仮面ライダーアズライグ 作:ヘンシンシン
とりあえず、一話投稿します。
エクスカリバー騒動を乗り越えた私達オカルト研究部は、今日も夜から仕事を再開していた。
でもまあ、必ずみんなが仕事が入るってわけじゃないから、暇な時もあるんだよねぇ。
「それで部長? 教会の方はなんていってるんです?」
私は腕立て伏せをしながら、部長にそれを聞く。
ジョージは戦争にノリノリだったけど、冷静に考えると教会や天界の上層部は戦争に乗り気なのかどうかのかがすごい気になったんだ。
だって、ジョージは所詮使いっパシリなんだから、上がダメって言ったら動けないはず。
そうだといいなぁ。
ちょっと不安だったけど、すぐに部長もお茶を飲みながら笑みを浮かべた。
「その辺については安心していいわ。……堕天使の動向が不明瞭だから、遺憾ながら連絡を取り合いたいって言ってるの」
「つまり、戦争を今すぐに起こす気はないということですわ」
朱乃さんも含めた二人の言葉に、私は結構安心した。
よかったよかった。これならとりあえず、覚悟を決める時間ぐらいはありそうだね。
「でも、コカビエルみたいな暴走をする可能性はありそうです」
小猫ちゃん、怖いこと言わないで。
あ、でも実際コカビエルも勝手に暴走したもんなぁ。そういうこととかは普通にあり得るから怖いけど、でも大丈夫だと思いたいよ。
「そういえば、イリナっちはどうなったんです?」
そういえばすごく気になるよ。
やっぱり昔のお友達だし、死なれたら寝覚めが悪いしなぁ。
「さすがにそこまでは教えてくれなかったわ。……まあ、ゼノヴィアもエクスカリバーを奪われて生き残ってたんだし、生きてるんじゃないかしら?」
う~ん。だといいんだけどなぁ。
だけど、このまま戦争が起きないなんて保証はないんだよなぁ。
三大勢力は会談をするとか言ってるけど、それが平穏に終わる保証は全くない。
アザゼルって人はコカビエルを止めるために白龍皇を差し向けたけど、本当に戦争をしないだなんて言えるんだろうか。
っていうか、むしろ悪魔の側からノリノリな人が出てきそうで私は怖いよ。
コカビエルみたいな戦争マンセーとか、絶対一人ぐらい入るだろうしなぁ。
堕天使側も、コカビエルで打ち止めってことはないだろうしなぁ。うんついてない。
ああ、生きてる間に戦争とか経験したくないなぁ。私役に立たない自信あるし。
あ、一万年も生きるからいくらなんでも一度は経験するか! そんなに長く生きてたら絶対経験するよ!!
「うわ~ん部長! 戦争なんてしたくないです!!」
「そうね。教会や堕天使とはいずれ決着をつける必要があるかもしれないけど、大きな戦は人間すら巻き込むわ。……それは避けたいわね」
部長! 人間のこともきちんと考えてくれてるんですね!
やっぱり部長はいい人だ! 一生ついていきます!!
「そういえば、イッセーくん遅いですね」
と、祐斗っちが時計を見ながらつぶやいた。
そういえばイッセー、今日も遅いなぁ。
最近、イッセーには新しいお得意様が付いたんだ。
なんかちょい悪系のおじさんっぽい人らしい。イケメンらしいし、一度会ってみたいとかいう面食い思想が出てきちゃうんだなぁ。
それにしても、その人すっごい金払いがいい人なんだよ。すごく高そうな芸術品とか、宝石とかをパン狩って来いとかいうすごく簡単すぎる以来で払ってくれる。
ぶっちゃけこっちがぼったくりな気もするけど、だけどおかげで最近のイッセーはぼろもうけだよ。
うん、私も負けてられないなぁ。
ちなみに、私は赤龍帝の能力を最大限に生かせる力仕事がメイン。
鎧を身に着ければ重機なんか目じゃないぐらい怪力になるし、空も飛べるから作業がスムーズに進むんだよね。うん、この能力すごく便利。
『相棒? 一応これは戦闘用なんだぞ?』
いいじゃんいいじゃん。技術が軍事転用されたり、民間転用されたりするのはお相子だって。
戦争なんかするより、平和的に使った方がみんなうれしくてハッピーだよ。
昔はいっぱい迷惑かけたんだから、少しぐらいは罪滅ぼしした方がいいよ?
『そういうものか。まあ、たまにはそういうのも悪くないか』
うんうん。ドライグも平和ってものの良さがわかってきたようだねぇ。お姉ちゃんはうれしいよ。
『お前の方が年下だろうが』
あ、そうでした。
でもまあ、イッセーはなかなか依頼が達成できなかったから、平和的に仕事ができるのは良いことだよねー
「うわぁあああああん!! 部長ぅううううううう!!!」
と思ったら、なんかすごい勢いでイッセーが駆け込んできたよぉおおおお!?
「お、お得意様が堕天使総督だったぁ!?」
何それ!? いいの!?
なんか、イッセーのお得意様の正体が堕天使総督のアザゼル総督だったんだって!
