仮面ライダーアズライグ   作:ヘンシンシン

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公開授業と魔王少女と

 

 公開授業がやってきた。

 

 いや、父さんも母さんも死んでる私達には何の意味もないことなんだけどね? それでもやっぱり少し緊張するよ。

 

 だってほかの生徒の家族だけじゃなくて、中東部の生徒まで見に来るんだもん。失敗したら本気で恥ずかしいよ!! マジ緊張する。

 

 まあ、今回は英語だから特に問題ないかな?

 

 予習復習はきちんとしてるし、授業だって真面目に聞いてる。そのうえ悪魔になってるから、ヒアリングと発音に関してはネイティブに近い。まさに完璧な布陣。

 

 それにこれでも成績は良い方なのさ!

 

 イッセーもエロ本餌に勉強させてるし、まあ致命的な失敗はしないよね。

 

 ……そんな風に思ってた時期が、わたしにもありました。

 

 今、私の前には一つの物体が置かれてる。

 

 もちろん、イッセーにも、松田っちにも元浜っちにも、そして数少ないイッセーの女友達である桐生っちにも配られている。

 

 それは、紙粘土だった。

 

 ん? 紙粘土って英語と何か関係あったっけ?

 

 先生、授業が間違ってる気がしまーす。

 

「それでは皆さん。今配った紙粘土で、なにか作ってください。そういう英語もあります」

 

 ないよ!!

 

 あれ? 英語って図画工作と表裏一体の勉強だったっけ?

 

 思わず赤龍帝の鎧を展開しそうなぐらい驚いたよ!!。

 

「……どうしてこうなった」

 

 思わず口に出たよ。

 

 先生、私はこれはやっぱり英語と関係ないと思います。

 

 何をトチ狂って変化球を入れてるんですか? 落ち着いてください先生。

 

 などと思っていたら、いつの間にかイッセー以外はみんな真面目に粘土に取り組んでる。

 

 あれ? おかしいのは私のほう?

 

 し、仕方ないからとりあえず粘土で何か作ろう。

 

 うん、英語の授業なんだし、アルファベットを作るのが一番だよね。

 

 と、いうわけで英語の数だけ分割して、そのうえで文字を作ろう。

 

 お、意外と難しいなこれ。

 

 ……なんて集中していていいのか、私。

 

「おお!」

 

 ん? イッセーのほうでなんか歓声が上がってる。

 

 なんか気になったから、ちょっとのぞき見してみようか。

 

 えっと、いったい何を作って―

 

「……おお!」

 

 なんか作ったイッセーが驚いた。

 

 それぐらいすごく精密に作られた、部長の裸婦像がつくられていた。

 

「なにやってんの? 部長の裸がみんなに見られてるようなもんだよ?」

 

「あ、しまった!!」

 

 イッセー考えなしだね。うかつすぎるよ。

 

 大方なんとなく妄想しながら作ったんだろうね。それでここまでの艦精度なあたり、エロが絡むと本気ですごいことになるよなぁ、イッセー。

 

「私は、生徒の素晴らしい才能を発掘してしまった。やはり、この授業は間違っていなかった!」

 

 先生。確かに裸婦像は芸術ですけど、先輩の裸を人に見せるのは犯罪だと思います。

 

 あとそれ、もう英語じゃなくて芸術。やっぱりこの授業は間違いまくりだと思います。

 

「っていうかなんでイッセーの奴がリアス部長の裸を作れるんだ!?」

 

「おまえ! まさか覗いたのか!! ふざけるな!!」

 

「なるほどぉ。つまり手に取るようにわかるということだから……」

 

 松田っちと元浜っちがなんか変な妄想をし、それを桐生っちが加速させようとしてる。

 

 うん、これはイッセーが殺されるから阻止しないとね。

 

「違う違う。リアス部長が一緒のお風呂に連れ込んではソープまがいなことしてるから、いやでもわかってるだけだって。イッセーはむしろ無理やりされてるぐらいだって」

 

 決してイッセーが無理やり連れ込んでるんじゃないからね。逆逆。

 

「最近は監視もかねて私が一緒に入ってるから、リアス部長もそんなに勝手なことできないから安心してよ」

 

「姉ちゃん! それ全く安心できないから!!」

 

 イッセーが大声で叫ぶけど、なんで?

 

 監視役であるお姉ちゃんがいるから、イッセーは変なことされないってちゃんと言ってるけど?

 

「………うそでしょ? リアス部長、まさか本当に兵藤弟狙い?」

 

「ひょ、兵藤姉も一緒のお風呂? しかも強引に?」

 

「うわぁ、リアス部長って変態が趣味なんだ……」

 

 あれ? なんか空気が変なことに?

