賢者の石拾って、超能力が使えた件   作:MrM3

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主人公がフェイトから逃げた直後の話です(´・ω・`)




7話

カモメが晴れた日に飛んでいる姿は、のどかで平和な印象だ。

時々海にバシャリと獲物である魚を取る姿をみると先程までの印象とは打って変わって、

カッコよく見える。

でもね、魚を咥えてうれしそうにバサバサと再び空に戻る姿を見ると、私は今こう思ってしまうんだ。

 

――うまいか? そんなに私の周囲で取れた魚がうまいのか? そうかそうか。

 

 

――でも、おまらの食ってるそれ、私のう〇こ食てるがなぁ! あっはははハハハ!!

 

 

 

 

 

 

脱糞の後、私はただただあの場を逃げたかった。

兎に角遠くへ、その思いで発動させたテレポート先は海鳴市の海上であった。

最初は溺れそうであったが、背負っていた鞄をそのまま海に捨てたら、案外浮けたので

そのまま仰向けでぷかぷかと漂っている。

 

何もしたくなかったのだ。

ただ何も考えず、先程の失態を忘れたかった。

 

だが、悲しいことに時間が立つにつれ、思考は冴えてくる。

自分は見知らぬ人の前で脱糞した。しかも立ったまま大の字で拘束されるというオプション付きでだ。

今でも思い出す、あの金髪の死神の『コイツ、マジ…?』という憐れみと軽蔑の目を。

あの狼の『くっさ! ありえないんだけど!?』という訴えの目を。

 

 

――ふざけるな。

 

全部お前らがそうするように仕組んだではないか。

そもそも私が何をした?

ただトイレに行きたかっただけではないか。

それなに何故あんな妨害を受けなければならない。

 

公衆トイレが汚いと思っている人間なんて沢山いる。

それなのに、なぜ私だけがこんな仕打ちを受けなければならないんだ。

 

――理不尽ではないか?

 

そうだ、理不尽だ。

いくら神であろうと、これは理不尽だ。

神は私を脱糞させて社会的抹殺を図った、そしてそれは成就されるだろう。

なぜなら私を襲った1人は同じ学校の高町さんだ。あの金髪少女と組んでるはずなので、

私が脱糞した事実はいずれ彼女を通して学校中に広がるだろう。

 

そして、学校中のみんなに言われるのだ。

 

――よう、うんこマン。

 

――うんこ君、血便が出てるよ……あっ鼻血か(笑)

 

 

「ちきしょうぉぉぉおおお!!」

 

 

私は叫び、バシャバシャと腕を水面に叩きつける。

そうしなければやっていられない。

私の社会的地位は下の下、底辺も良いところだ。

 

もう社会への再起は難しいだろう。

だが、逆にもうこれ以上社会的地位は下がりようが無いという事だ。

なら、神は私をこれ以上不幸にできない……ということは一種の無敵状態ではないか?

 

――そうか、ならこれはチャンスか。

 

今度は私が神に引導を渡すべきなのだ。

私にやったように神に脱糞でもさせて、指刺しながら笑ってやればいい。

そうすれば、色々と神も失墜していくかもしれない。

 

「ククク……」

 

考えただけで気分が優れていく。

笑みが止まらない。そうだ、コレは私の復讐だ。

神もその手下であるあの少女達も同じ目に合わせてやる。

 

……だが、ヤツらは不思議な力を使う。

並大抵の事では悲願は成就できないだろう。

たとえ私が賢者の石で力を行使しても、力及ばずで負けたら、今度は全校生徒とかの前で脱糞させられるかもしれない。

 

ここは冷静に動くべきであろう。

その為にも、まずやるべき事は賢者の石を効率よく使い、力をつけることだが、

やり方がわからない。

こうしたいと念じれば超能力が使えたが……もっと強く念じれば良いのだろうか?

 

"もっと、もっと力が欲しい"

 

ポケットから取り出した賢者の石を両手で握りしめ、教会で祈るがごとく両手を額に合わすと、だんだんと手の中が熱くなっていく感覚が強くなる。

指の間から強い光が差すが、お構いなしにもっと念じる。

 

するとどうした事だろうか、急に周辺の海が荒れ始めたではないか。

このままでは溺れてしまう為、急いで超能力で空へ飛んで逃げると周囲に奇妙な光景が目に映った。

 

なんと、先程の天気とは打って変わって、空からは雷が降り注ぎ始めたのだ。

さらに、海からは海水が竜巻のように吸い上げられ、複数の竜巻が発生していた。

 

――天変地異

まさにこの一言であった。

だが、現実的に考えて何もないところからこんな状況になるなってありえない。

一番あり得るのは私が賢者の石に力を望んだ事だが……この状況が私への強化に繋がるのか?

 

『何をどうやって?』と、首を傾げた時あるモノが私の目に止まった。

何と、竜巻の一部に私が持っている賢者の石と同様の輝きをした発光体があるのだ。

まさかとは思い、竜巻の中を透視すると賢者の石が竜巻の中央で浮遊しているではないか。

しかも、他の竜巻にも同様に賢者の石があるようだ……数は6個!

 

「なるほど……これが私の強化か」

 

賢者の石は1つだけではなかった。

どうやら複数存在しているらしいが、現状では賢者の石が最大何個なのかは不明だ。

もしかしたら、海鳴師にはまだ賢者の石があるのかもしれない……だが、それを集めるのは難しいのかもしれない。

 

――何故なら、急に周囲の景色が色褪せたからだ。

 

町の方角へ目を向けると、遠くで黄色い何かが此方に向かってくるのが見える。

……あれは恐らく先程の刺客だろう。

神を陥れようとしている私のパワーアップを神が許すはずがないのは当たり前の事だ。

さらに言えば、神からしたら私の力の源である賢者の石は邪魔なはず……きっと破壊するか奪ってくるに違いない。

 

ならば……私はあえて撤退しようじゃないか。

相手から襲撃されるのにわざわざ待つ人間はいない。

それに、新に手に入る賢者の石についても未知数な事があるので検証しなければならない。

例えば、人間が一人で拳銃を10個持っていたとして、一度に使える上限は2個まで……というように、世の中には複数所持しても効果のないものだってある。

故に検証をしなければならないのだ。

 

さて、その為にも刺客が来るよりも早く賢者の石を回収しなければならない。

刺客の移動速度を見た限り、あと数分もあれば此方に着くので急がなければ間に合わないが……手遅れになる可能性は無い。

 

何故なら、私には超能力による物体テレポートがある。

ククク、これは何もギャルのパンティ専用の超能力ではない。

これは私が望むモノ、欲しいと思ったモノを手元に持ってるく力なのだ。

 

故に――賢者の石を手中に収める事など容易い。

 

私が超能力を使ったものの数秒で、賢者の石は私の手のひらに合計7個存在していた。

物体テレポート後、賢者の石からは強烈な発光していたが、みるみるうちに発光は縮小していき、次第に周りの風景も改善していた。

 

 

さぁ、もう刺客が近くまで来ているので仕上げだ。

私はテレポート先を思い浮かべ、超能力を発動させる。

 

「逃がさない!」

 

 

ギリギリ到着した刺客が、何やら此方に向けて斬撃みたいなのを飛ばしてるが、もう遅い。

その攻撃は私の体に触れる事なく終わる。

 

ククク、今回は突然の襲撃と腹痛で遅れを取ったが……次は負けない。

待っていろ公衆トイレの神とその手下共。

私は必ずこの地に舞い戻り、貴様らを脱糞させてやるからな!

 

 

 

 




この主人公、何ちゅう目標立ててんの(;´・ω・)





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