そりゃ金払いいいはずだよ。リアス部長に匹敵するレベルの金持ちのはずだもん。
いや、もしかしたら偽物かもしれない。あとで調べてもらった方がいいかな?
「うう、部長、これってもしかして仕事の成果にならないですか?」
「そうねぇ。どちらかといえば、アザゼルの方が営業妨害してるようなものだわ」
あ、報酬払っても堕天使総督はやっぱりだめなのか。
「でもどういうつもりなんです? 確か、会談をするとか言ってたんですよね?」
私はその辺が本当に疑問。
だってさ、考えても見てよ。ずっと敵対していた三大勢力の会談って前代未聞。今までにないすっごいことなんだってことは当然わかる。
そういうわけだから、結構どの勢力もピリピリしてると思うんだ。そりゃもう突っつけば大爆発しそうなぐらい。
そんなときに、なんでそんな人をおちょくるような真似をしてるんだろう。
「三大勢力のトップ自ら、先日のコカビエル強襲の当事者である私のイッセーに接触してくるなんて協定違反だわ。もし会談が決裂で終わるようなことになれば……」
ぶ、部長落ち着いて!!
「大丈夫です、部長」
おお、祐斗っちが大物オーラを出してる。
これはすごい安心できるよ。さすが聖魔剣は格が違うね。
「イッセーくんは、僕が必ず守ります」
……ん? なんか顔が赤いんだけど?
「木場、ちょっときもいぞ」
「ひどいよイッセー君!」
うん、ちょっと落ち着こうか。
「とにかく気を付けるべきはアザゼルの動向ね。この緊張時にわざわざイッセーに接触してくるなんて、何が目的かしら……?」
そうだよね。おかしいよね。
部長が悩むのも当然だよ。どう考えてもこんな時にすることじゃないもん。
コカビエルはアザゼルは戦争する気がないって言ってたけど、こんな時にイッセーに手を出すなんていろいろツッコミどころが多すぎるよ。
こんな時に、一体なんで接触してきたのかわからない。
私たちは、一緒になって頭をひねった。
「アザゼルは昔から、そういう男だよ」
ん? だれ?
振り向いたそこには、グレイフィアさんと一緒に赤い髪をした男性が立っていた。
ってあの人はぁああああ!?
私たちは慌てて跪き、私はイッセーを急いで引っ張る。
「い、イッセーかしこまって! その人魔王ルシファーさま!!」
「え、ええ!?」
イッセーはその姿に慌ててしまってる。
うん、そういえばイッセーはあったことなかったよね!!
「いやいや頭を上げてくれ。今日はプライベートで来てるからね、そんなかしこまらなくてもいいしくつろいでくれて構わないさ」
そ、そう? ならいいんですけど……。
そんな風にみんなが体から力を抜く中、サーゼクス様は一枚のプリントを取り出した。
「……な!?」
部長が明らかに狼狽する。
あれは、授業参観のプリントだ。
「グレイフィア! あなた、私が黙っていたのに伝えたわね!!」
「もちろんです。私はサーゼクス様の女王ですので、当然ご報告させていただきました」
「予定を開けるために仕事を片付けるのには苦労したよ!!」
サーゼクス様がVサインまで立てている。
あ、この人シスコンだ。
だけど多分うまい酒は飲めない。私とはたぶん方向性が決定的に違うタイプだから。
「もちろん、父上も授業参観には参加するよ」
「いえ、少なくともお兄様は魔王なのですから一悪魔を特別視しないでいただきたいのですが……」
うん、それ建前だね。
たぶん、親族がテンション上げて授業を参観するのが恥ずかしいんだ。
私としては親が死んでるからちょっとうらやましい。だけど部長からしてみれば親が授業参観に来ないことがうらやましいんだろう。いい年してるしね。
とはいえ確かに、魔王様が無理に仕事を片付けてまで授業参観に来るのはちょっとテンション上げすぎな気がするんだけど。
「いやいや、実はこれも仕事の内なんだ。三大勢力の会談をこの地で行う予定でね。その視察に来たんだよ」
へ?
三大勢力の会談って、ここでやるの!?
「そもそも会談が行われることになったのは、この地でコカビエルが戦争再開の狼煙を上げようとしたためです。その場所をあえて会談の場所に選ぶのはそこまで不思議なことではありません。設備も十分なものがそろってますし」
と、グレイフィアさんが補足説明する。
あ、確かに駒王学園はリアス部長が影の支配者だからか設備がむちゃくちゃ整ってる。
それに、確かにそういう意味でなら特別な場所だしね。
でも、だからってこんな時に来るかなぁ、普通。
「そういうわけで前の利してきたわけなんだが、さて、この時間帯で宿はとれるのだろうか?」
そういえば、もうかなり遅い時間帯だよ。
さすがにこの辺で採れる宿はないような気がする。
「あ、だったら俺んちとかどうですか? なあ、姉ちゃん」
……うわぁ、すごく緊張感のある来客だよ!!
シスコンブラコンにもいろんな種類があります。
サーゼクスはまともなシスコンで、一美はダメな方のブラコン。いろんな認めない。