 

「姉ちゃん。そんなこと言ったら俺別の意味で殺される」

 

 え、なんでイッセー!

 

「り、リアス先輩と一緒のお風呂だと?」

 

「う、羨まけしからん!」

 

 あれ? 松田っちも元浜っちもマジギレ?

 

「そりゃアンタ、リアス部長やあんたみたいな美少女をお風呂入ってるて知られたら、こいつら嫉妬で切れるでしょう」

 

 桐生っち、そこまで言わなくてもいいじゃない。

 

 っていうか、私姉だよ残念なことに。

 

「姉弟がお風呂に入るなんて当然じゃん」

 

「いや、高校生の常識じゃないから」

 

 あれマジツッコミぃいいいいいい!?

 

「ゆ、許せねえ」

 

「やっぱりマジで洗脳でもしてるんじゃねえか?」

 

「け、警察……そろそろマジで警察を!」

 

 あ、これやばい?

 

 ど、どうしよう。このままだとマジでイッセーが逮捕されるかも。

 

 ……それはそれで当然といえば当然なのがひどい展開だなぁ、マジで。

 

「い、一万だす」

 

 と、そんな時声が響いた。

 

 そこには、一万円札を本当に出して震えているクラスメイトが。

 

「一万円出す。それを俺にくれ」

 

 その瞬間。ここはオークション会場と化した。

 

「大人の力を舐めるなよ! この大成功の記念に十万円!」

 

 先生、何してんですか?

 

 因みに、フィギュアはイッセーが死守しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 んでもって昼休み。

 

「あら、良くできてるじゃない」

 

 リアス部長が、心から感心してフィギュアを突っつく。

 

 部長、自分の肌かなんだからもうちょっと恥ずかしがりましょう。

 

 にしてもイッセーも紙粘土で作ったものなんだから、売ればよかったのに。

 

 どうせエロが絡んでるんだから、いくらでも作れそうだけどなぁ。

 

「……いやだぞ。俺の部長だもん」

 

 視線だけで心読むのやめてくんない?

 

「一美先輩はわかりやすい方ですから」

 

 小猫っち。なんで小猫っちまで考えてることよ無のかなぁ。

 

 それはともかく、ホントにすごく良くできてるよなぁこれ。

 

「あらあら、これはちょっとうらやましですわね」

 

 と、朱乃さんも割と興味深そうだ。

 

「私のも作ってくれませんか? もちろん、おさわりありで」

 

 この人もイッセー狙いだよ。

 

 そしてこの人も裸像作られたがってるよ。だからそれやったら人に見られっての。

 

「駄目よ」

 

「嫌よ」

 

 そして部長とにらみ合わないでください。怖いです。

 

 まさか、こんなところで魔力だして戦闘とかしたりしなよね?

 

 いやいやさすがに損なことはないか……と思いたいけど、前科があるから全然安心できないです。

 

「あれ? 部長にイッセー君たちも」

 

 おお、祐斗っち。

 

 ありがとう来てくれて。おかげで空気が弛緩したよ。

 

「あら、どうしたの祐斗?」

 

 リアス部長が首をかしげるけど、祐斗っちは苦笑を浮かべて体育館を指さした。

 

「いえ、体育館で魔法少女がいるという話を聞きまして」

 

 ん? 魔法少女?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔法少女さんじょうなのよん!」

 

 ホントにいたよ。

 

 ホントに魔法少女の格好してる人がいたよ。

 

 そして大きなお友達が、一斉にカメラを光らせてるよ。

 

「あれ、魔法少女ミルキーオルタナティブの格好だよな?」

 

「いや、知らないけど」

 

 なんでイッセーこそそんなの知ってるのさ。

 

「……俺、ミルたんの影響受けすぎかなぁ」

 

 ああ、契約者関係だったのか。

 

 確か筋骨隆々とした漢の娘だっけ? すごいねホント。

 

「はいはい! ここは神聖な学び舎ですので、撮影会にしないでください!」

 

 お、匙くんが止めに来たよ。

 

 さすがは生徒会。仕事が早いね。

 

 うん、ちょっと手伝った方がいいかな?

 

「そこの方も、そんな格好で学校に来ないでください」

 

「え~? だってこれが私の正装だもん」

 

 ………なるほど。

 

「110番っと。……あ、警察ですか? 公開授業にコスプレしてる人が乱入してるんですが、手伝ってくれませんか?」

 

 こういう変人は警察のお仕事だよね。

 

「あ! コスプレってひどい! これがレヴィアたんの本当のお仕事姿なんだからね?」

 

「いや、TPOわきまえてください変人。ちょっと家族の顔が見てみたいっていうか、家族がかわいそうっていうか」

 

 まったく。こんな変な人が親族とか生徒の人も大変だよね。

 

「何をしているのですか、サジ。問題は速やかに解決しなさ―」

 

 と、生徒会長が遂に登場したけどなんか途中で固まってる。

 

 え? なに? どういうこと?

