TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~   作:地味子好き

26 / 67
鏡の世界から戻れたので投稿再開です。


トーナメント編①

「それにしてもすごい人だよね~」

 

最後までチョコたっぷり。それをポリポリ口に入れながら()()()()()ののほほんさんはつぶやく。

 

あれから何かあったといえば、束さんから空メール(これが本当に謎)が届いたことぐらいである。

 

どう足搔いてもコンタクトを取れない。電話にも出ないし、メッセージにも既読がつかない。

 

まぁ、それはそれとしてペアのほうは厳正なる審査の結果のほほんさんとペアになった。

 

あいかわらず小動物みたいでかわいいものである。

 

「それにしたってふゆふゆと一緒になるとは思わなかったよぉ~。」

 

「私もだよ。のほほんさんはとっくにペア決まってるのかと。」

 

「私は生徒会のほうで準備とかやってたからね~。これが一番楽だったからさぁ~」

 

私が覚えている限りではこのトーナメントにくじで参加したのはラウラ・ボーデヴィッヒと篠ノ之箒の二名である。

 

「さて、私たちの席は…」

 

先日起きた突然な抽選システムの不調によって今朝対戦くじが引かれたばかりである。

 

そして対戦順の発表がついさっき。私たちは2試合目だった。

 

なんと運のよいことだろうか。一シャルペアとラウ箒ペアの次である。

 

じゃあ待機室なり何なりにいればいいのではないか…と思ったのだが第1試合後には俗に「お偉いさんのスピーチ」というものが控えてある。

 

その為代表候補性同士の戦いが第1試合へ組まれていることが多い。実際別のアリーナでは鈴とセシリアのペアが組み込まれていた。

 

他学年にしてもダリル・ケイシー、サラ・ウェルキン、グリフィン・レッドラム等の名前も第1試合に見える。

 

『では、Aブロック第1試合を開始します。両ペア指定座標へ機体を固定。以後30カウントダウンで開始となります。』

 

放送担当の教諭の声だった。

 

アリーナにセットされた大型モニターとスピーカーがカウントダウンを知らせてゆく。

 

5…4…3…2…1…0!

 

刹那。始まったのはイグニッションブーストによる急加速だった。

 

高等機動技術の扱いである本技を1年生の時点で扱えれば評定B+以上確定とまで言われるほどである。

 

彼を盗撮…もとい、束さんへ報告してきた身。この頃の彼の成長はひしひしと伝わってくる。

 

 

 

……でもふゆちゃんより弱いね。

 

 

 

「! ! ?」

 

身体が震えた。その耳元でささやかれたかのような声。知ってる声…。

 

束さんの声が、聞こえた…気がした。

 

「どうしたの?」

 

のほほんさんが聞いてくる。周りを見渡しても束さんの姿は見えない。

 

「ん…いや。何でもない…かな?」

 

きっと空耳だ。多分空耳なのだ。

 

余談だが空耳には「聞いても聞かないふりをすること。」という意味もあるらしい。

 

その間にも戦闘は進んでいた。モニターには篠ノ之箒の名前がブランク体のようになり、赤くバツがつけられている。

 

この戦いから脱落した。それを意味していた。戦わなければ生き残れない…とは、昔、DVDでよく見たものだ。

 

「あ、しののん負けちゃったね。」

 

「相手はデュノア君だからね…。近接型の篠ノ之さんとは相性悪い…かな。」

 

「…ふゆふゆってさぁ。」

 

「ん?」

 

「見てないようで結構見てるよね。」

 

何の話だろうか。そしてそんな神妙な顔つきになる必要があるのだろうか。

 

「何を?」

 

「何でもな~い!」

 

いつもののほほんさんに戻る。

 

ワァァァァァァァッ!

 

会場中が歓声に包まれた。一夏が零落白夜を発動した。

 

しかし、二対一ながらもラウラ・ボーデヴィッヒは善戦している。

 

技術と…あれは執念。

 

しかし、試合の流れは一夏たちへ傾き始めていた。

 

シャルがここで初めてイグニッションブーストを使ったのだ。

 

…正直、私と「黒薊」を持ってしても、あのコンビネーションから勝つことは不可能に近いだろう。

 

そして、シャルの「シールド・ピアース」。正式名称「灰色の鱗殻」が三発。シュヴァルツェア・レーゲンを貫いた…。

 

(ここから…かな?)

 

『アアアァァァァァッッッ!!!!!』

 

アリーナから響く、豪声。悲痛すぎる叫び。それはまるで…心を侵す声…。

 

 

…貴女は()()()()()()()…?

 

また、ささやかれた…。が、違う声。あの人じゃない。

 

…聞こえた。確かに聞こえた。

 

この声は…不味い…!

 

「のほほんさん!逃げて!()()()は不味い!()()()()()()()!」

 

「ふゆふゆ…?」

 

私は駆け出した。もし、本当だったら一国の過失という話ではない。

 

人類種の存続にかかわるものになる。行くしかない。出すしかない。

 

 

 

 

 

「答えるような声なんて…何も聞こえないよ…?」

 

 

 

本音のその一言はもう冬香には聞こえないものだった。

 

 

 

-----

 

 

フェストゥム。あの声は間違いなく奴らのソレだった。

 

同化し無とし、高次元へと導く…。

 

走った私はピットへ進む。

 

ISスーツを着込んでいてこれほどよかったと思うことはない。

 

眼鏡を外す。髪をまとめる。深呼吸。

 

思い切りピットのドアを開ける。

 

「貴女!ここは今立ち入り禁止で…!」

 

担当教師…恐らく三年の担当だ。しかし今は無視することにする。

 

「来て!黒薊!」

 

その黒き鎧は私を包み込むように展開する。

 

『機体のアップデートデータ確認…。インストール中…。完了。』

 

約二秒。ポップが現れた。

 

『追加パッケージシステム。虚無の申し子を確認。自動展開プログラムを確認。』

 

「なに…これ…?」

 

今までこんなポップは見たことがなかった。しかも音声付きである。

 

『…操縦者の心理的、肉体的運用制限を確認。…ナノマシン接続…。強制開放プロセスを実行。』

 

……血の気が引いた。そして私はまた…痛みに襲われる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです。すごくお久しぶりです。

パスワード。今日思い出しました。(精一杯の言い訳)

感想、要望、いろいろお待ちしています。どんどんください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。