仮面ライダーアズライグ   作:ヘンシンシン

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球技と生徒会と

 

「ストライク!」

 

 ぬぉ、すかった!!

 

「ストライク!!」

 

 またしてもぉ!!

 

「ストライク!! バッターアウト!!」

 

 うわぁん! 三振したぁ!!

 

 部長の声が無情にも、わたしの完全敗北を教えてくれる。

 

 酷いです部長、もっと優しくいってください!!

 

「……圧勝」

 

「だよねぇ!!」

 

 何気にピースサインまでしてるよ小猫ちゃん! 意外とそういう乗りがいいのね!!

 

 今日、私たちは球技大会のための練習をしている。

 

 部長は勝負事にこだわるタイプだったけど、前回のレーティングゲームで敗北寸前まで追いつめられたのがよほど答えたらしい。本気出しすぎ。

 

 おかげで、最近のオカ研の部活動はほぼ球技だよ。オカルトどこ行ったのかな?

 

 まあ、球技大会といえば高校の定番だけど、駒王学園の球技大会は結構本格的なんだよね。

 

 クラス対抗はもちろんのこと、部活対抗まで用意されてる。

 

 ちなみに、少人数の部活が多人数の球技をするときになった場合は生徒会からリザーブメンバーが出てくるという本格具合。不参加を許してくれない厳しい学校だよ。

 

 しかも球技は当日発表。そのせいで事前に一つだけ練習するってことができないわけ。

 

 だから、部長は毎日いろんな球技を練習させる。正直そろそろ休みたいなぁ。

 

「イッセー! 気合を入れなさい!! あなたが主力よ!!」

 

「ういぃいいっす!! 部長のためにガンバリます!!」

 

 イッセーはイッセーで気合が入ってるからそんなことは言い出せない。

 

 ああ、ホント疲れたなぁ。

 

「あらあら、イッセーくんはリアスと一緒に頑張ってますわね」

 

「ですよね朱乃さん。……最近は一緒にお風呂に入ってるんですようらやましい」

 

 むぅ。イッセーと一緒にお風呂だなんて、私は小学生の時までだよ。

 

 ずるいなぁ。

 

「……一美ちゃんって、もしかしてブラコンですの」

 

「そうです」

 

 私は即答した。

 

 どうせ知らないのはイッセーぐらいだし、逝っても別に構わないもん。

 

 はあ、血がつながってなければ告白してる自身があるぐらいイッセー大好きだよ。

 

 何事にも一生懸命だし、根性あるし、かっこいいし。それに何よりたった一人の家族ということがどんどん大好きになった原因だ。

 

 だけど血がつながってるからそういうわけにもいかないからね。たぶん冥界でもアブノーマルだし。

 

 ああ、私もそんなことを忘れさせてくれる出会いがほしいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで練習していたら、足音が響いた。

 

「……元気でやっているようですね、リアス」

 

「あら、ソーナじゃない」

 

 リアス部長が返事をする中振り向いたら、そこにいたのは生徒会長。

 

 あ、そういえば言ってなかった。

 

「部長。そういえば生徒会長のこと、イッセーに行ってませんでしたよね?」

 

「あら、そういえばそうだったかしら」

 

 うっかりしてたな私も部長も。

 

 うん、ごめんねイッセー。

 

「え? え? 姉ちゃん、どういうこと?」

 

 うん、マジごめんイッセー。

 

「生徒会も悪魔なの。ちなみに、生徒会長は部長の幼馴染」

 

「………ええええええええええ!?」 

 

 当然のごとく度肝を抜かれるイッセーに、朱乃さんがニコニコ笑顔で補足してくれる。

 

「生徒会長の真なる名前はソーナ・シトリー。72柱の悪魔の一つであるシトリー家の次期当主にして、現レヴィアタンの妹君ですわ」

 

「マジすごいじゃないですか! え、すご、まじすご!!」

 

「ふっふっふ。そうだろうそうだろう」

 

 と、会長に伴っていた人がすごい得意げな表情を浮かべる。

 

 えっと、確か……。

 

「ハジくんだっけ? 会長の兵士の」

 

「匙だよ!? 惜しい!!」

 

 あ、そうだ。匙くんだ匙くん。

 

「うんうんそうだった。それで、どうしてついてきてるの?」

 

「何気にひどいなこの人! ……新顔の顔合わせってことで呼ばれたんだよ。ですよね会長」

 

「そうです。……とはいえ、兵藤くんと兵藤さん相手では見劣りしますけどね」

 

 えぇ……? それ言っちゃう?

 

「ひどいです会長! 赤龍帝の兵藤姉はともかく、俺は駒価値四なんですから駒価値三で間に合った兵藤弟よりかはできますよ!!」

 

 匙くんはそう文句を言うけど、しかし会長は首を振る。

 

「いえ。あなたでは勝ち目がありません。あのライザー・フェニックスを一対一で下した実力は本物です」

 

「………え゛!? あれって、ってっきり兵藤姉か姫島先輩あたりが頑張ったのかと思ったんですけど」

 

 驚愕する匙くんにため息をつくと、生徒会長は苦笑する。

 

「ごめんなさい。うちの匙はすこし失礼なところがあるもので。あとで言ってよく聞かせます」

 

「え、あ、いえいえ」

 

 イッセー。そこはもうちょっと起こっていいんだよ?

 

 匙くんも。もうちょっと良く試合を見てくれると嬉しかったなぁ。

 

「まあ、俺は気にしないけどね! お前なんか眼中にないし」

 

「言ったなこの野郎。必ずお前より強くなってやるから覚悟しやがれ」

 

 そういって、表情だけニコニコ笑顔ですごい火花を散らし合う二人。

 

 ……うん。これ、ビビりそうだよ。

 

「貴女も大変ね」

 

「いえいえ、あなたほどでは」

 

 部長も会長も止めてぇえええええええ!!!

 


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