仮面ライダーアズライグ 作:ヘンシンシン
そして、レーティングゲーム当日。
私とイッセーは駒王学園の制服に着替えていた。
レーティングゲームに学校の制服? って思ったけど、部長曰く―
「私達オカルト研究部にコスチュームがあるとしたら、それは駒王学園の学生服ね」
だってさ。ま、悪魔同士の戦闘で服なんてすぐ壊れるから仕方ないか。
敗れたら修繕費だしてくれるっていうし、うん、人の金なら気にしなくていいよね。
「それで、どうするのイッセー?」
私が行ったのは仮面ライダーのことだ。
正直、あれを使ってもライザーを倒せるかはわからない。
それほどまでに上級悪魔の機体のルーキーはすごいし、フェニックスだっていうのがさらにすごい。
だけど、イッセーは少し悩んでいた。
「どうしたもんかな。部長は使わなくていいって言ってくれたけど」
「だよねぇ」
部長は、仮面ライダーにはならなくていいとイッセーに言っていた。
あれが知られれば、一部の悪魔がよからぬ考えを持つかもしれない。そして、そうなればイッセーの身に危険が訪れるかもしれないからだ。
でも、なんとなくイッセーの考えていることはわかる。
「いざとなったら、使っちゃうよね」
「ああ、最後の切り札だな」
うん、それがイッセーだ。
私は、そんなイッセーを抱き寄せる。
「ね、姉ちゃん! 近親相姦は背徳的だよ!!」
「そんなんじゃねえよ馬鹿」
お前は姉をそんな風に見てたんかい。好都合だな
そうじゃなくて。
「大丈夫。いざとなってもお姉ちゃんは味方だから」
これは言っておかないとね。
「うん。だってお姉ちゃんはイッセーのお姉ちゃんで、イッセーは覗き以外は悪いことしてないもん。だからそれ以外のすべてでイッセーの味方をしてあげる」
「姉ちゃん……」
うん、だから―
いざという時は、使おうね、ドライグ。
『ああ、思う存分使うといい』
深夜十二時ちょっとまえに、私たちはオカルト研究部の部室に来ていた。
祐斗っちは剣を壁に立てかけて準備万端。小猫ちゃんもオープンフィンガーグローブをはめて待機していた。
そして、朱乃さんとリアス部長はお茶を飲みながら優雅に準備してた。
「余裕ですね、二人とも」
「慌てたところで結果は変わらないもの。だったらすこしぐらいリラックスしないとね」
おお、結構勝負強いね。
私は私で緊張しているけど、それでも実戦に比べたら少しは気が楽だ。
これなら、結構戦えると思う。うん、大丈夫。
「―皆様、そろそろレーティングゲームが始まります。準備はよろしいですか?」
と、グレイフィアさんが私たちに尋ねる。
私もみんなも無言でうなづくと、グレイフィアさんは部長の方に向いた。
「私の立場では言いにくいですが、頑張ってくださいまし」
「もちろんよ。最善は尽くさせてもらうわ」
「大丈夫です!」
私も元気よくグレイフィアさんに答える。
「私とイッセーがいますから! ライザーは倒させてもらいます!」
「全くです! あんな焼き鳥にリアス部長は渡しません!!」
「……そうですか」
グレイフィアさんはそういうと、一歩を下がった。
「開始時間になりましたら、戦闘用に創られたフィールドに転送いたします」
そう、レーティングゲームは其のためだけに創られた専用のフィールドで行うんだ。
だけどそれを知ってなかったイッセーは少し首をひねってた。
まあ、上級悪魔同士の対決を人間世界でやったら目立つからね。
最上級になったら小さな山なら消し飛ばしかねないし、これは必要なことだよ。
「あの、一つ質問してもいですか?」
グレイフィアさんが退出した後、イッセーは手を挙げて質問した。
「部長には俺のほかにも僧侶がいたって聞きますけど、その人は参加しないんですか?」
……うわっちゃぁ。それ聞いちゃうかぁ。
一気に空気が重くなるけど、イッセーもそれに気づいたのかちょっと戸惑った。
「あ、あのねイッセー? その僧侶なんだけど……上から使っちゃだめだって言われてるの」
「え? なんでそんなことに?」
えっと、これ言っていいのかな?
