TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
何の前触れもなく、
のほほんさんが残していった大量の仕事と格闘する為にいた生徒会室。
そこでいきなり使っていた機器、そして照明が落ちたのである。
「ああああ!今までのデータがぁ!…って、そうじゃない!これって…」
数秒たっても非常電源へ切り替わらず、窓はすべて防御シャッターが降りている。
通常ではありえない状況だった。
次の瞬間、校内放送の電源が入るプツンと言う音がし、千冬さんの声が流れ始めた。
『全専用機持ちは地下のオペレーションルームへ急げ。シャッターは破壊しても構わん!』
「これ…」
クロエ・クロニクル、黒鍵、特殊部隊、ファング・クェイク。
そして……。
《ワールド・パージ……開始》
その声が頭の中で響くと、ぐにゃりと世界がゆがむ。
そして私は激しい頭痛と共に意識をどこかへと手放した。
≪ふふふ。そう、貴女は眠っていなさい。
~~~~~
IS学園の地下に存在する、オペレーションルーム。
物理的、電子的に強固な防御がなされているこの部屋は、バンカーバスターはもとより核融合弾に対しても高い対放射能防御を持つ。
既におてんば娘共は各々のアクセスルームへ移動していた。
「生徒に被害は?」
「現状、防壁によって閉じ込められている生徒がいますが、怪我人の報告は来ていません」
山田先生が複数のコンソール・ディスプレイとキーを操作しながら言った。
「分かった。さて、更識。お前にはアイツらとは別の任務をやってもらう」
「はい、なんなりと」
その表情にいつものおちゃらけた様子はない。
「恐らく、この隙に乗じて第三勢力が介入してくるだろう」
「敵―ですね」
「ああ。悪いが、頼らせてもらう」
「任されましょう」
パッと開いた扇子には大船の二文字が書かれていた。
「…辛い防衛戦になるな。まだ完全にダメージを回復しきれていないんだろう?」
「えぇ。ですが、私は国家代表。戦い方は熟知しています」
その真剣なまなざしは堅い決意とただならぬ熱意がこもっている。
私にはそう見えた。ふぅとため息をつく。
「では、存分に頼らせてもらう」
「はい。それでは」
そう言って更識は部屋の外へ出ていった。
ドアが彼女の姿を完全に遮った後、先ほどよりもひときわ大きなため息をつく
「私たちは…いったい何をしてるんだ。守るべき生徒を戦わせ…」
「織斑先生…」
「…そうだな。すまない、私たちには私たちの仕事があるな」
そう言って、私は部屋を出た。
~~~~~
「どこにいる!ブリュンヒルデェ!」
まだ戦闘が開始され数分。既に私を残し、部下は全滅していた。
敵は、あの織斑千冬である。その愛機、
ピピピ!とISのセンサーが警報を発する。
「左右同時だと!?ガァァァァァッ!?」
ISのシールドによってそのダメージは肉体に届かないはずだ。
しかし、機体のダメージはそのまま肉体へバック・クラッシュとして襲い掛かった。
「伏兵かっ!?違う!分身!?」
神経とリンクした画像認識システムが、そう表示を出す。
眼前の暮桜は二機、搭乗者も全く同じ織斑千冬であった。
二人の織斑千冬がまったく同じに、にやッっと不敵な笑みを浮かべる
次の瞬間うしろからのIS接近警報が鳴った。
「何ッ!?」
ファング・クェイクのスラスターを吹かせ、すんでのところでその一撃を回避する。
が、しかしピピピピとまたけたたましいアラームが鳴り響いた。
「全方位攻撃!?」
ISのセンサーは数か所から同時に攻撃する
「クッ!
BT兵器、それは唯一、英国のみが実用化に成功しているものだった。
英国代表セシリア・オルコットは確かにこの学園に在籍している…。
「これで1対3…いや!」
ぬぅっと黒い影が私の周りを取り囲む。
「ラファール、打鉄、メイルシュトローム!テンペスタに…イーリス・コーリングのファングクエイクだと!!」
分かっている。こんな物理法則を無視した芸当をできる人間、ISが存在するはずがない。
だとすれば…幻影。
「はッ!私はニンジャと戦っているのか」
悪態をつくようにつぶやく。が、しかいそうしている間にもまだその影は増え続ける。
「ドイツのレーゲンに中国の甲龍、それにタイのドゥルガー・シン!」
ドクン、ドクンと心臓の鼓動が大きくなってゆく。
作戦前に遅効性の精神安定剤を投与されてはいる…が、こんな状況はいかなる訓練でも体験したことがなかった。
「あーあ。つまんなぁい」
そう、声が響いた。
前方にいた暮桜の一機、織斑千冬から放たれた言葉のようだった。
「ゲームも勉強も、ふとした瞬間につまらなさが襲ってくる、貴女もそう思わない?」
「!!?」
眼前の影でできたISは一瞬にして姿を消した。
そして今まで私が…、いやISが織斑千冬と暮桜であると認識していた声の主は、
「何者だ!その制服…
そう問いかけると、よっと声を発し腰かけていた肩アーマーから飛び降りる。
声の主、それはIS学園の制服を着た少女であった。伸びた髪で若干目が隠れているところ以外、いたって普通であった。
「初めまして。名もなき隊長さん。
「何を言って…ガァァァァァッッ!!?」
その少女が指をパチンと鳴らすと、鋭い痛みが全身を襲った。
電流とも直接的な殴られたような痛みとも違う。
「あはははは!貴女、叫び声はいいのねぇ。痛いでしょ?ISから貴女の神経にアクセスして痛みを全身に流したの」
「がぁぁぁ!あぁぁぁぁ!ひぎぁぁぁぁ!」
「あ、そうだ。ISも消しちゃわないとね」
また少女が指をパチンと鳴らすと、私が纏っていたファングクエイクは粒子になり、消えてゆく。
ISが消えたと同時に痛みも話せる程度には和らいでゆく。
あたりを見渡すと、同じように苦しんでいる部下の姿が目に入った。
「きさ…ま…、なに…も…の…」
「んー?私?うーん、
床に倒れた私を彼女の顔を見上げるようにしてのぞき込む
「…!!」
のぞき込んだ少女の目は、異常だった。
白いはずの部分が、漆黒に染まり、黒いはずの部分が金色に染まっている。
「ばけ……も…の!」
「あら、あらららららぁ!それを言うのは私じゃなくて
そう言った少女…いや少女の格好をした化け物はくるりと身体を振り返らせる。
「でも、貴女にはわかるでしょう?
その化け物の視線の先には全身を特殊スーツで包んだ人物。
世界最強の名を持つ唯一無二の存在、織斑千冬が立っていた。
原作との乖離、ガンガン進めていきますよ。ワールド・パージ編は一応③までの予定です。
感想、評価、よろしければお願いします。
あ、それと、気が付いたらUAが11万、お気に入りが970を超えていました。
皆様、本当にありがとうございます。前にも言いましたが失踪は絶対しないので完結までよろしくお願いします。