仮面ライダーアズライグ   作:ヘンシンシン

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コカビエルとその目的と

 それから数日かけたけど、結局三人とも見つからなかった。

 

 うぅん。もしかして速攻でやられたとか? まさかねぇ?

 

 そんな風に不安に思いながら、私達は夜眠ることにしたんだけど……。

 

「部長! イッセーが野獣になるから服着てください!!」

 

「いやよ。私は裸にならないと眠れないし、こっちの方がイッセーも喜ぶでしょう!」

 

 私と部長は喧嘩していた。

 

 だって部長、いつまでたっても裸のままイッセーとベッドに入ろうとするんだもん。

 

 いい加減にしないと本当に襲われますアンタ!!

 

「あのですね。部長はイッセーに告白されてから付き合いたいんですよね?」

 

「ええ、女の子としてはそっちの方が夢があるもの」

 

「だったら先にエッチなことしたらロマンもくそもないと思います」

 

 うん、それが問題。

 

 エッチしてから告白だと、なんか間違ってると思います。

 

「………た、確かにそれは、順序が逆なの……かしら?」

 

「逆です。間違いなく逆です」

 

 なんでそんな見事な逆っぷりを見せてるのかな?

 

 さて、これで誘導できそうだけどどうしたもんか―

 

「「―っ!?」」

 

 そのとたん、ものすごい寒気が出てきて思わず震える。

 

 な、ナニコレ!?

 

「姉ちゃん、部長!! 今のは!?」

 

 イッセーも飛び起きる中、私たちは外を見る。

 

 そこには、黒い翼を広げた一人の男が立っていた。

 

 その姿から見て、間違いなく堕天使。それも翼の数が多いからすごい高レベルだ。

 

 っていうことはまさか!

 

「貴方がコカビエル?」

 

「いかにも。俺がコカビエルだ」

 

 まじか、こいつがコカビエルか。

 

 っていうか、逃げ込んだはずなのになんで堂々と姿を現してるの?

 

「ごきげんよう、コカビエル。でも、私は魔王ルシファー様に最も近いけれど、最も遠い存在でもあるわ」

 

「魔王と交渉なんてばかなことはしないさ。そんなことをするぐらいなら、お前を犯して殺してサーゼクスを挑発する方がはるかにいい」

 

 うわぁ、ものすごい性格悪い。

 

 しかも敵意満々だ。この人何考えてるの?

 

「それで、だったらあなたは何をしに来たのかしら?」

 

「知れたこと。戦争再開のため、お前の支配するこの駒王町を滅ぼすのさ」

 

 せ、戦争再開?

 

 ちょ、ちょちょちょちょっと待って。戦争ってつまり三大勢力の戦争のことなのは間違いない。

 

 それを再開って、何考えてんのこいつ!?

 

「……あなた、正気?」

 

「さてな。少なくとも、このままなあなあですます気はない」

 

 お、おかしいとは思ってた。

 

 だって堕天使の幹部なら、人間界にも土地の一つぐらい持ってておかしくないもん。普通ならそこに逃げ込む。

 

 わざわざ教会の至宝を盗んで、しかも魔王の妹の管轄地に逃げ込むなんて、ややこしくなることは間違いなかったけどそれが理由なら納得だ。

 

 って言ってる場合じゃない。

 

 ってことはつまり、私たちはここでコカビエルと戦うってことになる。

 

「エクスカリバーを盗めばミカエルあたりが戦争を仕掛けてくるかと思ったんだが、送り込んだのは人間だけ。本当に退屈でつまらなかった」

 

「狂ってるわ。この状況下で戦争を起こすなんて!! 神の子を見張るものは世界を滅ぼすつもり!?」

 

 部長が絶句してもおかしくない表情でドンビキしている。

 

 こ、コカビエルの奴、気が狂ってるんじゃないの?

 

「あいつらは何も知らないさ。戦争を起こすどころか神器だなんて下らんものを研究するばかり。そこの小娘の赤龍帝の籠手ぐらいでもなければ役に立たないだろうに」

 

 そういうと、コカビエルは唾を吐き捨てていら立ちをあらわにする。

 

 あ、あれはすっごくストレスが溜まってる顔だ。

 

「うんざりなんだよ!! 決着もつけずにのんのんと過ごす毎日が!! だから戦争を起こすのさ!!」

 

 そういうと、コカビエルは駒王学園の方向に飛び始める。

 

「魔王の妹が二人もいる所なら、決戦の血にはうってつけだろう? 俺はそこで儀式を始めるから、待っているといい」

 

 よ、寄りにもよって駒王学園で戦争おっぱじめる気だ。

 

 ちょ、そこ私たちの学校なんですけど!?

 

「逃げてもいいぞ? そうなれば、この街は更地になるがな」

 

 しかも町中巻き込む気!?

