仮面ライダーアズライグ   作:ヘンシンシン

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禁断の真実と鋼の信仰と

その力は、禁じ手。

 

 それは、新規の究極系。

 

 その存在は、世界の均衡(バランス)すら崩すもの。

 

「……いって、祐斗っち」

 

 そう、それは。

 

「今の祐斗っちなら、行ける!!」

 

 禁手(バランス・ブレイカー)

 

「……行こう、皆」

 

 その言葉とともに、祐斗っちはバルパーに切りかかる。

 

 そして、その莫大な力はエクスカリバーを真正面から受け止める!!

 

『……なんだ、それは』

 

 バルパーが唖然とする中、つばぜり合いの中で祐斗っちは静かに口を開く。

 

魔剣創造(ソード・バース)禁手(バランス・ブレイカー)、双覇の聖魔剣《ソード・オブ・ビトレイヤー》。聖と魔を融合させた聖魔剣を生み出す能力だ!!」

 

 そして、真正面から打ち勝った!!

 

『バカな! そんな剣がエクスカリバーと同等以上だと!?』

 

「そのエクスカリバーが本来の物ならさすがに無理さ。だが、寄せ集めのがらくたなどに僕らの想いは倒せない!!」

 

『ほざくなぁああああ!!!』

 

 いうが早いか、バルパーはエクスカリバーを分裂させて一斉に攻撃する。そしてさらに透明化と幻覚まで追加!?

 

 あ、あんなもん交わせるわけが―

 

「甘い」

 

 と思ったら一振りで弾き飛ばしたぁああああ!?

 

「……いかに達人の技量を手にしようと、殺気の消し方やごまかし方までは手に入らないようだね。それでは幻覚と透明化は意味がない」

 

『お、おのれぇえ!! なら破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)を最大出力で―』

 

「おっと。そうはいかない」

 

 と、そこでゼノヴィアが前に出る。

 

「主に代わり、貴様の悪行はここで断罪する」

 

『ふざけるなよ小娘が!! 誰のおかげで聖剣使いになれたと―』

 

「勘違いするな、私は天然ものだし、()()()()()()()の使い手ではない」

 

『……は?』

 

 意味が分からないといわんばかりのバルパーの前で、ゼノヴィアは宙に手を伸ばす。

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ! 我が声に耳を傾けてくれ!!」

 

 空間が歪み、そこに現れるのは一振りのバスターソード。

 

「この刃に宿りしセイントの聖名において、我は汝を開放する―デュランダル!!」

 

 デュランダル!? デュランダルって攻撃力だけならエクスカリバーより上のあのデュランダルぅ!?

 

 な、ななななんでこんなところにぃ!?

 

『ば、バカな! 私ですら、デュランダルの人工聖剣使いの生成は不可能―』

 

「だから言っただろう。私は天然ものだと」

 

 そして、ゼノヴィアはデュランダルを振りかぶる。

 

「なにせ、じゃじゃ馬すぎてまだ使いこなせなくてね。普段はエクスカリバーを使うように言われているのさ」

 

 ええ~? エクスカリバーを前座扱い? どんな豪勢な前座だよ。

 

「まさか、デュランダル使いを投入してくるとは。ミカエルも意外と本気だったということか」

 

 さすがのコカビエルも、これは驚いている。

 

「さあ、エクスカリバーとデュランダルの頂上決戦と移行。……そんなおもちゃを使っているんだ、さぞ楽しませてくれるのだろうな」

 

『な、なめるなぁああああああ!!!』

 

 激高したバルパーはエクスカリバーで切りかかり―

 

「ぬるい!!」

 

 一撃で、真正面からゼノヴィアは軽々とエクスカリバーを弾き飛ばした。

 

「所詮は折れた聖剣か。この程度とは笑わせる」

 

『バカな! エクスカリバーが、エクスカリバーが負けるなど!!』

 

 バルパーは明らかに狼狽している。

 

 っていうか、ドラピングになってるんだから身体能力で翻弄すればいいのに、何で剣の力の勝負なってるの?

 

 ああ、エクスカリバーを神聖視してるから、意固地にそれに頼ってるんだ。

 

「ってことはこれで隙だらけ!! イッセー!!」

 

「ああ、わかってるぜ」

 

 そして、いつの間にかイッセーはバルパーの肩に手を置いた 。

 

「年貢の納め時だぜ、オッサン」

 

「……はっ! しま―」

 

『ヒィイイイイッサツ!!』

 

 その致命的な隙は、完璧にアウト!!

 

「ライダーキック!!」

 

 そして最大出力のケリが、バルパーを吹っ飛ばした。

 

 返信が解除されて、三十回転ぐらいしてバルパーはようやく止まる。

 

 っていうかコレ、死んだんじゃないの?

 

 いや、それでもこれで第一関門クリア!! この調子なら―

 

 パチパチパチパチ

 

 コカビエルが、拍手と一緒に下に降りてくる。

 

 うそ、こいつまだ余裕しゃくしゃく!?

 

「褒めてやろう。あの状態のバルパーは俺ですら手こずるレベルなのだがな。なるほど、リアス・グレモリーは面白いものを集めている」

 

 そういうと、コカビエルは私達を眺める。

 

「赤龍帝に聖剣計画の生き残り。そしてバラキエルの娘か」

 

「……私を、あのようなものの娘などというな!!」

 

 激昂した朱乃さんが雷撃を放つけど、バルパーは意にも介さず弾き飛ばす。

 

「そして聖銅騎士団の若き団長にデュランダル使い。ミカエルも少しは本気を出していたようだ。特に団長殿には驚いたぞ?」

 

「貴様に褒められても全くうれしくないな」

 

「まったくだ。主の名のもとに断罪してくれる」

 

 そういって剣を突き付けるジョージとゼノヴィア。

 

 それにこっちもまだまだみんないけるよ! 私の譲渡マシーンと考えればそこそこ行けるしね!!

