TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
蒼い髪がゆらりと揺れる…ぽたぽたと涙が落ちる…。
彼女の細い腕が私の手首をしっかりと掴む。
「冬香ぁ…。」
身体で、彼女の重みを一杯に感じる。
「心配させちゃって、ごめんね。簪。」
彼女の頭を優しくなでる。そっと、包み込むように…。
それは十数分続いた…。
さて、事の次第を話すとしよう。
千冬さんの部屋に書置きを残し、私の部屋に戻ってみると、いきなり簪ちゃんに押し倒された。
泣きながら必死に私の名前を呼ぶ簪ちゃんを見て、最初は困惑したが結局はこういうことになった。
「それで、冬香はなんで昨日かえって来なかったの?」
朝食のパンケーキをフォークで切りながら、簪ちゃんは質問する。
「えっとね…。私意外と人酔いすることがあってね…。アリーナから逃げる時にちょっと気持ち悪くなっちゃって…。」
私はそう言いながらコーヒーを口へ近づける。
「それで、外傷はないけど気分が悪いって織斑先生に言ったら織斑先生の部屋のベッドかしてもらったんだけど、ちょっと寝ちゃってね…。」
「ケガはないんだよね?」
「それは大丈夫。気分も寝たらよくなったし。」
すべて真っ赤な大嘘である。
(ごめんね簪ちゃん。簪ちゃんには嘘つきたくはないんだけど…。こればっかりは本当のこと言うと大変だからね…。)
「あ、そうだ。ねぇ冬香。来月の学年別トーナメントどうするの?」
「ん?んーと、特にないから簪と組もうと思ったんだけど…。」
「ほんと!?うれしい!」
にぱーと簪ちゃんが笑顔を見せる。
(…でもVTの件があるからな…。今までの流れで行くと原作よりも…。一応気を付けておこう…。)
朝食を食べ終えると何やら束さんから連絡が入った。
『あ、もすもすふゆちゃん?』
「束さん?どうしたんです?」
『どうしたもこうしたもないよ~。束さん激押しのいちxほうカプの危機だよ!』
「いちxほうって…」
『束さんが出した条件忘れてないよね?いっくんと箒ちゃんを頑張ってくっつけてね?それじゃ!あ、今度は臨海学校の時にいくからね~。』
以上、御上からの電話である。
(正直私の力じゃあ一夏君と箒さんをくっつけるなんて到底無理だと思うんですけど…。)
「誰からの電話?」
部屋で準備していた簪ちゃんがひょこっと顔を出す。
「ん、知り合いかな。」
そう答える。部屋を出て、鍵をかける。
(…学年別トーナメントまであと一か月か。)
不安は高まるばかりである。VTシステムの暴走。一歩間違えれば死者が大勢出る。少なくともその結末だけは止めなければならない…。
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~独逸連邦陸軍IS運用作戦本部(ベルリン ニーダーキルヒナー通り)~
「さて、貴女がなぜ呼ばれたか分かりますね。ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐。」
「はッ。おおよその見当はついております。」
本部長席と書かれた机に座っているのは独逸陸軍内におけるIS運用の最高責任者。ハンナ・ユットナー大将であった。
それに相対するのは…軍人にしてはえらく身長の小さい少佐の階級章を付けた少女であった。
「よろしい。ではボーデヴィッヒ少佐。貴女にはドイツを代表し、IS学園へ向かってもらいます。」
「それではっ!」
「いいですか少佐。第1は他国の第3世代のデータ収集です。」
「はッ。理解しております。」
「5月28日午後4時12分のフランクフルト空港発の便が手配されています。」
敬礼をし、ラウラ・ボーデヴィッヒは部屋を後にする。吹き出るような感情を何とか抑えながら…。
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~フランス デュノア社~
「
「ありがとう。」
一人の…貴公子が会社のエントランスホールを出、車のほうへ向かう。
「…シャルロット。分かっているな。」
「はい。父様。
父アルベールは顎髭をさすり、いとしい愛娘へ。その思いを必死に隠し、話す。
(シャルロット…すまない。これもお前のためだ…。)
アルベールは社長室へ戻る。これでフランス国内で娘を狙うことはなくなる。
GIGNのコネクションを持つ彼だがシャルロットを24時間365日完璧に護る自信など到底なかった。
日本の第3世代。白式。そのデータの収集。そして奪取。我ながら重いものを娘に背負わせてしまった。そう彼は後悔する。
「あなた…。」
「ロゼンダか。」
「すまないな。色々と。」
「分かっていますわ。これもあの子を守るためなんでしょう?」
「…お前にはかなわんよ。」
夕日の光が静かに部屋へ差し込む。IS学園で起きる新たなる動乱の歯車は今動き出した…。
投稿速度遅スギィ!
前々回で1巻の内容終わりって言いましたけど、あれではなんだかまとまりがついていませんでしたね…。
今回の話は幕間の物語といいますか1と2巻の中間点の話です。
ラウラのところはどこにあるのかまで書いてありましたがま、地名をコピペしていただければわかると思います。
感想いろいろください!
あ、次回は戦闘パートになると思います。