仮面ライダーアズライグ 作:ヘンシンシン
あ、ああああ危な!!
マジで危な! 死ぬかと思った!!
「二人とも! 大丈夫!?」
「あ、ああ。かばってくれた助かった」
「……有難うございます」
何とかギリギリでかばえたから無事だったけど、おかげでいったん禁手が解除されちゃった。
やっぱり私弱いなぁ。一瞬レーティングゲームなの忘れ手死ぬかと思ったらすぐ不調だよ。
『とはいえ、あの破壊力は上級悪魔クラスだ。それを難なく防ぐ当たり、お前はビビリがなければそこそこできるほうだよ』
フォローありがとうドライグ。でもやっぱり落ち込むよ。
「―そう簡単にはいかないようね。これが現赤龍帝ということかしら」
その言葉とともに、上から声が響いてくる。
そこにいるのは、明らかに魔法使い的な印象を与える一人の美女。
あ、この人確かライザーの女王だ!
「この年魔! 卑怯じゃない!!」
「誰が年増よ!! ……第一、戦場では油断した方が悪いのよ? 相手が勝ったと確信した隙をつく程度がどうしたというの?」
ぬぉおおおおおお!!! 正論むかつく!!
「上等! こうなったらもう一回禁手発動させてぶっ倒して―」
「あらあら。私の出番を奪ってしまってはいけませんわ」
その言葉とともに、雷が敵の女王に襲い掛かった。
それを魔方陣を使って防ぎながら、敵の女王は相手をにらみつける。
そこにいるのは、巫女服に身を包んだ朱乃さん!!
「うぉおおおおお!!! 朱乃さぁあああん!!」
「あらあら、イッセーくんは可愛い反応ですわ」
そうにっこり微笑みながら朱乃さんは敵の女王と対峙する。
「ここは私が引き受けますわ。イッセーくんたちは祐斗くんと合流してください」
「了解です」
朱乃さんの言葉にうなづいた小猫っちは、私たちの手を取って走り出す。
「え、いいの小猫ちゃん!?」
「それが作戦ですから。それに、一美先輩の禁手はできるだけ温存するべきです」
ためらうイッセーに小猫っちは冷静に返す。
うぅ。確かにレーティングゲーム中ずっと出せるほどまだまだ禁手は慣れてないけどぉ。
そんなことを思いながら走ってると、すぐに祐斗っちが合流してくる。
「やあ、三人とも。大丈夫みたいだね」
「祐斗っち! そっちも大活躍だね!」
私がそうほめると、祐斗っちは照れくさそうにしていた。
「いや、何とか見回りの兵士だけは倒せたんだけどね。ここを任さられている騎士と戦車、そして僧侶の三人が動きを見せないんだよ」
「……様子見ですか」
小猫っちの言う通りだね。
これは
「ハーレム作る男が、自分の女を捨て駒にするとかどうだろ?」
「いや、戦術としては決して間違っていないよ。レーティングゲームでは死なないわけだしね」
祐斗っちはクールだなぁ。
そんなことを言いながら話していると、祐斗っちの視線がイッセーの方にむく。
「緊張しているのかい?」
「あ、ああ。レーティングゲームは初めてだから、ちょっと緊張してる?」
「そう? 誰も死なないんだから気楽じゃない?」
「……部長の結婚がかかわってることを忘れないでください」
あ、そうだね。ごめん小猫ちゃん。
あ、ヤバイ、そう考えるとだいぶ緊張してきた。
「実は僕も結構緊張してるんだよ。実戦はともかくレーティングゲームは僕も初めてだしね」
「実は、私も結構」
祐斗っちも小猫っちも結構マジ緊張だよ。
だけど私ほどじゃないね! なんか本気でブルってきたから!!