 

「ソーナちゃん、見つけた♪」

 

 と、そこでコスプレ少女が抱き着いた。

 

 あ、よく見るとあのコスプレ少女、生徒会長にそっくりだ。

 

 ん? っていうことは、あの人会長の親族?

 

 と、そんなこと考えているうちに、生徒会長の後ろになぜ書いたサーゼクス様が笑顔を向ける。

 

「セラフォルーか。君も来ていたんだな」

 

「もちのろんなのよん!」

 

 ん? セラフォルー?

 

 セラフォルーって、確か……。

 

「部長? まさかあの人、生徒会長の姉で現レヴィアタンのセラフォルー・レヴィアタンさまだったりします?」

 

「……信じたくないのはわかるけど、そうよ」

 

 うっわぁ。うっわぁ。うわ~うわ~うわ~。

 

 人選間違ってない?

 

「ええええええええええ!?」

 

 うん、イッセーの大声も分かるよ。

 

 だってあれ、コスプレ少女じゃん。

 

 威厳とか威光とか全くないよ。

 

 四大魔王唯一の女性とかいうんだから、もっとこう大人のお姉さんとかイメージするよねぇ。アダルト方向だよねぇ。しいて言うならマダムとかって感じだよねぇ。

 

 だけど、真実なんだよねぇ。

 

「そういえば、セラフォルーさまって「魔法少女レヴィアたん」って番組で魔法少女やってましたよね。……数百歳超えるけど」

 

「一美! しっ!!」

 

 リアス部長に口をふさがれるけど、だけどさあ。

 

 いい年こいて魔法少女マジでやるとか、結構あれな人物だよね。

 

「セラフォルーさま。来るのでしたら一言言ってくれれば一緒に来るところでしたよ」

 

「そういうわけにもいきませんわおじさま♪ ほら、レヴィアたんもプライベートで来てるんですものっ」

 

「まあまあ。君も会談には参加するんだから、別にいいじゃないか」

 

 リアス部長のお父様とお兄様もノリノリだよ。

 

 っていうか妹自慢始めたんだけど落ち着こうか?

 

「姉ちゃん姉ちゃん。なんか、魔王様たちってノリ……軽くね?」

 

「うん。リアス部長からプライベートはたいてい軽いって言われてたけど、ここまでとは思わなかったよ」

 

 ま、まあ、悪魔だってプライベートはあるんだからめいわくかけない範囲で自由にするべきだと思うよ?

 

 思うけど、ひどいなこれ。

 

「コカビエルが会長に危害をくわえようとしていると知ったら即戦争が勃発する。そんなこと言ってたけどまさかこれが理由だとは」

 

 匙くん。そんな衝撃な真実は知りたくもなかったよ。

 

「うふふ、四大魔王様の共通点をご存知ですか?」

 

 朱乃さん、知りたくないです。

 

「四大魔王様はみなプライベートではフリーダム。そして、その反動かその後兄弟や家族はまじめな方が多いのですわ」

 

 それ完璧にとばっちりじゃん!!

 

「うう、もう我慢できません!」

 

「あ、ソーたん待ってぇええええ!!」

 

 あ、生徒会長が我慢できず逃げ出した!!

 

 そして黒歴史を暴露しながら魔王様が追いかけていった。

 

「うむ、シトリー家は今日も平和だ。そうは思わないかい、リーアたん」

 

「たんづけで呼ばないでください」

 

 サーゼクス様、グレモリー家も十分平和ですよ。

 

「イったん、止めた方がいいかなこれ」

 

「とりあえずたんづけやめてくれ。普段からそんな呼び方してないだろ」

 

 いや、のっかった方がいいかと思って。

 

「まあそれはともかく、放しておくべきことが一つあったよ」

 

「何ですか? 私に魔法少女コスプレをしろというのなら―」

 

 リアス部長が割と本気モードで魔力を込め始める。

 

 部長、ここ一前ですから自重してください。

 

「いやいや、真面目な話だよ。……リアスの持つもう一人の僧侶(ビショップ)についてだよ」

 

「っ!?」

 

 ん? これ、本当にまじめな話になってきたぞ?

 




なんだかんだでイッセーとにて感性が一般人よりな一美。

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