TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~   作:地味子好き

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学園編⑭

 

「にゃっはっはぁ~。まさかこんなバグが起きるとはねぇ~」

 

 

地球上の、どこに浮いているのかも分からぬ人工島。

 

 

そこの中枢に篠ノ之束はいた。

 

 

「んー、強さはほぼ同じ…でもすぐ抜かれちゃうよね~。どう足搔いても模造品(コピー)模造品(コピー)かぁ~」

 

 

「束様、お茶が入りました」

 

 

ぶつぶつとつぶやいている束の横に、クロエは紅茶がのったティーカートを押してくる。

 

 

「ありがと~。わぁ~スイートポテトも一緒だぁ!」

 

 

「はい。旬の時期になってまいりましたので」

 

 

皿には黄金に輝くスイートポテトがのせられている。

 

 

「冬香様…ですか?」

 

 

クロエは空間投影ディスプレイを横からのぞき込む。

 

 

「そうそう~。まぁ、今回の原因は冬ちゃんじゃないけどね~。それに、愛しの妹(ほうきちゃん)も予想以上に強くなってたし」

 

 

そう言って、複雑な文字式が並んだプログラムをさっと書き換えてゆく。

 

 

一瞬のうちにしてその大部分を書き直した束はそっと一口紅茶をのむ。

 

 

「そろそろ、ですか?」

 

 

クロエがそう一言、束へ聞いた。

 

 

「そうだね。そろそろ、やろっか。」

 

 

その返答にクロエはニコッと笑い、いつの間にか空になっていた紅茶と皿を片付けながら言う

 

 

「では、準備が出来次第行ってまいります」

 

 

 

IS学園に、また新たなる乱雲が立ち込めるのはもうすぐであった。

 

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 

「なんで…どうして……どうして私が…」

 

 

 

 

あのトーナメント事件から数日が経ち、度重なる事情聴取とその後のゴタゴタからやっと解放されたと思ったある日。

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今、食堂にいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

専用機持ち(ヒロインズ)に囲まれて

 

 

 

 

 

 

「何でもかんでもないわよ!」

 

 

 

ダン!と鈴が机を叩きながら立ち上がる。

 

 

「そうだぞ冬香!何故私を裏切った!」

 

 

そう言って続くのは箒だった。

 

 

「裏切ったってなんの「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」

 

 

私の反論を遮りつつ二人をなだめたのはシャルだった。

 

 

「やめろシャルロット。本来なら拷問の上、自白剤の投与をしたいところを必死に抑えているんだ」

 

 

「ラウラもそんなこと言わないの。ほら天利さん、お茶もう1杯飲む?お菓子もあるよ?」

 

 

そう言ってテーブルの上にのっていたスイートポテトとアイスティーをずずずいっと推してくる。

 

 

「それで、実際のところどうなのかな?」

 

 

しかし、シャルはスッと笑顔のまま、私に顔をずずずいっと近づいてくる。

 

 

 

そう言われてもどうとか何の話か分からない。

 

 

 

 

え、これって原作の簪ちゃんが一夏大好き発言の真意とその後を追求する会だよね?

 

 

 

 

何で私なの?

 

 

 

 

「もう!じれったいですわ!単刀直入に聞きます!」

 

 

今までスイートポテトを刺していたフォークを今度は私に向けたのがセシリアである。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()は本当なんですの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

「冬香!私は信じていたぞ!」

 

 

 

ねえ箒。先ほどまでの裏切り発言がまるでなかったかのようなそのセリフはどうなの?

 

 

 

「まぁ、たとえ告白されてもあんたみたいな地味女の告白なんか一夏が受け取るはずないものね!」

 

 

鈴さん。そう言いながら何回もスイートポテトにフォークを刺し損ねてるのはなんで?

 

 

「ふふふ。まぁ、我がドイツ軍のISスーツのレプリカを持っていたほどだ。分かり合えると信じていたさ」

 

 

ラウラさん、とりあえず拭いてるナイフしまってもらえないかな?

 

 

「あはは、疑ってごめんね…」

 

 

「わたくしとしたことが、根も葉もない噂に踊らされてしまいましたわ…」

 

 

ああ、シャルちゃんとセシリアさんの言葉がいちばんやさしい。

 

 

 

「あはは、ありがとうデュノアさん。セシリアさん」

 

 

ちゅーとアイスティーを吸い込む。

 

 

 

さて、私が一夏と付き合っているなんて言うとんでもない噂の正体は一つの勘違いから始まったモノだ。

 

 

先ほどの弁明もとい説明を求められたとき、セシリアはこう言っていた。

 

 

「夕暮れ、人気のない教室で貴女が一夏さんからOKの返事をもらったところを見た人がいるのです!」

 

 

 

これから察するに

 

 

①『誰か』が人集めのお願いをしているところを偶然見てしまった。

 

 

②そしてその『誰か』が発言の一部分しか聞かず、間違いった解釈をしてしまった。

 

 

③大スクープと勘違いした『誰か』が噂をばらまいてしまった。

 

 