 

 そんなやる気に満ち溢れた私たちを見て、コカビエルはあきれているとしか思えない顔になった。

 

「使えるべき主をなくしてまで、よくもまあそこまで頑張れるものだな、悪魔も信徒も」

 

 ………へ?

 

 主って、魔王様は生きてるよ?

 

 あ、先代魔王様は確かに死んでたね。でも私が生まれたときにはもう死んでたし、今更な感じはするかな。

 

 あれ? でもなんでジョージやゼノヴィアまで?

 

「……どういう意味だ?」

 

「ん? ああ、そうか下の者たちまで知っているわけがないか。どうせ戦争も起こすのだし黙っている必要もないか?」

 

 な、なになに? なんなの?

 

 なんかすっごい重大情報な予感がする。

 

「先の大戦でな、神と魔王は相打ちになったんだよ」

 

 ああ、神様も死んでたんだ。それは知らなかったよ。

 

 ってなんだとぅ!?

 

 聖書の神ってキリスト教の神様でしょ!? 二十億人が進行している世界最大宗教の!!

 

 その神様が、死んでるってやばくない!?

 

「う、嘘だ! でたらめを言うな!!」

 

「真実だよ。その聖魔剣が証拠だ」

 

 狼狽するゼノヴィアに、コカビエルは祐斗っちを指さして見せる。

 

「本来聖と魔はまじりあわない。聖書の神の奴が死んで、そのバランスが崩れているからこそのイレギュラーだよ」

 

 あ、た、確かに水と油がまじりあうよりむずかしそう。

 

 ってまって。それはつまり、マジってことじゃん。

 

 や、やばすぎる。

 

「そ、そんなことがあり得るというの……っ」

 

「ああ。信じられないようだが事実だよ」

 

 さすがに動揺している部長に、コカビエルはそう告げる。

 

「こんなことが信徒の間に知れ渡れば、どんなことが起きるかなど目に見えている。だから教会のトップ共は神を信じる人間を存続させるためにこの事実を隠ぺいしたのさ」

 

 その言葉に、ゼノヴィアはショックを受けたのか崩れ落ちる。

 

 だ、だろうね。ガチ信徒がこんなこと知ったらショックで倒れるよ。

 

「う、うそだ・・・うそだ…‥嘘だ……」

 

 よっぽどショックだったのか、そう呆然とつぶやき続けることしかできてなかった。

 

「なんということだ」

 

 ジョージも天を仰いで瞑目してる。

 

 あれ? なんか衝撃は受けてるけど余裕っぽくない?

 

 そんな中、コカビエルはものすごくむかついてそうな表情を浮かべる。

 

「そのせいで、三大勢力はどこも戦争に乗り気じゃない。挙句の果てに、アザゼルにいたっては二度目の践祚はないなどといいやがった!!」

 

 そして、コカビエルは怒りのあまり光力を全身から漏らし始める。

 

「振り上げた拳を振り下ろさずにするなどふざけるな!! 勝利者もないまま戦争を終わらせるなど寝ぼけたことを!!」

 

 コカビエルがにらみつけるのは、ここではない三大勢力の首脳陣だ、これ。

 

「だから俺が戦争を起こしてやるのさ! 同じことを考えている奴はほかにもいるだろう、そいつらに代わって俺が口火を切ってやる!!」

 

 お、おおおお。なんかやばいよコレ!

 

 っていうかドラピングとか気にしなきゃいけないことが多すぎるのに、なんで戦争まで起こされなきゃ―

 

「―なるほど、好都合だ」

 

 ……へ?

 

 その言葉に振り返ってみれば、ジョージが何ならすごい真剣な表情を浮かべていた。

 

「20億の信徒の力を結集すれば、悪魔と堕天使など遅るるに足らずと思いながらも、主の意志がそうならば仕方がないと抑えていたが、そうでないならばもはや耐える必要はない」

 

 もう、その表情に動揺の色は一切ない。っていうか、明らかに覚悟完了しちゃってる人のそれだったよ、この表情。

 

「たとえ主がお亡くなりになられていようと、主の遺した教えは残っている。ならば何の問題もないだろう」

 

 そのまま、一本の剣を引き抜くと、ジョージはゼノヴィアに振り返った。

 

「立て、ゼノヴィア」

 

「じょ、ジョージ」

 

 ゼノヴィアは、かなり動揺しているのかまだふらついている。

 

 だけど、そんなゼノヴィアにジョージは笑みすら浮かべた。

 

「主がいなくなられようと、我らがすることに変わりはない。すなわち邪悪を排して教えを広め迷い子を導くこと。……そうだろう、皆の者よ!!」

 

 そう大きく声を張りげると、教会の生き残りは少しずつだけど立ち上がる。

 

 みんな、ショックは受けているけどそれよりも目が真剣だった。

 

 な、なんで自分の信じる人が死んだっていうのに、そんな気合に満ちた目をしてるの!!

 

「コカビエル!! 戦争を起こすというならば好都合。我ら20憶の信徒は、必ず最後に勝利する!!」

 

 そして、剣を突き付けてコカビエルをにらみつけた。

 

「まずは貴様の首をもらう!! そして堕天使滅亡の口火を切るがいい!!」

 

「……フハハハハ!!! いいぞ、いいぞいいぞいいぞ!!」

 

 コカビエルは、なんかものすごいうれしそうだ!!

 

 うん、ここいかれた人が多すぎるよ!?

 

「素晴らしい! それでこそ俺の敵だ!!」

 

 そして、コカビエルは心底喜んで翼を広げ―

 

「いや、そこまでだ」

 

 次の瞬間、それが引きちぎれた。

 


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