呼び合う…いわゆる、コードネームみたいなものだ。

まぁ、いろいろ述べたが要するに真名は相手にバレたら駄目だっつーことだな。

 

 

「…どうやら、言えないようね。それもそうでしょう、軽々しく真名を喋るサーヴァントなど居るわけが――――「いや、答えるよ?」――――え…?」

 

 

キャスターの目が点になったように思えた。

それもそうだろう。今の俺の発言は「お前に俺の弱点を教える」と言っているようなものだ――――…なんだろう、改めて文字にしてみるとそこはかとなく変態に見えるのは…。

何となく腑に落ちないことに首を傾げていると、キャスターが信じられないモノでも見るように口を開いた。

 

 

「わ、私の聞き間違いかしら――――…貴方今、真名を教えるといったかしら?」

 

「ああ。」

 

「なんで…」

 

「えっ?だって知りたいんだろ?俺の真名。別にそのくらい教えても…。」

 

 

減るもんじゃない。と言おうとしたとき、キャスターが急に疲れたように頭に手を当てた。

笑ったり、疲れたりと大変だなぁ君は――――…

 

 

「貴方のせいよッ!!」

 

 

 

また、露骨に心読まれたんですけどぉ…

 

 

 

「貴方――――…分かっているの?」

 

「なにが?」

 

「真名のことよ!露見されるという事がどうなることなのかわかっているの!?」

 

「なんでキレ気味なんだよ……」

 

 

若干、身を乗り出してるし…。

何故、聞く側の人間が感情的になっているのか皆目見当もつかない…言うの俺だよね?

俺はキャスターを宥めつつ、何とか彼女の腰を椅子に戻した。意外と、感情的なのねキャスターって。

原作で見たときは、表面上はミステリアスで大人な女性って感じだけど、中身は人間味が溢れる乙女チックな人っていうイメージがあった。

実際会ってみたら、思った以上に人間くさい……というより、ツッコミが激しい。心読むし。

 

 

「はぁ…。」

 

 

こちらの方を見ながら、キャスターがまたため息を吐く。

ため息を吐くと幸せが逃げるぞー?と言ってやりたかったが、また怒られても嫌なんで口を紡ぐことにした。

もはや何を言っても、失言になりそうだけど――――…敢えて言うなら…

 

 

「真名の知られることがどんな意味をしているかは俺も重々承知だよ。自分の情報を軽々しく開示するようなマネは俺だって不本意だし、出来るだけ隠しておきたいさ。」

 

「――――…じゃあ、何故。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「簡単だよ。俺はキャスターと仲間になりたいからさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、彼女と仲間になりたい。

 

 

望みはそれだけだ、それが叶えられるなら俺は今できることに全力を尽くす。

 

 

 

 

 

俺が放った答えが、あまりにも意外だったのか彼女は言葉を失っていた。

 

 

 

 

 

「“私と仲間になりたい”…?――――…それだけの為に貴方は自らを危険に晒すというの?勝てなくなるかもしれないのに?」

 

 

「それぐらいやらなきゃ、同盟なんてできっこないだろ?真名の一つ大事に握っておくほど大した奴じゃないしな。」

 

 

「貴方の行動で主も不利になるのよ?それでも良いというの?」

 

 

「ならねぇよ。不利なんて言葉丸ごと相手に倍返しで送り返してやる。」

 

 

「私は――――…ッ!!」

 

 

 

 

 

キャスターの声が僅かに強張るのが分かった。

 

今の彼女の姿は、さっきまでの強気な態度から思えないほどに弱弱しく見えた。

 

そしてどこか――――…何かを恐れているようにも感じた。

 

 

 

 

 

それもそうだろう。彼女は『コルキスの魔女』。

 

 

悲しき運命と呪いによって踊らされ、一人の男の為に何もかも捨てた先に待っていたのは。

 

 

愛した男からの罵倒、心もない辛辣な言葉だった。

 

 

 

 

その結果、彼女の心は壊れた。

 

 

 

 

“貴方の為に国を捨てたのに。貴方のために、何もかも捨てたのに――――…”

 

 

 

 

生前、物語で彼女が自分の過去を語る姿を思い出した。

キャスターは……メディアは、ただ愛したかった。ただ愛されたかった。

だから、捨てた。男の為に…弟を、国を、人生を――――…全てを捨て去った。

 

 

 

 

多くを捨て去った彼女に残ったのは“裏切りの魔女”という憎悪に満ちた名前だけ。

 

 

 

 

故に彼女は信用できない。

 

他人のことよりも……己の利益しか考えることができない。

 

 

傷つきたくないから。

 

 

 

 

多くを切り捨ててきた彼女だからこそ、誰よりも“裏切られることを恐れている”のだ。

 

 

 

 

 

 

「私は――――…貴方を裏切るかもしれないわよ!?不利と感じたら、すぐにでも貴方を切り捨てる…!!自分が生き残るためにね!!」

 

 

 

 

 

 

 

そんな苦し紛れに放った彼女の言葉。

 

 

 

 

 

 

 

「それでも貴方は私を仲間にしたいというの!?」

 

 

 

 

それに対し、俺は――――…

 

 

 

 

 

 

 

「別に構わない。お前が不利だと感じたらすぐに俺を切り捨てれば良い。」

 

 

至極、当たり前のように吐き捨てた。

自分と組んで利益がないと感じたならすぐに捨てればよいと。

もとより、こっちはそのつもりで来たんだからそのくらいの条件は普通だろう。

むしろ、こんなどこの時代の英雄かも分かんない奴はいつ捨てられてもおかしくない――――…自分で言っておいてなんだけど。

 