そんなとき、グラウンドの方で大声が響いた。
「こそこそと腹の探り合いをするのはもう飽きた!! 私はライザーさまにつかえる騎士、カーラマインだ!!」
うひゃぁ!! 声出るかと思った。
「リアス・グレモリーの騎士よ、騎士として誇りがあるなら、いざ尋常に勝負!!」
え、えっと……。
「……行っちゃう、祐斗っち?」
「そうだね。騎士としては隠れているわけにはいかないよ」
そういうと、祐斗っちは堂々と前に出る。
「あのバカ、かっこいいじゃねえか」
だよねイッセー。伊達にイケメンとして駒王学園で有名じゃないんだよ。
中身も含めてマジイケメン。それが木場祐斗なのだ。
「仕方がありません。私達も出るとしましょう」
小猫ちゃんの言う通り。これは、さすがに出るしかないよねぇ。
Other Side
その光景を観客席で眺めながら、サーゼクス・ルシファーは微妙な表情をしていた。
その表情を横目で見ながら、サーゼクスとリアスの父親であるジオティクス
「やはり、お前は気に入らないか?」
「そうですね。恋愛結婚をしたみとしては、リアスが望まない婚姻は気が進みません」
父親に対してそう告げながら、サーゼクスはしかしと続ける。
「ですが、赤龍帝を眷属に迎え入れた以上、白龍皇に対する対策は立てないといけない」
そう、それこそがこの婚姻を強行した理由の一つだ。
古来より、二天龍に深くかかわってロクな死に方をした者はいない。
そして、二天龍の片割れである白龍皇は極秘情報だが堕天使側についていることが確認されている。
もしかすれば、白龍皇は堕天使を大量に引き連れて赤龍帝との決戦に臨むかもしれない。そして、そうなれば今のリアスと赤龍帝では勝ち目がない。
赤龍帝は禁手にいたっているが、しかし実戦では途端におびえてしまうという欠点がある。それを考慮すると、とても今のままリアスを放っておくことなどできはしない。
少なくとも、ライザーとその眷属をまとめて相手をして倒すぐらいでなければ、安心することなどできはしないのだ。
「できれば私自らリアスを守りたいですが、魔王としてそれを行うことはできませんからね」
「ああ。私も領主としての務めがあるから動けないしな。お互い不憫なものだ」
同時にため息をついてしまう。
白龍皇そのものも脅威だが、堕天使側にはもう一つ神滅具の保有者がいるという情報もある。それを考慮すると堕天使側の戦力は非常に強大になっているといわざるを得ないのだ。
できることなら冥界に戻ってもらいたいが、おそらくそんなことを言ってもリアスは首を縦に振らないだろう。
となれば、多少強引な手を使ってでも戦力増強を図らなくてはならないはずだ。
「しかし、ライザーくんはそんなに気に入らないのだろうか? 確かに多少女にだらしないところはあるが、それでも彼はリアスをないがしろにしないと思うのだが」
「確かにそうですね。リアスはハーレムなどにも肝要だと伺いましたが」
……ちなみに、二人はリアスが結婚相手に選ぶ最低条件を知らない。
もし知っていれば、二人は別の方法を模索ぐらいはしただろう。それ位にはリアスバカである。
そんなことを語り合いながら二人は試合を観戦していたが―
『必殺!
その言葉とともに、赤龍帝の弟である兵藤一誠が敵の洋服を破壊して全裸に追い込んだ。
「「………」」
それをついはっきりとみてしまい、二人は動きを硬直させる。
そして、ガタガタブルブルと震え始めた。
「ヴぇ、ヴェネラナになんといえばいいのだ」
「私もグレイフィアに怒られそうです」
ちなみに、ヴェネラナとはジオティクスの妻である。
そして、グレイフィア・ルキフグスはかつて敵対していたことなどからメイドとしてふるまっているが、サーゼクスの妻である。
ついでに言うと、二人とも妻は一人しか持っていない愛妻家でもある。
そして最後に言うと、二人は割と恐妻家でもある。
「……ちょうど話をしていて見ていなかったということにしましょうか」
「無理だ。いきなりあんなことになれば視線を向けてしまうことぐらい、ヴェネラナはわかる」
沈黙が響いた。
「そういえば父上。日本には土下座という謝罪文化があったはずです」
「そうだな。練習をしようか」
そんなことを言っているうちに、試合は大きく動いていた。
Side Out
よっしゃ! これで眷属はほぼ撃破!!
これぞ赤龍帝の籠手のもう一つの能力、譲渡!!
倍加の効果を他人に与えることができる、赤龍帝の籠手の能力の一つ。
これで祐斗っちの神器、
だけどそれはそれとして急がないと!!
リアス部長とライザーが一騎打ちを始めちゃってるもん! このままだと不死で押し切られるよ!!
「急ごう皆! 部長を助けるんだ!!」
そうイッセーが言ってみんなが続こうとしたとき―
『リアス・グレモリーさまの女王、戦闘不能』
―んなぁにぃ!?
朱乃さんがやられた!? うそでしょ!?
え、え、どういう―
「……一美先輩!!」
とたん、私は小猫っちに突き飛ばされる。
そして次の瞬間、爆発が響き渡った。
『リアス・グレモリーさまの騎士と戦車、戦闘不能』