一輪の花   作:餅味

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この話だけ読むと主人公俺TUEEE系オリ主になってる気がするw
安心してください、ちゃんと適切なタグを付けております。


プロローグ2 ~ナザリック側~

『ユグドラシル』

長きにわたり続いたこのゲームもついに終わりを迎えようとしていた。

ヘロヘロさんも帰ってしまいどうしたものかと思案していたとき、通知音が鳴り顔を上げる。

一件のメッセージが送られてきた。

 

【あろまボットン】

 

この名前には憶えがある。

確か異形種狩りと呼ばれる理不尽なPKから助けた人物だ。

その時はレベルが50にも満たない初心者であったが、約1年後にはユグドラシルではほとんどの者が認知するほどの有名人になった。

単身で世界級(ワールド)アイテムを3つも入手したと思われる化け物。

『平和の象徴』と『夢想天輪』を所持していたはず、残念ながら残りの1つは知りえていない。

 

なぜ世界級(ワールド)アイテムの情報がユグドラシル内で認知されているのには、とある事件が原因でもある。

発端は異形種狩りと呼ばれるPKであろまボットンさんが狙われたときである。

一対六という不利な状況、助かるには援軍が来るか上手く敵の穴を見つけて逃げ切る位だろうか。

しかしここでチートだなんだと電子掲示板が炎上する事件が発生する。

 

世界級(ワールド)アイテムである『平和の象徴』は真っ白なトーチである。使用者を中心に一定の範囲に入るプレイヤーの戦闘行動の制限をするものである。ただし使用者と世界級(ワールド)アイテム所持者には適応されない。

名前にそぐわないえぐい能力を持つが範囲はそこまで広くないという話らしい。

 

飛行(フライ)すら使えないため、走って逃げるしかないのだが・・・・・

スキルも魔法も攻撃すらできない状態で逃げることもできないとは想像するにかなり絶望的だろう。

だがその後およそ100名による超集団リンチでは当然対策を練られたが、ここでもう一つの世界級(ワールド)である『夢想天輪』が露見する。

光輪が空高く展開され、対象の表示を一定時間操作することができるものである。

範囲300メートル内にいる者をランダムに選択する。

最大捕捉人数は100を超えているとされ、野次馬連中にも被害があったとか。

隣にいる者があろまボットンに見えたり、自身のステータスの誤表示に極めつけはログアウト画面の消失まで。

そんなもの対策を立てていなければどうしようもない、それに加え集まった集団は異形種狩りを娯楽としている雑多な寄せ集めである。

当然パニックに陥り、疑心暗鬼の醜い争いで自滅したという。

 

この話も尾ひれがついたとされ信憑性はかなり薄いとされているとか。

 

しかしこれが本当だとすればいかに情報の大事さが分かる事件でもあったが、何よりこの事件によ世界級(ワールド)アイテムの危険意識と価値は確実に上がったのは間違いない。

 

ただギルドに入った際に2つはギルドに寄付するという変人としても知られていたりする。

その後世界級(ワールド)アイテムの攻撃を受けるが無効化されたことで第三の存在が噂された。

おそらく最もPKに襲われた回数の多いプレイヤーである。

 

 

そんな彼がこんな時に何の用だろうか?

とりあえず待たせるのも失礼だと思い、すぐにメッセージに答える。

話だけ聞くと緊張しているのが手に取るのが分かる。

 

どうやら最後にもう一度会いたいとの事で、こちらも人恋しかったところだったので快く了承した。

 

(来るの早いな)

 

あろまボットンが所属するギルドからナザリックまでは遠くはないが近くもないだろうに。

一体ここまでの距離でいくつ課金アイテムがすっ飛んだろうか。

まあこれも最後と思えば別に気にすることではないのだろう。

 

 

・・・・・・・

 

 

話してみればあろまボットンさんとは気が合うようだ。

こんなにも気が合うならもっと早く話せばよかったのかもしれない。

 

ナザリックに部外者を入れたなんてしたら皆怒るかな?

誰もが到達できなかった第十階層に足を踏み入れたあろまボットンさんは子供のようにはしゃいでいる。

もしかしたら彼は42番目のメンバーだったかもしれないな。

 

楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていく。

気づいたらもうあまり時間は残ってないとは...俺もはしゃいでたのかな?

彼に感謝しよう最後の時を共に過ごし寂しさを埋めてくれたことに。

 

さぁ明日は四時起きだ。

ログアウトしたなら早く寝ないとな。

 

 

目を閉じ強制ログアウトの時を待つが何の変化もない。

ゆっくりと目を開けると景色は変わっていない。

だが明確に変わったことが・・・・・

 

「!?」

「どうかなさいましたかモモンガ様?」

 

玉座の脇に控えていたNPCのアルベドや階段下の端に並ぶセバスにプレアデス達が不安顔でこちらを見上げている。

サーバーの延期?ならNPC達が口を動かし表情を変える説明は?新しいユグドラシル?これでも説明がつかない。

そして何より重要なのは・・・・・

 

「あろまボットンさんはどこだ!!」

「申し訳ありませんモモンガ様。私共の浅知恵ではあろまボットンが一瞬で消えてしまった原因は全く分かりません。無知な私共をお許しください」

 

この場にいたはずのあろまボットンさんは消えた?ログアウトできたのか?

ここで考えていても埒が明かない。

とにかく今はNPC達が意思を持ち、この世界で何らかの異常事態が起きていることは間違いない。

ならばアインズ・ウール・ゴウンのギルド長として振る舞わなければなるまい。

 

「あろまボットンさんは私の友人だ。もっと敬え」

「も、申し訳ありませんモモンガ様」

「よい許す」

 

まずは状況の整理だ。

アルベド達以外のNPC達も友好的か調べ、周辺地理を確認し変化の有無も調査する必要が・・・・・

自分でも驚くほど迅速に指示を出し行動を開始している。

この体の影響か?