「それについては、また次の機会があれば話すわ」
ああ、やっぱり今は言えないか。
うん、これって結構デリケートな問題だからね。
『皆様、準備はよろしいでしょうか』
そんなとき、グレイフィアさんのアナウンスが鳴り響いた。
『本日、リアス・グレモリー様とライザー・フェニックス様のレーティングゲームを担当させていただくグレイフィア・ルキフグスです』
そう告げると、さらにグレイフィアさんは言葉を続ける。
『なお、今回のレーティングゲームは両家の皆様も中継でフィールドをご覧になります。魔王ルシファー様も拝見されておりますので、そのように』
あ、やっぱりルシファー様も見てるんだ。
「な、なんでふたつの貴族の結婚騒ぎに魔王様が出てくるんだ!?」
イッセーが驚いて目を見開くけど、事情を知っているものからすれば驚くことでもない。
「ほら、先代魔王様がすでに死んでるのは知ってるでしょう? そのあとルシファーの座を継いだのが、リアス部長のお兄さんなの」
「ま、マジでぇえええええええええ!?」
イッセーが驚いてリアス部長の方を向くと、部長はあっさりとうなづいた。
「お兄様も見ているのなら、これは情けない戦いはできないわね」
リアス部長は割と本気でやる気に満ち溢れている。
うん、これは確かに負けられない!!
そして、作戦会議が終わって私たちは体育館へと潜入している。
なんと! 今回のレーティングゲームの舞台は駒王学園‥‥‥‥を模したフィールド。
こんなものを使い捨てで用意できるだなんて、冥界の技術は本当にシャレにならないよね!
一緒にいるのはイッセーと小猫っち。祐斗っちは1人別行動。
「想定通りならそろそろ出てくるよね」
「だろうな」
「はい、四人ほどいます」
こっそりと縁談の裏側で打ち合わせをしようとしたら、それより早く足音が響く。
「そこにいるのはわかってるわよ!! あなたたちがここに入ったのは監視していたんだから!!」
うわ! やっぱバレてる!!
「仕方ねえ。だったら出てやるとするか」
イッセーがそういいながら一番に前に出て、私たちもそれに続く。
そこにいたのは四人のライザーの眷属。
チャイナドレスを着た戦車に、棍を持ったロリ兵士。そして体操服を着た同じくロリな双子。
ちなみに戦車は結構ナイスバディ。ライザーはそれなりにジャンルを広く集めてるみたいだね。
「さて、やりますか」
「はい」
「おう!!」
私は二人より前に出ると、速攻で覚悟を決める。
「悪いけど、命がけじゃないなら私はかなり強いから!!」
言うが早いか、私は速攻で赤龍帝の籠手を展開すると、さらにその
「
発動されるのは神器の究極系、
赤龍帝のそれは、一気に出力を上昇させる鎧を展開する。その名も
その姿を見て、ライザーの眷属は全員が度肝を抜かれた。
「……な、うそでしょ?」
「赤龍帝はビビリってきいたのに!?」
うん、そうだろうね。
だけどそんなものは通用しない!!
「ビビリだからこそ、死ななくていい時は調子乗れるんだよね!!」
言うが早いか一瞬で殴り飛ばすと、速攻でライザーの眷属たちはリタイアの光に包まれる。
『ライザー・フェニックス様の兵士三名と戦車一名、戦闘不能』
よっし楽勝!
うん、死ななくて済むなら気楽だし、こっちも元気用できるんだよね!!
『ライザー・フェニックス様の兵士三名、戦闘不能』
おお! しかも追撃!!
これはたぶん祐斗っちだよね!
禁手にもならずに同等の戦果を挙げられたよ!!
「マジでヘタレだよね私! 死にたい!!」
『まあ頑張れ。この程度で死んでいたら白い奴との戦いでは持たんぞ?』
多分出てきたら瞬殺されるよ。命がけだと弱いもん。
「お、俺の必殺技が出番なし―」
「イッセー先輩、そんなの作ってたんですか」
イッセーが落ち込んでいるけど、こっちも死なないときぐらい成果上げないとやってられないんだよね。
「まあまあイッセー。ここはお姉ちゃんに花を持たせて―」
私はフォローを入れようとそう言って近づいて―
「―隙だらけね」
とたん、一気に爆発が発生した。
一美はすでに禁手に到達しています。イッセーよりはるかに赤龍帝としての素質はあるのです。
そして命がけでなければ大いに真価を発揮できるのです。少なくとも、仮面ライダーであるイッセーを別格とすればこのレーティングゲームでライザーと二強を張れるでしょう。