 

「ちょ、ちょちょちょちょちょちょいいいいいいいいいい」

 

「ちょっといい加減にしろよ、てめえ!!」

 

 い、イッセー有難う。あのレベルだともうしゃべるのも大変で。

 

 だけど、コカビエルは動じない。

 

 それどころはすごく笑ってる、むちゃくちゃ愉しそうに笑ってる。

 

「嫌なら止めてみろ。まだ儀式の発動までには時間もあるからな」

 

 そういうと、コカビエルは勢いよく飛んでいく。

 

 う、うわマジヤバイ!!

 

 だけど、このままじゃいられない。

 

 この駒王町には何万人も住んでいる。しかも悪魔の実在を知らない人たちだって何万人もいるんだ。

 

 私達三大勢力の勝手な都合で、死なせるわけにはいかないよ!!

 

「い、いくよイッセー、部長!!」

 

「ああ、あの野郎許さねえ!!」

 

 速攻でイッセーは着替えはじめ、部長もみんなに連絡を取る。

 

 絶対させないからね、コカビエル!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学園についた時、すでに駒王学園はすごい結界でおおわれていた。

 

 そしてそこには、生徒会長たちが勢ぞろいしていた。

 

「待っていましたよ、リアス」

 

「ソーナ。来てくれたのね?」

 

 生徒会長たちまで来てくれた。これは結構心強いよ。

 

「今、学園全体を強固な結界で覆っています。中で戦闘をするだけならば、外への被害は出させません」

 

 会長はそう断言するけど、すぐに表情をゆがめる。

 

「ですが、コカビエルをとどめるにはあまりにも脆い結界です。私は眷属全員で結界を強化しますが、おそらく脱出を狙われれば一分とかからずに出られるでしょう」

 

 うわぁ、やっぱりコカビエルってすごいんだ。

 

 それにしても、むちゃくちゃやばいよね子の状況。

 

 エクスカリバーを使って魔王の妹を堕天使幹部が殺す。

 

 こんな大騒ぎが起きたら、本当に戦争が起きかねない。

 

 そんなこと、絶対させるわけにはいかないよね。

 

「兵藤、俺たちは何とかして結界を持たせるから、任せていいか?」

 

「ああ! コカビエルは俺たちに任せてくれ」

 

 匙くんとイッセーがそういって拳を握り合う中、生徒会長はリアス部長と話している。

 

「リアス。今からでも遅くありません。ルシファー様を呼ぶべきです」

 

「何言ってるの。あなただって読んでないでしょう?」

 

「私のところは無理です。でも、貴方のお兄様はあなたを愛していますよ」

 

 あれ? 生徒会長とレヴィアタンさまって中悪いのかな?

 

 でもさすがのこの状況だと読んでくれないと不安なんだけど、部長の意志も固そうだなぁ。

 

「とにかく。戦争を起こすことが目的な以上、お兄様とコカビエルをぶつけるわけには―」

 

「サーゼクス様には、わたしから打診しましたわ」

 

 朱乃さんが、部長の言葉を遮った。

 

「朱乃!? 何を勝手に!!」

 

「リアス。あなたがサーゼクス様に迷惑をかけたくない気持ちはわかるけど、これは私達で解決できるレベルじゃないわ」

 

 朱乃さんが、久しぶりに普通の友達モードでリアス部長を説得する。

 

 それを聞いて、部長も渋々だけど納得したようだ。

 

「わかったわよ。それで、どれぐらいかかるのかしら?」

 

「一時間後のようですわ」

 

 いつもの調子に戻って朱乃さんはそう告げる。

 

 だけど、一時間かぁ。

 

 長いなぁ。間に合うのかな?

 

「……死戦ですね」

 

 小猫っちが、覚悟を決めたかのように目を閉じていう。

 

 うん、これってマジでまずいよね。普通に死ねるよね。

 

 でも、町を守るためにはやらなきゃいけないんだよね。

 

「………部長、行きましょう」

 

 祐斗っちが、静かにリアス部長にそう言った。

 

「祐斗。期せずしてあなたにとっては好都合になったわね」

 

「ええ。ですが、貴女の剣であることを忘れるつもりはありません」

 

 うん、少しは冷静さが残ってるようで安心したよ。

 

「みんな! この戦いは今までのような生ぬるい者とは違うわ!! 十中八九死ぬ戦いだけど、それでも死ぬわけにはいかないわ!!」

 

 部長は、そういってから皆を見渡す。

 

「生きて、明日の朝日を見るのよ!!」

 

「「「「「はい、部長!!」」」」」

 

 よっし! 死ぬほど怖いけど譲渡でサポートぐらいはできるから頑張るぞ!!

 

 まってなよコカビエル!! 絶対駒王町を吹き飛ばさせたりなんてしないんだから!!

 


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