縁切り(仮題)   作:White-Under

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※作者に文章能力は皆無です。

※京都の地理を全く知らないのでそこは大目にみてください。

※Pixivに掲載したものをそのまま掲載してます。


縁切り-2-

自己紹介をし終えた俺たちは再び京都の町をぶらぶら歩いていた。

 

「「あ、あの(ね)!」」

「「……。」」

あー、またこれかよ……。

信号待ちの度に話し掛けるが、どうしても声が重なってしまう。

 

「あー、良い天気だな。」

そう言い俺は空を見上げる。

 

ゴロゴロ

 

「「……。」」

 

おい、さっきまで雲一つ無かっただろ!

空気くらい読め!ってあんなことをしてきた俺には無理な願いだな……。

 

「あそこで少し休憩するか?」

稲城がチラッと俺が指差した所を確認して返事をする。

「……コクリ。」

 

俺たちは近くにあった店に入った。

 

「いらっしゃいませ~。二名様ですね。」

「こちらへどうぞ。」

店員さんに奥のテーブルに案内されそこに座る。

 

「ご注文が決まり次第お声をおかけください。」

「わかりました。」

 

俺はメニュー表を広げる。

……やっぱりマッカンは無いのか。

これは仕方がないな。

店の人には悪いが砂糖をいっぱい入れて我慢しよう。

俺は正面に座っている彼女を見る。

 

「……。」

メニュー表を見ているだけで口を閉じている。

 

「決まったか?」

「コクリ。」

「すみません。」

 

俺は近くにいた店員さんに声をかける。

 

「注文良いですか?」

「大丈夫ですよ。」

「俺はカフェオレで……稲城さんは?」

「スーウ……よし。」

 

彼女が息を吸う。

 

「稲城さん?」

 

「えーと、季節のキノコ(パスタ)とトーストサンドのBLTEと……コーンのサラダと……カフェオレとスイーツでモンブランとティラミス……大盛りのイチゴパフェ……以上で。」

 

「「……。」」

 

俺も店員さんもそれらが彼女の細い体のどこに入るのかと静かに考えていた。

 

「あの~店員さん?」

 

「あっはい!確認させていただきます。カフェオレがお二つ、季節のキノコ、 トーストサンドのBLTE、コーンのサラダが各お一つずつ、スイーツでモンブラン、ティラミス、イチゴのパフェが各お一つずつの以上八点でお間違いはありませんか? 」

 

「は「はい!」……。」

 

「スイーツはどうしましょうか?あとの方がよろしいでしょうか?」

「はい!」

「わかりました。少しお待ちください。」

 

………………

…………………………

……………………………………

………………………………………………

 

 

 

「お腹空いていたのか?」

「あはは、いやーお腹が空いているとどうしても黙っちゃうんだ私。会話して余計なエネルギー使いたくないしね。」

「…………どうして空いたときに言わなかったんだ?」

 

言ってくれればどこかに入ったのに。

えーと…………サイゼリヤとか。

 

「……ハズカシイカラ。」

「ん?」

 

余計なことを考えていたせいでうまく聞き取れなかった。

 

「は、恥ずかしいから……気付いてよ。」

「わ、悪い。」

「それだか…………あ、ごめん。」

 

稲城が再び下を向く。

そうだよな……今日初めて会って、名前しか知らない仲なのに……。

俺があそこにいた理由も……稲城があそこにいた理由も……。

 

「「……。」」

 

「カフェオレと季節のキノコ、トーストサンドののBLTE、コーンのサラダに……なり……ます?」

 

お通夜のようなこの空間に店員さんが疑問形で言ってしまっていた。

……ごめんなさい。

 

 

「モグモグ」

「パクパク」

「あ、あの~。」

 

パタリと稲城の動きが止まる。

 

「なに?」

「お金はあるのか?」

そこまで持ってきてないからな。

 

「大丈夫、これがあるから。」

スーと財布からお金とは違う四角いものを出す。

 

「……それお前のだよな?」

「親から貰った。」

「……。」

Oh…… .