骨だけと化した手のひらを見つめ一度大きく開いたり閉じてみる。

実感は本物だ。アルベドからいい匂いも・・・おほん

嗅覚もあるしこれは本当に異世界に来てしまったのかもしれない。

 

 

・・・・・・・

 

 

第六階層・闘技場に第四と第八を除く階層守護者を集め各階層の状況報告を済ませ、セバスに周辺地理の探索をさせあたり一帯が毒の沼地から草原へと変わっていたとのこと。

正直頭を抱えて俯きたいところだが、ぐっと腹に力を込め胸を張る。

アルベドとデミウルゴスに連携しより強固な情報共有システムの構築やマーレにナザリックの隠蔽、各階層の警戒レベルを上げさせる。

この他にも細かく問題が散りばめられているのだが、これはおいおい解決するとしてだ。

目先の目標はどうする?

 

「ふむ...」

「いかがなさいましたかモモンガ様?」

 

デミウルゴスは即座に対応できるといった面持ちで跪いたまま顔を上げている。

 

「すまない杞憂であった。これからも信頼しているぞお前たち、今後とも忠義に励め」

「「「「「「「はっ」」」」」」」

 

大きく頭を下げ拝謁の姿勢をとるアルベド達の前から転移する。

周囲に気配がないのを確かめため息をこぼす。

 

「あいつら・・・何あの高評価・・・」

 

絶対全力(マジ)だ・・・

どうしよう・・・あろまボットンさんの事もあるけどタブラさんに顔向けできない。

 

 

・・・・・・・

 

 

モモンガが消えてしばらく誰も立ち上がろうとしなかったが、アルベトがゆっくりと立ち上がる。

白いドレスについた土を気にしているようには見えない。

アルベドに続くように守護者たちが立ち上がり始める。

 

「す、凄かったねお姉ちゃん」

「押しつぶされるかと思ったよ流石はモモンガ様だね」

「絶対ナル支配者デアル至高ノ御身ノ力、コレホドトハ・・・」

「このナザリックを収める至高の41人の頂点に立つお方でいらっしゃいます。」

 

守護者たちが口々にモモンガを称賛する中、ただ一人立ち上がらないシャルティア。

デミウルゴスがどうかしましたか?と尋ねと、その表情は高揚しており何やら息も荒い。

アルベドがいち早く感づき目を細める。

 

「このビッチが」

「んなっ!?あれほどのご褒美を頂いて濡れん方が頭おかしいわ!!」

 

先ほどまでの空気が一変し、酷く冒涜的な女の闘いが勃発している。

そんな二人をわき目にデミウルゴスが話を切り出す。

 

「それにしても最後のモモンガ様が杞憂とおっしゃたことは一体なんだったのか」

「ソレハ私モ気ニナッテイタ」

「これからのことで何か思惑があるのかな?」

「うーんなんだろう?」

 

頭を捻るがこれだという答えが出ない中、先ほどまで口論していたアルベドが口を挟む。

 

「それはおそらくあろまボットン様のことね」

「あろまボットン様?誰だいそれは?」

「モモンガ様のご友人よ。ナザリックに異常が出るまで第十階層でモモンガ様と談笑していらしたわ」

「なんと!?第十階層にお招きする程のお方がいらしていたとは...」

 

けれどもとアルベドが言葉を続ける。

 

「消えてしまったの。アイテムやスキルを使ったようには見えなかったから、モモンガ様はおそらくあろまボットン様のことでご心配だったと思われるわ。」

「なるほど。だがそのあろまボットン様は怪しくないかね?消息を絶つタイミングができすぎている。」

「至高ノ御身ノゴ友人デアルゾ、ソレハ不敬ナ考エデハナイカ?」

 

横から失礼します。と今まで口を開かず端に控えていたセバスが口を開く。

 

「あろまボットン様は確かにナザリックの者ではありませんが、それは無いと思われます」

「どうしてそう言い切れるんだいセバス」

「モモンガ様と談笑するお姿は至高の御方々によく似ていらっしゃった。そしてご友人でありながらモモンガ様に深い敬意と崇拝を感じられました。」

「それは君がそう感じただけではないかね?」

「いえ、あろまボットン様はプレアデスの更に後ろへと並び、玉座のモモンガ様に跪いてらっしゃいました。」

「私も見ていたわ。確かに私たちと同等かそれ以上の敬意と崇拝を感じられたわ。」

 

アルベドの言葉にデミウルゴスはふむと一度頷くと

 

「2人を信じよう。それにこちらにあろまボットン様も転移させられてしまっている可能性があるならお一人のはず、モモンガ様がご心配になるのも分かる。」

「ぼ、僕たちに余計な心配事を増やさないように気配りしてくださったのかな」

「でも捜索に私たちをお使いにならないってことはそこまで心配してないんじゃない?」

「それはおそらく未知の世界でのリスクとあろまボットン様への信頼でしょうね」

 

その場にいる者が一心に羨ましいと思ってしまう。

自分たちもモモンガ様の信頼を獲得しよりナザリックに貢献したいと強く心が高鳴っている。

 

「さあ行動を開始しましょう!」

 

アルベドがパチンと手を叩くと、その場にいる者たちが一斉に行動を開始し始めた。

 




速筆じゃなくて申し訳ありません。
心配性で書いたり消したり繰り返してるせいで、粗末なプロットまでいじりだして前に進めません。orz
ソシャゲのイベント周回に逃げないよう精進します。

そして!初のお気に入り登録誠にありがとうございます!テンション上がりすぎて変な声が出てしまいましたw

これからもよろしくお願いします。

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