賢者の石拾って、超能力が使えた件   作:MrM3

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6話

 

 

 

■フェイト

 

彼に逃げられた。

だが、ジュエルシードから漏れる魔力を辿ればまた会う事は可能だ。

だから、逃げられた事は別にいい。

 

問題は私と対峙している白い魔導士だ。

 

「……あなたの目的は何? 花園君をどうする気なの?」

 

デバイスを向ける彼女の目は、恐ろく据わっていた。

先程の彼の名前を知っている事から、仲間か、知り合いが私に害されたと思って怒っているのだろう。

 

彼にもこの子にも、迷惑を掛けて申し訳ないと思う。

でも、私は母さんとの約束を守らなければならない。

その為なら、私はどんな事だってしてみせる。

 

「……あなたに話す事は何もない――バルディッシュ」

 

Arc Saber(アークセイバー)

 

「レージングハート!」

 

Protection(プロテクション)

 

バルディッシュを振り、放たれる魔力刃を彼女のデバイスが防御魔法で守っている。

両者の魔法が激突しジリジリと音を上げるが、私のアークセイバーが次第に勢いを失い消失する。

魔力付与して飛ばす攻撃と魔力を放出し続ける防御魔法では、込められた魔力量が違う為、防御魔法が勝のは当たり前だ。

 

でも、その分消費魔力はあの子の方が大きい。

だから、あのような単調な私の攻撃など回避して消費魔力を抑えるべきなのだが、それをしなかった……理由は2つ考えられる。

何かの戦略か、それとも戦闘経験がほとんどないか、だ。

 

『アルフ、どっちだと思う?』

 

『魔力量は高そうだけど、あれは素人だね。

防御魔法に攻撃が当たる瞬間目を瞑るなんて、戦闘経験があったら絶対しないよ』

 

アルフの念話を聞き、やはりという思いが確信に変わる。

恐らく、彼女はまだ魔導士になって日が浅いのだろう。

それでもプロテクションが発動できる時点で、中々の才能だと思うけど……私の敵じゃない。

 

「バルディッシュ、休む暇を与えずにいくよ」

 

Sonic Move(ソニックムーブ)

 

プロテクションは防御に優れている。

でも、それは攻撃方向に合わせて行う事が多い為、意識しなければ背後にプロテクションを張る事はない。

なぜなら、魔力の無駄だになる上、自分の退路を塞いでしまうからだ。

 

そして、今発動したソニックムーブは高速移動魔法の一つ。

素人相手にこの魔法を使えば、背後を取る事は簡単だ。

 

「消えた!」

 

「なのはっ、後ろだ!――プロテクション!」

 

私が振るった一撃は、使い魔の魔法によって防がれていた。

私の動きを察知した事といい、魔法の展開速度といい……少しやっかいだ。

でも、私も一人で戦ってる訳ではない。

 

「ハァァァァ!!」

 

「そんな、僕のプロテクションがッ!」

 

アルフは防御魔法への破壊魔法が得意だ。

プロテクションなどの防御魔法をバリアブレイクする事など簡単にできる。

そして、防御魔法が無くなった今、バルディッシュを振るっている私の攻撃に対抗する手段はない。

 

「バルディッシュ、スタンショック」

 

Yes Sir(イエス サー)

 

「きゃぁぁぁ!」

 

私は魔力に電気を付与できるレアスキルがある。

当然、出力を上げ放てば相手を気絶させることも可能だ――この子のように。

 

「うっ――なのは!」

 

使い魔自身も感電しているはずだが、意識は保っているようだ。

だが、体を動かす事はできず、ただ自分の主を呼ぶだけであった。

 

「勝敗はつきました。

貴方たちがこの管理外惑星にいる理由を教えてください――でないと」

 

私は使い魔に見えるようにバルディッシュを主の首筋へと向ける。

もちろんこれ以上この子を傷つける気はないが、使い魔にそれを知るすべはない。

現状、彼は情報を言うしかないのだ。

 

「くぅ――僕たちは……」

 

 

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10分程度、使い魔――いや、ユーノ・スクライアから聞いた情報で色々と把握できた。

やはり彼女たちは管理局員ではなく、ジュエルシードの所有者、しかも魔導士の子は現地住民の協力者であるという事が判明した。

 

そして、この子達もジュエルシードを集めているという事も。

既にジュエルシードを7個も回収しているという事も分かった。

 

「ではジュエルシードを全て此方に渡してください」

 

「……君たちの目的はジュエルシードか」

 

私の真意を見抜こうと、此方を見る彼へ私達の目的をわざわざ話すつもりはない。

 

「なら、さっきの子を襲ったのもジュエルシードが目的なのか」

 

「……それに答える必要はありません。

早く此方にジュエルシードを――ッ!?」

 

私がまた彼女へバルディッシュを向けたその時だ。

私は自分の背筋が凍るような悪寒を感じた。

そして、その発信源は気絶している子からでもスクライアから発せられている訳でもはない。

 

「何だいこの魔力は!?」

 

「これは、まさか……っ!!」

 

アルフもユーノスクライアも私と同じモノを感じたようだ。

 

「君、この原因は何!」

 

「早く答えな! コレ、そう当ヤバイよ!」

 

「多分、ジュエルシードが複数同時に発動してる!

今は次元震で留まっているけど――いつ次元断層が発生してもおかしくない!」

 

彼が慌てる理由は、もう直この惑星が消滅する可能性が発生したからだ。

大規模な次元震だけでもこの次元世界に甚大な被害が発生してしまう。

だが、問題はそのさらに上である次元断層が発生した場合だ。

次元断層の被害は次元震の比ではない。

この惑星を含め、いくつもの世界が消失する……かなり危険な状況だ。

 

「レイジングハート! ジュエルシードを全て出して!」

 

All right(オールライト)

 

あの子のデバイスから出てきたジュエルシードが、私に差し出されている。

恐らく、状況が状況だけに争っている場合ではないと判断したのだろう。

 

――それには同感だ。事は一刻を争うのだから。

 

「今、なのはは動けない。

だから頼みます、ジュエルシードの暴走を止めてください」

 

「ふ、ふざけるんじゃないよ!

あんな所へ行ったら、フェイトもアタシも死ぬじゃないか!」

 

確かにそうだ。

あの場に行けば最悪の事態が起こる可能性は高い。

でも、それはこの場にいても一緒だ。

なら――危険を承知で行く方が良い。

 

「アルフ、行くよ」

 

「ちょ、ちょっとフェイト! 正気かい!?」

 

「うん……母さんの為だから」

 

ジュエルシードは既に7個手に入った。

これで今暴走しているジュエルシードを回収できれば、きっと……母さんは私を認めてくれるだろう。

昔のように、私に笑顔を向けてくれるはずだ。

 

「……わかったよ。

でも、フェイトが危なくなったら、アタシは直ぐにフェイトを連れて逃げるからね!」

 

「うん、ありがとうアルフ」

 

ここからジュエルシードの発生源は距離がある。

急がなければ間に合わなくなる。

 

「バルディッシュ、アルフ、少し飛ばすよ」

 

Yes Sir(イエス サー)

 

「あいよ!」

 

 

 

 

 

 





なのはが一方的にやられたでござる(´・ω・`)
なのはさんを期待した方には申し訳ないでござる(´-ω-`)
この時期のなのはがフェイトに善戦できるイメージが湧かなかったでござる。

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