仮面ライダーアズライグ   作:ヘンシンシン

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後編です!!


プロローグ後編 仮面ライダーと眷属悪魔

 

 

 

 

イッセーSide

 

 あっぶねえ!! まさか姉ちゃんがドラピングに襲われてるだなんて思わなかったぜ!!

 

 ドラピングの力は戦車やヘリなんかじゃ勝てないからなぁ。っていうかよくわからないんだけどオカルト研究部って何者?

 

 いや、そんなことよりドラピングだ。

 

『てめえ、むかつくなぁ……っ』

 

 ドラピングはイラつきながら、どんどんパワーが上昇していく。

 

『ホントむかつくんだよどいつもこいつも!! リストラされてからずっとこうだ!! ようやくスカッとするものを手に入れて発散できると思ったのによぉ!!』

 

 なるほど、奴の能力は怒りでパワーが上昇するタイプってわけか。

 

 だったら短期決戦で叩き潰す!!

 

『てめえもまとめて叩き潰して―』

 

「遅いんだよ!!」

 

 俺は真正面からドラピングを殴りつける。

 

 ドラピングは虚を突かれたけど、底を見逃すわけにはいかない。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」

 

「アダダダダダダダダ!?」

 

「オラァ!!」

 

「フンヌラバァ!?」

 

 思いっきり殴り飛ばして、俺はドラピングをぶちのめす。

 

 よし、こいつ自身は大したことない!!

 

『なめるなこらぁ!!』

 

 あ、結構しぶとい!!

 

 ドラピングは吹っ飛ばされた先で鉄骨をつかむと、そのままごういんに引きちぎってたたきつけてくる!!

 

 うおっと! あっぶねえな!!

 

 だけど、そんなもんで俺は倒れないぜ!!

 

「舐めんな!!」

 

 そっちがその気なら俺だって武器を使うだけだ!!

 

 俺は、腰につけられている拳銃、ズバットマグナムを取り出すと遠慮なく発砲する。

 

 銃声が鳴り響いて、ドラピングに何発も直撃した。

 

『ぐぎゃぁああああああ!?』

 

 なんたって動力が動力だからな、効くだろう!!

 

 そして、俺の力は長期戦になればなるほど有利!!

 

「さあ、決着だ!!」

 

 俺は一回ドラッグシリングを取り出すと、もう一度挿入しなおす。

 

『ヒィイイイイイッサツ!!』

 

「ライダー、キック!!」

 

 一気に相手に接近して、そしてエネルギーが込められた必殺の一撃を、俺は躊躇なくドラピングに叩き込んだ!!

 

『ぐぎゃぁあああああああああ!?」

 

 爆発と同時に弾き飛ばされ、そのままドラピングは人間の姿に戻ると倒れ伏す。

 

 よし! 何とかなったな!!

 

 初めての実践だけど、それでも何とかなるもんだ。

 

 俺は変身を解除して―

 

「イッセー?」

 

 ぽん、と肩をたたかれて―

 

「痛い痛い痛い痛い痛い!? 何この力、肩が砕けるよ!?」

 

「うるさいよこの馬鹿弟!! どういうことかお姉ちゃんに説明しなさい!!」

 

「そうね。私も説明を聞きたいわ」

 

 そして、リアス先輩もまた俺に鋭い視線を向ける。

 

「助けてもらったのは感謝するけど、ちょっと私達も事情を知りたいの。……情報量はちゃんと払うから、説明してくれるかしら?」

 

 あ、あっちゃー。これは、逃げれないかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪魔に天使に堕天使に、ほかにも神話がいっぱいあるって嘘だろ……」

 

 俺は一美やリアス先輩からの説明を聞いて、天を仰いだ。

 

 そりゃ俺だって神話とかがいろいろあるのは知ってるけど、そのほとんどが全部存在してるとかびっくりだよ。

 

 しかも援助してくれる人がリアス先輩だったなんて。顔をも知らない親戚だって聞いてたけど、全然関係ないじゃん!!

 

「ごめんなさい。一美から内緒にするように頼まれていたの」

 

「だってイッセー。そんなこと聞いたら自分も悪魔になるとか言いそうだもん」

 

「いや、なるにきまってるだろ!!」

 

 酷いよ姉ちゃん! 俺たちは一緒に生まれたんだから、悪魔になる時も一緒だろうが!!

 

 第一、ハーレムを合法的に作れるだなんて話をなんで俺に黙ってた!? なんてひどい姉ちゃんなんだ!!

 

「くそ! 俺が一生懸命こっそり隠れてトレーニングしてた時に、姉ちゃんは逆ハーレムを作る準備を着々と整えてたっていうのかよ!! ふざけんなこの馬鹿姉貴!! 謝れ、俺に謝ふぐぅ!?」

 

「……そんなだから黙ってたんでしょう、変態先輩」

 

 と、塔城ちゃん、痛いよ……。

 

 そんな光景を笑ってみながら、リアス先輩は笑顔だった。

 

「まあ、私は駒に空きもあるから入れてもいいんだけどね」

 

「うぅ……。これはもう断れない雰囲気だぁ」

 

 当たり前だ姉ちゃん。こうなったら意地でもついていくぜ。

 

「それで兵藤くんだっけ? 君が変化したあの姿は一体何なんだい?」

 

「そうですわね。上級悪魔にも匹敵する、あの力は一体……?」

 

 木場祐斗と姫島先輩が質問するのは当然だ。

 

