仮面ライダーアズライグ   作:ヘンシンシン

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球技大会と集中砲火と

 

 そんなこんなで球技大会!

 

 野球だったクラスはともかく、部活動ではドッジボール!!

 

 なんだけど……

 

 考えてみて、皆?

 

 リアス部長→我らが二大お姉さまの1人。当てれない

 

 朱乃さん→同じく我らが大和撫子。当てれない

 

 小猫っち→我らがロリっ子マスコット。当てたらかわいそう

 

 祐斗っち→糞憎いイケメンだけど、当てたら女子から恨まれる。当てるわけにはいかない。

 

 私→まあ美少女。ちょっと当てにくい。えっへん!

 

 イッセー→なんで美男美女の群れの中にお前がいるんだ女の敵。こいつは殺しても罰あたらないだろうから遠慮なく充てれるぜヒャッハー!!

 

「死ぬがいい!」

 

「俺たちの判決を言い渡す、死だ!!」

 

「独占禁止法によりお前を極刑に処す!!」

 

「警察に代わってお仕置きよ!!」

 

 というわけで、容赦なくイッセーにボールが集中している。

 

 うわぁ、これはきついね!

 

「頑張れイッセー!!」

 

「うぉおおおおおお!!! クソッタレぇえええええ!!!」

 

 なるほど、これが犠牲(サクリファイス)戦術かぁ。確かに効果はてきめんっぽいよねぇ。

 

 うん、でもやっぱり趣味じゃないから助けるよ!!

 

「ふはははは! イッセーに当てたいなら、このお姉ちゃんを先にぶつけるがいい!!」

 

 私はボールのある方向に移動して、イッセーとボールを遮るように立つ。

 

 ふっはははは!! さあ、これならイッセーに当てたくても当てれないだろう!!

 

「な、なんて奴だ! マゾなのか!?」

 

「ひどいよ! 違うよ!!」

 

 なんでそうなるの!?

 

 くそう、イッセーにはイッセーのいいところがいっぱいあるのに、覗きのせいで全部台無しだ。

 

 リアス部長を惚れさせる手腕は見事なんだぞ! じっさいこれだけできる奴って相違ないんだぞ!!

 

 なのに、覗きのせいで全然持てない! ええい、そのせいでこっちはだいぶやきもきしてるのに!!

 

「この馬鹿弟! なんで覗きをやめれないの!」

 

「それ、いま言うことかよ!!」

 

 いや、だって思い返すと腹立ってくるし。

 

 くそう、こんないい男を弟に持ってしまったこっちの身にもなれってんだ!!

 

 ああ、これじゃあ私は一生彼氏ができないよぉおおおお!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、そんなこんなで何とか球技大会は優勝ができたけどね。

 

「いってぇ。あいつら容赦なくぶつけてきやがって」

 

「まあまあ。覗きばっかりやってるイッセーにも責任はあるって」

 

 うんうん。一応覗きは犯罪だよ、イッセー?

 

「だからってなんで俺だけ集中攻撃なんだよ。俺だけ倒したってドッジボールは勝てないだろうが」

 

「もうヤケクソの八つ当たりなんじゃない? あのルールだと全生徒に恨まれるか負けるかの二択じゃん?」

 

 そんな馬鹿なことを話しながら家へと返ろうとすると、急に寒気を感じて私たちは立ち止った。

 

 この感覚、たまに喧嘩腰でかかわることになる教会に人たちや教会に近づいた時の悪寒だ。

 

 嘘でしょ? ここがグレモリーの縄張りだってことは教会だってわかってる。そしてグレモリーを敵に回すことは魔王ルシファーを敵に回すこととニアイコールだ。

 

 それなのに、わざわざ眷属の家の近くにまで来るだなんて、何考えてるの!?

 

「イッセー。ごごごごごめん戦闘準、備びびびびびび」

 

「わかった姉ちゃん! とりあえず深呼吸!」

 

 あ、ヤバイ。失神しそう。

 

 それでも勇気を出して一歩一歩近づいて様子を見ると、そこにはローブを羽織った少女が二人。

 

 ……すいません。ここ一応一般市民もいっぱいいるんで気を使ってくださいな。

 

「俺たちの家に、教会の連中が何の用だ!?」

 

 イッセー! どこに人が出てくるかわからないから落ち着いて頂戴な!

 

 と、その声に当然気が付いて少女二人が振り返る。

 

 そして、そのうち片方の栗毛の少女がなぜかうれしそうな表情を浮かべた。

 

「あ、イッセーくんに一美ちゃん!! 久しぶりぃ!!」

 

 ………ん?

 

 悪魔相手にやけにフレンドリーな信徒だなぁ。

 

 ……あれ? 信徒?

 

 ………あ、あ、あああああ!!!

 

「い、い、イリナっち!?」

 

「うん! 久しぶりね一美ちゃん!」

 

 私は緊張感が緩んで驚いた。

 

 そうだ、紫藤イリナっちだ!

 

 昔家の近くに住んでいたクリスチャンの女の子!

 

「………あれ、誰だっけ?」

 

「思い出してイッセー! 昔家に御呼ばれしたことがあったじゃん!」

 

 さすがに昔のことだし仕方ないけど、もうちょっと頑張ってイッセー!

 

「あれ? おれ、女友達何ていたっけ? ……いたっけ?」

 

 うぉおおおおおい! 泣かないでイッセー!!

 

「ひっどーい! もしかしてイッセーくん、わたしのこと女の子だと思って無かったの!?」

 

「いや、言われてみたらイリナっち、男の子みたいな格好してなかったっけ?」

 

 遊びもほとんど男の子がやるようなものだったし、確かに勘違いしてもおかしくないかも。

 

「んもう! あとでおばさまやおじさまに怒ってもらわないと! そういえば家が改装されているうえに誰もいないけど、いまパート中か何かなの?」

 

 イリナっちはそういって首をかしげる。

 

 あ、そうか。イリナっちは知らなくて当然だったんだ。

 

「あ、その、実はお父さんもお母さんも死んじゃって……」

 

「……え? あ、ごめんなさい」

 

 イリナっちはすぐに謝ってくれるけど、だけどそれ以上に別の意味で表情が暗くなった。

 

「そう。それで二人とも悪魔になったんだね? この地の悪魔に拾われたってところかな?」

 

 あ、やっぱり気づいちゃうか。

 

 厳密にはイッセーは違うんだけど、まあ私の場合はそんなところかな。

 

 すごく微妙な空気になるけど、しかし青い髪の方が敵視しながら口を開く。

 

「両親の死が原因で悪魔に惑わされる……か。容赦はしないが同情はする。ご両親のご冥福はお祈りしよう」

 

 そう告げる青い髪の方は、やっぱり結構悪魔の私達を敵視してる。

 

 まあ、人間を捨てて悪魔になったって意味だと確かにその通りだけどね。ちょっと反論は難しいかな?

 

 とはいえこんなところで戦うつもりはないのか、二人とも戦闘態勢はとってなかった。

 

「……今日のところは失礼しよう。私たちはキリスト教徒だから、線香をあげるというのも不信心だ」

 

「そうね。日本はそんなこと気にしない人が多いけど、私たちは気にするから」

 

 そういうと、二人とも背を向けると去っていく。

 

 私は、イリナっちに何も言えなかった。

 

 うん、何か言えるわけがないよ。

 

 信心深いイリナちゃんからしてみれば、きっとショックが大きいんだもの。

 

 

 


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