とこんなところだろう。

 

 

 

「とりあえず、その噂してる人には否定してあげてね…」

 

 

そうしてもらわないと私が刺されかねない。

 

 

 

ジッサイとんだ勘違いで死にかけたのだから。

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「ええっと、新聞部、新聞部は…ここかな」

 

 

 

専用機持ち(ヒロインズ)から解放された私は新聞部に訪れていた。

 

 

打鉄弐式の完成を手伝ってくれた黛薫子先輩への『お礼』をするためである。

 

 

先ほど来たメールによれば私が詰め寄られてる間に一夏君は既に終わったようである。

 

 

「失礼します」

 

 

スライド式のドアを開けると座りながらPCの画面とにらめっこをしている黛先輩がいた。

 

 

「おー、冬香ちゃんか。いらっしゃい」

 

 

「あ、はい」

 

 

「早速で悪いけど、冬香ちゃんにはいろいろやってもらうからね~。じゃあまずこれ着て?」

 

 

「へ?」

 

 

 

そう言ってばっと渡されたのはスクール水着だった。しかも旧式。

 

 

「え、ちょ、ちょっと待ってください!私、何を…」

 

 

「何をって、被写体。冬香ちゃんルックスも顔もいいし被写体にピッタリなんだよね」

 

 

「聞いてないです!」

 

 

「言ってないからね。でも、追加で条件付けたのは覚えてるでしょ?」

 

 

「そりゃあ…そうですけど…」

 

 

「だったらヨロシク。ほら更衣室はあっち」

 

 

そう言われてしまっては私も返す言葉がない。

 

 

「分かりました…」

 

 

そう言って私は更衣室へ足を進めていった…。

 

 

 

 

~~~~~

 

 

「いいねぇ。そこ捻ってみようか…ああ、すっごい良い。そのポーズ!」

 

 

撮影を始めて既に三時間は経過していた。

 

 

旧スク水に始まった地獄はセーラー、バニー、猫耳と衣装を変え、現在は体操服にブルマを履いている。

 

 

既に秋だが屋内暖房がしっかりしているため幸い寒くはない。

 

 

「うぅぅ…早く終わってぇ…」

 

 

あまり写真を撮られるのが苦手なうえにこの衣装だと疲労はいつもの数十倍にも及ぶ。

 

 

「大丈夫、これで終わりだから」

 

 

そう言って黛先輩はカシャとシャッターを切る。

 

 

「お疲れ様、いやぁ時間かかっちゃってごめんね」

 

 

「いえ…」

 

 

やるとOKを出したのは私なので何ともいうことが出来ない。

 

 

「そう言えば、この写真何かに使うんですか…?」

 

 

「んー、特に使わないかなぁ。あくまで練習だしね。」

 

 

うん、そうしてもらえるととても助かる。

 

 

「はーい。確認できたから制服に着替えていいよ」

 

 

その言葉を聞くや否や私はそそくさと更衣室へ行き制服へと着替える。

 

 

「ふい、お疲れ」

 

 

そう言って黛先輩は冷蔵庫から取り出した缶コーヒーを渡してきた。

 

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 

「今日はほんとにありがとね。一夏君の写真も取れて次の新聞も書けそうだし」

 

 

次の新聞…あ、そうだ。

 

 

「黛先輩、ちょっとお願いいいですか?」

 

 

「ん?何かな?」

 

 

「一夏くんが今とある誰かと付き合ってるって噂が流れてるんです。それ…、次の新聞で否定してもらえませんか?」

 

 

「別にいいけど…、消しちゃっていいの?その噂?」

 

 

「是非、積極的に消して下さい」

 

 

私は?を浮かべる黛先輩にグイッと近づき、念を押す。

 

 

「分かった、わかったから。近い近い…」

 

 

火消しの確約を得た私はもらったコーヒーをぐっと飲み干し、ごみ箱へ捨てる。

 

 

「今日はありがとね。じゃあ、もう帰っても大丈夫」

 

 

「はい。こちらこそこの前のお礼が出来てよかったです。それでは失礼します」

 

 

そう言って新聞部の部室を後にする。

 

 

既に時計は午後の九時を過ぎていた。

 

 

廊下の窓から外を見ると満点の星が空に広がっていた。

 

 

(次は…ワールド・パージかぁ…)

 

 

だんだん原作との乖離、そして知識のストックが薄くなってゆく。

 

 

この前の黒いゴーレムだって、原作にはもちろん存在していなかった。

 

 

(私がいなくても、というかむしろいないほうがよさそうだけど)

 

 

あの朴念仁(一夏)専用機持ち(ヒロインズ)がメインになるわけだし。

 

 

そう思いながらも、私は心の中にある不安をぬぐい切れないままだった。





EOS「ワイは?」

作者「(作者の気力上)カット」


EOS「は?」



と言う訳でゴーレム関連のいろいろをすっ飛ばしてのつなぎの物語。


なおゴーレムⅢは大半を冬香がぶっ飛ばしたせいで二機で一夏+ヒロインズと戦うことになった模様。


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