 俺は、家に帰ってからとってきた手紙をみんなに見える位置に差し出した。

 

「これは、父さんの文字?」

 

「ああ、俺が知ってるのもこれだけだ」

 

 一美には、つらいことを言うことになるんだろうな。

 

 なんだかんだで弱いところがあるから、俺はもちろん父さんも知らせたくなかったんだと思う。

 

 だけど、もうこうなったら知らせるしかない

 

 俺は、手紙を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イッセー。この手紙を見てるころ、俺も母さんもこの世にいないと思う。

 

 俺たちは、お前たちにとてもひどいことをしてしまった。

 

 実は、母さんは結構体が弱くてな。お前と一美を妊娠するまでに何度か流産を繰り返していたんだ。

 

 だから、お前たち二人を妊娠したと知ったとき、俺は最初どちらかを堕ろそうと思ったんだ。

 

 一人だけなら無理してでも産もうと決意していた母さんも、二人同時となるとどうしても恐怖があって無理があった。

 

 ……そんな時、その病院で俺たちは一人の男にあった。

 

 その男はたまたま来ただけで個々の病院の者でないことを自分から告げると、俺たちに交渉を持ちかけたんだ。

 

 生まれてくる子供に受精卵の段階から施術をする代わりに、必ず安全に子どもを産ませて見せる……と。

 

 正直、なんであの時二人して頷いてしまったのか今でもわからない。

 

 わからないけど、そうでもしなければ二人とも生むことはできなかったってことだけはわかる。

 

 だけど、それを俺たちはすぐに後悔した。

 

 そんな後悔をずっと続けていくことに耐えられず、俺たちはそれを告発しようとしている。

 

 ……その科学者は、自分のことをトールバソンと名乗っていた。

 

 彼は、ドラッグシリングという不思議な道具の研究のために、受精卵を求めて病院にたどり着いていたんだ。

 

 ドラッグシリングは、情報エネルギーを集めた注射器型のアイテムで、それを人間に差し込むことで、ドラピングという超人に変身させる。

 

 なんでもいろんな種類があって、しかも出せる能力には個人差があるらしい。

 

 トールバソンは、その能力をより引き出すための研究をおこなっていた。

 

 イッセー。お前の中には、そのトールバソンが開発したテンテキドライバーが埋め込まれている。

 

 これを読んでるということは、俺たちはトールバソンに殺されている。だから、お前が一美を守れ。

 

 本当なら、お姉ちゃんの瞳にお前を守れというべきかもしれないけど、トールバソンは一美に目をつけていた。だから気を付けてくれ。

 

 銀行の貸金庫に、トールバソンからくすねたドラッグシリングを一本隠してある。だから、いざとなったらそれを使ってくれ。

 

 頼んだぞ、イッセー。愛してる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一美Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな、ことが……。

 

「一美、しっかりしなさい」

 

 呆然とする私を、リアス部長が抱きしめてくれる。

 

 うん、いまはすっごくありがたいです。

 

「あなたのお父様もお母様もあなたを愛してくれている。だから、貴女はそれを否定しちゃだめよ」

 

「うぅ……部長ぅ」

 

 なんかいろいろ涙が出てきた。

 

 それに、そのトールバソンは許せない!!

 

 そうしなけりゃ母さんやイッセーと一緒に死んでたのかもしれないけど、そのせいで父さんも母さんも殺されたんだ!!

 

「絶対、絶対一発殴ってやるんだから」

 

「ああ、俺もだよ姉ちゃん」

 

 イッセーも頷くと、静かな目でリアス部長を見て頭を下げた。

 

「お願いします。そのトールバソンってやつが何をしてくるかわからない以上、姉ちゃんを助けてほしいんです」

 

「……何を言ってるのかしら?」

 

 うんうん。リアス部長の言う通りだね。

 

「貴方のことも助けるにきまってるじゃない。一美の弟なら私にとっても弟だわ」

 

 そうだよねリアス部長! あなたならそういってくれると信じてたよ!!

 

「え、でも……」

 

「嫌だといっても聞かないわよ。さっきも言ったけど、眷属の弟は私の弟。見捨てるわけがないじゃない」

 

 うわぁああああん!! リアス部長、大好きだよぉおおおおおお!!

 

「だ、だけど、俺は……」

 

「それに」

 

 それでもためらうイッセーに、リアス部長は最後のダメ押し。

 

「私の眷属になれば、ハーレムを作れることを忘れてない?」

 

「兵藤一誠、貴女に忠誠を誓いマッス!!」

 

 うん、こうなるよね。

 

 だけど、結局イッセーも眷属かぁ。なんか複雑。

 

 ねえ、どう思う相棒?

 

 そう心の中で尋ねると、わたしの相棒が返答する。

 

『そんなことを言われてもな。お前の弟の決断なんだから尊重するほかないだろう』

 

 うん、そういうと思ったよ、ドライグ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、私兵藤一美と弟兵藤一誠の二人が生まれる前から決まっていた、因縁を生産する物語。

 

 うん、いろいろと波乱万丈だけど、皆、頑張ってみてくれると嬉しいな?

 




後半終了です。

ドラッグシリングとドラピングが、ガシェットと怪人の名前になります。

イッセーではなくオリジナルキャラクターの一美が赤龍帝になりましたが、イッセーも赤龍帝の情報で変身するので事実上のダブル赤龍帝です。

因みにドラッグシリングがドライグなのには理由がありますがこれはまた後日……

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