仮面ライダーアズライグ   作:ヘンシンシン

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初手から原作とはストーリーが異なります。

というより、諸事情により飛んでいます。


第一話 特訓とメイドと

 

 おいっちにさんっし! にっにっさんっし!

 

「イッセー、一美! 足元が乱れてるわよ!!」

 

「「はい、部長!!」」

 

 朝もはよから私とイッセーは、リアス部長に先導されてランニングをしてるんだ。

 

 眷属は鍛える方針のリアス部長は、この辺がスパルタなのが欠点といえば欠点。

 

 でも、それにちゃんと付き合ってくれるから立派な主だよね。

 

 特に上級悪魔は自分や眷属を鍛えるって発想があまりない人が多いらしいから、そういう意味でも好感持てるかも!

 

 でも生身で朝からトレーニングは厳しいです!!

 

 いや、それでも健全なる精神は健全たる肉体に宿るとか聞いたことあるし! 頑張るし!

 

 いつまでも実戦でビビりのまま見てるだけなんて駄目に決まってるし!! しかも私赤龍帝だし!!

 

 ブリテンの伝承にしるされる、赤い龍と白い龍。

 

 赤龍帝と白龍皇の二天龍は、かつて世界でも準最強クラスにまで届いていた超絶クラスのドラゴン。

 

 その片割れを宿してるんだから、実戦で戦えるようになればすごく戦えるはずなんだもん!!

 

「さあ、腕立て五百回!! イッセーは男の子だから私が上に乗っかるわよ!!」

 

「「はい、部長!!」」

 

 うぉおおおおおお!!! きついぃいいいいいい!!

 

「な、なめるな今畜生!! こんな美人のお尻が上に乗っ勝てるんだ興奮するぜぇええええええ!!!」

 

「あ、イッセーさすが!」

 

 さすが変態な弟。エロが絡むとどんどんすごい!

 

 くっそぅ! 私だって美少年のお尻がのっかってたら……。

 

 いや、それ絵面的にどうよ!

 

「一美! 動きが遅れてるわよ!!」

 

「ひゃい! すいません!!」

 

 うん、いけないいけない集中集中!!

 

 今日も一日頑張るよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「おいイッセー!!」」

 

「ぐわぁっ!?」

 

 後ろから、松田っちと元浜っちのダブルアタックを喰らって、イッセーがつんのめった。

 

「ちょ、二人ともいきなり何してんのさ!」

 

「止めるな一美ちゃん! 俺たちはこいつを殴らなきゃならない!!」

 

「そうだ! 朝からグレモリー先輩と一緒だったそうじゃないか! どういうことだオイ!!」

 

 血涙を流しそうな勢いで、二人はイッセーに詰め寄った。

 

 あーもう。こういうのごまかすのってすごい面倒だけど、やるだけやるか。

 

「イッセーはオカルト研究部に入ったんだよ。それで、部長が直々に最低限の体力をつけるために早朝トレーニング手伝ってくれてるの!」

 

「……オカルト研究部になんで早朝トレーニングが必要なんだ」

 

 ふっふっふ。よくぞ聞いてくれたね元浜っち。

 

 このままスルーされるだなんて思ってないもんねー。

 

「夏休みは部活動でUMA探しに南米の熱帯雨林とかに行くんだよ。だから体力付けとかないと遭難するの」

 

「……一瞬でも入りたくなった俺を呪いたいぜ」

 

 松田っちすらドンビキするこの言い訳は、すでにオカ研のみんなにも伝えてある。

 

 それぐらいしないと美少女ぞろいで美少年までいるオカルト研究部に人が集まりかねない。

 

 悪魔の隠れ蓑でもある以上あまり人は入れられないし、それとは別にオカルト研究に興味ない人を入れるのもどうかと思うので一生懸命カバーストーリーを組み立てたのさ!!