 

 

というか、いつ主様に見限られるか不安で仕方がないくらいだ。

 

もし、イリヤが俺を信用できなくなって捨てるようなことがあったら――――…え、まって。ちょっと泣きそうになるわ。

 

いかん、こういうこと考えないようにしよ……割としんどい。

 

 

 

自分で考えておいてナーバスになりかけつつ。

キャスターの様子を伺うと、やはり彼女は信じられないモノを見たかのような顔をしていた。

 

 

 

「貴方…馬鹿なの?私は裏切るかもしれないと言っているのに?」

 

「構わねぇよ。そうなったら、そうなったでしゃあねぇし…その時に考えるよ。ただ、これだけはいいか?」

 

「…なにかしら。」

 

 

真剣な眼差しをして、キャスターに語りかける…こいつには言っておかなきゃな。

 

 

 

この世には、気持ち悪いくらい真っすぐな善意もあるってことをな。

 

 

 

 

「“お前が俺を裏切る”のは構わない。だが“俺がお前を裏切る”のは俺が許さない。

 

だから、俺はお前を裏切らない!オーケー?」

 

 

 

 

 

「――――。」

 

 

 

 

 

口から出た言葉はあまりにも破綻している。

だが、それでも自分の言いたいことは言えた気がする――――…うん、言えてる!すっごくバカみたいな文脈だったけど!

要するに俺はキャスターを信用しているし、これからは何が何でもキャスターの仲間で居続けるってことだ!!……ちゃんと伝わったかな?

心配げに彼女の顔色を伺う俺に対し、彼女は――――…

 

 

「――――…くすっ。ふふふっ。あっははは!」

 

 

これまでにないほど、笑い出した。

え、なんすか…なにがそんなに面白いんですか…。

腹抱えて笑ってるんですけど、この神代の魔女さん――――…そんなにウケること言ったか俺。

 

 

 

「バカみたい!貴方のバカは命がけ!?そんな破綻した約束がありますか…ッ。ふふっ。」

 

「…変なこと言ったか?俺。」

 

「ええ!だいぶ!!くすっ。」

 

 

心底面白おかしそうに顔を破顔させるキャスター。

こんな風に彼女が笑うのは原作ではあまり見たことがない――――…というより、一度も無い。

彼女が笑みを見せるときは、先ほどまでのように相手を困らせたり、自分が優位に立っているときなどといった優越感に似たようなものを感じているときとか…。

あ、あとマスターの葛木宗一郎と話しているときか。まぁ、その時の彼女は歳不相応なくらい乙女で――――…いや、ここは控えておこう。

 

 

「…良いでしょう。貴方と同盟を組みましょう。」

 

 

「!、ほんとか!」

 

 

「ええ。貴方に興味が沸いたわ。これからどんな風にこの聖杯戦争を壊していくのか見させていただくわ――――…ただし、もし私の意にそぐわない事をしたら問答無用で切り捨てるから、覚えておきなさい。」

 

 

「おーけー。俺もそのつもりで同盟持ち掛けたんだ。こちらからは何も問題ない。」

 

 

「交渉、成立ね。」

 

 

 

彼女のその言葉をもって、俺とキャスターの陣営は今この時をもって同盟と結ぶこととなった。

 

 

 

 

よっしッ!!キャスターを味方にすることができた。

これは、かなり前進だ。彼女いれば計画を順調に進めることができる!

それだけじゃない!キャスターがいるということは、自動的にアサシンも――――…

 

 

 

 

 

 

…あれ?

 

 

 

 

 

そういえば、俺…“山門を通ったのにアサシンと会ってないぞ”…?

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい…。

アサシンである「佐々木小次郎」は、キャスターの令呪による命令によって柳洞寺の門番を任せられているハズだ。

彼は山門を召喚の触媒とされているために、そこから離れて活動することができないのだ。だから、彼女は彼を門番にした。

故に山門を通れば必ず対面する――――…なのに、俺は“彼に会っていない”。

 

 

 

 

何かがおかしい。

 

 

 

 

だんだんと心配になってきた俺は、すぐさま目の前にいるキャスターに問い掛けた。

 

 

 

 

「おい、そういえばアサシンはどうした?お前が召喚しているんだろ?」

 

 

 

質問された彼女は、かなり驚愕していた。

まぁ、誰もが予想できない事実を俺が知っていたんだ。そりゃ驚いて当然だ。

 

 

「ど、どうして…貴方がそんなことを知っているの…?一体、何者なのよ…!?」

 

「そんなことは後から全部じっくり教えるよ!今は俺の質問に答えてくれ!アサシンはどこにいるんだ!?」

 

 

 

もしかしたら、事態は俺が予想しない方向へ進んでいるのかもしれない。

 

もちろん、それは最悪の結果の方へ――――…

 

 

 

 

「…れた。」

 

「ん!?なんて!?よく聞こえな――――…」

 

 

 

 

 

 

 

「だから、アサシンはいないわよ!!この間、“気味の悪い蟲”と『ライダー』とマスターが一緒に襲撃してきて、そのときに連れ去られちゃったの!!」

 

 

 

「な…ん、だと。」

 

 

 

 

 

存外に俺は、この世界に嫌われているのかもしれない。

 

 

 

 

 




誘拐されたアサシン、果たして無事なのか…?

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