仮面ライダーアズライグ   作:ヘンシンシン

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今回はだいぶ短めです。


勝利と同居と

 

 その光景を見て、サーゼクスもジオティクスも言葉を失っていた。

 

 赤龍帝とライザーの戦い以上に、仮面ライダーという存在に目を奪われた。

 

 あのライザーを一気に圧倒するその力は、間違いなく上級悪魔の中でも上位に位置するだろう。

 

 何よりも赤龍帝の力を使って戦っているところが驚異的だった。

 

「……サーゼクス。わかっているな?」

 

「はい。今後、リアスに彼の情報を送らせます」

 

 ジオティクスもサーゼクスも、この事実の重要性をいやというほど理解していた。

 

 なぜなら、赤龍帝とは唯一無二の存在なのだ。

 

 それが、この世界に二つも存在している。それは本来あり得ないことなのだ。

 

 もし、もしも同様の力を量産することができたとしたら?

 

 間違いなく断言できる。世界は大きな混乱に包まれ、滅びの道を歩む可能性すらあると。

 

 それを避けるために、兵藤一誠についてはよく調べる必要がある。少なくとも、手放しにしていい存在ではない。

 

「ライザーくんとの婚約破棄など、どうでもよくなる問題が発生してしまったな」

 

「ええ。不幸中の幸いは、彼がいるなら白龍皇にも対抗できるというところでしょうか」

 

 二人はそういうと、真剣な表情で立ち上がる。

 

 悪魔と堕天使。三大勢力に二天龍が渡るなど異例の出来事だ。

 

 うまく乗り越えねば、三大勢力はおろか世界に大きな傷跡を残しかねないこの非常事態に、冥界はしばし揺れることになるがそれはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやったぁあああああああ!!! 勝ったよぉおおおおおおおおお!!!

 

「やったねイッセー!!」

 

「ああ、姉ちゃん!!」

 

 私とイッセーは仲良く抱き着いて喜びを分かち合う。

 

 うん! うんうんうん!! 勝ったよ私達!!

 

「有難う、イッセー、一美」

 

 うん! 部長もよかったよぉ!

 

 なんだけど、部長は少し暗い顔をする。

 

「でも、今回のことを乗り越えたからってまた次の話が来たら……」

 

「その時も俺に任せてください」

 

 イッセーは、はっきりと言い切った。

 

「次もその次もそのまた次も、部長が婚約を望まないなら、俺が全員倒して見せます!」

 

「そうですよ、部長」

 

 私もはっきりと言い切った。

 

「イッセーはやると決めたらテコでも動きませんから。あきらめて任せた方が気が楽ですよ?」

 

「二人とも……」

 

 部長は涙を浮かべて笑みを浮かべる。

 

 ああ、これは落ちたな?

 

 なんとなくそう思ったので、私は先に戻ることにする。

 

「んじゃ、お姫様のエスコートよろしくね」

 

「あ、一美!!」

 

 イッセーが何か言ってくるけど、私は聞かずに走り出す。

 

 ………うん、それは聞けないよ。

 

 泣きたくなりそうだから、ここにはいられないもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういうわけで、私は速攻で救護室へと突入した。

 

「みんなぁああああ!! 勝ったよぉおおおおお!!!」

 

 ドバンと扉を開けて、私は元気よく勝利を報告する。

 

 ……その目が、ライザーのところの戦車(ルーク)の人と目が合った。

 

「………」

 

「………その様だな。参ったよ」

 

 な、なんかごめんなさい!!

 

「一美さん。ライザー氏の眷属もいるんだよ」

 

 ご、ごめん祐斗っち!

 

「いや、君たちは勝利したんだ。素直に喜んでくれても構わないよ。ほかの者たちは気絶しているしね」

 

 な、なんか気を使ってくれてすいません!!

 

「でも、イッセー君に助けられてしまいましたわ」

 

「……あとで謝らないと」

 

 朱乃さんも、小猫っちもなぜか表情が暗い。

 

 ああ、そういえば仮面ライダーになっちゃったもんね。

 

「だけど、いい機会なのかもしれないよ。……正直、あのドラピングという存在は驚異的だ」

 

 祐斗っちはそういうと顔をしかめる。

 

 確かに、あのドラピングとイッセーの戦いはレベルが違った。

 

 私は実戦だと役に立たないから除外するけど、それでもあのレーティングゲームで戦えるのは、たぶんライザーぐらいだろうね。

 

 そう考えると、魔王様に相談するっていう展開も必要かもしれないなぁ。

 

 あとでリアス部長に頼んだ方がいいかもしれないなぁ。

 

「うん、私も早く実戦で戦えるように頑張らないと」

 

「そうだね。僕たちも足を引っ張らないように修行しないとね」

 

 祐斗っちの言うことももっともだ。

 

 うん、頑張らないとね、皆!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、思ったのは何も間違ってない。間違ってないんだけど……。

 

「はい。イッセー、あーん」

 

「え、えっと、その……」

 

 朝、珍しく寝坊して起きたら、なぜかリアス部長がいた。

 

 それも朝食を作ったうえで、イッセーにアーンしてる。

 

「何やってるんです、部長?」

 

「あら、おはよう一美。あなたの分も作ってるわよ?」

 

 ありがとうございます。だけどそうじゃないです。

 

「なんで私たちの家にいるんですか?」

 

 そう、ここは私たちの家だ。

 

 っていうか、よく見るといくつも段ボール箱が置かれてる。

 

「あれ? 姉ちゃんも聞いてなかったのか? 部長、今日からここに住むってさ」

 

「はいぃ!?」

 

 何それぇえええええ!!!

 

 いや、おかしいよね!? なんでいきなりそういうことに!?

 

「眷属の仲を深めるのも重要だと思ったのよ。だから、今日から私の兵藤家の一員ね」

 

 いや、だったらなんて祐斗っちたちはいないのさ!!

 

 照れ隠しだな!? 表向きだな!?

 

 本音はイッセーと一緒にいたいんだな!?

 

「……部長、はっきり言っておきますよ」

 

「あら、何かしら?」

 

 私はハリセンを取り出すと、部長の顔面に勢いよくたたきつけた。

 

「親しき中にも礼儀あり!! そういうことは前もってぇえええええ!!!」

 

 ……その後、私と部長は壮絶な喧嘩をしたけど、まあ十分後ぐらいには仲直りしました!!

 




ドラッグシリングの脅威を今回で認知した父兄。とはいえ実際のところはある事情があって脅威度は彼らの想像より低いのですが。

それはともかくブラコン一美は人生を間違えるのかそれとも何とか軌道を変更するのか。それは今後の展開をお楽しみにしてください。

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