 

 それに、夏休みにはリアス部長の付き添いで冥界に行くからね! そこで特訓もするだろうし、あながち間違ってはいないのさ!!

 

「でも! でもそれなら俺たちにも女の子を紹介してくれよイッセー!!」

 

「そうだそうだ!! 俺たちばっかり女の子と出会いがないのはひどすぎるだろ!?」

 

 あらら、こんどは泣き落とし入っちゃった。

 

 でも、イッセーの周りにいる女の子はたいていが悪魔関係者だけだしなぁ。普通にそれ以外には嫌われてるもん。

 

 どうするの? イッセー。

 

「じゃ、ミルたんを紹介するか」

 

「この外道!!」

 

 それはさすがにないでしょう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふぅ。今日も一日疲れたなぁ。

 

 毎日毎日あまり変わり映えしないけど、それでも充実した日々。

 

 朝はトレーニングをして昼は学校。そして午後は部活動をして夜は悪魔稼業。

 

 いろいろ大変なことも多いけど、それでも毎日充実してるよ。

 

「うん、私は幸せだよ、父さん母さん」

 

 仏壇の写真に手を合わせながら、私は二人に報告する。

 

 うん、毎日これなら本当にいいんだけどね……。

 

 私の脳裏に、あの時のモンスターが出てきた。

 

 フンヌドラピングとかいう怪人に変身した人は、リストラされたサラリーマンだった。

 

 彼は「ストレス発散にどうですか?」などといわれてそれをチーマー風の男に渡されたらしいけど、それ以外何も知らなかった。

 

 だから、リアス部長が記憶を消したうえで就職先のあっせんまでして監視してるんだけど、今のところ動きは全くない。

 

 うぅん。この調子だとまずいような気がするんだよなぁ。

 

「どう思う、ドライグ?」

 

『ああ、確かに問題があるだろう。あのドラピングという化け物は、今のグレモリー眷属には手が余る。半端な禁手を上回る戦闘能力だぞ』

 

 だよねぇ。私達、まだ若手だもん。

 

 なんかそう思うと、もっと本格的なトレーニングを考えるべきなのかもしれない。

 

 うん、ちょっとイッセーに相談しないとね。

 

「イッセー、入るよー」

 

 あ、ノック忘れて……た……。

 

「ひ、ひと、み……」

 

「あら、一美じゃない」

 

 なんで、イッセーのうえに全裸の部長がいんの?

 

「一美、悪いけど退出してくれないかしら? ちょっと急いでイッセーに処女を奪ってもらわないといけないの」

 

「いやいやいやいや! 落ち着いて部長! 事情は分からないけどいろいろ焦って周りが見えてないから!!」

 

 うん、よく見たら目が据わってるよ! 落ち着こう!!

 

「女の処女はもっと大事にするべきですって! 部長お嬢様なんだからなおさら!!」

 

「いいえ、そんなことをしている暇はないわ!! ここで捨てないと間に合わないの!!」

 

「しょ、処女を、俺で捨てる……? 俺の童貞が、捨てれる……?」

 

 この馬鹿は牡丹餅すぎて理性失ってるし!!

 

 いや、男としてはラッキーかもしれないけど、これ絶対我に返って後悔する類だよ!!

 

「ちょ、誰か助けてぇええええええ!!!」

 

 思わず助けを求める悲鳴を上げると、そのとたんに床が光り輝いた。

 

 そのとたん、部長は体から力を抜くとため息をついた。

 

「……時間切れね」

 

 え? と、とりあえず……止まったの?