 

 

 

 

 

こいつもしかしてお金持ち?

あの強化外骨格の人たちと同じ?

あー、今ではある意味良い思い出だな。

リムジンとの事故。

 

「私、リムジンとか乗ったことないから安心してね。自転車派だから。」

「……。」

 

何で俺の周りにはこういう人たちが多いの?

 

「顔に書いてあるからね。ふふ。」

「マジか。」

「本当って書いてマジと読む。ははっ……これ古いかな?」

「さぁ?」

そういうの興味無いからな。

 

「ま、良いけどね。そういうの気にしないし。」

じゃあ聞くなよ。

 

「パクパク、モグモグ……ふぅ~食べないの?」

「あまりお金使いたくないからな。」

 

「……アーン。」

 

稲城がパスタを巻いてあるフォークを近付ける。

 

「……何これ?」

「パスタだよ。」

「……。」

それは知ってます。

この行為をする意味がわからない。

 

「あー、なるほどー。うん、わかった。」

 

稲城がフォークを皿に戻す。

ふー、良かった良かった。

さっきから男の視線が怖い。

 

「間接キスが嫌だったんだよね。はい、アーン。」

「……。」

 

いやいや、どう考えたらこうなる。

確かに間接キスのことも考えていたけれども……。

 

「アーン。」

「ちょっと……。」

「パスタ嫌い?」

「嫌いじゃないけど周りの視線が……。」

特に男の視線が……。

俺、この店から生きて出れるか。

 

「もう知らない。何言ってもあげないからね。」

 

これでもう安心だな。

死線も施しも無くなった。

 

グゥー

 

「「……。」」

「誰のお腹の虫が鳴ったのかな~?ふふーん。」

俺はドリアを注文するために店員さんを呼ぼうとする。

 

「すみま「アーン。」……。」

「すみ「アーン。」……。」

「S「アーン。」」

発音すらさせてもらえないと。

 

「はい、アーン。」プルプル

……腕が震えるくらいなら最初からしなければいいのに。

 

 

 

「はぁ、わかった、わかった。食べればいいんだろ。」

俺はパスタではなく手がつけられてないトーストサンドを取った。

 

「……。」

「誰もパスタを食べるとは言ってないだろ。」

「……私、帰る。会計よろしく。」

といい稲城が立ち上がり帰ろうとする。

 

「わ、わかった。わかりました。します。しますから、稲城さんにアーンをしてもらいたいです。」

黒歴史確定だな。

 

「しょうがないな~。この私がしてあげよう。」

エッヘン

無い胸……アイツよりはあるか……。

むしろ丁度いいかもしれない。

 

「ジー。」

「な、なんだよ。」

「……えっち。」

「な、な、な、何でそうなるんだよ!」

 

稲城がウーンと考える素振りをする。

そして……。

 

「女の勘?」

「勘かよ!」

「でも当たってたでしょ?」

「うっ……。」

 

否定しようにも否定できない俺がいる。

 

「……ごめんなさい。」

俺は警察に電話される前に綺麗な土下座をした。

 

「何でそんなことするの?」

「何でって、電話するんだろ?」

「どこに?」

「どこって、警察だろ。」

「どうして?」

「嫌じゃないのか。」

「う~ん、だって私が誘ったんだから。それにそれだけ私が可愛かったからでしょ?」

 

そういうものなのか?……って絶対違う。

可愛いのは否定できないけど……。

 

「それより、時間大丈夫?」

「……今、何時?」

「5時過ぎ。」

「……。」

 

終わった、オワッタ……オワタ。

俺、帰れない。

野宿決定。

 

「もしかして過ぎてる?」

「……。」

「……私の家に泊まる?部屋余っているから。」

「……えっ?」

 

 

 

 


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