 

「危ないところでした。まさかそんな強硬策をとってくるとは」

 

 そんなため息交じりの声とともに、銀髪のメイドさんが現れる。

 

「そちらの方は眷属ですか?」

 

「ええ、私の眷属の一美とイッセーよ」

 

「イッセー。とりあえずシーツで体隠して。下着姿はまずいって」

 

「お、おう」

 

 ……とりあえず、今回はこれでお開きになったみたい。

 

 少しの間メイドさんと話していたリアス部長は、イッセーの頬にキスをするとそのまま帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんてことがあったんだよ~」

 

「お前、それ言っちゃうのかよ!!」

 

「あ、あはははは……」

 

 私が祐斗っちに相談すると、祐斗っちはほおを引くつかせるしイッセーはイッセーでツッコミを入れてくるしでもう散々。

 

「とにかく、なんでそんなことになったのか祐斗っちは心当たりある?」

 

「まあ、なんとなく予想はつくけどね。こういうのは当人に聞いた方がいいよ」

 

 うん、祐斗っちは人間ができてるね。

 

 まあそれはともかく。事情は説明してもらわないといけないよね。

 

「でも、ちょっと惜しいことをしたかもなー」

 

「イッセー……。確かに部長は女の私から見ても魅力的だけど、あれで童貞卒業していいの!?」

 

「そ、それは確かに!!」

 

 まったくもう! イッセーはこうなんだからっ!

 

 もう、仕方ないからとりあえず話を聞かないと―

 

「……これはっ!?」

 

 ん? 度したの祐斗っち?

 

「何かあった?」

 

 そんなことを言いながらドアを開けると、そこには部長と朱乃さんだけじゃなく、メイドさんまでいた。

 

「あ、あの時のメイドさん」

 

「うぉおおお! よく見てみるとおっぱいでかい!!」

 

 確かに、あれを枕にしたら気持ちよさそうだなぁ。

 

 じゃなくて!!

 

「そういえば自己紹介がまだでしたね。私はグレモリー家のメイドを務めております、グレイフィアと申します」

 

 ご丁寧にお辞儀までしてくれるグレイフィアさん。

 

 で、問題は……。

 

「それで部長、なんでメイドさんが来たりイッセーで処女捨てようとしたりしたんですか?」

 

「それは……」

 

 部長もさすがに頭が冷えて恥ずかしそうにしてたけど、それでも少し言いずらそうだった。

 

「お嬢様。よろしければ私が話しますが」

 

「いいえ。さすがにこれを人任せにできないわ」

 

 部長はそういうと、口を開いて―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ふん。いつものことながら嫌な風だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな言葉とともに、部屋中に炎がまき散らされた。

 

 うわぁあああああ!! 火事だぁあああああ!!

 

「み、みず! いやいやいやいや119-」

 

「落ち着いてください一美さま。これは鍛冶にはなりませんのでご安心ください」

 

 グレイフィアさんが私の携帯電話を奪いながらそういうけど、これは冷静にはいられないよ!!

 

 と、とにかくどうにかしないと―

 

「フェニックス」

 

 え? 小猫ちゃんなんて言った?

 

「木場、フェニックスってなに?」

 

「部長のグレモリーと同じく、72柱の悪魔の家系の一つだよ。……まさかここに来るとはね」

 

 イッセーにそう答えながらも、祐斗っちの表情も結構硬い。

 

 え、え、なに? なんなの?

 

 ………あ、ぁあああああ!! 思い出した!!

 

 そうだ、この人―

 

「ようやくあえたな、愛しいリアス」

 

 そうきざったらしく言うのは、金髪の髪をしたイケメンの男。

 

 そう、こいつは。

 

「あ、あ、あ、部長の婚約者もどき!!」

 

 そうだ、観たことある!!

 

 部長と婚約者ってことになってるけど断られている人だ!!

 

「だ、誰がもどきがこの女!!」

 

 うるっさいよ!!

 




はい。フェニックス編からのスタートです。

一美が数年前からリアスの眷属になっている以上、レイナーレが駒王町に来ることもないので、一巻のストーリーを再現することは困難だという判断でした。

つまり、あの糞女やクソ野郎にとっては都合のいい展開ということでもありまして―

眷属関係は原作とは違い二転三転する予定ですので、其のあたりのオリジナリティをお楽しみください。

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